自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 144話 ネタバレ 原作 あらすじ 金色の翼

144話 ブラント伯爵夫人が持っていた新聞の内容は?

腫れ上がった目をした

ブラント伯爵夫人は、かすれた声で

メイドのマリーに、

クロディーヌの様子を尋ねました。

マリーは困った様子で

視線を落としました。

正直に話すのも、嘘をつくのも

曖昧な状況でした。

 

ブラント伯爵夫人は、

確かに大変なことだけれど、

それでも、

立派に耐えなければならない。

自分たちは皆、

そうしなければならないと

言いました。

幸いなことに、ブラント伯爵夫人は

自分の感情に囚われて

娘の状態を、詳しく気にかける余裕が

なさそうでした。

 

ブラント伯爵夫人は再び泣き出すと、

何か食べさせるように。

あのままでは体を壊してしまうと

命令しました。

 

一息ついたメイドは、

急いでその命令を実行しました。

どうせ食べないことを知りながらも

心を落ち着かせるような食べ物を用意し

急いでクロディーヌの寝室へ

向かいました。

 

ノックをしても返事がないと、

メイドは慎重に

「クロディーヌお嬢様」と

声をかけました。

しかし、それでも返事は返って来ず、

まるで獣の鳴き声のような

苦しい呻き声だけが流れ出て来ました。

 

「 お嬢様!」

礼儀を無視して

勢いよくドアを開けたメイドは、

目の前に広がる光景に驚いて、

思わず、

お盆を落としてしまいました。

クロディーヌが、

あの高慢で誇り高きお嬢様が、

パジャマ姿で床に突っ伏して

泣き叫んでいました。

手にはしわくちゃになった

一通の手紙を握ったままでした。

 

「出て行って!」

近づいてくるメイドの気配を感じた

クロディーヌは鋭く叫びました。

しかし、マリーが躊躇っていると

お願いだから、早く出て行ってと

叫んだクロディーヌは、

辛うじて体を支えていた両腕の力が

抜けてしまい、

再び床に崩れ落ちました。

しかし、メイドはそれ以上

近づくことができませんでした。

よく耐えているとだけ思いました。

ここ数日、ずっと

そんな姿を見せていたから。

 

体を丸めたまま、クロディーヌは

再びすすり泣き始めました。

焦った足取りで

周りをうろうろしていたメイドは

結局静かに寝室を去りました。

一人取り残されると、

クロディーヌの泣き声は

さらに激しくなりました。

 

自分がどうしてこんな姿で、

このように床を這いずり回って

泣いているのか、クロディーヌは

よく覚えていませんでした。

ただ手紙を読んだだけでした。

眠れない夜を過ごし、朝が来て、

その朝を耐え難く感じ、

ただ手紙を・・・その手紙を、

再び開いただけでした。

 

愛しています、クロディーヌ。

 

彼は力を込めて書いた字で、

何度も告白しました。

 

あなたが何を恐れているか

知っています。

その恐怖が

現実になるかもしれません。

でもクロディーヌ、約束します。

君がその全てを

忘れることができるくらい、

私が君を愛するから。

 

約束したのに。

多くの「愛しています」を残して

死んでしまいました。

 

伯爵夫人が持って来た新聞に

載っていた訃報は、

ヘルハルト公爵ではなく

リンドマン侯爵のものでした。

リエットが戦死したという知らせが

彼が送って来たラブレターと共に

届きました。

後方補給路を断つための敵の空襲があり

その戦闘で銃弾を受けて命を落としたと

伝えられました。

 

「いいえ・・・違う!違う!」

 

悲鳴のような泣き声を上げている

クロディーヌの上に

青白い冬の朝の日差しが

降り注ぎました。

 

数日間は、ただ、

ぼんやりとしている状態でした。

そうなんだと、客観的に

事実を認知した程度でした。

 

このような熱烈な愛の手紙を

私の手に渡して、

あなたは死んでしまった。

死んで欲しかった男は別にいるのに

私が待っていたあなたは

消えてしまった。 そうなんだ。

そういうことなのか。

 

愛している。

 

自分は、まだ一言も

伝えられていませんでした。

 

愛しています。愛しています。

愛しています。


あなたに言わなければならない

言葉が、私には

こんなにたくさん残っているのに。

それなのに、どうして?

