自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 158話 外伝6話 ネタバレ 原作 あらすじ 奇妙な緊張感

158話 外伝6話 レイラは勇気を出して水の中に入りました。

どれだけ甘く評価しても、

レイラ・フォン・ヘルハルトの

水泳の実力は、

落第を免れないレベルでした。

実際、評価というものが

無意味なような気もしました。

レイラの、あのもがきは、

どうしても水泳と呼ぶには

無理があったからでした。

 

レイラは彼の耳を聾する程の悲鳴を上げ

もがいて水を飲み、

そして、また悲鳴を上げることを

繰り返しました。

しかし、彼を抱き締めた時だけは、

この上なく、

おとなしい姿になりました。

その瞬間、

自分を見ている瞳に込められた

無垢な信頼を

忘れられなくなるということを

マティアスは知りました。

 

水泳とは言い難いレイラの水泳は、

夕日が沈む頃になって

ようやく終わりました。

 

マティアスは、

疲れ果てたレイラを抱き上げて、

船着き場の端に座らせました。

レイラが吐く荒い息が、

さざ波のピチャピチャいう音と

重なりました。

すぐに彼女のそばに座った

マティアスの呼吸も、

やや乱れていました。

 

彼と目が合うと、レイラは、

自分が水を飲みすぎたせいで

今日、シュルター川の水位が

少し下がったかもしれないと

くだらないことを言いながら

ニッコリ笑いました。

 

じっとその顔を見つめていた

マティアスの視線は、

レイラの体を伝って流れる

水滴に沿って動き始めました。

水に濡れて色が濃くなった髪と

上気した頬。それと対照的に、

さらに青白く見える肌。

窪んだ鎖骨を通った水滴は、

激しく上下している胸の先で

滴となりました。

その美しい色も、今はもう少し

鮮やかになっていました。

その水滴は、

少しずつ、さらに下に流れ、

両足の間に姿を消しました。

 

マティアスの目は、ようやく

再び微笑むレイラの顔を映しました。

節制された眼差しのどこにも

情欲の痕跡のようなものは

見当たらなかったけれど、

レイラは変な緊張感に囚われて

息を殺しました。

 

何も着ないで、

もがきながら泳いでいたのに、

今さら、こんな気分になるなんて

滑稽でした。

さらに、この男は

自分が産んだ子供の父親でした。

もう一年近く、同じベッドで眠りにつき

目を覚ましてきた仲でもありました。

 

レイラは水気を絞った髪を引っ張って

露わになっている胸を隠すと、

つまらなくても笑ってくれないか。

自分は今、

少し恥ずかしくなりそうだと

言いました。

ぴったり合わせた両膝にも

無意識のうちに

力が込められていました。

 

首を傾げて、彼女を見下ろしていた

マティアスは、

しばらくして軽く笑いました。

それでも、

依然として恥ずかしいことから、

問題は、

失敗した冗談ではなさそうでした。

 

指に巻きつけた髪の毛の先を

いじっていたレイラは、

脱いでおいた服を探して

周りを見回しました。

しかし、二人の服が消えた場所には、

きちんと畳まれた

ガウンとタオルが入った籠が

置かれているだけでした。

 

誰かが訪れたことに気づいた

レイラの顔に、

戸惑いの色が浮かびました。

しかし、マティアスは、

どうってことないように

ガウンを羽織りました。

 

醜態をさらしたと思うと、

レイラは目の前が真っ暗になりましたが

先にガウンで脱いだ体を隠しました。

その柔らかい感触に、

少し前に、自分の体の上を

ゆっくりと徘徊していた視線が

浮かび上がりました。

考えないように努力すればするほど

感覚はさらに鋭敏になり、

レイラを困惑させました。

 

突然、彼女は、

もう一度やってみないかと、

衝動的に提案しました。

川の水は、

今や濃い赤色に染まっていました。

まだ怖いけれど美しかったので、

レイラは、その美しさの中に、

喜んで身を投じてみたいと思いました。

 

レイラは、

もう水に浮かぶ自信がついたので

もう少し学べば・・・と言いましたが

マティアスは「ゆっくり」と

思いがけない返事をしながら、

レイラが羽織っているガウンの紐を

結びました。

きちんと形を整えた結び目が

川風に揺れました。

 

夏は長いと言って

顎を包み込む大きな手は、

ひんやりとして柔らかでした。

レイラを見下ろす視線もそうでした。

 

下瞼に垂れた長い睫毛の影を

レイラは、少しぼんやりとした気分で

見つめました。

 

「だから、ゆっくり」と言う

彼の顔は、いつの間にか

レイラの目の前まで迫っていました。

顎を握った手に力が入ると、

意識しないうちに唇が開きました。

 

「それでいい、レイラ」

僅かな熱を帯びた時、

マティアスの声は、さらに低く、

穏やかになりました。

レイラは頷くことで、

答えの代わりをしました。

 

レイラは、

このような緊張感の正体を

今はよく知っていました。

だから、この次に何が起こるか

自信を持って推測できました。

 

しかし、マティアスは、

まるで何かを推し量るかのように、

じっと見つめるだけでした。

その不可解な態度に、レイラの表情は

ますます硬くなって行きました。

 

躊躇しているわけではない。

少なくとも、それだけは

確信することができました。

ひょっとしたら、この男の人生には

そんな観念が、

存在しないかもしれませんでした。

自分のことに関しては

特にそうだということを、レイラは

誰よりもよく知っていました。

 

では、なぜ?

