自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 146話 ネタバレ 原作 あらすじ 約束したから

146話 マティアスの死亡が知らされた日にレイラは出産しました。

冬が去り、春が去り、

夏が来ました。

そして戦争は、

両陣営に多大な被害をもたらした末

北部連合の勝利で終結しました。

勝利で得た利益は微々たるもので

損失は大きかったけれど、

もっともらしい名分が

そのすべての影を消し去りました。

残ったのは、帝国の歴史を

より一層輝かせてくれる

金字塔のような勝利だけでした。

 

傷だらけの栄光とは、

このようなものなのだろうか。

それでも、

全ての家門の血筋が絶える前に

戦争が終わって

幸いと言うべきなのだろうか。

 

凱旋する帝国の軍隊を迎えるために

並んでいる大勢の人々の中の

一人の貴婦人が、

深くため息をつきました。

それに同調する他の夫人たちの口から

永遠に戻って来られなくなった

多くの息子たちの名前が漏れました。

 

ヘルハルト家の後継者は、

一体誰に決まるのですか?

 

マティアス・フォン・ヘルハルトの

名前が挙がると、自然と話題は

最近の社交界で最も注目を集めている

公爵家の後継者問題に移りました。

 

唯一の息子が、

後継者を残さずに亡くなったため、

公爵の位は、

傍系に継承されるしかない

状況でした。

しかし、息子の遺体を回収し、

きちんとした葬儀を行うまで、

絶対に、

その地位に他の後継者を入れることは

できないという

エリーゼ・フォン・ヘルハルトの

意地のため、

これまで家門の主人の座は

空席のままでした。

 

そんなに先延ばしせずに、

一昨年、ブラントの令嬢と

結婚式を挙げるべきだった。

そうすれば直系の血筋が絶えるような

悲劇は起こらなかった。

 

結婚したからといって

クロディーヌが

息子を産んだという保証もない。

あまりにも子供に恵まれない

家門だから。

 

確かに、そうだと

その見解に皆が同意しました。

 

ブラント家としては幸いだ。

参戦する前に

急いで結婚させていたら、

すぐに未亡人になるところだった。

 

クロディーヌは、

どのように過ごしているのか?

 

近いうちに

新しい婚約をするそうだ。

 

あら、もう?

 

どうせ、ヘルハルト家との婚約が

無効になった状況なら、遅々として

時間を引き延ばすこともないだろう。

ブラント伯爵夫人が

一生懸命探した結果、

なかなか良い結婚相手を

見つけたようだ。

 

どんなに良い結婚相手でも、

ヘルハルト以上にはなれないだろう。

クロディーヌと

ブラント伯爵夫人には気の毒だ。

 

彼女たちが適切な憐憫と

いくらかの安堵の気持ちを

交わしている間に、

大通りの向こうから

熱烈な歓呼の声が響き始めました。

凱旋行進が始まっていました。

町中の人々が、凱旋する軍隊を

迎えに行ってしまったようで、

公園はがらんとしていました。

おかげでレイラは、

いつもよりのんびりと

散歩を楽しむことができました。

ゆっくり軽やかに歩く足音と

ベビーカーの車輪が転がる音、

木の葉を揺らす爽やかな風の音が

心地よい音楽のように

調和していました。

 

街路樹が立ち並ぶ道を抜け出すと、

レイラはベビーカーの日よけを上げて

眠っている子供の上に

陰を作りました。

 

小さく生まれたせいで

心配していた日々が嘘のように

子供は元気に育ちました。

一度も病気をしない上に、

性格も穏やかで

祝福のような子供でした。

 

レイラは、わざと大通りを避けて

遠回りをする道を選びました。

閑散とした道に、

足音がコツコツと響きました。

 

レイラは、凱旋行進を見る自信が

ありませんでした。

戦争が終わっても、

彼が戻って来ないことを

受け入れたくないのかも

しれませんでした。

 

今日はとてもいい天気でしょう?

 

眠っている子供に

訳もなく話しかけてみました。

吹いてきた風に、

子供の柔らかい髪の毛が揺れました。

 

お母さんは夏が好きだけれど

あなたは?