なぜ、あなたが!

 

・・・愛しています

手紙に書かれたその一言を

声に出して読んでみた時、

客観的に認知していた事実が

手のほどこしようもない

悲しみとなって

クロディーヌを飲み込みました。

 

息ができなくて胸を叩いたせいで

手紙を落としました。

その手紙をつかむために手を伸ばし

クロディーヌは、

そのまま崩れ落ちました。

紙とインクだけの手紙から、

彼の手のような温もりが

感じられました。

耳をすませば

その心地よい声と笑い声が

聞こえてきそうでした。

 

その瞬間、クロディーヌは、

自分の胸の奥深くで、

何かが崩れる音を聞きました。

そして、壊れた何かは、

今後、永遠に戻って来ないことを

悟りました。

 

愛しています


涙と混じったその告白を

吐き出しながら、クロディーヌは

涙で濡れた顔を

辛うじて持ち上げました。

彼がいないのに、世界は眩しく

完璧に輝いていました。

心の奥に残ったその記憶は、

マティアスの

道しるべとなっていました。

灰色の世界の中で翻る美しい金色の翼。

彼が戻らなければならない所。

 

閉じていた目を開けたマティアスは

よろめきながら体を起こしました。

明るい午後の日差しが

目を刺しました。

 

少し前まで、

彼のそばで敵に向かって

銃を撃っていた兵士は

血まみれになって、

冷たい石の床の上に倒れていました。

砲弾の破片が刺さった頭と胸から

流れた赤黒い血が

マティアスの軍靴を濡らしました。

もしマティアスが窓の前にいたら、

命を落としたのは彼だったはずでした。

生と死は紙一重でした。

 

リエットもそうだったのだろうか。

死んだ兵士の顔の上に

彼の顔がしばらく浮かんで、

消えて行きました。

 

乱れた呼吸を整えたマティアスは、

床に落ちていた自分の銃を拾って

振り返りました。

轟音とともに、もう一発の砲弾が

飛び込んで来ました。

石垣が凄惨に砕ける音とともに

四方が揺れましたが、マティアスは

止まることなく歩き続けました。

諜報で得た情報とは違い、

敵は真っ昼間に

空襲を仕掛けて来ました。

数週間前、

ベルクが占領した都市を

奪還するための攻撃でした。 

三つの鉄道が交差し接続点のある

この都市は、補給の要衝地でした。

その重要性ゆえに、熾烈な戦いが

避けられない場所だという

意味でもありました。

 

バン!

躊躇のない銃の発射音と共に、

柱の向こう側から、

銃で狙っていた敵軍が倒れました。

マティアスは

悲鳴一つ上げることができないまま

息絶えた敵の死体を越えて

塔の外へ出ました。

日差しが降り注ぐ城壁の上に立つと、

冷たい風が吹いてきて、

彼を包み込みました。

 

反対側の城壁は、敵の砲撃により

すでに半分ほど崩れていました。

ここも近いうちに

同じ運命を迎えるはずでした。

 

どうしても防御線を突破するのが

困難になると、

敵は城壁を全て壊してでも

都市に入るつもりのようでした。

ベルク軍が進撃する際に使った

戦術なので、

マティアスはよく知っていました。

 

エタールの参戦は、

戦線の多くの部分を変えました。

これまで、南部連合軍は、

これほどの城壁を破壊できる迫撃砲

保有していなかったため、

戦々恐々としていましたが

今やベルクのものと同じ武器を手にし

ベルクが躊躇することなく

進撃しながら使用していたのと

同じ戦術を使って

反撃を繰り広げていました。

エタールが動員した

武器のおかげでした。


「後退しろ!」

城壁を死守するために配置された兵力を

退却させようとする必死の命令が

砲撃の音と混ざり合って

響き渡りました。

すでに味方の半分を死体にした後に

叫ぶには、少し滑稽な言葉でした。

少なくとも一時間前に命令していたら

もっと多くの人が

聞くことができたはずでした。

 

マティアスはニコニコ笑いながら

足を早めました。

走りたいけれど、

体が思うように動きませんでした。

 

怪我をしたのだろうか?

