自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 50話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 38、39話 勤勉な女

50話 アルデンでのオデットとバスティアンの暮らしはどうなったのでしょうか?

 

クラウヴィッツ大尉夫妻の

熱い蜜月に関する噂は、

すぐに邸宅中に広まりました。

内々に広まっていた不和説は、

もはや力を

発揮することができませんでした。

 

「昨夜も同じベッドを

使ったそうですね?」

 

主人の側近であるメイド長が

休憩室に入ると、

皆の耳と目が彼女に集中しました。

軽いため息をつくことで

答えの代わりとしたドーラは、

自分の席に座って

お茶を一杯注ぎました。

 

「今日は、皆が見ている前で

キスまでしたんですよね?」と

ドーラに加勢した

世間知らずのメイドが投げかけた言葉が

燃え上がった炎に油を注ぎました。

 

「本当に?

他でもないうちの坊ちゃんが、

メイドたちの前で?」

 

「妊娠したせいで、渋々、

結婚したという噂も間違っていた。

もう、すでに仲が悪くなって、

別々の部屋を使っているという

推測も間違っていた。

ということは、

本当に奥様を愛しているの?」

 

「そうでなければ、

他にどんな理由があるの?」

 

メイド長は、

何も付け加えませんでしたが、

休憩室の騒ぎは、なかなか

収まる気配を見せませんでした。

 

ドーラは、

ズキズキする額をさすりながら

冷めたお茶を飲みました。

 

アルデンに移り住んだ

バスティアンは、毎朝、

妻のそばで一日を始めていました。

同じベッドにいる二人を

初めて目撃した日は、

危うく悲鳴を上げるところでした。

そこでバスティアンを

見ることになるとは

全く予想していなかったからでした。

 

実際、大して特別なことは

ありませんでした。

一緒に夜を過ごした男女特有の

親密感が漂っていましたが、

適切な品位を失うことはなく

普通の教養のある新婚夫婦に

近い姿でした。

ただ、

全帝国の耳と目が集中した

平凡でない結婚が、

極めて平凡に見え始めた点に

驚くばかりでした。

 

焦りながら、

休憩室をうろうろしていたメイドが

ご主人様が、本当に奥様のことを

特別に思っていたらどうしようと

慎重に尋ねました。

結婚式の日、女主人を無視して

あざ笑ったことで叱られた、

まさにそのメイドでした。

 

この家で働き続けたいなら、

彼女の機嫌を取るようにしてと

言うと、

ドーラは深いため息をつきながら

額に手をつきました。

 

どうも尋常ではない。

今朝の出来事は、

漠然とした予感を確信に変えるのに

十分でした。

 

女主人の寝室で呼び鈴が鳴った時間は

ここ数日と

大きく変わりませんでした。

心の準備をしていたドーラは、

二人分のモーニングティーと

新聞を手にして階段を上りました。

 

ドーラは、

主人の私生活を覗き見る失礼を

犯さないように努めながら、

自分の業務に集中しました。

 

バスティアンがベッドから降りたのは

ドーラが換気のために窓を開けて

ちょうど振り返った時でした。

乱れたガウンを整えた彼は、

水差しが置かれている窓際のテーブルに

ゆっくりと近づきました。

そして、その場所から

じっと妻を見つめました。

手に持ったグラスが空になった後も

時間の流れを忘れたかのように

しばらくの間、妻を見つめました。

 

ドーラは、

数歩離れた場所で静かに立ち

適切な時を待ちました。

このくらいで退く挨拶くらいは

いつでもできましたが、

どういうわけか、むやみに

口を開けてはいけないような

気がしました。

 

やがてバスティアンが歩き始めると

安堵感が訪れましたが、

それは、しばらくして、

さらに深い混乱へと変貌しました。

 

バスティアンは

躊躇いのない足取りで

妻のそばに近づきました。

飲み終わったカップを下ろした

オデットが頭を上げたのと、

ベッドの横に止まったバスティアンが

頭を下げたのは、ほぼ同時でした。

その行動の意味に気付いたとき、

バスティアンの唇は、すでに

オデットの額に触れていました。

それほど長い時間では

ありませんでした。

 

妻に優しくキスをしたバスティアンは、

いつもと変わらない姿で

浴室へ向かいました。

ただそれだけなのに、

過度に内密な瞬間を覗き見たような

罪悪感が湧き起こりました。

まさに蜜月。

甘い新婚のひとときでした。

 

