自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 106話 ネタバレ 原作 あらすじ 君のいないアルビス

 

106話 レイラは邸宅でマティアスと一緒に過ごしています。

 

レイラが涙で潤んだ目を

辛うじて開ける度に、そこには

彼女を見下ろしている

青い瞳がありました。

彼は両目いっぱいにレイラを映したまま

腰を動かしていました。

乱暴に深く入り込む動作とは違い

目つきは冷ややかでした。

だから熱かった。

とんでもない考えだけれど、

レイラは、

本当にそう思いました。

 

無駄だと知りながらも

彼を押しのけようとした両手で

むしろレイラは、

自分の顔を隠しました。

しかし、見ていなくても

視線を感じました。

きちんと閉じることができない

唇の間から漏れる、

泣き声のような呻き声は、

今や熱気で、かすれていました。

 

マティアスは低く沈んだ声で

レイラの名前を呼びました。

その声で満たされる度に、

ズキズキと痛むように

高まって行く熱気は、

もはや苦痛ではありませんでした。

 

その事実を

否定できなくなったレイラは、

手を下ろして、

再びマティアスに向き合いました。

ぼやけた視界に映る男の顔は美しく

ぼんやりと見つめるレイラに

向かい合った彼は、

熱いため息をつきました。

口の端に、微かに笑みを

浮かべているようでした。

 

レイラは変な気持ちに耐え切れず

身を縮めました。

一瞬、しかめっ面をしたマティアスは

すぐに、熱く乾いた声で笑いました。

 

動きを少し遅らせたマティアスは

体を屈めて、

レイラと口を合わせました。

唾液で濡れた口元と顎に

彼の舌と唇が触れると、レイラは

自分がひどく乱れていることに

気づきました。

滅茶苦茶になった足の間と

濡れた肌がぶつかる音も、

鮮明になりました。

 

顔をあちこちひねっても無駄なので

レイラは、手の甲で唇を覆いました。

両足も何とか閉じようと努めました。

 

その姿をじっと見守っていた

マティアスは、

レイラの膝を思い切り広げて

押さえつけました。

驚いたレイラがもがいても、

マティアスはのんびりしていました。

 

レイラの足は、

いつの間にか彼の肩の上で

揺れていました。

もう、これ以上は

受け入れられないような気がするのに

マティアスは、

彼女を壊してしまいそうなほど、

深く中へ入り込みました。

 

自分の体を

コントロールできなくなった

レイラは、

「見ないで! 嫌!」と叫び、

彼の目を隠そうとして

腕を伸ばして、もがきました。

しかし、何の成果もなく

公爵に嘲笑されるだけでした。

 

今にも、本当に泣き出しそうで、

レイラは唇を強く噛みました。

愛人に転落した身の上が、

このように恥ずかしく

悲惨だということは

すでに前から知っていたけれど、

改めて悲しみが

こみ上げて来ました。

この男が与えたのではなく、

自分の中で湧き起こる

混乱した感情でした。

 

このような瞬間さえ、

快楽に呻き声を上げる自分が

耐えられないほど嫌になった時、

マティアスが再び口を合わせて来て

レイラの口元に流れている

唾液と涙を舐めました。

 

レイラは、

止めて欲しい。このようなことは、

自分はとても・・・と言いかけましたが

公爵は「きれい」と囁くことで

レイラの言葉を遮りました。

レイラの唇がブルブル震えました。

マティアスは、もう少し低い声で

狂おしいほど、きれいと囁くと

微笑みました。

 

レイラは言葉を続けることができず

欲望を前面に押し出し、

何の罪もない自分の人生を

踏みにじった男を、

卑怯な策略を巡らして自分を愛人にし

その権力で自分を踏みにじった男を、

自分を破滅させ、

永遠に破滅させようとしている

この男を、ただ見つめました。

 

レイラはクロディーヌの前で感じた

侮蔑感と罪悪感。

カイルに与えた傷。

ビルおじさんのことを思い出すと

襲ってくる痛み。

この全てが、

ばれるのではないかという

途方に暮れて、恐ろしい気持ちを

繰り返し考えました。

 

そのすべてが

この男から始まったことを

あまりにもよく知っているけれど、

でも、なぜか、間違いなく、この男が

見慣れない人のように見えました。

 

揺らぐことなく見つめる澄んだ青い目。

耳元で囁く言葉。

自然な笑顔と差し出す手。

この全てが本当に、

真心から出ているようでした。

 

しかしレイラは、

これ以上、考え続けたくないので、

彼が導く快楽に身を委ねました。

漠然とした浮遊感に囚われて

咽び泣き、呻きました。

息が詰まりました。

そんな自分に耐え難くなる瞬間ごとに

彼は、

汗と涙でびしょ濡れの顔に

数え切れないほど口を合わせながら

何度も「きれい、レイラ」と

囁きました。

ゆっくりと背中を撫でる

マティアスの手の下で、レイラは

次第に落ち着いて行きました。

 