レイラは思わず、

川の中に浸かっているつま先を

すぼめました。

その微細な動きにも

水面には波が立ちました。

 

しばらく開いた唇を撫でていた彼の手は

虚しいほど簡単に

レイラを放しました。

疑問を示すかのように

首を小さく傾げると、

マティアスはクスッと笑いました。

驚くべきことに、それが全てでした。

経験に戻づく科学的判断に、

もう一度ひびが入った瞬間でした。

公爵夫妻の夕食の食卓は、

シュルター川を見下ろせる

離れのバルコニーに

設けられていました。

食べ物からは、まだ熱い湯気が

立ち上っていましたが、

使用人の姿は見えませんでした。

 

当然、着替えて邸宅に戻ると思っていた

レイラは、少し驚いた目で

マティアスを見ました。

この全ての命令を下したはずの

張本人である彼は、

平然とバルコニーに出ました。

食卓の前に近づき、

椅子を引いてくれる一連の動作が、

水が流れるように自然でした。

 

レイラは、

飾り棚の扉のガラスに映った

自分の姿を慌てて確認しました。

緩く編んだ髪の形を整え、

スカートのしわも直しました。

再び踏み出した足取りに合わせて

ブラウスの広々としたレースの襟が

ゆらゆらと揺れました。

 

レイラが食卓の前に座ると、

マティアスも、

向かいの席に向かいました。

前菜からデザートまで、全ての料理が

一度に並べられているので

食卓は、さらに豊かに見えました。

食事の世話は必要ないという意味が

正確に伝わったようでした。

 

お腹がとても空いていたのか、

レイラは美味しそうに

食事を始めました。

マティアスの視線は、

自分の前に置かれた食べ物よりも、

その顔の上に長く留まりました。

 

レイラは、

たくさん食べられない代わりに

真面目に食べました。

人が食事をする姿に、

そのような修飾語を使うことも

できるということを、

マティアスはレイラを通じて

初めて知りました。

 

少しずつ噛み砕いて、

しっかり噛んで飲み込み、

もう一口。

唇と頬をもぞもぞさせながら

もう一口。

そうやって着実に

自分の分の食べ物を食べていく

レイラを見守る瞬間は、

マティアスの人生の中で、

かなり大きな楽しみとして

定着しました。

 

「あっ、後で

フェリックスが大きくなったら」

突然、顔を上げたレイラの顔が

笑顔で輝きました。

レイラの唇を見ていたマティアスは

視線を上げて、

自然に彼女と目を合わせました。

平然とした彼とは違って、

レイラはビクッとして

ナプキンを握りました。

力を入れて擦った唇が

赤くなっていました。

 

マティアスは、

「フェリックスが大きくなったら?」

と聞き返すことで、

レイラが中断した言葉を

思い出させました。

水を一口飲んで唇を潤した後、

レイラは再び彼を見ました。

 

レイラは、

フェリックスが大きくなったら、

フェリックスにも

泳ぎを教えてあげればいいと思うと

提案しました。

 

マティアスは

「泳ぎ?」と聞き返すと、レイラは

「はい。あなたが直接、

このシュルター川で」と答えました。

マティアスは、「うん、そうする」と

快く承諾しました。

 

それは、少しも難しいことでは

ありませんでしたが、レイラは

とても大きな夢でも叶えたかのように

喜びました。

しかし、やがて、その顔の上に、

突然、心配の色が浮かびました。

 

レイラは、

狩りも教えるのかと尋ねました。

マティアスは、「そうだろうね」と、

今回も気軽に答えました。

 

彼は父親から、

自分の名前が刻まれた銃を

プレゼントされて、狩りを学びました。

それは、代々受け継がれて来た

ヘルハルト家の伝統であり、

後継者として認められるための

一つの手続きでもありました。

 

理解したというように頷きながらも、

レイラは諦めきれず、

不満そうな顔をしていました。

 

マティアスは、

自分が義務を果たせば、

決定はフェリックスが

下すことになるだろうと答えると

火を灯した燭台と

センターピースをチラッと見た後、

一層落ち着いた顔で

再びレイラに向き合いました。

そして、

名射手になるか、

鳥の心を知ることになるか。

その判断はあの子に任せると

付け加えました。

 

しばらく物思いに耽っていたレイラは

「あなたの決定は?この夏、この森で

狩りが行われるのでしょうか」と

尋ねました。

 

マティアスは、

「どう思う?」と尋ねました。

レイラは、

狩りをしないと思うと答えました。

懇願を込めた瞳が澄んで輝きました。

 

