自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様  165話、外伝 12話の続き 新エピソードその3ネタバレ ロールプレイング

 

165話 外伝12話の続き エルナは学生寮を見学しています。

まるで時間を遡って

過去のビョルンに会っているような

時間でした。

エルナは夢を見ているような気分で

ビョルン・デナイスタの学生時代を

探索しました。

 

寮では、学長が見せてくれなかった

秘密の空間を見物しました。

部外者には許可されていない

場所のようでしたが、ビョルンは

何の躊躇いも見せませんでした。

 

かつてビョルンが滞在していた部屋。

学生たちの休憩室や食堂まで。

彼と手を繋いで見て回った

寮のあちこちに、

双子の王子の痕跡が残っていました。

肖像画や写真、各種優勝トロフィー。

壁に書かれた落書き。

 

エルナは考古学者のように

遺物を掘り起こしました。

おかげで、ビョルンが、

最高成績賞を何度も受賞した

数学科の優等生だったという

驚くべき事実を

知ることができました。

それにもかかわらず、

日常的に校則違反を繰り返し、

懲戒処分を受けたという事実は

極めてビョルンらしいことでしたが。

 

寮の見物を終えた後は、

再び村に出ました。

エルナは、

学生たちが利用する商店が

立ち並ぶ通りを

のんびりと歩きながら、

ビョルンの過去を想像しました。

 

時々彼らに気づいた商店の主人が

嬉しそうに走って来て

挨拶したりもしましたが、

その中で最も熱烈な反応を示したのは

居酒屋の主人でした。

 

久しぶりに常連客と再会した彼は、

王子様のおかげで、

店を拡張できたと言っても

過言ではないと、

胸いっぱいの喜びを見せながら、

過去の時代を回想しました。

昔の恋人に再会でもしたような

顔をしていました。

 

この男は、本当に一途な人生を

生きてきたようだ。

新たに発見したビョルンの過去の一片が

エルナを笑わせました。

 

書店や雑貨店を通り過ぎると、

おいしそうな匂いのする

パン屋が現れました。

ビョルンはそこで、焼きたてのパンを

いくつか買いました。

近くにある食料品店では、

果物と飲み物を選びました。

紙袋を手にして村を歩くビョルンの姿は

この風景の一部のように

自然に見えました。

 

エルナは、

こうしていると、

まるで大学時代のあなたと一緒に

歩いている気分だと、

ときめきに満ちた顔で、

恥ずかしそうに告白をしました。

にっこり笑うビョルンの顔が

普段より若く見えるのは、

おそらく、大学都市特有の

雰囲気のせいだと思いました。

 

じっくり考え込んでいたエルナは

あの頃に戻ったと

仮定してみてはどうかと

突拍子もない提案をしました。

 

ビョルンが

眉を顰めているように見えたので

エルナは、

大学に通う学生と、

その学生の招待を受けて訪問した淑女。

まだ正式に

付き合っている仲ではないけれど、

良い感情を抱いているという風にと

付け加えました。

すると、ビョルンは、

妃にロールプレイングの趣味が

あるとは知らなかったと言って

爆笑しました。

その笑い声は、

石を敷いた道を並んで歩く

二人の足音と混じり合いました。

 

恥ずかしくて頬を赤らめながらも

エルナは退きませんでした。

彼女を注意深く見ていた

ビョルンの目が細くなりました。

 

彼は、

いくら何でも、その設定は

困ると思うと言いました。

エルナが、その理由を尋ねると、

ビョルンはクスクス笑いの残った声で

その当時の妃は、

洟たれ小僧ではなかったかと、

無邪気なようだけれど大胆な妻を

からかいました。

冗談のつもりでしたが、

よく考えてみると、

真実に近いような気もしました。

あの頃のエルナは、

せいぜい今のグレタと同じ年頃の

子供に過ぎなかったからでした。

 

激怒したエルナは、

洟たれではなかったと

現実を認めようとしませんでした。

それでも、内心気にかかっていたのか

彼女は、

それでは、あなたはあの頃に戻り、

自分は今の年齢で

想像してみたらどうかと、

そっと代替案を提示しました。

 

それとなくしつこくて

執拗なところがある妻を見ていた

ビョルンは、再び大きな声を出して

笑いました。

 

その間に、

路地の終わりに到着しました。

都市を横切って流れる川と

その川の両岸をつなぐ古い橋がある、

ビョルンが大学時代に

よく訪れた場所でした。

ビョルンは意地悪な笑みを浮かべながら

「行きましょう、ハルディさん」と

同い年の女性をエスコートしました。

 

