自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 122話 ネタバレ 原作 あらすじ 一方的な配慮

122話 クロディーヌはマティアスが冷たい血が流れる怪物だと非難しました。

 

もう終わってしまったと

分かりながらも認められない。

だからどうしても、

底をさらけ出してしまう。

クロディーヌは、

今やこの男と同じくらい

自分自身が恐ろしい存在であると

感じていました。

それでも、

彼女は止まりませんでした。

少なくとも一緒に

ぬかるみを転がらなければ、

公平だとは思えませんでした。

 

クロディーヌは

あなたは絶対にあの子を

取り戻すことはできない。

自分なら、

あなたのような怪物の元に戻るより

死んでしまった方がマシだと

言いました。

しかし、

依然として孤高で美しい怪物は

それも悪くないと返事をして

笑いました。

 

彼は、

死んでしまえば、

少なくとも逃げられないだろうと

言いました。

クロディーヌは、

レイラがあなたの所へ

戻って来てくれなければ、

命を奪ってでも連れて来るのかと

尋ねました。

マティアスは「うん」と答えました。

 

クロディーヌは、

狂ってしまったのかと尋ねました。

マティアスは「たぶん」と

答えました。

 

クロディーヌは、

優雅な紳士の顔で

狂人のような言葉を吐く男を

ぼんやりと見つめました。

 

クロディーヌは、

命が惜しければ公爵の意志に従えと

脅迫しているように聞こえると

言いました。

マティアスは、

そんなはずはないと答えると、

とんでもないことを悉く聞いたと

言わんばかりに眉を顰めました。

 

マティアスは、

この婚約の責務を果たせなかったのも

一方的に終わらせたのも自分なのに、

令嬢に対して、

そんなことをするわけにはいかない。

自分が令嬢とブラント家に与えた

損失に相当する非難と責任は

当然甘受しなければならないと

返事をしました。

 

マティアスは、

話し方が変わると表情も変わりました。

クロディーヌは、その礼儀正しさに

さらにぞっとしました。

 

クロディーヌは、

その借金を全て返した後でも

自分の考えが変わらなければ、

その時はどうするつもりなのか。

命でも奪うつもりなのかと尋ねました。

マティアスは、

そんな必要はないだろうと答えると

席から立ち上がりました。

そして、

生かしておきながら、

死ぬほど苦しい目に遭わせる方法も

この世には数えきれないほど多いと

言うと、袖口を少し上げて

時計を見ました。

それから、彼は微笑みながら

クロディーヌに向き合いました。

 

マティアスは、

もちろん、そんな手段を使う日は

来ないだろうということを

知っている。

令嬢は、そんなに愚かな淑女ではないと

言いました。

 

クロディーヌは、

お兄様は自分のことを

分かっていないと非難すると、

子供のようにむせび泣きました。

 

リエットを無視して、

この冷血漢に耐えてきた時間。

この男の愛人を、

自分の人生から消し去るために

甘受して来た底なしのこと。

羨望される公爵夫人になるために

ひたすた耐えてきた全てのことが、

熱い涙となって流れ出ました。

 

何も分かっていない。何もと

呟くと、クロディーヌは、

両手で顔を覆って泣き出しました。

遠くから見ると、

まもなく戦場に向かう婚約者との

別れの前で流す、

悲しみの涙には見えるはずでした。

 

しばらくクロディーヌを

見下ろしながら立っていた

マティアスは、

礼儀正しく黙礼した後、

その場を去りました。

ブラント家を出て見上げた

快晴の空が眩しいほどでした。

マティアスは少し笑いました。

 

この夏、予定通りであれば、

盛大な結婚式が行われた日に

マティアスは、

ベルク第六軍の将校として

出征しました。

目的地はシエン。 水の色が美しい

南の海辺の都市でした。

苦しい吐き気は、

しばらくして収まりました。

よろめきながら立ち上がったカイルは

数歩離れた所にある木の下に座り、

荒い息を整えました。

まだ手術が盛んに行われている

野戦病院の幕舎を出入りする

軍医らの歩みに従って、

濃い血生臭さと消毒薬の匂いが

広がりました。

 

再びこみ上げて来た吐き気は

幸いにも治まりました。

今は吐き出すものも

残っていないことに気づいた体が

これで諦めてくれたようでした。

 

そばに近づいて来た軍医が

「大丈夫?」と尋ねると、

カイルは我に返りました。

軍医はカイルに

座っていろと言うと、彼の隣に座って

持ってきた水筒を差し出しました。

同じ医学部の先輩である彼は、

カイルの面倒を、

特によく見てくれました。

 

カイルは丁重にお礼を言うと

急いで口をすすいで、

水を一口、ぐいっと飲みました。

意識が戻ると、

幕舎の中から聞こえてくる悲鳴も

鮮明になりました。

手術を受けた負傷兵たちが次々と

麻酔から覚めているようでした。

 

枝の先を見上げていたカイルは、

シエンまで、

あと、どのくらいあるのかと

疲れた声で尋ねました。

故郷の森は、

そろそろ紅葉し始める頃でしたが

ロビタの樹木は、

まだ緑色を帯びていました。

 

