自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 114話 ネタバレ 原作 あらすじ まともな判断ができない頭

 

114話 エトマン博士はマティアスの診察を続けています。

 

主治医が、

公爵の健康状態を確認するために

出入りしているという話を聞いた

エリーゼ・フォン・ヘルハルトは驚き

「エトマン博士がマティアスを?」

と聞き返しました。

 

その鋭い声に気後れしたメイドは、

今日も来たそうだと、

もごもご答えながら肩をすくめました。

二人の女主人に仕えている

中年のメイドが目配せをすると、

若いメイドは急いで立ち去りました。

その後、中年のメイドも立ち去ると、

静かな応接室には、

公爵家の二人の女主人だけが

残されました。

 

エリーゼは、

一度も病気をせずに育った子なのに

どうしたらいいのかと呟くと、

苛立たしげな目で老婦人を見ました。

彼女も物思いに耽った

表情をしていました。

 

ビル・レマーとレイラの逃亡は、

アルビスに大きな衝撃と

混乱をもたらしたけれど、

むしろ彼女たちは、

大きな心配事を手放すことが

できました。

方法は間違っていたけれど、

とにかくレイラが

マティアスとの関係を

整理してくれたからでした。

幸いマティアスも、そのことに

あまりこだわらないように見えました。

やはり、 ちょっとした

逸脱に過ぎなかったようでした。

 

大きな心配事がなくなると、

目の前に迫ってきた

結婚式のことばかり考えていました。

マティアスの少し痩せたような姿も、

ただ、忙しいせいだと思っていました。

新婚旅行で、長時間留守をする前に

処理しなければならない業務が

あまりにも、たくさんあるからでした。

 

エリーゼは、

あの子のせいではないですよねと

尋ねました。

カタリナは、

まさかそんなはずがない。

過労で体調を崩したのだろう。

少し休めば良くなるだろうと

冷静な言葉で、

嫁の心配を断ち切りました。

 

エリーゼ

「そうでしょうか?」と

聞き返しました。

カタリナは、そうだと答えると

後でエトマン博士を呼んで

マティアスの状態を聞いてみれば

分かること。

余計な心配をしないようにと

忠告しました。

 

エリーゼの表情が暗くなるほど、

老婦人の口調は、

断固たるものとなっていきました。

その言葉にすがるように、

エリーゼは力強く頷きました。

 

かなり想いが深かったのだろうか。

そういうこともあるだろうと

思いました。

若い頃の分別のない愛ほど

熱烈なものだからでした。

しかし、他でもないマティアスでした。

 

あの無感情で冷ややかな性格も

貴族的な一面として称賛され、

彼女もそう信じて来ました。

しかし、時折、少し変なところが

あるのではないかという

不安を感じたりもしました。

 

先代のヘルハルト公爵たちも

決して、親しみやすく

優しい男ではなかったけれど、

マティアスが持つ気質からは

彼らとは少し別の雰囲気が

感じられました。

 

しかし、

たかがそんなことを問題にするには

あまりにも完璧な子でした。

ヘルハルト家の傑作。

それ以上に、

マティアスにふさわしい賛辞は

ありませんでした。

だからエリーゼは、自分が

この家門の生きている栄光と名誉を

産んだのだと信じて来ました。

そうすることで、

自分のお腹から生まれた息子から

感じられる妙な距離感も

十分に納得できました。

そんなマティアスでした。

 

ところが、あの子が、

エリーゼ・フォン・ヘルハルトの

息子が、

たかが、あの孤児一人のせいで

崩れるのだろうか?

 

自分の心配が情けなくて、

彼女は自嘲しました。

全く、馬鹿げた話でした。

ゆっくりと目を開けたマティアスは、

横になったまま、虚空を見つめました。

カーテンが引かれていたため

部屋の中は薄暗かったものの、

夜が明ける頃に眠りについたので、

もう朝は過ぎてしまったに違いないと

思いました。

 

睡眠薬を飲み始めると、

時間の区分が曖昧になりました。

自分で眠ろうと努力しても

無駄だと感じると、薬を飲みました。

早い夕方、あるいは夜明け。

真昼間のこともありました。

 

いつの間にか眠りは

逃げ場となりました。

少なくとも、

薬が効いて眠っている間は、

あの女の記憶に

苦しまずに済むからでした。

もちろん、目を開けた瞬間、

また元の状態に戻るだけでしたが。

 

寝る以外は

何もしたくありませんでした。

いつからか、

自分が呼んでもいない主治医が

頻繁に寝室を出入りするのも

煩わしいことでした。

 

