自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 55話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 42、43話 うまくやり遂げたい

55話 バスティアンは離婚の理由はオデットの不倫にしようと言いました。

バスティアンは、

いつもの時間に目を覚ましました。

日が短くなったせいで、

周囲は、まだ青い夜明けの光に

包まれていました。

 

バスティアンは、

ゆっくりと息を整えながら

体を起こして座りました。

オデットは、

まだぐっすり眠っていました。

パジャマの襟元を結ぶ紐が

解けたせいで、

首筋がはっきり見えていました。

 

長い首からまっすぐな鎖骨へ

下りて行ったバスティアンの視線は

穏やかな呼吸に合わせて

上下している胸の上で止まりました。

斜めになっているパジャマの襟元と

掛け布団の襟元に隠れていましたが

その下を想像することは、

さほど、難しくありませんでした。

 

このくらいで、

オデットから視線を逸らした

バスティアンは、

すぐにベッドを離れました。

 

メイドを呼んで繰り広げる演劇は

省略しました。

休暇の時間は終わり。

再び、海軍省

戻らなければならない時でした。

 

バスティアンは、

二つの部屋を結ぶ通路を通って

自分の寝室へ戻りました。

浴室に入って

シャワーを浴び始めた頃、

うっすらと夜が明け始めました。

適度に湧いた性欲を解消した後

シャワーを終えました。

それは、髭を剃り、髪を梳かし、

制服を着るという一連の過程のように

思考と意志の介入を必要としない

体の習慣でした。

 

ジャケットの最後のボタンを

はめようとした瞬間、

本当にそんなスキャンダルを

望んでいるのかと、

落ち着いて聞き返したオデットの姿が

思い浮かびました。

 

しばらく

バスティアンを見つめていたオデットが

口を開いたのは、

花火が幕を閉じた後でした。

少しの戸惑いさえ消えた顔は、

ただ落ち着いていました。

頷いて見せたのはそのためでした。

 

その孤高の女の隠された部分を

知りたいという安っぽい好奇心、

あるいは本音を探りたいという

子供っぽい考え。

いずれにしても、

情けない感情は同じでした。

 

はい。

あなたが望むならそうしましょうと

オデットは喜んで応じたので、

その侮蔑感は

さらに大きくなりました。

 

何の動揺もせずに、

必要な時が来たら、

適当な相手を探すようにしますという

とんでもない返事もそうでした。

 

バスティアンは

乾いた笑みを浮かべながら

最後のボタンを留めました。

キス一つまともにできないくせに

どこで

擦れた女の真似をしているのか。

くだらない気概だけれど、

その気にさえなれば、

いくらでもそうすることができるので

でたらめな話として片付けるのは

難しいと思いました。

 

男を誘惑する才能は皆無の

愚か者だけれど、

実際そのような努力をする

必要さえないはずでした。

一度チラッと見ただけで、

十本の指がいっぱいになっても

まだ余るほど、

スキャンダルの相手を

引き寄せることができる女だから。

 

そっと閉じていた目を開けた

バスティアンは、

肩章の形を整えることで

身繕いを終えました。

ちょうどよく、

熱くて濃厚なコーヒーを持って来た

執事が、

通勤距離が遠くなって大変だろうから

ハンスを手配させると告げました。

しかし、バスティアンは、

その必要はないと返事をすると

落ち着いた笑みを浮かべながら

一握りの砂糖を

カップの中に投げ入れました。

最も早くて簡単な

好みの朝食方式でした。

 

ロビスは、

それなら、どうか食事だけでも

きちんと取ってくれないか。

このままだと、

体を壊すのではないか・・・と

心配しましたが、バスティアンは、

大丈夫だと返事をして、

一気に飲み干したカップを下ろして

帽子を手に取りました。

そして、自分の体は

自分が一番よく知っているので

心配いらないと言いました。

 

ロビスは、

健康上の問題で、

出征を見送った人が、

そんなことを言うなんてと

反論しましたが、バスティアンは

朝食をきちんと取れば、

砲弾と銃弾が飛んで来ても、

避けてくれるのだろうかと、

ずうずうしい冗談を言うことで

明確な線を引きました。

 

深くため息をついたロビスは、

これ以上、言葉を加えることなく

退きました。

長い年月を共にして来た

彼らの間に形成されている

暗黙のルールでした。

 

