自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 136話 ネタバレ 原作 あらすじ 自分がいるのに

136話 熱の下がらないレイラを前にして、マティアスはカイルを呼び出しました。

 

軍医は困った顔で、

今のところ、患者にできることは

あまりないと告げました。

毎日、同じ言葉を、

ますます冷たくなる上官の前で

繰り返さなければならないのは

決して、

簡単なことではありませんでした。

どうしてなのかと、

戻ってくる少佐の答えも同じでした。

 

軍医は、

少佐も知っている通り、妊娠中なので

薬をむやみに使うことができない。

下手をすると、お腹の中の子供が・・と

言いかけましたが、マティアスは、

今、自分はレイラについて聞いていると

いつもと違う言葉が

会話の流れを変えました。

 

軍医がビクビクしている間に

椅子に座っていたマティアスが

立ち上がりました。

その時、

カイルが客室に戻って来ました。

彼は、マティアスの命を奪うような目で

睨みつけていましたが、

マティアスの目つきは

一様に静かでした。

 

初めてこの客室に呼ばれた日、

カイルとマティアスの間で、

激しい喧嘩が繰り広げられました。

喧嘩というよりは、

カイルの一方的な怒りに

近かったけれども。

 

死にそうな姿で横になっている

レイラを見たカイルは、

半狂乱になって彼に飛びかかりました。

あの悪魔の命さえ奪えれば、

もう営倉程度ではなく、

軍事法廷に立たされても良いと

思いました。

 

しかし、カイルが悪口を浴びせ、

拳を振り回して乱暴を働いても、

マティアスは、

何の反応も見せませんでした。

「レイラを助けろ」

彼がカイルに伝えた言葉は、

その一言だけでした。

 

自分がめちゃくちゃにしておいて、

死の淵まで追いつめて、あえて

そのような命令を下すなんて。

けれども、カイルには、

その命令を拒否する力が

ありませんでした。

レイラだから。

少佐の命令でなくても、

できることなら何をしてでも

レイラを助けなければ

なりませんでした。

 

しかし、依然として足踏み状態で

レイラの病状は

少しも好転しませんでした。

時々意識が戻るとカイルに気づき、

幼なじみだった時代に戻ったような

言葉をかけたりもしましたが、

それが全てでした。

 

マティアスは、

子供ではなくレイラだ。

レイラのことだけを考えて、

レイラを治す方法だけを話せと

命じると、

カイルを離れたマティアスの視線が

再び軍医に向かいました。

 

軍医は、

母体と胎児は別物ではない。

必然的に一緒だと言いましたが

マティアスは、

薬を使えと断固として命令しました。

 

彼を見守っていた彼らの顔に

当惑の色が浮かびました。

マティアスは、

ぼんやりしている軍医に向かって、

薬を使って熱を下げろ。

レイラを目覚めさせろと、

もう一度、命令しました。

 

その時、

驚愕した表情を浮かべていたカイルは

もう妊娠中期なので、強い薬を使えば

子供が死産することもあると

警告しました。

 

しかし、

辛うじて息をしているレイラを

見下ろしたマティアスは

眉を少し顰めながら

「だから?」と聞き返すと、カイルに

薬を持って来るよう命令しました。

 

カイルは、

子供の命を奪えというのかと

抗議すると、マティアスは、

子供は、どうなっても構わないと

返事をしました。

 

カイルが

「どうして、そんな・・・」

と困惑していると、マティアスは

レイラを助けろと、

いつにも増して冷淡な口調で

命令しました。

そして、それは、

彼の最も真実な気持ちでもありました。

 

子供が死んだら、

レイラを取り戻すという

最後の希望の火が消えてしまう。

その情けない未練のために

今まで迷い続けて来ました。

けれども、このまま手をこまねいて

この女が死んでいくのを見守るよりは

いっそのこと、

すべての希望の火が消えてしまった

地獄に耐えた方がましだと思いました。

他に考えるべきことは、

何一つ残っていませんでした。

 