うーん、まだ、秋を知らないわね。

 

訳もなく笑う唇の先が

少し震えました。

 

レイラは、

すやすやと眠っている子供に

独り言を繰り返しました。

ふと顔を上げると、いつの間にか

家のある住宅街に近づいていました。

 

マティアスが帰って来るまで

一時的に留まることにした住居は

今や生活の拠点となっていました。

彼の弁護士と公爵家の執事は、

マティアスが約束した全てのことが

現実になるよう

努力してくれたおかげで、

レイラと子供は、安定した生活を

送ることができました。

 

平穏な日々でした。

これからも、ずっと

そんな日々が続くだろう。

彼はいないけれど。

戻って来ないけれど。

 

憂鬱になるのが嫌で

レイラは足を早めました。

しかし、しばらくして、

靴の紐が解けてしまったので

再び立ち止まりました。

 

小さくため息をついたレイラは、

体を屈めて、

解けた紐を結び始めましたが、

結び目を作ろうとした瞬間

思いがけない記憶に

急に襲われました。

 

彼と見知らぬ都市で

一緒に過ごした一日。全てが、

あまりにも不思議だったあの日。

自分の前に跪いて靴を履かせてくれた

マティアスの姿が

今、この瞬間のことのように

はっきりと浮かび上がりました。

 

あの静かな青い目と、

やや冷たくて心地よい体温、

彼が履かせてくれた靴の感触と、

歩く度に揺れていた

靴紐のきちんとした結び目。

 

記憶が具体化するにつれて

レイラの目頭が

赤くなって行きました。

しかし、涙は、

ぐっと堪えることができました。

 

息を整えたレイラは、

急いで靴紐を結んで

立ち上がりました。

再びベビーカーを押して

踏み出す足は、先ほどより軽やかで

元気いっぱいでした。

 

目頭に浮かんでいた赤みが消えた頃

レイラは家の前に到着しました。

そこに軍服を着た

背の高い男が立っていました。

レイラが驚いて目を丸くした瞬間

彼はゆっくりと振り返りました。

じっと見つめて合っていた二人の顔に

似たような笑みが広がりました。

 

「カイル!」

レイラが嬉しそうに叫ぶと、

子供がぱっと目を覚ましました。

レイラが、せっせと

お茶を準備している間、

カイルは子供と一緒に

日当たりの良いリビングにいました。


おとなしい子だという

レイラの言葉は

間違っていないようで、

子供は初めて見るカイルの前でも

泣きませんでした。

 

どうも見慣れない顔が不快なのか

しばらくは、驚いたように

あの男に似た青い目で

じっと見つめてばかりいましたが、

しばらくして、

ニッコリするようになりました。

少なくとも、

性格だけは彼に似ていないのが

確かなようでした。

 

お茶を出して来たレイラに、

カイルは笑いながら

子供の名前を尋ねました。

レイラは微笑みながら

「フェリックス」と答えると、

子供を抱いて

カイルの向かいに座りました。

二人は、まるで久しぶりに会った

友達のように普通の会話をしました。

このように気楽に

レイラと向き合うことが

できるようになったことを

改めて知ったカイルは

ニッコリ微笑みました。

 

レイラは、

カイルが無事に帰って来られて

本当に良かったと言いました。

じっとカイルを見ていた

レイラの顔に、彼のように

穏やかな笑みが浮かびました。

 

静かにカップを置いたカイルも

微笑みながら彼女を見つめ、

こうして、また元気になり

そして可愛い子供が無事に生まれて

本当に良かったと言いました。

 

レイラは、

お互いに約束を守ったことになると

言いました。

その言葉が思い出させた

昨年の秋の記憶に、

カイルの目元が少し赤くなりました。

 

元々、休暇許可書をもらって

彼がレイラをここまで送って来る

計画でしたが、戦況が急変したため、

全ての休暇が取り消されました。

 