軍医は、

この調子なら、もうすぐ

到着するのではないかと思うと

答えると、

カイルの肩を軽く叩いて、

慰めるように微笑みました。

 

辛くても耐えてみよう。

それでも自分たちの側の勢力の方が

圧倒的に有利なので幸いだ。

運が良ければ、冬には

家に帰れるかもしれないと言いました。

 

勝利の太鼓を鳴らしながら進軍しても、

日々、幻滅が

大きくなって行くだけでしたが、

それでもカイルは頷きました。

勝利している軍の苦痛が、

この程度の時、

敗北者の境遇がどうなるか

想像したくありませんでした。

 

戦争は一夜にして人生を変えました。

総動員令に面食らっていたカイルは

それが宣布されて間もなく

徴兵されました。

大学の他の学生も同じでした。

突然起きた戦争という考えは

すぐに消えました。

帝国は、

すでに完璧に組まれた計画に従い

戦時体制を整えました。

数百万の兵力を動員して武装させ、

軍需品と共に前線へ輸送する作業が

短時間で迅速に行われました。

恐怖さえ感じるほどでした。

適切な名分と時期を

綿密に探っていただけで、水面下では

緻密に戦争準備をして来たことを

戦場で初めて悟りました。

カイルは呆然としていましたが、

ようやく我に返った時は

すでに戦場でした。

 

カイルは南部戦線を突破する師団の

衛星兵として配属されました。

一学年をやっと終えただけでしたが、

帝国最高の大学で

医学を勉強したという理由で、

野戦病院の手術室助手としても

しばしば呼び出されました。

今日のように負傷兵が多い時は

特にそうでした。

 

再び手術室に入ろうとする

二人を見た上官は彼らに

指揮官の幕舎へ行くよう命じました。

 

軍医が、

負傷した将校がいるのかと尋ねると

上官は、

中隊長の一人が銃傷を負ったそうで

細かい怪我もあるようだ。手術室に

運ばれて来なかったところを見ると、

大したことではなさそうなので

君たち二人で

対処してくるようにと命じました。

 

言いたいことを言い終えた上官は、

急いで、再び野戦病院の中に

入りました。

淡々としている軍医とは違って、

カイルの表情は

目に見えて硬くなりました。

 

倉庫へ行って

救急箱を持って来る間、カイルは、

どうかその負傷者が、

見慣れた、あの顔であって欲しいと

かなり切実な気持ちで願いました。

大型トラックが、次々と

博物館の収蔵庫から出て行きました。

レイラは眉を顰めて、

その光景を見ました。

カバンの紐を握った手が、

不安そうに震えていました。

 

何日も、同じことが

繰り返されていました。

博物館が所蔵している

貴重な化石標本と宝石が

どこかに移されました。

館長は、

万が一に備えるだけだと言って、

不安がる職員らの質問を遮りましたが

明らかに尋常ではありませんでした。

 

トラックが道の向こうに消えて行くと

レイラも歩き出しました。

ほとんどの車両が徴用され、

道路は閑散としていました。

その代わり、避難民の群れが

目立って増え始めていました。

 

シエンの市長と政治家たちは、

南部連合軍が、

まもなく戦況を逆転させるので

この都市は安全だと断言しましたが、

避難民たちの言葉は違いました。

彼らは、ベルク軍が、

それこそ猛烈な勢いで南進しており

ロビタは、

東北部戦線を放棄したに違いない

西部戦線に総力を結集しても

首都を防御するだけで手いっぱいで

もしかしたら、ここはベルクに

明け渡すことにしたのかもしれないと

話していました。

 

もちろん、シエンの人々は、

海軍兵力と軍需品普及の

要衝地であるこの都市を、

国王がそう簡単に

放棄するはずがないと

声高に反論しました。

そのように敏感な反応の根底には、

大きな恐怖があるということを

皆が知っていましたが、

誰もそれを公然と

明らかにしませんでした。

ビルとレイラもそうでした。

 

レイラは買い物を済ませると

急いで家に帰りました。

戦時状況が続いているため

物資の流通が円滑ではなく、

食料品の価格が、

日々高騰していました。

前と同じ値段を払っても、

今では、以前の半分以下の量しか

買えませんでした。

 

夕食の支度を始める前に、

レイラは自分の部屋のベッドに

しばらく横になりました。

最近は、とても腰が痛くて、

長時間立っているのが大変でした。

腹帯を外すと、

さらに良くなりましたが

いつまでも、このようなやり方で

持ちこたえられそうに

ありませんでした。

 

あれこれ考えていたレイラは、

自分でも知らないうちに、

浅い眠りに落ちました。

しばらくして、

「ドーン」という轟音が鳴り響き

レイラは、ぱっと目を覚ましました。

 

上の階で、

重い物を落としたのだろうか。

大したことではないと思って

目を擦っているうちに、

もう一度、今度は

威嚇的な雷のようなものが

町中に響き渡りました。

それと同時に、レイラを呼ぶ

ビル・レマーの悲鳴のような叫び声が

聞こえて来ました。

 