カイルは、

レイラの気持ちも考えずに、

あなたの子供の命を奪えだなんて、

どうしてそんなに簡単に言えるのかと

これ以上、我慢できなくなった鬱憤を

爆発させました。

遠く離れた所で見守っていたリエットも

後継者のことを考えろ。今は戦時中だ。

ルウェリンさんのお腹にいる子供が

本当にお前の子なら

助けるべきではないかと

真剣な目つきで助言しました。

 

続けてリエットは、

万が一、お前が戦死したら、

そしてお腹の中の子供が息子なら、

ヘルハルト家の唯一の

後継者になるだろうと、

貴族的な考えで話しました。

名門家の後継者なら

当然そうすべきことでした。

そして、

マティアス・フォン・ヘルハルトは、

この帝国で

最も完璧な貴族と言われる者でした。

 

リエットは、もう一度、

理性的に判断しろと、

さらに力を込めて言いました。

しかし、マティアスは、

自分の前に立ちはだかった

カイルとリエットを短く一瞥した後

再び軍医を見て、

薬を持って来いと命令しました。

重苦しい沈黙を破った

落ち着いた声は、

先程と変わりありませんでした。

そして、「レイラを助けろ」と

その言葉しか知らない人のように

冷酷な命令を繰り返しました。

夢が叶った。

レイラは嬉しくなりました。

不可能だと思っていたけれど

胸の奥深くに抱いていた夢が

現実になりました。

 

アルビスの森が

最も美しい緑色に染まる夏の始まり。

レイラは自転車のペダルを

ウキウキしながら漕いで、

小屋に駆け込みました。

ギリス女子学校の夏の制服である

青いワンピースの裾が

森を揺らす風に翻りました。

 

古い自転車は、

小屋の前の庭の倉庫の前で

キーキーと音を立てながら

止まりました。

軽くぴょんと飛び降りたレイラは

素早く家に駆け込みました。

服を着替えて、また出てくるまで

それほど時間はかかりませんでした。

 

つばの広い麦わら帽子をかぶり、

大きな籠を持ったレイラは、

踊るように軽やかに歩いて

深い森へ向かって行きました。

カイルが一緒に勉強しに来る前まで、

野いちごを摘むつもりでした。

野いちごジャムを十分に作れば

夏が終わる前に

眼鏡を作ることができるだろうから。

 

そう。今は18歳の夏の始まり。

すべてが楽しくて幸せな日々でした。

 

レイラは鼻歌を口ずさみながら

野イチゴを摘みました。

その合間合間に、

夕食のメニューも考えました。

ビルおじさんと

カイルの両方が好きな食べ物を

作らなければならないけれど、

おじさんに鶏を捕まえておいてくれと

頼んでおけば良かっただろうか?

 

せっせと考えながら

野いちごを摘んでいる間に、

レイラはいつの間にか

川辺にたどり着きました。

水の生臭い匂いのする風が、

汗が出ている額をくすぐりました。

 

これから毎日こんな日が続くことを

レイラは知っていました。

夢が叶ったので、

永遠にこの時間の中で生きられる。

それがとても嬉しくて感激し、

胸がいっぱいになる頃、レイラは、

子供の泣き声を聞きました。

 

おかしい。

この森には子供がいないのに。

しかし、聞き間違えたと片付けるには

その声が

あまりにも大きくて鮮明でした。

 

迷ったレイラは、

重い籠をしばらく置いて、

泣き声が聞こえて来た方を

探してみました。

そして、しばらくして、

わんわん泣いている見知らぬ子供と

目が合いました。

母親に捨てられた頃のレイラと

同じくらいの年齢の

小さくて可愛い子供が、

川岸から一人で泣きながら

歩いて来ていました。

 

困惑したレイラは、

躊躇いながら後ずさりしました。

その子が誰なのか

分かりませんでした。

レイラは、激しく鼓動する胸を

そっと押さえました。

 

早く小屋に戻らなければ。

もうすぐ、ビルおじさんが

返って来るだろうから、

三人で一緒に食べる夕食を

作らなければ。

でも、あの子は誰なんだろう?

