自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 159話 外伝7話 ネタバレ 原作 あらすじ 星がいっぱいの夏の夜

159話 レイラはマティアスの好きなようにしてと言いました。

舞い上がるように浮かんだ体が

ふかふかした何かに触れる感じに、

レイラは力を込めて

閉じていた目を開けました。

一番最初に視界に入って来たのは

星明かりが

白くぼんやりと広がる夜空でした。

 

首を回して、

ろうそくが揺れている食卓と

その向こうの手すりまで確認した後、

レイラは、自分が

バルコニーに置かれた長椅子に

横になっていることに気づきました。

 

「レイラ」

空を彷徨っていた視線が

気に入らないと言わんばかりに、

マティアスは、

レイラの顔を包み込むようにつかんで

視線を自分の方へ向けました。

 

目が合い、

続いて唇がぶつかって来ました。

一気に、舌がからみ合い、

熱っぽい息遣いが入り交じりました。

その力に、

反射的に体が縮こまりましたが、

レイラは両腕を伸ばして

喜んでマティアスの首筋を

抱きしめました。

彼女の微かなため息は、

すぐに唇を飲み込み、

舌をからめる湿った音に

圧倒されて行きました。

 

息が切れそうになる程の苦しさに

レイラがあえぐと、マティアスは、

しばらく退いてくれました。

そして、ゆっくりと

唇の縁に流れた唾液を口に含み

すぐにまた、腫れ上がった唇を

飲み込みました。

思いやりがなく、乱暴だけれど

奇妙に優しい口づけでした。

 

頭の中が熱気で混濁した頃、

マティアスの手が、

せわしく上下している

レイラの胸をつかみました。

布地を挟んでいても、

熱く感じる体温に、レイラは

小さくため息をつきながら

目を開けました。

口角をそっと上げて

微笑むマティアスの顔は、

かましくて官能的でした。

 

レイラが朦朧とした目で

その顔を見つめている間、

マティアスは、上手に

ブラウスのボタンを外しました。

そして、窪んだ鎖骨の間、

宝石の欠片のような水滴が

付いていたその場所に

唇を下ろしました。

 

マティアスの唇は、

はっきりと記憶している

水滴の跡を辿って動き出しました。

床に落ちた衣類が

一枚ずつ増えていくほど、

レイラの嬌声は高まって行きました。

その声の中に、

すすり泣きが混じる頃、

彼も荒々しく、

ジャケットを脱ぎ捨てました。

濡れた体に口を合わせる音が、

熱い息遣いと混ざり合いました。

 

喘ぎながら身をよじるレイラを

優しく束縛しながら、

マティアスは、何度も、

大丈夫、きれいと囁きました。

 

口にするのも嫌らしくて

みだりがわしいことをしているのに

信じられないほど落ち着いた声が

憎らしかったけれど、

レイラはその言葉に安堵しました。

 

頷く度に体は次第に緩み、

その体を調整するマティアスの欲望は

露骨でした。

 

やがて、彼と再び

顔を合わせる瞬間が来た時、

レイラはむしろ安堵しました。

その心を見透かすように、

ニッコリ笑うマティアスの赤い唇は

かすかな光の中でも

鮮やかに輝きました。

 

視線を避けたレイラが

満天の星空を見つめている間

ズボンのバックルを外す音が

聞こえて来ました。

その後すぐに訪れたマティアスの影が

色とりどりに染まった

レイラの体を覆いました。

 

低いうめき声と混ざり合う

彼の息づかいは、

もはや余裕がありませんでした。

レイラの小さな体は、

マティアスの動くままに揺れました。

しかし、結局振り回されてしまうのは

自分だということを

彼はよく知っていました。

その事実こそ、

自分に最も大きな満足感を

与えているということも。

 

レイラ、レイラ、レイラ。

舌の先を、

とろけるように甘くするその名前が

彼の激しい息の間から漏れました。

 

自分の名前が聞こえる度に、何とか

ぼんやりしている目の焦点を

合わせようと努力するレイラは

恐ろしいほど愛らしいと思いました。

 

「これを見て」

マティアスは、

甘い敗北感を噛み締めながら

身を屈めました。

 

「君がこんなに愛しいので

狂いそうだ」

この狂おしい欲望の責任を

転嫁するように吐き出す口づけは、

躁急で猛烈でした。

その瞬間にも、

レイラを揺さぶる動きは

止まりませんでした。

自分のものだとは思いたくない

泣き声とうめき声を上げながら、

レイラは彼を押し退け、

また抱き締めました。

どちらが本心なのか、

自分でも見分けがつきませんでした。

実際、そんなことは

無意味でもありました。

本心が何であれ、どうせ

変わることはないだろうから。

 

再び、底が深くて足が届かない、

遥か深い川の中に

身を沈めた気分でした。

しかしレイラは、もはや

その水を恐れませんでした。

息が詰まって、もがく瞬間が来ても

同じでした。

目を開けると彼が見えました。

 