完全に回復していないレイラを、

しかも妊娠している彼女を

一人で送り出す時の気持ちは

鉄の塊のように重かったけれど

レイラは明るい笑顔で

彼を慰めました。

そして、国境の軍病院で別れた日、

元気な姿でまた会おうと

約束しました。

 

先に握手を求めるレイラの手を

握った瞬間、カイルは、

結局、我慢できなくなって

涙を流しました。

レイラは、その涙さえも慰めた後、

荷物をしっかり握って、

たくましく去って行きました。

やせ細った背中が震えていることは

知っていましたが、

カイルは気づかないふりをしました。

そんな別れでした。

 

母親の胸に抱かれて

キャッキャッ笑う子供を見ていた

カイルは、

フェリックスの存在を公爵家

知っているのかと尋ねました。

レイラは小さく首を横に振り、

視線を落としました。

 

カイルは、

このように、ずっと一人で

育てるつもりなのかと尋ねました。

レイラは、

彼が帰って来るまではと答えました。

思いがけない返事に

カイルは目を見開きました。

 

レイラは

約束したからと告げると

子供の頭を撫でながら笑いました。

そして、

必ず戻ってくると約束したから、

自分は待つと言いました。

 

カイルが、

「レイラ・・・彼は」と

言いかけると、レイラは

分かっていると告げました。

水気を帯びた目が輝き始めましたが

レイラは笑みを失いませんでした。

 

彼女は、

それでも自分は待ちたい。

待っていれば、来てくれそうだから。

馬鹿げているのは分かっているけれど

自分はそうすると言いました。

 

すでに死んだ男を待つこの馬鹿を

どうすればいいのか。

カイルは途方に暮れた目で

レイラを見つめました。

 

彼は、数百年を耐えてきた城壁が

粉々に砕け散り、

一つの巨大な墓と化した

あの、惨たらしい戦場を見ました。

あの日、戦闘に投入された味方は

ほとんど全滅してしまいました。

負傷兵を

野戦病院に移送する任務に

動員されていなければ、

彼もそこに葬られていたはずでした。

 

言いたいことはたくさんありましたが

カイルは沈黙を選びました。

もう戦争が終わったので、

遺体を回収できるだろうし、

そうすればレイラも、心の整理が

できるかもしれませんでした。

 

彼らは話題を変えて、

再び普通の話をしました。

しかし、決して

依然と同じではないことを

カイルもレイラも知っていました。

その事実を確認すると、

かえって気が楽になりました。

 

時間を確認したカイルは、

汽車の時間が迫っているので

そろそろ行かなければと告げて

立ち上がりました。

レイラはカイルに

カルスバルに戻るのでしょう?

と確認しました。

カイルは、

復学するまでは、

両親のそばにいようと思うと

返事をしました。

 

玄関先まで見送りに来た

レイラとフェリックスに

「元気でいてね」と

カイルは笑いながら挨拶しました。

そして今度は

先に手を差し出しました。

12歳の夏、バラの香りに満ちた

アルビスの庭で出会った

見知らぬ少女にそうしたように。

 

本当に別れる時でした。

生きていれば、偶然出会う日が

来るかもしれませんが、

その時は、再び穏やかな笑みで

挨拶を交わすだろうけれど、

ただそれだけ。

それがお互いのための

最善だということを、カイルは

今や心から

受け入れることができました。

 

「・・・うん、カイル、あなたも」

あの日の少女のように笑いながら

レイラは彼の手を握りました。

握手する二人を

好奇心いっぱいの顔で見ていた子供は

再び明るく笑いました。

涙も悲しみもなく

カイルは背を向けました。

そして涼しい風が吹いて

あまり暑くない夏の道を

歩き始めました。

角を曲がる瞬間まで

カイルは振り返りませんでした。

豪華な黒い車が、ロビタ南部の

軍病院の前に止まりました。

制服を着た運転手が

急いで後部座席のドアを開けると、

疲れた顔をした

老紳士が降りて来ました。

 