橋の横にある階段を下りると、

物静かな川岸が現れました。

近くで見た川の水は、

さらに煌びやかに輝いていました。

 

ビョルンは、

満開の花の木の下に座りました。

エルナは背筋を伸ばしたまま

彼を見下ろしました。

 

ビョルンは「お座りください」と

声をかけました。

エルナは困惑した表情で

「ここに?」と聞き返しました。

 

風になびく白いドレスを見た

ビョルンは、

ポケットから取り出したハンカチを

彼の横に敷きました。

美しくたおやかな淑女は、

ようやく、そっと彼の隣に座りました。

 

ビョルンは、

ハルディさんは、とても

慎ましやかな方だと言いました。

エルナはビョルンに

からかわないでと怒ると、ビョルンは

まだ名前で呼ぶのを許した仲では

ないようだけれどと、

いけずうずうしくそらとぼけた

演技をしました。

 

予想できなかった反応に慌てた

エルナの目が、

ゆらゆらと揺れました。

余計なことを言ってしまったと

後悔しましたが、

先に口にした言葉を撤回するのは

何となく滑稽に思えました。

 

では、一体、この男を

何と呼べばいいのだろうか?

エルナは改めて

深刻な悩みに陥りました。

 

あの時代のビョルン・デナイスタは

大公ではなく王太子だったはずなのに

そう呼ぶのは、何となく

過去の傷をえぐるように思えました。

 

じっと見つめるビョルンの目が

負担になったエルナは、

そっと視線を外しました。

見事な花房が鈴なりに垂れ下がっている

キングサリの木が

川沿いに並んでいました。

金色の雲が降り注いでいるような

風景でした。

 

小さく感嘆の声を漏らしたエルナは

今度はキラキラ輝く川を眺めました。 

産毛のふわふわした子連れの白鳥が

悠々と水面の上を進んでいました。

その愛らしい光景を見ていた

エルナの目が少し赤くなった瞬間、

ビョルンは花の陰に

どさっと体を横たえました。

 

驚いたエルナは、

自分の膝を枕にして横たわる男に

視線を落としました。

目が合うと、

ビョルンは、ニヤリと笑いました。

名前を呼ぶのも許さない間柄で

するようなことではありませんでしたが

エルナは指摘せず、その代わりに

柔らかい髪をそっと撫でてあげました。

穏やかな沈黙が、

見つめ合う二人を包み込みました。

 

もう一度、

じっくり周りを見回したエルナは、

ここはどんな意味がある場所なのかと

尋ねました。

ビョルンは、

甘い昼寝の思い出がある所だと

いたずらっぽく微笑んで答えると

そっと目を閉じました。

 

ビョルンは、授業がない時、

ここで昼寝を楽しんだりしました。

授業に出たくない日も同じでした。

まるで、あの時代に戻ったような

感傷的な気分になるのを見ると、

まんまとエルナに

巻き込まれてしまったようでした。

 

エルナはビョルンの頭を

優しく撫でていましたが、

突然手を止めると、

他の女性とも、ここでこんな時間を

過ごしたことがあったのかと

突拍子もないことを尋ねました。

その口調は、かなり真剣でした。

 

ビョルンは苦笑いしながら

ゆっくりと目を開けました。

澄んだ青い瞳が彼を湛えていました。

 

ビョルンは、

まさか、それも、

もっとたくさん愛するために

知っておくべき過去なのかと

尋ねました。

エルナは戸惑いながら、

そうではないと答えると、ビョルンは、

安心するように。

いくらなんでも、

婚約者と妻を差し置いて

他の淑女と公然と遊ぶのは

大変だったのではないかと答えると

ニヤニヤしながら再び昼寝をしました。

 

婚約者と妻。

すぐには理解できなかったその単語を

繰り返していたエルナの顔に

当惑の色が浮かび上がりました。

そういえば、大学に入学する頃に婚約し

学業を終える前に

結婚式を挙げた男でした。

離婚して王太子の座から降りたのは、

卒業して間もない頃だっただろうし、

そのような悲劇に耐えるには

若すぎたという気がすると、

改めて彼が可哀想になりました。

 

エルナは、

余計なことを言ってごめんなさいと

囁きました。

ビョルンは目を閉じたまま、

軽く笑みを浮かべました。

 

深く悩んでいたエルナは、

それでも、あなたの最初の思い出が

また一つできたので嬉しいと

心の奥底に隠しておきたかった

醜い心まで、率直に告白しました。

再考を重ねて、

緻密に計算したくはありませんでした。

いくら考えてみても、それは

自分のやり方ではないからでした。

 

