自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 142話 ネタバレ 原作 あらすじ 待っているから

142話 爆撃を受けている中、マティアスがレイラの所へやって来ました。

 

彼らが互いを見つめた時間は

それほど長くはありませんでした。

倒れているレイラを抱きしめた

マティアスは、まっすぐ

地下室に向かって走り出しました。

彼が、

ちょうど地下室のドアを開けて

はしごの下に飛び降りた瞬間、

騒々しい轟音が地響きを立てました。

 

地下室は、明かり一つなく

真っ暗でしたが、マティアスは

一度でレイラを見つけました。

彼女は、壁に背中をもたせかけて

息を切らして震えていました。

 

マティアスは、

再び彼女を抱き上げて、

保存食品が置かれた棚から

遠く離れた場所に移動しました。

 

「大丈夫だ」

マティアスの優しい声が

聞こえて来ました。

ようやく我に返ったレイラは

震える目で彼を見上げました。

 

「すぐに良くなる」

もう一度、今度は、

もう少し静かに囁きました。

暗闇の中でもレイラは、その目を

見分けることができました。

恐ろしくて、憎くて、

時にはときめいた、

深い水のように静かな目。

レイラは、その目を見つめながら

良い子のように大きく、何度も

頷きました。

 

その間、マティアスは、

彼女を抱き締めたまま、

地下室の隅に積まれている

木箱の上に座りました。

どこかに明かりがあるだろうけれど

それを探すだけの余裕は

ありませんでした。

二人は濃い闇の中、

お互いの体温と息遣いを

頼りにしながら、爆音に耐えました。

その間に、次第に目は

闇に慣れて行きました。

 

レイラは、

自分でも知らないうちに

マティアスの顔に向かって

伸ばしていた手を

急いで引っ込めました。

はっきり見えなくても、

彼らしくなく、

乱れた姿だということが

分かりました。

体温は熱く、心臓の鼓動は

激しくなっていました。

 

彼が来てくれた。

そのことが実感できると、

ようやく、きちんと息ができました。

爆撃が降り注ぐ中を通り抜け

彼が来てくれました。

 

その事実がもたらす、安堵感と悲しみ

そして何とも言い表せない感情が

静かな泣き声となって

溢れ出ました。

滑稽にも、マティアスを見たら、

ここに滞在中ずっと

彼を待っていたことが

分かったような気がしました。 

自ら去ったのに、

彼が二度と来ないことを知りながら

それでも、馬鹿みたいに

彼を待ちました。

 

行き場を失って彷徨っていた手で、

レイラは、

マティアスの傷ついた腕を

ギュッと握りました。

彼はレイラに

耐えろ、今は危険だからと

忠告しました。

そして、

一瞬、視線を落とした彼は、

すぐにまた闇の向こうを見ながら、

爆撃が止んだら

エトマンの所へ連れて行ってやると

低い声で告げると、もがく小さな体を

さらに力強く抱きしめました。

 

その言葉の意味を、レイラは

後になって気づきました。

いつものように彼を

拒絶している、押し返していると

思っているようでした。

 

レイラは、

そうではないと言うように

首を横に振りましたが、

彼女を見ていないマティアスは

気づいていないようでした。

レイラはマティアスに

大丈夫かと聞きたかったけれど

声が出ませんでした。

 

レイラは自分を無視する

マティアスの横顔を見つめながら、

涙だけをポタポタ落としました。

世界が崩れる音を消してくれる

マティアスの心臓の鼓動の音に

導かれて、記憶が蘇りました。

 

残酷に苦しめて傷つけた男。

何の罪悪感もなく

自分の人生を台無しにした

この世で一番憎んでいる人。

だから許してはいけない。

二度と会わずに生きて行くべき。

それは、当前過ぎることでした。

 

しかし、

過酷に振る舞っていた瞬間でも、

最後の線を

越えられなかった男でした。

どうしようもなく優しかった

眼差しと手。

その無心で切ない瞬間のことも

やはりレイラは覚えていました。

無視したかったけれど、

うまくいきませんでした。

いつもそうでした。

 

愛・・・のようでした。

そんなはずがないと思っても

しきりに、愛のように思えました。

こじれて、食い違って、

ぎこちなくなって、

努めて無視しようとして

遠回りをしても、

結局は愛のように思えました。

彼の心も、自分の心も。

共に過ごした、その全ての瞬間が。

 

私を見て。

出て来ない声の代わりに

レイラは手を伸ばし、

マティアスの頬を包み込みました。

彼は少し当惑したような目で

レイラを見下ろしました。

 

目が合ったけれど、

しばらくしてマティアスは

目を逸らしました。

胸の奥深くに

しっかりと抱きかかえても、

彼はレイラを

見ようとしませんでした。

自分に向けられない視線を

追っていた時、レイラはふと、

今まで彼が、いつも自分を

見つめていたということに

気づきました。そして、

その視線の中で生きてきた時間が

ただ涙と苦痛で染まっていたわけでは

ないということも。

 