時間を確認したバスティアンは、

大股で寝室を出ました。

長い廊下を通って中央の階段を下りると

見送りに来た使用人たちが並んでいる

邸宅の玄関ホールが現れました。

オデットは、その中で

バスティアンを待っていました。

踊り場の大きな窓から差し込む朝日が

女主人の優雅な姿に

品格を与えていました。

少し前まで、無防備に乱れたまま

眠っていた女とは

信じられない様子でした。

 

バスティアンは少し眉を顰めて

妻に近づきました。

まず、頬に短くキスをして

形式を整えると、オデットもまた、

スムーズに微笑みながら応えました。

周囲の期待に応えるのに

十分な演技でした。

 

明日からは出て来ないように。

朝寝坊をしているのに、

無理に、このような形式張ったことを

する必要はないと言うと、

優しく囁く声に似た手つきで

赤みが差している

オデットの目尻を撫でました。

 

しかし、オデットは、

どうせ朝寝坊はしないので

大変ではない。

あなたに、もう一度会える喜びに

比べれば、何でもないと

返事をしました。

緊張した様子が、

ありありと見えましたが、

動揺することなく、

もっともらしい演技を続けました。

日々、実力が向上しているのを見ると

離婚をする頃には、

王立劇場の主演の座も

十分、手に入れられるようでした。

 

一段と硬くなった

オデットの眼差しを見たバスティアンは

このくらいで、一歩後退しました。

見る目が多かったので、

わざわざ不必要な対峙状況を作り、

疑いを招く必要はありませんでした。

 

バスティアンは、

欲しいものがあったら言ってみてと

最も適切な解決策を、

難なく見つけました。

どんな答えが返ってくるかは

十分に察していました。

そして、やはりオデットは、

その予想の範疇を越えることなく

「私はあなたさえいれば十分です」と

不倫相手を探してみるという

不埒な言葉を口にした時と

少しも変わらない顔で、

立派に甘い嘘を囁きました。

 

バスティアンは、

もう一度キスをすることで、

けなげな妻を称賛しました。

額から真っ赤に染まった頬まで

彼は、これ見よがしにゆっくりと

唇を滑らせました。

ギョッとしたオデットは

体を離そうとしましたが、

彼は少しだけ速く、オデットの顔を

しっかりと包み込みました。

 

ゆっくりと執拗に続いた別れのキスは

これ以上、先送りできなくなった

出発時間を知らせる

ロビスの咳払いが聞こえて来て

ようやく終わりました。

 

このくらいで彼女を放す前に、

バスティアンは最後に、

頑張って息を止めているオデットの唇に

短くキスをしました。

微かな呻き声と共に噴き出した息には

湿った熱気がこもっていました。

満足の行く結末でした。

 

バスティアンは、

遅くとも八時前には帰って来るので

夕食は一緒に取ろうと約束すると

邸宅を出ました。

 

ちょうど運転席のドアを開けた時、

バスティアン!」と

オデットの急を要する呼び声が

聞こえて来ました。

彼は肩越しに彼女を見ました。

 

オデットは、

無理をする必要はない。

あなたと一緒にいられたら

嬉しいけれど、だからといって

負担をかけたくはないと、

彼の良い妻は、再び

涙ぐましい思いやりを示しました。


バスティアンは、

そんな心配は無用だ。

今日は忙しくないと、

そんな妻を大事にして愛する

夫らしい答えで

ショーを締めくくりました。

 

腕時計を確認したバスティアンは

これまでとは全く異なる素早い動作で

車に乗り込みました。

計画より時間が遅れましたが、

速度を上げて走れば、

いくらでも縮められる差でした。

 

車を出発させると、

邸宅の前に並んだ使用人たちが

一斉に頭を下げました。

バスティアンは軽い黙礼で答え、

その群れの中央に

視線を投げかけました。

端正な姿勢で立っている

オデットの上に、

眩しい日差しが降り注いでいました。

 

バスティアンはその風景を後にして

速度を上げて行きました。

邸宅の進入路を抜ける頃になると、

水平線上にかかっていた霧が

完全に晴れました。

澄み切って晴れた日の海は、

より鮮やかな青緑色に

染まっていました。


海岸沿いの道を走るバスティアンの目は

いつもより頻繁に

その海に向けられました。

それもまた、

意識が介入する余地のない

体の習慣でした。

その汚い毛の塊は

驚くべきことに子犬でした。

注意深く道を探っていたオデットは

急いで手綱を引いて馬を止めました。

よく訓練された馬は、幸いにも、

すぐにその命令を理解しました。

 

激しく鼓動する胸を撫で下ろした

オデットは、

急いで馬から降りました。

森の中から突然飛び出した子犬は

依然として

道の真ん中を塞いで立ったまま

尻尾を振っていました。


どこから来たの? もしかして

飼い主とはぐれたの?"