エルナは、

さらに優しい手つきで

膝の上のビョルンの頭を撫で始めると、

実は先程も悪いことを考えていた。

もし、あの問題が起きていなかったら

あなたが、国王になっていたはずの

人物であることは、

すでによく知っていたけれど、

ここへ来て王太子時代の

ビョルン・デナイスタが、

どんな存在だったのを実感すると、

その事実を、より鮮明に感じられた。

だから、ふとあなたが、

とても遠くて高い所にいるように

思えた。

自分があなたと

結婚することになったのは、

本当に

奇跡のようなことだったと考えると

その幸運に

感謝したくなると話しました。

 

黙々と話を聞いていたビョルンは、

なぜ、それが悪い考えなのかと

尋ねました。

風に揺れる花の枝の影が、

依然として目を閉じている

彼の顔の上で揺れていました。

 

エルナは、さらに声を低くして、

あなたの不幸を自分の幸運だと思うのは

卑怯なことだ。

そして、そんな自分が嫌だけれど、

そう考えてしまうくらい、

あなたのことが好きみたいだと

照れくさそうに答えました。

 

その告白を聞いたビョルンは、

不意に一撃を食らったような気がして

思わず息を殺しました。

ぼんやりとしていた目を開けると、

日差しのように明るく笑っている

エルナが見えました。

不器用にぶつかってきた女が、

再び彼を屈服させました。

 

ビョルンは、

次第に深くなっていくまなざしで

美しい未知数を見つめました。

あちこちに視線を避けていたエルナは

慌てて紙袋の中に入っているリンゴを

一個取り出しました。

今さら恥ずかしがるエルナに

ビョルンは虚しく笑いました。

 

川の向こうにある大聖堂の鐘の音が

響き渡り始めました。

ようやくエルナは、

安堵のため息をつきました。

意地悪な冗談でも

言ってくれればいいのに、

ビョルンは、ただ静かに

見つめ続けるだけでした。

 

立場が苦しくなったエルナは、

カバンから取り出したハンカチで

リンゴを拭き始めました。

本心を伝えたことは

後悔していませんでしたが、

それでも、恥ずかしいものは

恥ずかしいものでした。

 

気まずい沈黙に耐え難くなったエルナは

そろそろお腹が空いて来たけれど、

あなたはどうですか?と

話題を変えました。

ビョルンの返事は

聞こえて来ませんでした。

 

「リンゴを食べますか?

それともパン?」と、エルナは

諦めずに会話を続けました。

 

静かだったビョルンは。

スカートをめくるという

驚くほど子供っぽいいたずらで

代わりに返事をしました。

とんでもないというように

見つめているエルナの前でも、

彼は極めてふてぶてしい姿でした、

まるで、洟たれ小僧に戻ったような

姿でした。

 

怒ったエルナは、リンゴを握った手で

悪ふざけをする男の手を叩きました。

それでも、クスクス笑いながら

いたずらをするビョルンが

怒りを、さらにかき立てました。

 

笑い声と悲鳴、絡み合った体が

パタッと倒れる音が順に続きました。

気がつくと、エルナはいつの間にか

ビョルンの隣に横たわっていました。

呆れ返ってプッと笑うと

彼も笑い出しました。

軽く叩きながら、じゃれあい、

お互いに顔を見合わせて

笑っているうちに、いつの間にか

15分を知らせる鐘の音が

聞こえて来ました。

二人は並んで横たわったまま

その音に耳を傾けました。

 

先に手を握ったのはビョルンでした。

勝てないふりをして、

その手を握り返したエルナは

そっと首を回して彼を見ました。

ビョルンの視線もまた、

エルナに向けられました。

 

どちらからともなく笑いを交わし

口づけをしました。

その間に鐘の音が止まり、

平穏な静けさが訪れ、

再び澄んだ鐘の音が鳴り響きました。

 

穏やかな水の流れのように続いたキスは

ようやく終わりました。

赤く濡れた互いの唇を見つめ合っていた

ビョルンとエルナの顔の上に

優しい笑みが広がりました。

 

その時、橋の向こうから走ってくる

自転車の音が聞こえて来ました。

驚いたエルナは、

慌てて起き上がりました。

草むらに落ちているハンカチを拾って

唇を拭いた後、

急いで服の乱れを直しました。

ビョルンは片方の腕で頭を支えて

横たわったまま、

無駄な努力をしている妻を見ました。

そのように行動する方が、

より怪しく見えると思いましたが、

あえて言及しませんでした。

 

その間に、自転車に乗った学生が

橋を通り過ぎました。

彼らの方をちらっと見た彼は、

さらに力強くペダルを踏んで

そこを去ることで、

紳士らしい礼儀を尽くしました。

 