「お越しいただき

ありがとうございます」

待機中の将校たちが、

彼に向かって頭を下げました。

ロビタ王家の血筋であり、

名望高い貴族である彼を

この遠い地まで足を運ばせたのは

他でもない国王でした。

確認すべき重大な事案があると

告げられたからでした。

王命である以上、

従う他はありませんでした。

 

ロビタ国王が大切にしている

甥の一人が、戦争中に重傷を負い、

ベルクの軍病院で

治療を受けているところでした。

ロビタ王室が彼の早期送還を要請すると

ベルクは、それに相応しい条件を

提示することを要求しました。

その「条件」を検収することが

彼に任された、

とんでもない任務でした。

カタリナ・フォン・ヘルハルトの

いとこというのがその理由でした。

 

彼を静かな病棟に案内した将校は、

すでに身分は確実だけれど、

最後の確認が必要で

このように要請したと

丁寧に説明しました。

 

「こちらです」

彼らは、廊下の突き当たりにある

病室のドアの前で止まりました。

彼が頷くと、

短くノックをした将校たちが

ドアを開けました。

その気配に、窓枠に寄りかかって

タバコを吸っていた一人の若い男が

ゆっくりと体を起こしました。

開け放たれた窓から吹いてきた風が

彼の白いシャツの裾を

軽く揺らしました。

 

逆光のせいで、

遠くから顔を確認することは

困難でしたが、

がっしりした男ということだけは

確かなようでした。

 

世の中の雰囲気がおかしいから

頭のおかしい奴らが横行している。

まるで病人らしくない男の様子を見て

彼は舌打ちをしました。


彼は、

ベルク軍が全滅したかのような戦闘で

重傷を負って発見された将校でした。

敵軍ではあるけれど、

命のある患者を無視することはできず

後方の軍病院に

移送したとのことでした。

 

息が絶えてもおかしくないほどの

重傷を負ったので、

意識を取り戻して回復するまで

かなり長い時間がかかったとのこと。

神の加護があったのか、

結局、生き残ったけれど、その後も、

捕虜収容所に送られるどころか、

この良い病室を占めているのは

彼の身分ゆえでした。

 

肝心のヘルハルト家では、

戦争が終わり、遺体を収容次第、

葬儀を執り行うための

準備を終えたそうなので、

詐欺師に騙されて

遊ばれているのではないかと思いました。

もし、本当なら、

どこの気の狂った奴が、

一体、どういう理由で

自分が死んだ者扱いされることを

知っていながら放っておくのかと

思いました。

 

いくら余裕がなかった

戦時下だったとしても、

詐欺師の言葉一つを信じて

このようなことをした軍医官たちを

全員、厳格な軍法で

処罰するべきでした。

 

徐々に怒りが込み上げてきた頃、

灰皿にタバコを投げ入れた若い男が

光の中から、

ゆっくりと歩き始めました。

 

その真っ直ぐな姿勢と

優雅な歩き方だけは

本当だと信じてもいいと思った瞬間

彼は思わず

息が切れそうになりました。

彼をじっと見つめる若い男は、

とても平然とした顔をしていました。

 

片方の口の端を

すっと引き上げたその男が、

頭を下げて挨拶した瞬間、

彼は「ハハ」と

呆れた笑いを漏らしてしまいました。

それが、彼にできる唯一の答えでした。

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レイラとカイルの別れのシーンに

涙腺が崩壊しました。

 

レイラは

マティアスが死んでいることは

分かっている。

けれども、今のレイラは

彼の帰って来るという言葉に

支えられて生きているのだと

思います。

おそらく、

マティアスの遺体が見つかっても

レイラは、彼を待ち続けるのだと

思います。

そんなレイラを馬鹿だと思っても

カイルは、

レイラのそうした気持ちを

分かってあげられる

一番の理解者なのだと思います。

 

そして、ようやくカイルは

レイラとの未来を望めないことを

受け入れることができました。

穏やかな笑みで

別れの挨拶を交わす二人。

レイラはカイルが角を曲がるまで

見送ったけれど

カイルは一度も振り返らなかった。

二人の子供時代が

本当に終わってしまったのだと

思いました(号泣)

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