考えてみようと思いましたが、

爆発音のせいで、

頭がぼーっとしてしまい、

明確な判断を

下すことができませんでした。

 

司令官は敵の攻撃力を

正確に把握できていませんでした。

これまでそうだったように

人海戦術を頼りにした

無謀な強襲を仕掛けてくると考え、

それに対応する兵力を

城壁に配置しました。

そのおかげで、

味方を袋のネズミにして

敵に捧げることになるという

完璧な失敗でした。

 

しかし、彼を責めるのも

難しいことでした。

ロビタ軍が

最初の迫撃砲を発射するまで、

南部連合

ベルクのような武器を保有していると

誰も予想していなかったからでした。

 

視界がぼやけて、

光が広がって見えると、

再び、あの美しい翼が

空中でひらひらしました。

彼女を送りだした日以来、

マティアスは、

毎日その金色の翼を見ました。

凄惨な敗北の中でも

成功した反撃の中でも、

常にその道しるべがありました。

そして、その小鳥は、間違いなく

彼を生かしてくれました。

 

「レイラ」

笑みを浮かべた唇で、マティアスは

甘美な旋律のような名前を

口ずさみました。

 

目を閉じて開けるまでの時間が

だんだん長くなっていきました。

緊迫した動きも、

散歩でも楽しむ人のそれのように

ゆっくりと変わっていきました。

それを自覚した瞬間、マティアスは、

日光に当たって熱くなった

石の床の上に崩れ落ちました。

だるそうに閉じていた目を開けて

歩いて来た道を見ました。

赤黒い痕が、

彼が通って来た城壁の上に

点々と続いていました。

それが自分の血であることに

気づくまで、

何度か瞬きする時間が必要でした。

 

おそらく砲弾の破片のようなものが

刺さったのか、左肩から流れた血が

軍服の半分をびしょびしょに

濡らしていました。

これだけの血を流したということは

かなり大きな怪我をしているに

違いないだろうけれど

痛みは感じられませんでした。

荒くなった息に混じって、

ただクスッと笑いが

漏れただけでした。

あまり良い兆候ではなさそうでした。

 

頭を後ろに反らして、

眩しい空を見つめていたマティアスは

思わず体を起こそうとして

両足に力を入れました。

しかし、何度もその場に

座り込んでしまいました。

荒い息からは、

錆びた鉄の匂いが漂い始めました。

 

マティアスは、

手すりに背中をもたせかけたまま、

意識を保とうと努力しました。

髪を掻きむしるようにつかんだ手に

力が入りました。

しかし、起きろと命令しても、瞼は

ますます重くなるばかりでした。

きっと近づいているに違いない

迫撃砲の音が、遠い世界の

微かな騒音のように感じました。

 

ちょっとだけ眠りたい。

そうすれば、平気で立ち上がって

歩いて行けそうでした。

 

レイラ。

私たちが約束した通り・・・

目がほとんど閉じかけようとした頃

マティアスは、目の前で揺れる

リボンの先端を見ました。

レイラが、

彼の手首に縛ってくれた日以来、

彼のお守りになった、

まさにそのリボンでした。

 

アルビスの森と川の至る所で

鳥の巣を探し回りながら

糸を結んでいた

レイラのことが思い浮かぶと、

クスッと笑いが漏れました。

 

鳥が戻って来てくれることを願い

戻って来てくれれば、

ただ、その事実だけが嬉しくて

胸がいっぱいになった。

つまり、そのように・・・

寂しかった子供。

 

マティアスはぼんやりとした目で

風に揺れるリボンを見ました。

そして、

待てど暮らせど、

戻って来てくれないもので

いっぱいだった

一人の女の人生のことを

考えました。

すると、ようやく

かつてレイラが話していた、

彼女が

アルビスの渡り鳥たちを愛した

その理由を完全に理解できました。

 