でも、自分はもう奥様に嫌われた。

どうしたらいいかと、

戦々恐々とするメイドの声が、

物思いに耽っていたドーラを

我に返らせました。

 

ドーラは、

奥様は、もうあの日のことを

問題にしてないので、

余計な心配は無用だと

上級者らしい威厳を保って

助言しました。

 

オデットは、

自分を見下してあざ笑った使用人たちに

特別な個人的感情を

抱いていないように見えました。

全て忘れたというよりは、

単に気に留めていないと見た方が

より適しているように見えました。

夫の寵愛を得たからといって

態度が急変するはずは

ありませんでした。

 

乞食姫を連れて来てから、

いつの間にか、

一つの季節が過ぎました。

少なくとも、

そんな浅はかな部類では

ないということくらいは、

十分に把握できた時間でした。

 

不安そうなメイドを、

慰めてやったドーラは、

このくらいで業務に戻るために

立ち上がりました。

休憩室をそっと抜け出そうとした

若いメイドのモリーを見つけたのは

その時でした。

 

ドーラはモリーに、

どこへ行くつもりなのか。

もう仕事をしなければならないと

注意しましたが、

モリーは、ニコニコ笑いながら

ちょっと庭へ散歩に行ってくると、

呑気に答えました。

 

先日新しく入ってきた子で、

仕事はよくできるけれど、

暇さえあれば怠けてしまうので

気を揉んでいました。

 

ドーラはモリーが、

また、さぼろうとしているのでは

ないかと聞きましたが、モリー

そんなことはない。

田舎出身なので、草を見ると

心が落ち着くだけだ。本当だと、

モリーは、

ひどく悔しがりながら反論しました。

そして、

奥様がピアノの練習をしている間、

しばらく風に当たろうとしただけだ。

明け方から、

本当に一生懸命働いたことを

よく知っているのに、

そんなことを言うなんてと

抗議しました。

 

ドーラは、

この礼儀知らず。一体いつになったら

きちんとした礼儀を

学ぶつもりなのかと、

面と向かって責めながらも、

快く頷きました。

分別はないけれど利口な子でした。

うまく教育すれば、

役に立つ上級使用人に

なるかもしれませんでした。

 

モリーは浮かれた子馬のように

飛び出しました。

主人と女主人のことに熱を上げている

使用人たちに、

口止めを頼んだドーラは、

このくらいで休憩室を出ました。

 

あれを見て。あれでも

怠けているわけではないの?と

何気なく目を向けた窓の外で

モリーを発見したメイドが

空笑いをしました。

モリーは、

すでに庭を遠く離れた

深い森へと続く道を走っていました。

 

舌打ちをしたドーラは、

書斎の掃除の状態を確認するため、

二階へ向かいました。

角を曲がると、

美しい音楽が流れ始めました。

廊下の突き当たりにある

サンルームから聞こえてくる

ピアノの音でした。

毎日、同じ時間になると聞こえて来る

ピアノの旋律を追って、

廊下の端まで歩いて行った

バスティアンは、

オデットを発見した瞬間

とても勤勉な女だと結論を下し、

喜んでその事実に納得しました

 

そこに位置している

サンルームに入ったバスティアンは

長椅子の端に

静かに腰を下ろしました。

海に向かって突き出ている面が

すべてガラスでできた部屋は、

眩しい日差しでいっぱいでした。

オデットは、

その真ん中に置かれた

白いピアノの前に座っていました。

演奏に夢中になっていて、

まだ彼の存在に

気づいていないようでした。

 

早朝から深夜まで、オデットは

少しも時間を無駄にしませんでした。

のんびりと悠々自適に

過ごしているようでしたが、

よく見ると、

彼女なりの秩序と規則に従って

休むことなく動いていました。

まるでよく訓練された

軍人のような姿でした。

もちろん取り組む仕事の種類は

全然違いますが。

 

読書と編み物、そしてピアノ。

わずか数ヵ月前まで、

オデットの趣味は、

底辺の人生を送っていた境遇に

似つかわしくないほど高尚でした。

しかし、

つまらない自尊心と強がりで

片付けるには

無理があるように見えました。

 

バスティアンは、

妻が没頭していることを

少しも理解できませんでしたが、

少なくとも、オデットが

真心を尽くしていることだけは

確信することができました。

女主人の役割もやはり同じでした。

 