なぜ、泣いているのだろう?

 

レイラは泣きたい気持ちで

一歩後退しました。

その間に、子供の泣き声が

さらに大きくなりました。

 

どうしよう。

どうすればいいのか。

 

レイラはイライラして

しきりに唇を噛みました。

知らない子供の泣き声に

耳が詰まるような感じがしました。

レイラが目を覚ましたのは

その時でした。

 

熱のせいでぼやけていた視野が

次第に明瞭になると、

真っ青な瞳が見えました。

それが自分を見下ろしている

マティアスの目だということに

気づいた瞬間、レイラは

もう一つの事実を知りました。

 

その男の大きくて固い手が

彼女の顎をつかんで

口を開けていました。

そして、しばらくして、

不気味な感触の何かが、

腫れた唇に触れました。薬瓶でした。

鋭い悲鳴が客室中に響き渡りました。

少し前まで

死にそうに苦しんでいたのが

信じられないほど

レイラの悲鳴は強烈でした。

 

軍医とリエットに捕まって

もがいていたカイルが

「レイラ!」と叫びました。

皆、困惑した顔でしたが、

レイラを押さえつけながら

薬瓶を傾けているマティアスだけは

驚くほど冷徹な態度を

保っていました。

 

大丈夫。もうすぐ良くなると

子供を宥めるように囁いた

マティアスは、

手の付けようがないほど

もがくレイラを制圧した後、

改めて薬瓶を握りました。

しかし、レイラは、

屠殺場に連れて行かれる獣のような

悲鳴を上げ、

さらに激しく抵抗し続けました。

 

「やめて!あっちへ行って! 嫌!」

 

「無駄な意地を張るな」

 

「私の赤ちゃんです!私の家族です!

あなたは何様だと思って

私の家族の命を奪うの!」

 

やけくそになって声を張り上げる

レイラを見るマティアスの眉間に

深いしわが刻まれました。

 

マティアスは、

未練を残せば君が死ぬと言うと、

少しの間、瞳が揺れましたが

すぐに無表情で薬瓶を握りしめ、

レイラの口を開けました。

 

窮地に追い込まれたレイラは、

今や彼の手に噛み付き、

引っ掻きながら泣き始めました。

しかし、マティアスは

少しも退きませんでした。

 

レイラは、助けてと言うと

空中を振り回していた手で

マティアスの指を握り締めました。

枯れた小枝のように

やせ細った手でしたが、

命がけでしがみつきました。

そうは言っても

この上なく弱々しい抵抗でしたが、

そこに込められた切実な想いが

マティアスの手を止めました。

 

レイラは、

嘘をついた。実はこの子は

自分たちの赤ちゃんだと

打ち明けました。

絶えることなく流れた涙が

熱く燃えるような顔を

びしょびしょに濡らしました。

マティアスは一言の躊躇いもなく

知っていると答えました。

彼は最初から知っていたし、

一瞬も疑ったことのない事実でした。

しかし、それは子供の命を奪って

レイラを生かすという

マティアスの判断に、

何の影響も及ぼしませんでした。

 

レイラは、

この状況を納得できない人のように

ぼんやりと彼を見つめました。

その瞬間も、

依然としてマティアスの目つきは

頑固でした。

 

「あなたの赤ちゃんなのに」と、

レイラは理解できないように

呟きました。

そして、心の中で、

自分の子供だと知りながら

命を奪うつもりなのか。

どうやって?と問いかけました。

 

レイラは「本当です」と

訴えましたが、

マティアスは無言でした。

レイラは、

あなたに似ているかも知れないと

言いましたが、

マティアスは無言でした。

 

マティアスが黙っているので、

レイラは、

自分たちの赤ちゃんは、

あなたのことが好きだと

さらに切迫した様子で訴えました。

しかし、マティアスは、この全てを

理解することができませんでした。

レイラが一体何を言っているのか

全くわかりませんでした。

 

子供が自分に似ていようが、

あの馬鹿げた言葉のように

自分のことを好きであろうが、

そんなことはマティアスに

何の意味もありませんでした。

 

確かに子供は、

レイラの命を奪わずに手に入れる

口実になってくれたので

大切でしたが、もはや

そうではありませんでした。

今、彼の目に映っている子供は、

彼からレイラを奪い取ろうとする

存在に過ぎませんでした。

そして、マティアスは、

たとえ、それが自分の子供だとしても

そのような存在を

受け入れることができませんでした。

 

マティアスは、

今や、レイラの上に跨るようにして

薬瓶を改めて握りました。

 

「ダメ!やめて!