レイラが返事をする前に

部屋のドアが開き、

生気を失って真っ青な顔の

ビル・レマーが

駆けつけて来ました。

 

ビルは、

「早く逃げろ、レイラ!早く!」と

叫びましたが、

説明する暇もないと判断した彼は、

凍りついているレイラを

そのまま抱き上げて

走り出しました。

彼らがちょうど通りに出て来た頃、

今や、その正体不明の爆音が

再び至る所で鳴り響きました。

敵の空襲でした。

脛に榴弾の破片が掠める怪我をした

騎兵隊の中隊長は、

子供のように大げさに

痛がっていました。

このように気の弱い奴が、

一体、どのようにして

指揮官になったのか

不思議なほどでした。

 

カイルは

静かにため息をつきながら

振り向きました。

何気なく視線を向けたその場所に、

よりによって、あの男がいました。

クソッたれのヘルハルト公爵。

ここでは中隊長のヘルハルト少佐。

何であれ、

カイル・エトマンにとっては

敵軍よりも命を奪いたい存在である

その男は、

今日も欠けるところのない姿でした。

 

傷に消毒薬が触れると、

騎兵隊の中隊長は、

再び死にそうな声を出し始めました。

その騒ぎのせいか、

足を組んで座ってタバコを吸っている

マティアス・フォン・ヘルハルトの

存在感が、

さらに、はっきりと感じられました。

彼は、

まるで面白いショーでも見るかのように

怪我をした自分の同僚が

大げさに痛がるのを見守っていました。

 

もう一人の将校が、

そこの衛生兵、

ぼんやりしていないで、

少佐を診に行ってくれと叫ぶまで、

カイルは、自分が公爵を

睨みつけて立っていることに

気づきませんでした。

 

カイルは反射的に返事をして、

公爵の前に近づきましたが、

近くで見ても

彼はあまりにも元気で、

カイルを失望させるだけでした。

 

しばらく二人は、

互いにじっと見つめ合っていましたが

カイルが、

傷を見せて欲しいと促すことで、

先に沈黙を破りました。

 

肩にかけていた軍用コートを脱いだ

マティアスは、戦闘服の左袖を

ゆっくりとまくり上げました。

カイルは、その場しのぎの包帯が

血に濡れているのを見て

眉を顰めました。

軽い傷というには、

かなりひどい出血でした。

 

カイルは、

診てもいいかと、

ぎこちなく尋ねましたが、

マティアスは

視線をそらすだけでした。

終始一貫して反感を示すカイルを

滑稽にするほど、

無関心な態度でした。

公爵はいつもこうでした。

 

よりによって、

同じ部隊に所属したということを

知ったカイルは呆れて怒りましたが、

公爵は、

道端に散らばっている石ころや

小枝よりも、彼を軽く扱いました。

いっそのこと、会わずにいられたら

良かったけれど、エトマン家と

ヘルハルト公爵家の関係を知った

指令部が、

一方的に配慮をしてくれたため、

カイルは、

この憎悪している男の部下となって

戦争に

耐えなければなりませんでした。

 

淡々とした手つきで包帯を解いた

カイルの眉間のしわが、

一層深まりました。

銃傷を負ったという将校は、

たかが榴弾の破片程度で

大声を上げている

騒々しい中隊長ではなく、

まさにこの男、

マティアス・フォン・ヘルハルト

でした。

銃弾は除去したけれど、

傷はそのまま残っていました。

 

どうやら、

縫合しなければならないようだと

告げたカイルは、

複雑な表情を浮かべていましたが、

それとは対照的にマティアスは、

相変わらず平気な顔をして、

顎だけで頷き、

勝手にしろと返事をしました。

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うんざりするほど

マティアスのことが嫌になっても

どうしても彼と結婚したかった

クロディーヌ。

淑女としての恥も外聞も捨てて、

あらん限りの手を使って

マティアスにぶつかったけれど、

見事に玉砕。

結局、一つもクロディーヌの

思い通りになりませんでした。

相手が悪過ぎました。

マティアスは、

レイラの気持ちさえ

考えたことがないのに、

クロディーヌの気持ちなど

分かるはずがないし

分かろうともしないと思います。

そして、マティアスは、

もしもクロディーヌが

結婚を破談にすることを

承知しなければ、ブラント家を

窮地に陥れるようなことさえ

やりかねないような気がします。

心がボロボロになり

大泣きするほど傷ついたクロディーヌ。

悲しくて悔しくて苦しくて

たまらないと思いますが、

何をやっても、マティアスに

勝つことはできないので、

彼に抗うのは諦めて欲しいです。

 

レイラが三月の終わりくらいに

妊娠していたら、

もう七ヶ月くらいに

なるのではないかと思います。

かなり腰痛もひどそうですし・・・

おそらくレイラはビルおじさんに、

妊娠したことを話していないと

思いますけれど、ビルおじさんが

レイラを抱きかかえて逃げたので

きっと気づいてしまったと思います。

 

軍の司令部は

マティアスとカイルを

同じ部隊に入れるなんて、

余計なことをしてくれました。

カイルは一方的に配慮されたことを

恨んでいるかもしれません。

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