涙を飲み込みながら、

首を横に振ったレイラは

再びマティアスの頬を包み込んで

自分の方へ彼の視線を向けました。

今まで数えきれないほど多くの瞬間

彼が自分にそうして来たように。

 

「レイラ」

「赤ちゃん・・・」

 

二人の声が同時に流れ出ました。

地上では、まだ砲弾の破裂音が

響いていました。

 

レイラは、

自分たちの赤ちゃんに

名前を付けて欲しいと頼みました。

マティアスの頬を撫でる

レイラの手が細かく震え始めました。

彼は理解できない言語を

聞いた人のように、ぼんやりと

彼女を見つめるだけでした。

 

レイラは、

自分たちの赤ちゃんと

一緒に待っているので

名前を付けて欲しい。早くと

催促しました。

 

最後のチャンスなんて

最初からなかった。

レイラは、今、

分かったような気がしました。

愚かな選択かもしれない。

こういうのは、

普通の愛ではないのかもしれない。

しかし、

賢くなりたいとは思いませんでした。

間違った愛でも構わない。

この男が好き。

この男の側が良いと思いました。

 

レイラは、

自分たちは大丈夫だからと

言いました。

笑ってあげたいのに

しきりに涙が流れ落ちて、

唇を濡らしました。

 

レイラは、

「赤ちゃんはあなたが好きです。

本当です。 私が好きなら、

きっと赤ちゃんも好きだから・・・」

と告白しました。

マティアスが「レイラ」と呼ぶと、

彼女は「好きです。」と、

しっかり隠していた気持ちを、

あっという間に

いとも簡単に口にしました。

 

レイラは、

あなたが好き。

あなたは本当に悪い人だけれど、

憎いけれど、それでも好き。

あなたが好きだと、

子供のように泣きながら

レイラは繰り返し囁きました。

 

好きです。本当に好き。

その、か細い囁きに導かれて

マティアスの目が揺れ始めました。

 

マティアスは、

また、そんな嘘を言われたら、

自分は本当に君の命を奪う。

そうして、自分も死ぬ。

だからどうか・・・と

訴えましたが、レイラは

いいえ、嘘ではないと答えて

急いで首を横に振りました。

そして、

嘘だったことはない。

あなたを騙そうとした瞬間も

実は本気だった。

耐えられないほど憎かったけれど

憎い分だけ好きだった。

今もそうだと打ち明けました。

 

いつの頃からか、自分の心は

彼一色になりました。

彼が嫌で、怖くて、憎くて、

そのせいで、苦しみ、悲しかった。

彼を消したかった。

彼から抜け出したかった。

時には死にたいと思った。

しかし結局は・・・

 

マティアスは、

これで君は、永遠に

自分から離れることはできないと

クスッと笑うように言いました。

苦しそうに歪めた顔さえ美しい男を

見つめるレイラの瞳に

今や穏やかな光が宿っていました。

砕けた心の欠片を、レイラは

もう一つに集められそうでした。

 

それは愛でした。

もしかしたら、すでに

知っていたのかもしれませんでした。

シエンの海が美しく輝いていた午後

地獄と化した世界を通り抜けて

自分の所へ来た彼を見た

その瞬間に。

 

レイラは、

放さないでと言うと、

まっすぐな額と鼻筋、唇の感触を

指先で記憶するかのように撫で

再び彼の頬を包み込みながら

微笑みました。

そして、

帰って来て。

帰って来るだけで全部許す。

これ以上憎まない。

その後、元の場所で、

最初からやり直そうと言いました。

 

また速くなった心臓の鼓動が

感じられました。

それが誰のものかは

重要ではありませんでした。

 

レイラは、

その時は憎しみも悲しみもなく、

愛だけで、やり直せばいい。

そうすればいい。自分は

うまくやれる自信がある。

赤ちゃんもそうだろうと告げると

あなたは違うのかと尋ねました。

しばらく止まっていた涙が

また流れ始めました。


彼が、そうでなかったら

自分はどうしたらいいのか。

急に恐ろしくなって

途方に暮れた瞬間、もう一度、

爆音が世界を揺るがしました。

しかし、レイラは何も

聞くことができませんでした。

 

額が触れ合い、吐息が近づき

そして彼が震えるレイラの唇を

飲み込みました。

その猛烈なキスを、レイラは

喜んで受け入れました。

彼をギュッと抱きしめて

柔らかい髪の毛をかき分けて握り

まるで一人の男が

この世の全てであるかのように

しがみつきました。

 

唇が、しばらく離れた間、

荒い息を吐いていたレイラは、

自分たちのそばに戻って来ると

約束して、早くと命令しました。

マティアスは「うん」と答えると

レイラの目元にキスしながら

頷きました。

泣いているような笑いが

彼女の涙で濡れた唇の上に

広がりました。

 

マティアスは

「そうだね」と答えました。

レイラは、

あなたが約束してくれれば

自分は信じる。

誰が何と言おうと永遠に信じる。

だから、絶対に

嘘をついてはいけないと頼みました。

 