規則正しくなった息遣いの音に

耳を傾けていたマティアスは

口元に、

疲労感と満足感の入り混じった笑みを

浮かべました。

そして、まだ上気しているレイラの頬に

キスをすると、

彼女は、ゆっくりと目を開けました。

焦点が定まらない澄んだ目が

彼を見ました。

レイラは何度も瞬きしてから、

彼と目を合わせました。

 

ところが、

今さら、何がまた恥ずかしいのか、

レイラはギョッとして

彼を避けようとしました。

マティアスは、

彼女の顔を自分の方へ向けて

彼女を見つめました。

そして、これといった理由もなく、

「レイラ」と、舌先を

くすぐるように流れて来る飴のように

甘い名前をただ呼んでみました。

 

いたずらをするかのように、

マティアスは

レイラ、レイラ・ルウェリン、

私のレイラと

何度も繰り返し囁きました。

このように、

くだらない自分が滑稽になり、

空笑いをしながらも

止められませんでした。

 

マティアスは、

衝動的にレイラを抱きしめました。

恐怖で固くなった顔が

気に障ったけれど、

可愛いと思いました。

 

レイラは、

もうできないと言うと、

力なく垂れ下がっていた手で

マティアスの肩をギュッと握りました。

本当にできない、お願いと

哀願する声が微かに震えました。

 

ようやく、マティアスは、

レイラが何を恐れているかを

悟りました。

気が抜けたような笑みを漏らす瞬間も

マティアスは、

大丈夫だと、あやすように、

そっとレイラの髪を撫でました。

レイラは警戒心を緩めたように

そっと彼の肩から、手を離しました。

 

マティアスは、

その手を包み込みながら、

話してみてと、

ゆっくり言いました。

レイラは、小さく首を傾げて、

どういうことかと尋ねました。

マティアスは、

一体、どれだけ、凄い物が欲しくて

こんなに頑張っているのかと

尋ねました。

 

その言葉に驚いたレイラは

目を見開いて、

そんなことではない。

好きになったって、もう話したはず。

だから、少しだけでも

恋人になってみたいだけだと

答えました。

 

マティアスは

「そう?」と聞き返しました。

レイラは、

嘘だと思うのかと言い返しました。

マティアスは微笑みながら

「さあね」と答えましたが、

その目は深い水のように

静かに見えました。

 

心を読めない彼の表情に不安を覚え、

ようやく落ち着いたレイラの心臓が

再びドキドキして来ました。

マティアスの視線を避けるため、

レイラは、あらん限りの勇気を

振り絞る必要がありました。

 

長い間、彼を見つめていたレイラは、

実は、お願いがある。

来月、自分の誕生日が来ると、

躊躇いながら言いました。

悲壮な表情と似合わない言葉に

マティアスは笑いました。

 

マティアスは、

来月のいつなのかと尋ねました。

自分の女の誕生日一つ

知らないという事実に、

マティアスの声は少し低く沈みました。

 

レイラは、

もう少し慎重に、しかし

子供のようにワクワクしながら、

最初の土曜日だと囁きました。

春が深まり、花が開く時。

レイラに、ぴったりの誕生日でした。

 

マティアスは、

誕生日プレゼントが欲しいのかと

尋ねました。

レイラは「はい」と答えて頷くと

彼を見ました。

彼女に似合わない

ずる賢いことをするのが面白くて、

マティアスは再び笑いました。

 

彼は、

どんなプレゼントが欲しいのかと

尋ねました。

レイラは、

一つだけ選ぶのが難しいので、

まだ悩んでいると答えました。

マティアスは、

全て言うようにと要求しましたが

レイラは、

それは嫌だと答えました。

 

すごい野望でも露わにする

勢いでしたが、口から出たのは

突拍子もない答えでした。

じっと見ると、頬はもちろん、

首のあたりまで

赤くなっていました。

それでも大胆不敵なふりをする表情が

昨年末のチャリティー公演を

思い出させました。

ひどい演技を披露したきれいな妖精。

下手だからこそ愛しい自分のレイラ。

 

レイラはつんと澄まして、

意味のあるもの一つを選ぶと

答えました。

その言葉は、

一体、何を言っているのか

分からなくて混乱した、

あの生半可な演劇の

セリフのように聞こえました。

 

レイラは、

決心したら、その時に話すと

返事をしました。

マティアスは、

話せば自分があげるとでも

思っているのかと尋ねました。

レイラは、

不自然に、つんと澄まして

眉を顰めると、

たぶんくれるのではないかと

答えました。

 

マティアスが、その理由を尋ねると。

レイラは、

「それは・・・ きれいだから?」

と答えました。

あまりにも馬鹿みたいで

涙が出そうになりましたが、

レイラが思いつく言い訳は

それだけでした。

 

レイラは、

自分のことを、きれいだと

言ったではないかと主張しました。

しかし、マティアスは

じっと見つめるだけだったので、

レイラはさらに当惑し、

もしかして。嘘だったのかと

尋ねました。

 