その執拗な視線と躊躇しない欲望は

依然として、息が詰まりそうな

威圧感を与えましたが、

今やレイラは、

それより、もっと大きな喜びを

知っていました。

 

ヘルハルト家の傑作と称えられる

高貴な貴族が、

ただ獣のような欲望だけが

残った男になる瞬間。

彼のこのような顔を知っているのは

この世に、ただ自分一人だけ。

すなわち、この瞬間の彼は、

自分だけのものだという密かな喜び。

 

「マティ」

レイラの唇の間から流れ出た

そのくすぐったい呼びかけに

マティアスの目が細くなりました。

 

レイラが最初に

この名前を囁いたのは、

結婚式を挙げた翌日の朝でした。

日差しの中で目を覚ますと、

若干の期待感と緊張感が

共存する顔をしたレイラが

見えました。

 

彼の胸に

おとなしく抱かれていたレイラは

「マティ。どう? 気に入った?」と

陽気にさえずるような口調で

尋ねました。

遅れて、その言葉の意味を理解した

マティアスは、

思わず笑ってしまいました。

名前を呼べと何度言っても

頑なに拒んでいましたが、

ついに、呼び方を変える

決心をしたようでした。

 

しかし、マティ。

どうだろう、マティって。

 

とても幼い頃は、度々、

そのような愛称で呼ばれることも

あったようでしたが、

爵位を受け継いだ後は、誰も

フォン・ヘルハルト公爵を

そのように照れくさい名前で

呼びませんでした。

祖母や母でさえそうでした。

それなのに、今さら、

そんな呼び方をするなんて。

他の誰かが提案していたら

即座に断っただろうけれど、

レイラの声で囁くその名前は、

とても聞き心地が良かったし、

一生、レイラ以外の誰も、彼のことを

そう呼ぶことがないという事実が

かなり興味を引いたりもしました。

 

嫌なら嫌だと言ってくれても大丈夫。

あなたの言う通りに名前で呼ぶと

彼の顔色を窺いながら、

レイラは気前よく言いました。

 

「私はこっちの方が好きだけれど」

 

結局、そうやって

駄々をこねるつもりだったのか。

彼は笑うことで降伏を示し、

その瞬間から、

レイラのマティになりました。

 

彼の肩をギュッと握っていた

小さな手が、いつの間にか

彼の頬に触れていました。

そして、

「あなたも私のものだということを

知っていますか?」と尋ねました。

 

子供のように

無邪気な笑みを浮かべながら、

レイラは、彼のように

立派に不埒な言葉をかけました。

 

一体、今、自分が何を言っているのか

分かっているのかと思うほど、

朦朧とした顔を見下ろしていた

マティアスは、

熱のこもった失笑を爆発させました。

抑えつけられた息と

混ざり合ったその笑いは、多少、

陰鬱で冷え冷えとする程でした。

 

レイラ。 畜生、レイラ。

自分の頬に触れている

レイラの手を握ったマティアスの手に

自分でも、

どうすることもできない力が

加わり始めました。

 

このまま潰してしまいたい。

噛みちぎって

飲み込んでしまいたいような

気もしました。

しかし、マティアスにできるのは

せいぜい、

速い脈拍が感じられる細い手首に

長く口を合わせることだけでした。

 

「うん」

マティアスは頷きながら囁きました。

蠢く首を伝って流れ落ちた汗が

シャツの襟の下に

静かに姿を消しました。

 

「うん、レイラ」

腰を伸ばして座りながら、

レイラを見つめる彼の静かな目には

もう、どうしていいかわからない

欲望以外には

何も残っていませんでした。

星の光が、

空と川と、その間をつなぐ森を、

一面に覆ったような夏の夜でした。

その澄んで透明な夜の静けさを

揺さぶっていた騒ぎは、

ホタルの群舞が止む頃になって

ようやく静まりました。

すすり泣く声と濁ったうめき声が

交錯し、その後、訪れた静寂は

夜と共に深まって行きました。

 

マティアスは、乱れていた呼吸を

ようやく落ち着かせた後、

レイラの首筋に埋めていた顔を

上げました。

目を閉じているレイラは、

依然として苦しそうに

息を切らしていました。

体が冷えると寒気を感じるのか、

露わになった肩が

小さく震えていました。

 

赤く染まった目尻に浮かんでいる

涙を舐めたマティアスは、

彼女を胸に抱いたまま

体を回して横になりました。

そして床に腕を伸ばして、

無造作に放り出した

自分のジャケットを手に取りました。

その服でレイラを包み込む手つきは、

彼女を無慈悲に追い詰めた

張本人らしくなく、

優しいものでした。

 

レイラは、しばらくしてから

ようやく目を開けて

頭を真っ直ぐにしました。

空と星の代わりに、青い目が

彼女を迎えてくれました。

 

緩く引っ張られたタイと

しわくちゃになったシャツ。

そして、

外れたいくつかのボタンを除けば

マティアスは依然として

過度に整っている姿でした。

それが改めて悔しくて

レイラは眉を顰めましたが、

しばらくして笑ってしまいました。

余裕を失っていた彼の姿は

それほど悪くはなさそうでした。

 

