自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 150話 ネタバレ 原作 あらすじ 結婚式、そしてラッツでの暮らし

150話 初めてフェリックスに会ったカタリナとエリーゼは・・・

フェリックス・フォン・ヘルハルトが

自分の祖母と曾祖母を虜にするまで

それほど長い時間は

必要ありませんでした。

 

マティアスが、レイラと子供を

ラッツの邸宅に連れてきたその日、

二人は子供を愛するようになりました。

子供は、彼の父親の

子供時代の姿そのものでした。

呆れるほど似過ぎていて、

思わず失笑するほどでした。

だから、それ程までに完璧な

ヘルハルトの姿をした子供を

否定することなどできませんでした。

 

この子のためには、

これが最善だと考えなさいと、

老婦人は、

笑いを含んだ慈愛に満ちた声で、

心苦しい表情をしている嫁を

慰めました。

結局、エリーゼも、

「そうすべきでしょう」と

諦めるように頷きました。

曾祖母の胸に抱かれたフェリックスは

ニッコリと、可愛らしい笑顔で

傷ついた彼女の心を

慰めてくれました。

 

マティアスは、

ラッツで暮らして行くという意思を

明らかにしました。

家門の事業も首都に移し、

その規模を、

さらに拡大するとも言いました。

新しい時代のための変革だと

説明しましたが、

その真意が何なのかは、

すでに皆が知っていました。

腹立たしいけれど、

むやみに反対するのは

難しいことでもありました。

 

レイラは決して

社交界の女王にはなれないだろう。

生まれつきの気質がそうでした。

いっそのこと、

わずかな虚栄心でもあれば

それを、きっかけにして

やってみることもできるのに、

それすらない

控え目なだけの子供でした。

 

もちろん賢いので、

教えれば教えられた通りによく学んで

実行するだろうけれど、それだけで、

公爵夫人の役割を果たすのは難しく

むしろ、

必死になっている姿が弱点となり、

より攻撃されやすい標的に

なるはずでした。

 

社交界の事情に精通している

彼女たちは、

次のヘルハルト公爵夫人の未来を

はっきりと描くことができました。

レイラがどんなに頑張っても、

貴婦人たちは決して、彼女を

この世界の一員として

受け入れないだろうと思いました。

 

そうでなくても、

それが気になっていたところへ

マティアスが動きました。

排斥されるよりは、

むしろ先に排斥する。

今のところ、それが最善の選択でした。

 

人間の心というものは狡猾で、

自分をよく見せようとして

尻尾を振る者は馬鹿にするけれど

自分に無関心な相手には、

やきもきするものでした。

 

問題は、

女主人の席を事実上空けたまま、

社交界と一線を画しながらも、

果たしてヘルハルトが

今のような地位を

維持していけるかということでした。

しかし、マティアスは、

その点についての心配を

全く示しませんでした。

 

カタリナは、

マティアスが、永遠に片方の翼で

飛んでいかなければならないけれど

耐えられるのかと、

心配そうに尋ねましたが、

彼は「はい、おばあ様」と

躊躇するなく答えました。

そして、

しばらく窓の外の空を見つめていた

マティアスは、

穏やかな笑みを浮かべた顔で

再び二人に向き合うと、

新しい時代には、ヘルハルトの名前が

もっと高いところで、

もっと燦々と輝くようにすると

告げました。

 

大げさな自信や子供っぽい情熱を

示すのではなく、ただ当たり前の事実を

伝えるかのような彼の冷徹な態度が

二人の心を動かしました。

だからといって、自分の妻を

大学に行かせるという選択まで

理解できたわけでは

ありませんでしたが。

 

それでも、フェリックスがいるので

損をするような

取引をしたわけではないと言うと

じっと孫を見ていたエリーゼ

口元に笑みを浮かべました。

 

ラッツで築いて行く公爵夫妻の人生を

尊重する代わりに、彼女たちは、

フェリックス・フォン・ヘルハルトが

一年のうち一つの季節は、

必ず、このアルビス

過ごすことができるようにという

条件を提示しました。 

 

世の中がどのように変わっても

永遠に守らなければならない

価値もあることを、

エリーゼは信じていました。

そして、このアルビスは、

そのすべての価値が宿った場所でした。

彼女は、次の世代のヘルハルト公爵が

この価値を知る貴族であることを

望んでいました。

老婦人の意思も同様でした。

 

多少無理な条件かもしれないと

思いましたが、

マティアスは喜んで受け入れました。

自分の子供を引き離すことだという

自覚があるのかどうか疑わしいほど

あっさりした態度でした。

 