レイラ。

今は声が出なくなり、

唇だけでその名前を囁きました。

 

彼は帰ると約束しました。 

レイラは信じていると言いました。

永遠にそうだと。

だから帰らなければならない。

 

マティアスは唇を噛みしめながら

体を起こしました。

朦朧とした意識の中でも、

砲撃の音は

鮮明に響き渡っていました。

埃の雲が立ち上り、

砕けたレンガの欠片が散らばる

城壁の上を、マティアスは、

よろめきながら歩き出しました。

足がフラフラして

折れそうになっても、

彼は止まりませんでした。

しかし、

数歩も踏み出すことができず、

彼は再び崩れ落ちました。

 

マティアスは血に濡れた両手を

石の床に突いて体を支えました。

荒い息と共に、

クスッと笑いが漏れました。

ギュっと閉じた目を開けると、

ぼやけていた視界が

少しは鮮明になりました。

 

汗と混じり合った涙が

顎の先に溜まり、

手の甲の上に流れ落ちました。

 

もう一度。もう一度。

瞬きをして

焦点を合わせようと努める度に

手の甲を濡らす涙の粒は、

さらに太く熱くなって行きました。

それがおかしくて、マティアスは、

何度も失笑を漏らしました。

息に混じった血の匂いは

ますます濃くなって行きました。

 

生きなければならない。

レイラの名前を

口ずさんでいた瞬間のように

マティアスは低く優しく囁きました。

 

レイラ、私のレイラ、

生きなければならない。

君が待っているから生きなければ。

 

再び体を支えられるようになるまで

以前より、

もう少し長い時間が必要でした。

しかし、マティアスは

ついに立ち上がりました。

濡れた顔を撫でおろした後、

腰を真っすぐに伸ばし、

歩き始めました。

血走った目は

今や半分閉じていましたが、

それでもマティアスは

立ち止まりませんでした。

行かなければなりませんでした。

あの寂しい女の人生に

戻って来なかった

もう一つのものとして

残ることはできませんでした。

 

約束を守って、

許してもらいたい。

そして、自分の場所に立ちたいと

思いました。

レイラが言った、

愛だけで始めればいい、

彼らの全てが再び始まる

その場所に。

 

城壁の下に続く階段が見え始めると、

マティアスはさらに足を速めました。

堅固な城壁を

次々と打ち破った迫撃砲

海を見下ろせる

その城壁まで壊したのは

マティアスが、ちょうどその階段に

足を踏み入れた瞬間でした。


崩れる世界の中で、

彼は輝く金色の翼が

ゆらゆらと揺れるのを見ました。

レイラ。

微笑みながら囁きました。

最後の記憶でした。

その日、ロビタの都市での戦闘に関する

ニュースは、数日後になって、

ようやくベルクに伝わりました。

将校服を着たヘルハルト公爵の

写真が載せられた号外は、

新年を翌日に控えた街のあちこちに

急速に広がり始めました。

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一度はクロディーヌとの別れを

決意したリエット。

しかし、マティアスが

レイラを探し出すためだけに

戦場へやって来たのを見て

自分もクロディーヌに

思いの丈をぶつけるため

彼女に手紙を書き続け、

熱烈なラブレターを

書いたのではないかと思いました。

けれども、

それが遺書になってしまうなんて。

しかも、クロディーヌが、今度こそ

リエットに返事を書こうと思って

彼からの手紙を待っていたのに、

それと同時に、リエットの死の知らせが

もたらされるなんて

あまりにも残酷すぎます。

クロディーヌは意地悪だし

レイラに酷いことをしたけれど、

だからといって、このような形で

彼女が悲しむ姿を見たくなかったです。

 

そして、

マティアスも、

かなりの重傷を負っている様子(涙)

レイラとの約束を心の支えにして、

何とか意識を保っている姿に

心が痛みます。

これ以上、悲しむ人が増えないよう、

早く戦争が終わることを

願ってやみません。

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