マティアスは、

約束すると答えると、

すすり泣くレイラを

ギュッと抱きしめながら、

もう一度頷きました。

そして、無垢で絶対的な信頼が

込められた瞳を見つめながら、

きっと帰って来ると約束し、

ゆっくり微笑みました。

f:id:myuieri:20250810100218j:image

空襲は、

夜明けの光が東に差し始める頃に

止まりました。

マティアスは、

レイラを抱き締めたまま

廃墟となった街を走りました。

もう約束の時間になりました。

いくらカイルとリエットが

努力したとしても、

これ以上、時間を遅らせることは

できないはずでした。

 

爆撃機が去った空は、

微かな夜明けの光と煙、

その中を、

不安そうに漂う鳥の群れで

満たされていました。

 

マティアスは

息が上がっていましたが

止まりませんでした。

レイラを、無事にこの都市から

送り出さなければならないという

思いだけが

マティアスを動かしていました。

 

カイルが

待機することになっていた場所は

都市を取り囲んでいる城壁の

北門の前でした。

元々、

人通りの少ない場所でしたが、

敵の奇襲で、

全軍が集結中の今、その近辺は

さらに閑散としていました。

 

真っ青に澄んだ夜明けの光が

砲弾により破壊された石壁の残骸と

波の音、マティアスの荒い息、

そして全ての世の中を

照らしました。

 

ちょうど城壁の角を曲がると

「マティアス!早く!

急がなければ!」と

リエットが嬉しそうに叫びました。 

救急車は約束したその場所で

待機していました。

出発時間が差し迫っていることは

リエットの焦った表情を

見ただけで分かりました。

 

マティアスは、

一気に救急車の前まで

走って行きました。

先頭に立ったリエットが

助手席のドアを開け、

マティアスは、

宝物のように包んでいた小さな体を

カイルの隣の席に降ろしました。

 

袖先をつかむレイラの手を握りながら

マティアスは

「レア」と小さく囁きました。

その名前が誰のものなのかを悟った

レイラの濡れた唇に

笑みが広がりました。

 

後ろに下がろうとするマティアスの手を

レイラは強く握ると、

「もう一つ言わなくては。

男の子だったら?」と尋ねました。

 

「そうですね・・・」

その場合は、

考えてみなかったというように

マティアスは

眉をつり上げましたが、

短い時間、悩んでいたのを

終えた彼は「フェリックス」と

淡々と答えました。

 

一歩退いたところで見守っていた

リエットは、その名前に

目を見開きました。

 

フェリックス・フォン・

ヘルハルト公爵は、

マティアスの祖父でした。

激変する時代にふさわしい家門の

繁栄を築き、次代の後継者の名前に

内定したも同然の

ヘルハルトの栄光の名前でした。

 

その名前を譲るということが

どういう意味なのか

あの女は分かるだろうか?

リエットは、

少しぼーっとした気分で

レイラを見つめました。

良い子のように頷いたレイラは、

涙を浮かべながらも

かなり毅然とした態度で

マティアスを放しました。

自分の全てを捧げると

プロポーズをした男と、

そのプロポーズを受け入れた女は

そのように別れました。

もう女は去り、

男は残される番でした。

 

クソっ。

リエットは、

思わず悪口を吐きながら

熱い息を飲み込みました。

しかし、

感傷に浸っている時間などは

もう残っていませんでした。

 

マティアスが後ろに下がると、

リエットは急いで

助手席に上がりました。

体格の大きい男たちの間に

座ったレイラの姿は、

すっかり隠れました。

 

特別な挨拶を交わす間もなく

救急車は動き出しました。

マティアスは、

廃墟となった城壁を背にして去る

彼らを見ました。

突然、車が止まったのは、

マティアスが

背を向けた瞬間でした。

助手席のドアが開き、

リエットが降りて来ました。  

そしてレイラが、彼のレイラが、

よろめきながら走り出しました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

お腹の赤ちゃんが心配ですが、

安定期に入っているし、

体が弱ったレイラのお腹の中で

耐えた子なので、

きっと強い子だと思います。

 

レイラは初めて

マティアスを見た時に、

青い目と黒い髪と

水鳥の羽のような声に魅了され

心臓がドキッとし、

続けて、マティアスに銃を向けられ

さらに心臓がドキッとし、

その相乗効果で彼に恋をした。

その後も、レイラは

彼にドキドキしっぱなしで、

彼への恋心が

消えることはなかった。

マティアスに

酷いことをされ続けても

なぜ、レイラが

彼のことを愛し続けたのか

結局、よく分かりませんでしたが

人によって、

それぞれ愛の形があり、

人を愛するのに理由はないという

結論に至りました。

それでも、一言言わせていただくなら

子供の頃、

自分を守ってくれる人がいない

状態が続いたレイラは、

自分を守ってくれる人を求めていた。

もちろん、

ビルおじさんがいたけれど、

彼は父親代わりで、

レイラよりも先に亡くなってしまう。

長い人生を共に歩みながら、

自分を守ってくれる人を

求めていたレイラは、

それが、マティアスであると、

直感的に、本能的に

感じたのではないかと思いました。