赤ちゃんの命を奪わないで。

赤ちゃんが死んだら私も死にます!」

レイラは死力を尽くして

もがきながら絶叫しました。

 

「私の赤ちゃんがいなくなったら、

この世に、

本当に私一人だけになったら

私は死んでしまう。

もう生きて行けません。

だからお願いします。」

 

もう、瞼を持ち上げる力さえ

残っていませんでしたが、

それでもレイラは

彼にしがみ続けました。

彼女を見下ろすマティアスの目つきは

底知れぬ深みへと

さらに沈んでいきました。

 

私は?

どうしても口に出せない

その質問に

マティアスの唇が歪みました。

 

自分がいるのに

レイラは一人だと言う。

自分なんて

レイラの生きる理由にならないと

決めつけるように。

 

じっとレイラを見下ろしていた

マティアスの手の中から

薬瓶が転げ落ちました。

床にぶつかったガラス瓶が

割れる音の合間に

彼の空笑いする声が

聞こえて来ました。

 

閉じていた目を

ゆっくり開けたマティアスは、

より、ぞっとするような目で

レイラを見ながら、

子供を助けたいなら君も生きろ。

君の命を捧げて子供を助けても、

その子はどうせ死ぬ。

自分が命を奪うからと言うと

レイラの顔を掴みました。

レイラは、焦点を失った目で

彼を見つめるだけで

何の返事もしませんでした。

 

マティアスは、

よく聞け、レイラ。

子供を助けたいなら、生きろ。

分かったかと命令しました。

 

震える手に

熱い力が込められました。

レイラは、弱々しく何度か頷くと、

すぐに

再び意識を失ってしまいました。

それにもかかわらず、

マティアスは

依然としてレイラを揺さぶり

返事を強要しました。

 

悪夢のような状況を、

これ以上見ていることが

できなくなったリエットが駆けつけ

彼を客室の外に引きずり出した後

ようやく事態は収束しました。

 

女が死んだら、

彼は本当に自分の手で

自分の子供の命を奪うつもりだと

その光景を見守った誰もが

理解しました。

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毎日、学校に通って、

帰りにカイルと寄り道をしたり

家で一緒に勉強したり、

ビルおじさんに

ごく潰しと罵られながらも

めげずにやって来るカイルと

三人で夕食を食べたりと、

特別なことのない何気ない日常が

レイラにとって

一番幸せだったのだと思います。

しかし、そこにマティアスが

割り込んだせいで、

レイラの平凡で幸せな日常が

壊れてしまった。

 

マティアスはレイラから、

大事な家族を奪ってしまい

彼女の未来まで奪ってしまった。

それを償い、

レイラを幸せにするためには

レイラが一番幸せだった時以上の

幸せを与えなければならないと

思います。

 

男性というものは、

子供を見るまで父親になる実感が

湧かないでしょうし、

マティアスは子供の頃、

父親を亡くしているので、

父親と濃密な時間を

過ごしたことがなかったのかも

しれません。

そのせいで、

子供に愛情を感じないのも

仕方がないのかもしれませんが、

子供に嫉妬している場合では

ないと思います。

レイラが死んだら子供の命を奪うと

脅したりしてはいけない。

レイラが子供が死んだら

自分は死んでしまうと言うなら、

マティアスも同様に

レイラを失ったら、

自分も生きて行けない。

レイラにとって一番になりたい。

愛していると

伝えればいいのにと思います。

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