オデットは真面目な使用人のように

働きました。

執事とメイド長に任せておいても十分な

邸宅の雑務も

決して疎かにしませんでした。

そして、社交界での地位も

着実に固めつつあり、

これくらいなら、

非常に損をする取引をしたわけでは

ありませんでした。

 

自分の存在を示そうとした気持ちを

変えたバスティアンは、

ゆっくり足を組んで座ったまま、

妻のピアノの練習を見守りました。

表情がますます深刻になるのを見ると

何かが、うまくいかないようでした。

 

結局、

しばらく演奏を中断したオデットは、

目を凝らして楽譜を見ました。

譜面台に置いてあった鉛筆を持ち、

つっかえた部分に印をつけ、

じっくりと楽譜を

読み進めて行きました。

ピアノの端を叩いて拍子をとりながら

一つずつ、

暗号を解読するかのように慎重に。

 

美しく歌う女だと、

ふとバスティアンは思いました。

厳密に言えば、それは単調な

ハミングに過ぎませんでしたが、

それだけでも十分に

実力を推し量ることができるほど

優れた音色でした。

海の魔女の歌を聞いているような

星が輝いていた夜の記憶が

ふと浮かんだ瞬間、

オデットが首を回しました。

驚いて落とした鉛筆が転がる音と共に

バスティアン」と

音楽的な響きのこもった

彼の名前が聞こえて来ました。

 

オデットは、

いつ来たのかと尋ねました。

バスティアンは、

続けるように。

聞いていて心地よかったと

返事をすると、落ち着いた目で

ピアノを差しました。

 

しばらく躊躇ったオデットは、

小さく首を横に振りながら

楽譜を整理しました。

そして、

褒めてくれるのは有難いけれど

まだまだ至らないことは

よく分かっていると言いました。

 

バスティアンは

「そうなのか?」と尋ねました。

オデットは、

ピアノを長い間弾いていないので、

手が固くなってしまったと答えると

楽譜の整理を終えたので

ピアノの前で立ち上がりました。

そして、恥ずかしくない実力を

身に付ける日が来たら、

正式に演奏を聴かせると、

適当に口先だけで返事をすることで

ぎこちない会話を締めくくりました。

バスティアンは快く頷きながら

椅子から立ち上がりました。

 

沈黙が長くなるのが

不快になったオデットは、

仕事は無事に終わったのかと

要領よく話題を変えました。

オデットが

ピアノの練習をする時間が来ると、

バスティアンは書斎へ行き、

会社の仕事を処理しました。

あまりにも規則正しい男なので、

生活習慣を把握するのが

それほど難しくありませんでした。

 

バスティアンは、

軽く顎の先を動かして、

「まあ、ざっと」と答えると

止まっていた足を踏み出しました。

 

二人の間の距離は、

ゆっくりと縮まって行きました。

二人の影が届くくらい

距離が近くなった頃、

執事が現れました。

 

執事は、

馬たちが到着した。新しい放牧地に

慣れさせている途中だけれど、

直接見てみるかと尋ねました。

 

バスティアンは

「はい、そうしましょう」と

ロビスに返事をしながらも、

依然として

オデットを見つめていました。

すでに屋敷に広まっている

顔が熱くなる噂だけでは、

気が済まないようでした。

 

気兼ねなく

オデットの腰を抱きしめた

バスティアンはオデットに

乗馬はできるかと、唐突に尋ねました。

息が詰まりそうでしたが、

オデットは最善を尽くして

夫を愛する妻の微笑を保ち続けながら

「たぶん」と答えました。

彼女に言えたのは、

自分で考えても馬鹿げていると思う

その一言だけでした。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

マンガでは

オデットの悪口を言ったメイドと

モリーが同一人物として

描かれれていましたが、

原作では、

別人物となっていました。

 

底辺の人生を送っていた

オデットにとって、

確かに、編み物と読書とピアノは

高尚な趣味かもしれませんが、

オデットは長い間、

生活するための手段として編み物をし

そして、読書は、

あくまで私の想像ですが、

日々の苦しみや辛さや悲しみから

逃避したい時に本にのめり込むことで

現実逃避をしていたのではないかと

思います。

けれども、バスティアンのおかげで

底辺の生活から

抜け出すことができたオデットは

今、何の心配もなく、

本当にやりたくて、

編み物や読書をし、そしてピアノを

弾いているのではないかと思います。

高尚な趣味という言葉で

片付けて欲しくないです。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain