自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 107話 ネタバレ 原作 あらすじ 匿名の手紙

 

107話 クロディーヌからの手紙をビルおじさんは受け取りました。

ビル・レマー宛に届いた手紙には、

差出人の名前が

書かれていませんでした。

 

気が乗らなさそうな表情で

手に持った手紙を

見下ろしていたビルは、

ポーチに置かれた椅子に座って

封筒を開けました。 

 

淡々と手紙を読んでいたビルは、

どうして、こんな馬鹿げたことを

言うのかと悪口を吐きました。

眉間と口元には、いつの間にか

深いしわができていました。

 

他の人は知らなくても、

ビル・レマーさんは

知っておくべきだと思い、

悩んだ末に、

この手紙を書くことにしました。

 

レイラ・ルウェリン。

レマーさんが、

あれほど愛して、大切にしている養女は

婚約者のいる男性と、

不適切な関係を持っています。

 

もちろん、レマーさんは

信じられないでしょうし、

罪のない子供を侮辱する、

ひどい手紙に過ぎないと

思うでしょう。

しかし、私はこの手紙に

一言の嘘も書けませんでした。

まさか最後まで、

他ならぬビル・レマーさんに

嘘をつくことはできませんから。

 

レイラに直接聞いてみてもいいです。

このまま放っておいては

いけないのではないでしょうか?

必ずそうしなければならないと

強要することはできませんが、

レマーさんが、心から

レイラを愛しているのであれば、

彼女が自分の人生を台無しにするまま

放っておくべきではないと思います。

もちろん、これは私の見解に過ぎず、

どうするかはレマーさんの役目です。

 

不愉快な知らせを伝えることになり

残念です。

しかし、この手紙には、

たった一言の嘘も書いていないと、

私はもう一度誓うことができます。

どうかレマーさんが、

正しい選択をされることを願います。

 

優雅な筆跡で書かれた手紙は

署名がありませんでした。

おそらく女性の字のようでしたが

一体、誰が、

こんなひどいことをしたのだろうかと

ビルは怒りました。

 

真っ赤な顔で荒い息を吐いた

ビル・レマーは、

くしゃくしゃに丸めた手紙を

床に投げつけました。

 

誰かがひどい手紙で

レイラを侮辱したに違いない。

こんな馬鹿げたことを、

他にどう考えられるというのか。

 

腹が立って息を切らしていたビルは、

ビリビリに破くつもりで、

投げ捨てた手紙を再び手に取りました。

しかし、幽霊のように

夜の森を彷徨いながら帰って来た

レイラを見た日の記憶が

ふと思い浮かぶと、

ビルは乾いた唾を飲み込み、

くしゃくしゃになった手紙を

開きました。

どんなことがあっても、

しっかりしているような

大きくてごつい手が

細かく震え始めました。

 

本当に幻を見たのでなければ・・・

 

ビルは「馬鹿げた話だ」と呟くと、

再び手紙をくしゃくしゃにして

丸めました。

 

このように、

人を苦境に陥れるような

卑怯な手紙一通に動揺して、

レイラを疑うわけには

いきませんでした。

 

しかし、不吉な予感は、

さらに強くビルを

精神的に追い詰めました。

苛立たしげにウロウロする

ビルの足元で、

ポーチの古びた木の床が

ギシギシ音を立てました。

 

しばらくして、ビルは

匿名の手紙を細かくちぎって

燃やしました。

それだけでは安心できず、

その灰も堆肥の奥深くに

突っ込みました。

 

家に帰ってきた彼は、

ぼんやりとした顔で椅子に座ると

今朝レイラが去った森の道を

眺めました。

現実を否定しようと

努力すればするほど、あの夜、

魂が抜けたように

夜道を歩いてきた子供の姿が

ますます鮮明に浮かび上がるので、

心が乱れました。

 

「そんなはずがない!」と、

ビルは自分を叱るように

怒鳴りながら立ち上がりました。

 

「あの子が、

どんな子だって言うんだ!」と

彼は少し震えた声で叫びました。

どうして、

またこんなことを言うのか。

今度は転勤ではなく辞職だなんてと

言うと、校長はため息をついて

カップを下ろしました。

 

校長は、

また故郷を離れて新しい都市に

行ってみたくなったのなら、

以前のように、

その気持ちが落ち着くのを待つと

言いましたが、レイラは

「いいえ」と返事をし、

少し照れくさそうに笑って

首を横に振ると、

今回はそういうことではないと

答えました。

 