慎重に質問をすると、

子犬はさらに興奮して

ビョンビョン跳ね始めました。

 

オデットが、その子犬に向かって

一歩を踏み出した瞬間、草むらから

もう一匹の犬が現れました。

 

驚いたオデットは、固まったように

その場に立ち止まりました。

汚物と土ぼこりで覆われて、

みすぼらしい格好をしていましたが、

かなり犬種の良さそうな犬でした。

地面を引きずる程、長く伸びた白い毛と

小柄な体格。決して、

野良犬ではなさそうでした。

 

あなたがお母さんなのね。

乳が張っている野良犬を見た

オデットは、

思わず深いため息を漏らしました。

しかし、気軽に近寄ることは

できませんでした。

子供の前を遮るように立っていた

母親が、荒々しく

歯を剥き出しにしたまま

唸り始めたからでした。

 

敵意がないということを伝えようと

努力してみましたが、

犬はなかなか

警戒心を緩めませんでした。

 

オデットは、

とりあえず数歩後ろに下がりました。

その間に母犬は、子犬を連れて

森の中へ逃げました。

 

一体、どこからあんな犬が来たのか。

オデットは、二匹の犬が消えた

深い森を見つめながら考え込みました。

 

この近くにある邸宅は、

二軒のクラウヴィッツ家だけでした。

この邸宅には元々犬がいないので、

残る唯一の可能性は、

森を挟んで向かい合っている

本家だけでした。

でも、いなくなった犬がいるかどうかを

聞くために、

連絡を取るような仲では

ありませんでした。

 

この森で一人で産んだ子を

あのくらいまで育てたのなら、

二ヵ月以上は経っているに

違いありませんでした。

もし飼っていた犬を失くしたのなら、

その長い間、

何の連絡もなかったはずは

ありませんでした。

 

疑問は、

再び振り出しに戻りました。

オデットは、

諦めのため息をつきながら

この辺で振り向きました。

乗馬に費やせる時間は、

もう30分も残っていませんでした。

急いで出発しないと、

乗馬服姿で、客を迎える羽目に

なるかもしれませんでした。

海軍の将軍たちの妻たちを、

そのようにもてなしたという

事実を知ったバスティアンが

向ける目つきを、オデットは

生々しく描くことができました。

 

冷たい軽蔑の眼差し。

時々、そのような感情がこもった目で

自分を見つめる時、オデットは

心が限りなく落ち着かなくなり、

みすぼらしくなりました。

決して味わいたくない気分でした。

 

不必要な感情と考えを消したオデットは

再び馬に乗りました。

先週末に乗馬服が到着したおかげで、

もう少し楽に

馬に乗ることができました。

 

全てはバスティアンの配慮でした。

乗馬をする機会を与えてくれたのも、

いつでも思いっきり乗れる馬を

与えてくれたのも、

装備をプレゼントしてくれたのも

全て。

世間の人々の目を意識して

してくれたこととはいえ、

施してくれた好意の価値が

変わるわけではありませんでした。

だからオデットは、

うまくやり遂げたいと思いました。

心を傷つけた言葉は忘れ、

ますます手に負えなくなる、

仲の良い新婚夫婦の役割も我慢し、

少なくとも高い給料を支払った分、

十分尽くした雇用人として

あの男の記憶に残るように。

 

結局、不倫をして

離婚を余儀なくされる結末を

迎えることになるけれど、

どうせ契約が終われば

皇室と社交界の影響力が届かない所で

静かに生きていくつもりでした。

だからオデットが望むのはただ一つ。

バスティアンと悪くない終わりを

迎えることだけでした。

 

二匹の犬が消えていった方から

視線を外したオデットは、

近道のある方向に馬を向けました。

やがて力強い馬の蹄の音が

響き始めました。

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誰もが認めるほど美しいオデットは

その気になれば、色仕掛けで、

お金持ちのパトロンを見つけて

貧乏な生活から脱出することも

できたでしょうし、

そのような誘いを受けたことも

あるのではないかと思います。

けれども、オデットは

どんなに落ちぶれても

そんなことをしないよう

常に気高くあれと、母親から

教育を受けて来たのではないかと

思います。

どこかの皇女二人とは大違い(笑)

そんな世の汚れに染まらず、

孤高なオデットのことを、

バスティアンは好きなのではないかと

思います。

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