レイラは、

マティアスの整った額に、

自分の額を、そっと重ねました。

優しく鼻を擦りつけ、

ちょっとした茶目っ気を込めて

口づけをしたりもしました。

彼がそうしてくれたように、

倦怠感のある満足感と

愛情を込めて。

 

クスクス笑ったマティアスは、

良い子を褒めるように

レイラの頭を撫でました。

そして、その手で、レイラの頬を

しっかりと包み込みました。

 

今度はマティアスが先に

口を合わせてきました。

彼女よりずっと上手で

とろけるような甘い口づけでした。

何だか、涙が出そうな気分でしたが

レイラはぐっと堪えました。

まるで、心が星のように

キラキラ輝いているようでした。

おかしいけれど、確かにそうでした。

公爵夫妻は、

真夜中近くの深夜になって、

ようやく離れを去りました。

そこで、そのまま眠っても

構いませんでしたが、

レイラは邸宅に戻ると

頑なに主張しました。

おそらく、

その理由はフェリックスでしたが

マティアスは、喜んで

それを受け入れました。

 

二人は手をつないで、

一晩中、夜鳥が鳴く森の道を

ゆっくり歩きました。

その事実を、今更知ったように

レイラは何度も、

そばにいるマティアスを

見つめました。

 

一人で離れを出て、

森を歩いていた日々の記憶が

彼の顔の上をよぎりました。

いつも恥ずかしくて

悲しかったけれど、少しでも、

マティアスが優しい日があると、

その、みすぼらしい気持ちが

さらに重くなって

耐えられませんでした。

 

だから、むしろ残忍に

振る舞って欲しかったけれど、

それでも無駄な期待がいつも

胸の片隅に漂っていました。

 

期待が叶えば

叶えられたことにより、

踏みにじられれば、

踏みにじられたことにより

傷ついたけれど、期待を

捨てることができませんでした。

その事実が、あまりにも苦しくて

泣きながら歩いていた夜も

たくさんありました。

 

それが愛だとは

夢にも思いませんでした。

もしかしたら、気づかないように

努力していたのかも

しれませんでした。

 

「レイラ」

風から甘い香りが漂い始めた頃、

マティアスが

静かに名前を呼びました。

レイラは、

ようやく現実に目を向けました。

彼らはいつの間にか

邸宅のバラ園を歩いていました。

 

問いかけるようなマティアスの目を

見つめながら、レイラは、

ただ、疲れているみたいだと

嘘をつきました。

 

守りたいものが何なのか

明確ではありませんでした。

自尊心なのか、

今この瞬間の幸せなのか、

あるいは他の何かなのか。

しかし、それが何であっても、

レイラは、再び過去の影の中に

入りたくありませんでした。

幸いマティアスは、

その嘘を信じているようでした。

 

だから、

全て終わったと思いました。

邸宅に戻って、

眠っている子供の頬に

お休みのキスをし、

マティアスのそばで眠りにつき、

そして、

また明日を始めればいいのだと。

 

しかし、予期せぬ出来事が

遊歩道の終わりに近づいた頃に

訪れました。

ゆったりとした足取りで

歩いていたマティアスが、

突然、その場に立ち止まりました。

彼の視線は、

淡いピンク色のバラが

いっぱい咲いている花壇に

向けられていました。

 

マティアスの瞳は、

何か深く考え込んでいるように

深く沈んでいましたが、

そこに幾分かの、

虚ろな笑みが浮かびました。

 

それは、握りつぶしても

結局、手放すことができなかった

バラでした。

何でもない女の子の存在を

しきりに思い出させて

彼を狂わせた、あの見事なバラ。

 

あの日のように、

無残に壊してしまう代わりに、

マティアスは慎重に手を伸ばして

最も美しく咲いたバラを

一輪、摘みました。

そして、茎に生えている棘を

一つずつ取って行きました。

 

むやみにかきむしった

バラの棘に刺されて

血だらけになった自分の手が

浮かび上がると、

再び柔らかな失笑が漏れました。

 

「今、一体何をしているの?」

レイラは戸惑いと疑問を湛えた目で

彼を見上げました。

棘をすべて取ったバラを握った

マティアスは、

ゆっくりと体を起こして

レイラに向き合いました。

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夜遅く、人目を忍び、

辛くて悲しい思いを抱きながら

幾度となく通った道。

二人で甘いひと時を過ごし、

手を繋いで、一緒に歩いているのに

どうしても

過去のことを思い出さずに

いられないのは、

その時に受けた傷が

あまりにも大きくて、

まだ、完全に癒されてはいないし、

到底掴むことができないと思った

幸せを手に入れたけれど、それを、

失ってしまうのではないかという

不安が、

心のどこかにあるのかもしれません。

ところで、マティアスは、

以前のレイラへのひどい仕打ちについて

謝ったのでしょうか?

レイラに対して

人道的に許されないことをしたのは

全て、彼女を愛するゆえだったと、

せめて話して欲しいと思います。

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