校長は、

それでは結婚でもするつもりかなのかと

尋ねました。

レイラは「まさか!」と答えました。

すると校長は、

それなら、なぜ学校をやめるのか、

自分にはさっぱり分からないと呟くと

眉を顰めて、

ソファーにもたれかかりました。

 

校長に話があると言って来た

レイラ・ルウェリンは

学校を辞めるという意思を伝えました。

この新米教師は、

今学期も熱心に準備をし、

子供たちと仲良く過ごしていたので、

校長の当惑はさらに深まりました。

 

レイラは、

もう一度、大学に入学するための

準備をしようと思うと、

巧みに嘘をつきました。

昨夜、鏡を見ながら、

どれだけ練習したか

わかりませんでした。

 

何とかしてレイラを

引き止めるつもりだった校長は、

思わず言葉に詰まり、

確かに、ルウェリン先生は、元々、

首都の大学に入ろうとした

才女だったと嘆きました。

そのような理由なら、

レイラを引き留める口実が

ありませんでした。

 

幸い校長は、

できるだけ早く後任教師を探すと

決心してくれました。

レイラは、

嬉しいことを控えている人のように

見えるよう微笑みながら

深い感謝と申し訳ない気持ちを

伝えました。

その表情もまた、数多くの練習で

作り上げたものでした。

 

レイラは明るい笑顔を浮かべて

校長室を出ました。

子供たちが皆去った午後、

特有の寂しい静けさの中に、

規則的な足音が響き渡りました。

 

出発の日が近づいている。

春めいて来た校庭を眺める

レイラの顔から、

徐々に笑みが消えました。

窓際の花壇にあるリンゴの木は

いつの間にか、

蕾が膨らんでいました。 

 

すべては、レイラの思い通りに

進んでいました。

公爵の執着と欲望は

膨れに膨れ上がっていました。

時には愛のようにも思えましたが

もちろんレイラは、

もはやそのような錯覚に陥るほど

純真ではありませんでした。

あの完全無欠な男が

罠にかかってくれました。

 

公爵は守られない約束を信じ、

期待し、夢を見ていました。

すべてが自分の思い通りに流れ、

永遠にそうなるだろうと

信じていました。

だから、あとは、

粉々に砕いてやるだけでした。

 

レイラは自転車に跨ると、

そうだ、それだけだと

決意を固めました。

心臓が砂で満たされ、

ザラザラするような気持ちなどは

忘れることにしました。

きれい。優しいと囁いた声も、

深く静かに自分を見つめる瞬間の

あの美しい青い目も、

もう考えたくありませんでした。

 

あの男との間に

他に何があるのだろうか。

がらんとした道を走る自転車の影が

野花が咲いた道端に沿って

流れて行きました。

春が来ると花が咲く。

その当然の事実を、

改めて自覚したマティアスは、

爽やかな笑みを浮かべました。

 

マティアスは、

野原を横切って流れる

小川のほとりに立っている柳の木の下で

馬を止めました。

久しぶりに遠くまで走って来た馬も

自分の主人のように

活気溢れる姿でした。

 

マティアスは、

軽快に馬の背中から降りると、

一抱えもある木の幹に

もたれかかりました。

小川の向こうには、

春を迎える野原が広がっていました。

美しい花が咲き乱れるのを

一緒に見たいとレイラが言っていた

まさにその場所のようでした。

 

マティアスは、

時々、乗馬を楽しみましたが、

ここへ来たのは初めてでした。

そういえば、レイラは彼よりも

彼の領地をよく知っていました。

もしかしたら、このアルビス

彼より彼の女を、

もっと愛しているかもしれないと

思いました。

 

遠くの空を見上げたマティアスは、

そのように情けない考えをする

自分が滑稽になり、

クスクス笑いました。

しかし、あえて否定したり、

考えるのを

止めたくありませんでした。

レイラに対する全てがそうでした。

 

マティアスは、

日が暮れる頃になって、

ようやく春の花が咲いている野原を

離れました。

馬の背中に乗った完璧な姿勢は

以前と少しも変わりませんでしたが

彼の表情は、

一層、リラックスしていました。

 

春が来ると花が咲く。

彼女に会いたくなりました。

公爵家の後援を受けないって

それはどういうことなのかと

尋ねたビルは、驚きのあまり

椅子に座ったまま

床に倒れそうになりました。

しかし、レイラは依然として

穏やかな顔で笑いながら、

話した通りだと答えました。

 