マティアスは

喜んで妻と目を合わせました。

レイラもやはり

彼の目を避けませんでした。

 

マティアスは、

「なぜ?」と尋ねました。

レイラは、

ヘルハルト公爵が

鳥の心を知っている紳士だからと

答えました。

 

よくもまあペラペラと

不埒な返事をしながら、

こんなに真剣な表情をするなんて。

 

レイラが、

このカルスバル、いえ、

帝国最高の紳士だと付け加えると、

じっとレイラを見つめていた

マティアスは、

今回も、結局笑い出しました。

もし世話をする使用人がいたら、

かなり、うろたえたであろう、

とても穏やかで愉快な笑いでした。

 

マティアスは、その笑い以外に

何の返事もしませんでしたが、

レイラは、

この夏、公爵が帰って来た

アルビスの森は

平穏だろうということが

分かりました。

その平穏のもう一つの名前は、

おそらく愛であることも。

 

夕食は、

一段とリラックスした雰囲気の中で

続きました。

奇妙な緊張感を払い退けたレイラは、

たくさん笑って

楽しくお喋りをしました。

 

日が沈んだ空の上に

数多くの星々が輝き、

その星の光を映す川が流れる

美しい時間でした。

 

「あそこを見て! ホタルがいます!」

川岸を彷徨っている煌めく光を見た

レイラは、感嘆して叫びました。

飛び上がって、

手すりの前に走っていく仕草が、

飛び立つ小鳥のように

軽やかで軽快でした。

 

冷たいシャンパンを一口飲むことで

食事を終えたマティアスも、

立ち上がって

妻の元に近づきました。

一つ二つと彷徨っていたホタルは、

いつの間にか群れをなしていました。

 

レイラは夢を見ているような気分で、

その光の波を見ていました。

夏のシュルター川沿いで

いつも見てきた風景でしたが、

まるで初めて見たように

胸が躍りました。

 

たぶん、それは、

あなたと一緒に見るのが初めてだから。

レイラは、

そのときめきを喜んで受け入れ、

首を回しました。

いつものように、そこには

彼女を映している

青い瞳がありました。

 

ゆっくりと近づいて来た

マティアスの手が、

何を話せばいいのか分からず、

躊躇っているレイラの頬を

包み込みました。

へとへとになっていた夕方とは違って

生き生きとしている顔を

彼は満足そうな目で

じっくりと観察して行きました。

 

レイラは、

なぜ、こんな戯れをするのかと

目を細めて、不満そうに尋ねました。

マティアスが

「戯れ?」と聞き返すと、レイラは

先程も、そうだったからと答えました。

 

マティアスは「ああ」と返事をすると

大したことないというように

クスクス笑いながら、

レイラの顎を握った手に

力を入れました。

 

マティアスは、

君が早く疲れてぐったりしてしまうと

あまり面白くないからと答えました。

 

レイラは

「何ですって?」と聞き返すと

時々、この男が

ひどく執拗になったりする夜のことを

思い出して、小さく息を吐きました。

そんな時、レイラは、

我を忘れてすすり泣き、

呻き声をあげて、うっかり

意識を失ってしまったことも

ありました。

マティアスが、それを

あまり好きではないということは

よく分かっているけれど、

自分の意志で解決できる類いのことでは

ありませんでした。

 

マティアスは、

もう、十分休んだようだと言うと、

もう片方の手で、

巧みにヘアピンを抜きました。

そして、十分食べたと言うと、

波打つように流れ落ちた

髪の毛を握りしめながら、

微笑みました。

触れ合っている体から伝わってくる

鮮明な体温に、

レイラは息を呑みました。

 

ただ、ゆっくりと閉じていた目を

開けただけで、

まったく別人になるスイッチを

入れたかのように、

マティアスの目つきが変わりました。

この男の、

このような顔を知っている人は

世の中にただ一人、

ただ自分だけだという事実を

思い浮かべると、

レイラの息遣いにも、

熱が込められました。

 

レイラは、

いつものように慌てる代わりに、

あなたの深い心遣いのおかげで、

ゆっくり休むことができたと、

かなり大胆な態度で、

彼と向き合いました。

確かに固い床を踏んでいるのに、

しきりに、つま先に、

ぴちゃぴちゃいう波の感触が

蘇りました。

 

レイラは、

だから、お返しの意味で許可すると

伝えると、

躊躇いながら差し出した手で

自分のものである美しい顔を

包み込みました。

足先をくすぐっていた水の流れが、

もう全身を

飲み込んだような気がしました。

 

それでもレイラは、

「あなたの好きなようにして。

私は、それを望んでいる」と

もう一度、勇気を出しました。

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泳いだ後に、

事に及ぶかと思っていたのですが

疲れ切っていたレイラに

食事をさせて、体力が回復するのを

待っていたなんて、

マティアスらしいというか

何というか・・・

次回は、

赤面するシーンになりそうです。

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