そういえば、

レイラに対する愛着に比べて、

自分の息子に対しては、多少、

無情な面があるような気がしました。

だからといって、決して責務を

疎かにしているわけではないので、

問題にするようなことでは

ありませんでした。

ただ、レイラにだけ例外的なだけで、

実は、それが

本来のマティアスでもありました。

 

まもなく結婚式が行われる祭壇を

見ていたエリーゼは、

ところで、レイラは

このことを知っているのかと、

ふと思い浮かんだ疑問に

眉を顰めました。

 

気に入らない嫁だけれど、

それでも狡猾だったり、

陰険なところのない子であることは

彼女も認めていました。

考えてみると、

あの子は、つい昨日まで、

このアルビスで生きていく

公爵夫人の人生に適応してみようと

必死に努力していましたが、

まさかマティアスの

独断的な決定だったのだろうか。

 

結婚式に出席する客が

到着し始めたという知らせが伝わり、

彼女の疑問は、その辺で止まりました。

晴れ渡った夏の日の庭園。

素敵な新郎と美しい花嫁。

少なくとも、見た目は

一枚の名画のように

素晴らしい結婚式になることは

間違いありませんでした。

結婚式に招待された客は少数でしたが

その結婚式についての噂は

社交界の至る所に広まって行きました。

ヘルハルト家については

すでに皆がよく知っていたので、

主な話題は新しい公爵夫人、

レイラ・フォン・ヘルハルトでした。

 

少なくとも美貌一つについては

決して欠けるところがなく、

何より、

マティアス・フォン・ヘルハルトと

驚くほど、

よく似合っているというのが

大半の意見でした。

 

アルビスの美しい夏の庭園と

風の中を漂う花の香り。

そして結婚が宣言された後、

バラ色の夕焼けの中で交わした

誓いのキスに関する話も

欠かしませんでした。

 

ヘルハルト公爵が、

自分の小さな花嫁を、

まるで宝物のように扱っているという

全く信じられない噂も

添えられていました。

 

あの孤高な

マティアス・フォン・ヘルハルトを

そんな風にさせられるのは

一体、どんな女なのか。

 

気になって焦った貴族たちは、

間もなく

アルビスで開かれることになる

公爵夫人の

デビューパーティーの招待状を

待っていましたが、

季節が変わっても、

そのようなことは起きませんでした。

 

その代わりに、

公爵夫妻はアルビスではなく、

ラッツに定住すること。

そして、その年の秋に、公爵夫人が

大学に入学しなければならないので

新婚旅行へは行っていないという

衝撃的なニュースが伝わって来て

再びベルクの貴族たちは驚きました。

 

その頃になると、

ヘルハルト公爵は、自分の妻に

夢中になっている男だという噂が

公然の真実となりました。

そして、

マティアス・フォン・ヘルハルトは

あえて、その事実を

否定する気がないことを、

数多くの行動で証明しました。

上品で優雅に。時には冷酷に。

レイラは両腕で本を抱えて、

生物学館を出ました。

校庭を行き来する学生たちの視線が

注がれるのを感じましたが、

レイラは、

あまり気にしませんでした。

入学してから、

ずっと続いていたことなので、

今さら、目新しいことでも

ありませんでした。

 

生物学館に

ヘルハルト公爵夫人がいる。

レイラの入学と共に、

その噂も広まって行きました。

しばらくは、集まった見物人で

講義室前の廊下が

非常に混雑するほどでした。

 

幸い、新学期が始まってからは、

そのような困惑することは起きず

一安心しました。

それだけで十分でした。

 

レイラは、

公爵夫人という大げさな名前が、

なかなか自分のもののように

感じられませんでした。

もしかしたら、これからも、

永遠にそうかもしれない。

 

しかし、今は少なくとも、

その重さに耐える方法を

身に着けることができました。

フェリックスのことを考えると

いくらでも、

そうすることができました。

 

露骨にチラチラ見て来る

男子生徒たちの一群と目が合うと

レイラはしばらく足を止めました。

先日、マティアスと一緒に出席した

晩餐会で出会った、

貴族の家門の子息たちでした。

比較的親切だった、その日とは違って

敵意と蔑視が込められた

眼差しでしたが、やはりこれも

今さらなことではありませんでした。

 

レイラは姿勢を正しながら

息を整えました。

緊張してるせいで、

本を抱えている指先に

力が入りましたが、幸いなことに

眼差しは揺れませんでした。

 

唇の端を少し引き上げたレイラは

マティアスのように丁重に優雅に、

彼らに向かって黙礼をしました。 

もちろん、完全に同じようには

できないけれど。

 

予期せぬ反応に

ビクビクする彼らを残して、

レイラは再び歩みを速め始めました。

今日は授業が早く終わる日なので、

久しぶりにフェリックスと

公園に行くことにしました。

 