昨日、往診に来たエトマン博士は、

このような状態が続くのであれば、

これ以上、睡眠薬を処方しないと

脅しました。

マティアスは返事をする代わりに

少し微笑みました。

 

彼は

余計なことを言う人ではないので

本当にそのような措置を

取るかもしれないけれど、

その気になれば、彼は何でも

手に入れることができました。

睡眠薬ぐらいなら、

他の医者に処方してもらえば

済むことでした。

 

マティアスは、

明らかにゆっくりとした動きで

ベッドから立ち上がりました。

水を一杯飲んで、体を洗った後、

時計を確認すると、

すでに正午が過ぎていました。

 

今日は、どんな予定があったのかと

思い出そうと努力しましたが、

何も思い浮かびませんでした。

結局、呼び鈴を鳴らして

執事を呼び出したマティアスは、

その間に服を着替えました。

シャツの最後のボタンを留めた時に

ヘッセンが寝室に入って来ました。

 

ヘッセンは、

食事を用意すると言いました、

マティアスは、

コーヒーだけで十分だと返事をし

午後の予定について尋ねると

窓際に近づいて、

カーテンを開けました。

厚い雲がかかっていて、

世の中は一面灰色でした。

窓を開けると、湿った風と共に

甘い花の香りが押し寄せて来ました。

 

ヘッセンは、

今日の午後は特に予定がないので

ゆっくり休むようにと答えました。

そして、

食事をしなければならないし、

さもなければ、

エトマン博士を呼ぶべきかと

尋ねました。

いつもと違ってヘッセンは執拗でした。

 

まだ濡れている髪を撫でながら

マティアスは彼の方を向きました。

ちょっとやそっとのことでは

あまり感情を表に出さない老執事が

心配を湛えた目で

彼を見つめていました。

 

それ程までに、

みすぼらしい姿なのだろうか。

そのようでもありましたが、

深く考えるには、

ひどく疲れていました。

また眠りたいと思いました。

そして、

この雑念がすべて消える頃に

目を覚ますことを願いました。

食事も医者も、そのすべてが面倒な今

マティアスが望むのは

それだけでした。

 

無言でヘッセンが持って来たコーヒーを

一口飲んだマティアスは、

あまりにも静かな鳥かごの前に

近づきました。

部屋の中を飛び回るのに

忙しかったカナリアが、

最近は体を小さく丸めたまま、

自分の巣の中にいました。

マティアスは手を伸ばして、

力なく垂れ下がっている鳥を手で包み

かごから取り出しました。

近くで見たカナリアは、

病気の兆候がはっきり表れていました。

いつも艶やかだった美しい羽も

目に見えて汚く、

パサパサになっていました。

一日に何度も水浴びをして、

きれいにしていた鳥の姿が思い浮かぶと

喉が少し渇きを覚えました。

 

その時、カナリアが、

まるで彼の体温に頼るように、

自分の小さくて柔らかい体と嘴を

静かに彼の手に擦りつけました。

 

マティアスは、

鳥を包み込むように手にしながら

長い間、その場に立っていました。

数えきれないほど、繰り返し

思い返して来た、あの日の記憶が

浮かびました。

 

愛してください。

あの女は、呪いをかけようとする

魔女のように微笑みました。

 

刃。

あなたが私を

愛してくれるといいですね。

実は、その甘い一言一言が

彼の胸に突き刺さる刃だった

あの遅い午後。

 

とてもたくさん、いつまでも。

とっても美しかったレイラ。

私のクソったれレイラ。

 

鳥を慎重に巣に戻したマティアスは

熱を帯びて、かすれた声で

飼育係に見せるようにと

命令しました。

 

ヘッセンが、そうすると答えると

マティアスは、すぐに背を向けました。

黙って寝室を出る彼に従い、

執事も焦った足取りで

後を追いました。

 

ヘッセンは、

外出するなら、エバースをと

言いかけましたが、マティアスは

散歩に行くだけなので、

随行人は必要ないと断り、

廊下の窓の前で

再び立ち止まりました。

 

躊躇いながら挨拶をした執事が退くと

マティアスは歩幅を広げて

廊下を通り抜けました。

 

邸宅を抜け出して庭に入った頃には、

雨雲に覆われた空が

さらに暗くなっていました。

しかし、マティアスは意に介さず

歩みを進めました。

どこに向かっているのか

自分でも分かりませんでした。

どうせ、

それほど重要ではないことでした。

 

かなり可愛いことをしたレイラに

呆れて、笑っていた日々が過ぎると

気が狂いそうな怒りが訪れました。

 

今になって思えば、

あの滅茶苦茶な演技に騙された

自分に、さらに驚くほどでした。

欲望に狂って目が眩んでいた。

自嘲混じりの怒りは

油を注がれた炎となり、

彼を飲み込みました。

 

しかし、今はそれさえも

消えてしまったようでした。

むしろ怒りたいのに、

胸は驚くほど冷たくて

静まり返っていました。

 

だから、もう全てが終わったのか?

自問しているうちに

彼は川岸にたどり着きました。

空が暗いので、

川の水も濁っていました。

止まりたくなかったので、

マティアスは、

流れる川に沿って歩きました。

 

もし全てが終わったのなら、

あえて彼女を捜し出す理由も

ないのではないか?

もう一度、自分に質問しました。

 

もしかしたら、

これで良かったのかもしれない。

彼の美しい不幸は消え、

その余波で訪れた少しの混乱も

今は消えてしまった。

彼は再び堅固な

ヘルハルト公爵の人生に

戻れば良いことでした。

 

そうか、簡単だった。 結局全てが

このように簡単だった。

それがおかしくて、

わざと悪ぶってクスクス笑った瞬間、

反対側の川岸から

鳥が飛んで来ました。

何気なく目を向けたマティアスは

その鳥の足首に、

糸が結ばれていることに

気づきました。

レイラ・ルウェルリンが

このアルビスで生まれ育った

渡り鳥たちに残した、

まさに、その印でした。

 

鳥が戻って来た。

その事実を思い出すと、

心臓の鼓動が少し速くなりました。

レイラが待っていた鳥が

戻って来た。

 

それが一体何なのか。

全身を揺るがすように激しく

胸がドキドキしました。

 

だからレイラも自分の所へ

戻って来なければならない。

それがあまりにも、

当然のように感じられました。

すでに現実になっているような

気もしました。

すると、辛うじて

作り笑いをしていた唇が

自然に曲がりました。

まともな判断ができない頭が

作り出した妄想だということを

分かっているにもかかわらず、

止めることができませんでした。

 

正気に戻った時、マティアスは

すでに走っていました。

春雨が穏やかに降り始めた

森の中を通り過ぎ、マティアスは

庭師の小屋に向かいました。

 

物干し竿に広げられた白いシーツが、

はためき、 窓からは

暖かい明かりが漏れている。

そして、開いたドアの向こうから

エプロンを着けたレイラが

慌ただしく走って来る。

急いで洗濯物を取り込んでいる

その小さな背中で、

編んだ髪が揺れている。

 

ほら、戻って来たんだ。

マティアスは、

狂ったように笑いたくなりました。

結局、こうなった。

ここ数週間の時間が、

本当に無駄だったように

感じられました。

 

しかし、苦しい息と入り交じった

笑いが吹き出した瞬間、

雑草が生え始めている

捨てられた小屋の庭に

一人で立っている自分に

気づいたその瞬間、瞬く間に、

その全ての幻影が姿を消しました。

 

マティアスは立ち止まり、

雨に打たれながら、

ゆっくりと辺りを見回しました。

 

レイラが逃げてしまった後、

マティアスは、一度も

ここを訪れていませんでした。

確かめたくなかったようでした。

逃げたことを否定すれば、

なかったことになると

信じていたような気もしました。

 

マティアスは、

このまま引き返す代わりに

小屋に向かいました。

理由は分かりませんでした。

諦めたいのか、

微かな未練を残したいのか。

いずれにせよ無意味なことでした。

 

マティアスは低い木の階段を上り

雨にぬれた手で

玄関のドアノブを回しました。

鍵のかかっていなかったドアは

何の抵抗もなく開きました。

しばらく閉じていた目を

開いたマティアスは、

躊躇うことなく敷居を越えました。

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レイラが消えた直後、

マティアスは慌てて

アルビスに戻ったものの

きっと、すぐに見つかると思って、

かなり可愛いことをしたと

余裕をかましていたのだと思います。

ところが、思いのほか、すぐに

見つからなかったので、

よくも自分の元から逃げたなと

腹を立てた。

そして、

レイラが見つからないまま

数週間も経つと、

今度は、ひどい喪失感に

襲われているのではないかと

思います。

レイラの観察していた渡り鳥が

戻って来た。

だから、レイラも戻って来る。

以前のマティアスだったら、

そんな馬鹿げたことを

考えたりしなかったと思います。

そして、レイラが戻って来た

幻影まで見てしまうなんて、

狂気の沙汰です。

 

マティアスはレイラが望んだ通り

彼女がいなくなったことで

とても苦しんでいる。

マティアスは、レイラに

ひどいことをしたのだから、

ここまで苦しんでも構わないと

思いつつも、少しだけ

マティアスに同情してしまいました。

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