疑いのせいで細くなった

レイラの目を見ていたマティアスは

これ以上、我慢ができなくなって

笑い出しました。

この女が、

自分自身を弄ぶのが嫌ではなく、

喜んで巻き込まれる自分の姿も

嫌ではありませんでした。

 

マティアスは起き上がって

ベッドにもたれかかりました。

レイラはもじもじしながら

彼の顔色を窺っていました。

かましいことを

喋っていた女が、

一瞬で、たどたどしく話す少女に

なってしまいました。


高い天井を見上げながら、

マティアスはレイラの髪を

ゆっくりと撫でました。

そして、この女のそばで眠り、

この女のそばで目覚める毎日を

思わず思い浮かべました。

いつからか、

そのとんでもないことが、

かなり具体的に

描かれるようになりました。

しかし、その妄想に囚われる瞬間も、

マティアスは、

その選択が意味するところが何なのかを

知っていました。

 

公爵夫人は、

彼の妻になるだけの地位では

ありませんでした。

彼が認めるだけで、

守ることができる地位でも

ありませんでした。

そして、この帝国の貴族たちは

決してレイラを、公爵夫人として

受け入れないだろうし、

レイラも、社交界の女王として

君臨する人生を

生きていけないと思いました。

だから、あり得ないことだけれど、

それでも渇望は止まりませんでした。

 

マティアスは、

世間を恐れていませんでした。

彼はヘルハルトで、

そのように生まれて育てられました。

誰の顔色も窺ったことがなく、

誰にも頭を下げたことが

ありませんでした。

欲しければ手に入れた。

ヘルハルト公爵が知っている人生は

そうでした。

彼がヘルハルトである限り、今後も

永遠にそうすることになりました。

 

しかし、恐ろしいのは、

弁護士を呼んで、

結婚を破談にすることで

甘受しなければならない損害を

調べさせたり、レイラを

公爵邸まで引きずり込むという

正常な範疇を超えている

ただレイラ一人だけを求める

自分の狂った欲望でした。

 

止めなければならない。

マティアスは深く息を吸い込むと

握っていたレイラの髪を離しました。

レイラは小さくうずくまって横になり

じっと彼を見上げていました。

 

ただやり方の違いがあるだけで、

ここで止めても、いくらでも

この女を持つことができました。

 

ラッツでレイラは、レイラの人生を

送ることになるだろう。

そして、このアルビスで、

彼は今までそうだったように

完璧なヘルハルト公爵の人生を

続けていけばいいことでした。

それでも、結局この女は

彼のものでした。

 

でも君がいないアルビス・・・

庭や森、川辺、遥か遠くの野原まで

全ての領地を、

せっせと歩き回った小さな子供を

こんなにも美しい女に育てた、

長い年月の記憶が浮び上がりました。

いつからか、レイラは

アルビスの一部のようになり、

今も変わりませんでした。

 

息を殺していたレイラが

小さな悲鳴を上げました。

マティアスは、ようやく自分が

レイラの髪の毛を、再び

握り締めていることに気づきました。

 

レイラは、

痛いと言って、

彼の手を押し出しました。

しかし、柔らかい金髪を握った

マティアスの握力は

ますます増して行きました。

 

「レイラ、君は私のものだ」と言うと

マティアスは、

レイラの眉にキスをしました。

せっかちで乱暴な手つきとは違い、

囁く声は物静かでした。

 

「頭からつま先まで、全部」と言うと

今度は、細い首筋を優しく撫でました。

口元に浮かんだ笑みは、

確かに優しいけれど、

じっとレイラを見つめる目は、

冷たい炎を宿しているようでした。

なぜか背筋がぞっとして、

レイラは彼の手を押し出すことが

できませんでした。

 

「あなたは、

私のものではないでしょう?」と

聞いたレイラは、泣きたくなかったので

目に力を入れました。

目を細めて彼女を見ていたマティアスは

喜んで頷き「うん」と答えました。

その無情な返事をした唇が、

すぐにレイラの唇に触れました。

 

ゆっくりと、執拗なキスが始まる前に

レイラは、

「それでも君は私のものだ」と

低い囁き声を聞きました。

クロディーヌの男は、

残酷な言葉を囁きながら

優しく微笑みました。

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27話で、マティアスは

レイラのことを

バラが咲く季節の一部と

考えていましたが

除隊して、ずっとアルビス

留まるようになってからは、

季節に関係なく、

レイラは完全にアルビスの一部だと

考えるようになったのですね。

だから、レイラのことを

自分のものだという彼の論理は

間違っていないと思います。

だから、レイラがアルビスを離れたら

自分のものでは

なくなるのではないかという不安が

クロディーヌとの結婚を

止めようとまで考えるに

至ったのだと思います。

でも、現実的なことを考えると、

レイラが

ヘルハルト公爵夫人になるのは

無理がある。

結局、マティアスも

ヘルハルト公爵家という鳥籠の中から

抜け出せない鳥なのだと思います。

あなたは私のものではないでしょう?

とレイラが質問した時の、

彼女の心情を理解しない限り、

レイラは、決してマティアスのものには

ならないと思います。

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