ビョルンは、

顔は見えなかっただろうから

心配しないで、貞淑なお嬢様と

言うと、クスクス笑いながら

妻の背中に付いた草の葉を

払い退けました。

 

途方に暮れていたエルナは、

ようやく安堵の表情を浮かべました。

校庭に隠れて、幼稚な恋愛を楽しむ

若者になったような気分は

それほど悪くはありませんでした。

問題を起こした王太子殿下に

深く感謝する気持ちになった

瞬間でした。

 

リンゴとパンを分け合って食べた二人は、

都市全体が金色に染まり始めた頃に

川辺を離れました。

脱ぎ捨てたジャケットを着たビョルンが

手を差し出すと、

エルナはにっこり笑って、

その手をつかみました。

 

橋を渡って、

古い建物が並ぶ狭い路地に入り、

植物学者たちが手入れをする庭園と

古い図書館を通り過ぎて

広場へ入りました。

 

新しいクッキー缶を埋めるための

戦利品を手にして、

村を歩き回っている間に

西側の空が赤く染まりました。

長く伸びた夕方の影が

並んで歩く二人の後ろを

追いかけました。

 

馬車が待機している中央ホールに

次第に近づくと、エルナは、

おかげさまで、自分が知らなかった

過去のあなたに会えて良かったと

勇気を振り絞ってお礼を言いました。

 

ビョルンは、

正式に付き合う仲になっても

構わないという意味に

受け取ってもいいかと

いけずうずうしくそらとぼけた態度で

エルナをからかいました。

恥ずかしくて頬を赤らめながらも、

エルナは快く頷きました。

その仕草と共に、

帽子を飾っている造花が揺れました。

ビョルンの胸に差してある

ブートニエールと同じ、

とても精巧で繊細に作った鈴蘭でした。

 

それでは今夜は役割を変えてみようと

静かに囁くビョルンの声が

穏やかな夕風に乗って流れて来ました。

彼は、とても真剣な顔で、

難破船に乗って流れて来た海賊と

無人島の女王はどうかと、

とんでもないことを言いました。

その言葉の意味を理解したエルナは驚き

眉を顰めました。

 

エルナは、

大切な思い出として残る今日一日を

汚さないでくれないかと頼むと

深いため息をつき、

逃げるように馬車へ向かいました。

しかし、すぐに、

市井の無頼漢のような王子の手に

捕まってしまいました。

 

戯れのようないざこざを

起こしている間に、

彼らを発見した使用人たちが

近づいて来ました。

慌てているエルナと違って、

ビョルンは平然としていました。

妻をエスコートして馬車に乗る仕草は、

先ほどの会話とは裏腹に、

丁重で優雅でした。

 

王家の紋章が刻まれた扉が閉まると、

シュベリン大公夫妻の公式日程が

終わりました。

海賊と女王を乗せた馬車は、

彼らの隠れ家に向かって

力強く走り出しました。

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ビョルンは在学中に婚約をして結婚し

卒業後、すぐに離婚したのですね。

 

グレディスとの一件は、

エルナとビョルンの間に

深い溝を作りましたが

今のビョルンは、まるで

どうってことないように

淡々とグレディスとのことを

口にしますし、

エルナも嫉妬するどころか

彼のことを可哀想だと

同情するまでになるなんて

もう、この二人は何が起こっても

揺らぐことのない関係に

なったのだと思います。

エルナの帽子の造花と

ビョルンのブートニエールは

きっとエルナの手作りですね。

二人の仲の良さに

すっかり当てられました。

 

今回で、

単行本の6巻に掲載されている

新エピソードは終了です。

この続きは、167、168話で

エルナの乗馬を巡って、

彼女とビョルンの仲が険悪になる

シーンになります。

そして169話の中盤辺り。

 

「今年も夏祭りの主役は

レオニード・デナイスタでした。

ボートレースに

参加しなかったにもかかわらず、

ついに彼がボートレースの貴賓席に

美しい女性と一緒に登場すると、

レオニードに注がれる関心は

優勝トロフィーを掲げた年以上に

熱烈でした。」の後、

 

もちろん、その関心の向かうところは

例年と全く違っていましたが・・・

二人といない模範生だった

レチェンの王太子が、

最近になって変な様子を見せた理由が

明らかになったのは、

祭りを翌日に控えた夜でした。

王室一家と共に大公邸を訪問した彼は

晩餐の席で結婚を発表しました。

 

となり、166話の

「愛だったなんて!」に続きます。

昼食の席も晩餐の席に変わっています。

 

さて、単行本の3巻と5巻にも

新エピソードが

掲載されているそうなので

いつになるか分かりませんが、

こちらもご紹介したいと思っています。

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