「でも・・・」と言ったまま

言葉を続けられずに

躊躇っていたビルは、

まず酒をがぶがぶ飲んで、

燃えるお腹を癒しました。

 

レイラは、すぐに断る代わりに

考えてみると言ったので、

受け入れたのだと思いました。

こんなチャンスを

受け入れるのは当然でした。

 

レイラは、

春が終わったら、

ラッツではない別の所へ、

ヘルハルト家とは関係のない所へ

行こうと提案しました。

 

ビルは、

どこへ行くかなんていうことは

自分にとって重要ではない。

しかし、後援を受けることは違う。

レイラの未来がかかっているので

もう一度よく考えてみるようにと

勧めました。

 

しかし、レイラは、

長い間、悩んで決めたことだと

返事をすると、

再びにっこり笑いました。

この上なく穏やかな顔をしていましたが

まさに、このような表情の時、

この子は一番頑固だということを

ビルはよく知っていました。

 

レイラは、

今日、モニカが算数の試験で

満点を取った。

モニカのことは知っているだろうけれど

以前、秋の遠足で会った

一番年下の児童だと

自分の意思を

翻す気がないというように、

話題を変えました。

頭の中がボーッとしたビルは、

ただレイラが、

ぺちゃくちゃ喋る言葉を

聞き流していました。

 

一体何が何なのか分からず、一日中、

何かに取り憑かれているような

気がする日でした。

これは全て、

あの憎たらしい誰かが送って来た

手紙のせいかもしれませんでした。

 

思う存分お喋りをしたレイラが

夕食のテーブルを片付け始める頃

ビルは「あの・・・レイラ」と

衝動的に口を開きました。

むしろ、率直に手紙のことを

レイラに聞き、

どうして、そんな

あり得ないことを言うのかと

文句を言われた方が良さそうでした。

そうすれば、少なくとも、

何度も、あの汚い戯言を

反芻する必要はなくなるだろうと

思いました。

 

しかし、ビルは

結局、言えませんでした。

澄み切って透き通るような

レイラの目に向き合うと、

そのような疑いを抱いたという

事実さえ、

罪悪感を覚えたからでした。

 

ビルは、

自分は先に寝る。

年を取ったら、早寝をすることが

ぐっと増えたと、適当に言い繕うと、

急いで台所を出ました。

もちろん、

本当に寝る気などありませんでした。

 

レイラが少しおかしい。

実は、そのような予感は

謎の手紙を受け取る前から

ビルの胸の片隅で

少しずつ育っていました。

長い出張から帰った頃、

いや、もしかしたら、

それよりも、もっと前に

遡らなければならないような

気もしました。

冬が始まる頃は、

あんなに明るくて愛らしいだけの

子供でした。

 

ビルはベッドに寝そべったまま

考え続けました。

あの手紙のことなど

思い出したくありませんでしたが

頭の中では知らず知らずのうちに、

あそこに書かれていた酷い言葉を

繰り返していました。

そんな自分への怒りで

ビルの顔が赤くなりました。

 

レイラが

そんなことをするはずはないけれど

そんな相手も、いないのではないか。

一体、このアルビスのどこに、

結婚する女性を差し置いて

レイラに手を出す

度胸のある奴がいるのかと考えた時、

まさか・・・と、ふと浮かんだ男の顔が

ビルを凍りつかせました。

あまりにも呆れた考えなので

失笑が漏れました。

たったビール一杯で

酔ってしまったのかと思いました。

 

ビルは、

あの酷い手紙を処分したことを、

ふと後悔しました。

筆跡が分かれば、

あんなことをした者を捕まえて

ぬかるみに

突っ込んでやるところでした。

 

レイラを、あえてレイラを・・・

怒りに満ちて歯ぎしりをし始めた瞬間

慎重に部屋のドアが開く音が

聞こえて来ました。

ビルは何かに取り憑かれたように

その音に導かれて

体を起こしました。

古い床板がきしむように鳴り、

続いて玄関のドアが開いて閉まる音が

聞こえて来ました

 

ふらふらしながら、

ベッドから立ち上がったビルは、

先日、

まるでレイラのような幽霊を見た

窓の前に、無我夢中で近づきました。

そこで彼は、あの日、

この家に向かってきた幽霊が、

今日はこの家を離れ、

夜の森に向かっていくのを見ました。

間違いなく彼の大切なレイラでした。

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本日も、たくさんのコメントを

ありがとうございました。

また、来週も

よろしくお願いいたします。

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