子供を連れてくる乳母と

待ち合わせの約束をした

本館前の噴水台が近づくと、

レイラの足取りは、

さらに速く軽やかになりました。

 

もう、よちよち歩きも上手になり

話もできるようになった子供は、

日毎に、さらに

愛らしくなって行きました。

そして、ますます父親に似て来たので

皆を驚かせたりもしました。

 

優しいマティアス。

人々は、そのように悪戯っぽく

フェリックスのことを、

呼んだりしましたが、

レイラはその言葉に、

全面的に同意することができました。

見た目は完璧に父親なのに

性格は、全く違いました。

 

だから、本当に良かったと、

先日会ったエリーゼが、

憚ることなく、そう言った時、

レイラはギョッとしました。

ちょうど隣にマティアスがいたので

なおさらでした。

しかし、当の本人は

全く気にしていない様子でした。

 

「おかーあさま」

乳母の胸に抱かれていた子供は

母親を見つけると、

嬉しそうに叫びました。

そんな息子に手を振りながら

笑いかけたレイラの目が

丸く大きくなりました。

そのそばに、思いがけず

マティアスがいました。

噴水台に腰掛けて、

遠くの空を凝視していた

マティアスの視線が、

ゆっくりと彼女に向かいました。

目が合うと、

彼は静かに微笑みながら

立ち上がりました。

 

レイラは少し面食らった気分で、

似ている二人の男に向かって

走って行きました。

本を置いて、

乳母から子供を受け取る動作が

とても上手でした。

 

レイラは、微笑みながら

マティアスの前に立つと

どうしたのか。

今日は重要な会議があると

言っていたのに、

忙しくないのかと尋ねました。

懐に抱かれている子供も

母親と同じように笑っていました。

 

マティアスは、

「早く終わった」と短く答えた後

レイラから子供を渡されました。

母親の胸に抱かれたように、

子供は父親の胸にも

気兼ねなく抱かれました。

 

それでは、

自分たちと一緒に行けるのかと

尋ねるレイラの目が

控えめな期待感で輝きました。

 

結婚して以来、マティアスは

異常に忙しくなりました。

元々、忙しい人だったけれど

去年の秋と冬は、早朝と深夜に

ようやく顔を見ることができるほど

多忙でした。

今や、会社の拠点を

ラッツに移す作業も仕上げ段階に入り

最近は、たまに余裕のある時間を

過ごせたこともありましたが、

このようなサプライズ訪問は

今まで、

一度もなかったことでした。

 

この男に、このような面があるとは

考えたことさえなかったので、

レイラの驚きは、

さらに大きくなりました。

 

「一緒に行く?」

じっとレイラを見つめていた彼が

片方の口の端をそっと引き上げながら

聞き返しました。

若干の悪戯心が滲み出ている

表情をしている彼から、レイラは、

記憶の中の、恐ろしいほど美しくて

目が離せなかった少年を、

放浪の孤児だった少女が訪れた

天国の主人を見ました。

 

レイラは、

一緒に行ってくれれば、

アイスクリームも買ってあげると

独り言を呟きながら

そっと視線をそらしました。

 

レイラは、彼と家族になって、

このように平穏な日常を

過ごしていることが、たまに

不慣れに感じることがありました。

何でも言ってくれればいいのに

マティアスは沈黙を守るだけでした。

 

気まずくなったレイラは、

訳もなく地面を蹴りながら

眉を顰めました。

低い笑い声が聞こえて来たのは

その時でした。

慎重に顔を上げると、

彼女を映している

青い瞳が見えました。

 

マティアスは「うん」と返事をすると

冷たくて柔らかい手で、

レイラの手を包み込むように

握りました。

 

「そうしよう」と言って

マティアスが微笑むと、

彼の胸に抱かれたフェリックスも

無邪気な笑みを浮かべました。

そっくりな二人の男の顔を

眺めていたレイラの口元にも

笑みが広がりました。

 

もぞもぞさせていた手で、

レイラは彼の手を

そっと握りました。

春の日差しが眩しく感じられました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

フェリックスにメロメロの

カタリナ様とエリーゼ

短くて物足りなかったけれど

一枚の絵のように素晴らしい

レイラとマティアスの結婚式。

フェリックスの性格が

マティアスに似ていなくて

良かったというエリーゼ

ギョッとするレイラ。

嬉々として大学へ通うレイラ。

自分にそっくりな息子を抱く

マティアス。

マティアスと手を繋ぐレイラ。

VAN JI様の美しい絵で、

幸せなシーンを想像しながら、

今回のお話を楽しみました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain