自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 73話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 57話 完璧だった計画の亀裂

73話 オデットにテオドラからの招待状が届きました。

近いけれど遠い所から

招待状が届きました。

テオドラ・クラウヴィッツ

オデットは、こんな風に

向き合うとは思わなかった

その名前を、

しばらくじっと見つめました。

 

彼女は、今週中に一度

実家を訪問して欲しいと

言って来ました。

その理由が、

たかが、お茶会だという事実に、

オデットは、さらに当惑しました。

渋々、結婚式に出席した日以来、

一度も、

プライベートな連絡をしたことがない

仲だからでした。

確執の溝が深くなっている

バスティアンと父親の関係を考えると

なおさら理解しがたい提案でした。

 

オデットは、

何度か繰り返し読んだ招待状を

机の上に置きました。

考えを整理している間に

目を覚ましたマルグレーテが

近づいて来ました。

 

唸り声を上げながら

足を掻きむしると、

ピンクのレースの襟が

ひらひらと音を立てました。

醜く刈った毛を隠すために

オデットが作ってやったものでした。

 

おかげで、頭の痛い問題を

しばらく忘れられたオデットは、

声を出して笑いながら

マルグレーテを抱きしめました。

引き出しに保管しておいた

干し肉を食べさせている間に、

お茶を運んで来たメイド長が

入って来ました。

 

メグは朝食をしっかり食べたと

メイド長が告げると、

適量以上のおやつを与えないという

約束を思い出したオデットは、

照れくさそうに笑いながら

前回のように、たくさんは、

あげていないと、釈明しました。

 

すぐに肉の欠片一つを

全て食べてしまったマルグレーテは

机の上に置かれている

おやつの入った箱を

じっと見つめながら、嬉しそうに

尻尾を振っていました。

もう、どうしようもないというように

笑ったドーラは、

急いでそれを取り上げました。

 

ドーラは、

メグを可愛がる気持ちは

よく分かるけれど、このままでは、

あの子が家ほど大きくなるのも

時間の問題だと注意しました。

オデットは、

約束を破ったことを謝りました。

 

奥様は、意外と

心の弱いところがあるので、

必ず厳しい乳母を

雇わなければならないと、

ドーラは、

いつもと違う冗談を言いました。

一歩遅れて、

その言葉の意味を理解したオデットは

ぎこちない笑みを浮かべながら

視線を逸らしました。

 

それから、

机の上をチラチラ見ていたドーラは、

差し出がましい干渉であることは

分かっているけれどと

前置きをした後、

実家からの招待状について

ようやく言及しました。

オデットは軽く頷くことで、

話を聞くという意思を伝えました。

 

ドーラは、

これは自分の見解に過ぎず、

決定権は奥様にあるけれど、

自分は、断るべきだと思うと

意見を述べました。

 

オデットは、

自分の考えもドーラと同じだと

答えると、

マルグレーテを降ろして、

問題の招待状を再び開きました。

ちょっとしたことでは、

一線を越えないメイド長が

大きな決断を下したのを見ると、

思っていた以上に、

複雑な事情があるようでした。

 

オデットは、

もう一つ、アドバイス

お願いしても良いかと

慎重に尋ねると、ドーラは、

待っていたかのように肯き、

いくらでも大丈夫だと告げました。

 

オデットは、

この件について、夫に

相談した方がいいかと尋ねました。

 

ドーラは、

奥様の思い通りに

処理してもいいと思う。

祭りが差し迫ったこの時期、

ご主人様にとって、

この上ない栄光となる日に、

余計な心配をさせる必要は

ないのではないかと答えました。

 

オデットは納得し、

自分の判断で断ることにすると

告げました。

ドーラは、

その名前を聞くことを、

ご主人様は喜ばないだろうから

素晴らしい考えだと返事をすると

熱意に満ちた目で

オデットを見つめました。

クラウヴィッツ一家の過去の歴史を

一つ一つ告げる準備が

できているという顔つきでした。

 

オデットは、

大変助かったと、

淡々にお礼を言うことで、

その合図を無視しました。

あえて

複雑に絡み合う必要がない仲なので

バスティアンが明かしていないことを

こんな風に

突き止めたくありませんでした。

 

明快な結論を下したオデットは、

断りの手紙を書くために

ペンを取りました。

幸いにもドーラは

適正ラインを守ってくれました。

 

オデットが密封した手紙を

下ろした刹那、

そろそろ、客を迎える準備を

しなければならないようだと

静かに待機していたドーラが、

次の予定について言及しました。

 

「え?あっ・・・

そうですね。そうします。」

新聞記者に会う約束を思い出した

オデットの眼差しが

小さく揺れました。

 

帝国最高の日刊紙に、

今回の海軍祭りの主役である

バスティアン・クラウヴィッツ

より深く掘り下げて取材した記事が

掲載される予定で、

そのスケジュールに、

オデットが含まれていたのは

写真のためでした。

 

宣伝物として活用する

クラウヴィッツ大尉夫妻の写真が

必要だと言われました。

そのようにして、

世界中に顔を晒すのは

有難くなかったけれど、

皇帝が命令して、

バスティアンが受け入れたので

オデットには選択権が

ありませんでした。

 

イザベル皇女の結婚を

成功させるための努力の一環だ。

気が進まないなら皇帝を説得しろと

彼は言いました。

素直にカメラの前に立てという

通告に等しいものでした。

 

これもまた、

業務に過ぎないという結論を下した

オデットは、

穏やかな笑みを浮かべたまま

席から立ち上がりました。

妻の仕事を始める時でした。

インタビューは客用の応接室で

行われました。

高くて大きな窓から、

アルデンの海が広がって見える

眺めの良い部屋でした。

 

帝国に忠誠を誓う名誉ある軍人。

バスティアンは、難なく

与えられた任務を遂行しました。

記者の質問は、

大部分が予想の範囲内にあり、

それに対する返事は、やはり

すでに数回繰り返して来たので

慣れていました。


取材手帳を閉じた記者は

貴重な時間を割いてもらったことに

丁寧にお礼を言った後、

最後の仕上げの写真撮影について

言及しました。

 

適切なお礼をしたバスティアンは

無駄のない動作で立ち上がりました。

影のように、

静かに留まっていたオデットも

彼の後を追いました。

 

脱いでおいた手袋をはめた

バスティアンは、

上手に妻をエスコートして、

カメラマンが待機中のバルコニーに

出ました。

オデットは制服と色を合わせた

白いドレスを着ていました。

主役の存在感を損ねないよう

気を遣った様子が

ありありと見えましたが、

それでも、

彼女の役割にふさわしい品位を

備えた姿でした。

 

オデット・クラウヴィッツ

良い妻であること。

バスティアンは、

これ以上、疑うことなく

その事実を受け入れました。

 

付いて来たカメラマンの助手は

オデットが用意された椅子に座り

バスティアンが、

その後ろ側に立つという構図を示し

二人は、

その指示に従って動きました。

しかし、撮影準備を全て終えた後、

これでは、どうもダメだと、

カメラマンが、

とんでもないことを言い出しました。

 

目を細めて

被写体をじっと見つめていた

カメラマンは、

大尉の背があまりにも高いので、

構図が変だ。恐縮だけれど、

座ってもらえないかと、

代替案を提示しました。

 

二人は、今度もあっさりと

その指示に従いました。

オデットのために用意された椅子に

バスティアンが座り、

バスティアンが立っていた場所に

オデットが立ちました。

カメラマンは、

ようやく満足そうに頷きました。

 

もう少し近くに

立ってもらえないかと、彼が

手て合図を送ると、オデットは

一歩近づいて来ました。

海風が運んで来た

馴染みのある体の匂いが

鼻先をくすぐりました。

オデットが、

毎晩丁寧に塗っているものが

調和して作り出す香りは

柔らかくて甘美でした。

 

そのように決心すれば、

拒否することもできたこと。

バスティアンは、

その事実に淡々と納得して

首を回しました。

高くて澄み切った空から

降り注ぐ日差しが眩しく、

その光に染まったオデットもまた

そうでした。

 

仲睦まじい

クラウヴィッツ大尉夫妻の写真を

今回の海軍祭りの宣伝物として

使おうとする皇帝の意志は、

いつものように

デメル提督を通じて伝わりました。

もし英雄の名誉を傷つけることなら

強要はしないという条件も

一緒でした。

何の余地も与えず押し通した時とは

全く違う態度でした。

だから、ただ、その偉そうな名誉を

口実にすれば良かったのでした。

 

皇帝は北海艦隊に対して、

特別な愛着とプライドを

持っているので、

いくらベロップの皇太子を

なだめることが重要だとしても、

トロサ海戦の英雄の名誉を

傷つける選択をするはずは

ありませんでした。

しかし、

全てを知りながら従ったのは、

バスティアンが

それを望んだからでした。

 

明確な結論に向き合うと、

膝に置かれた手に、

そっと力が込められました。

正面だけを見つめていたオデットは

ようやくバスティアンに

目を向けました。

驚いた目を瞬かせたのも束の間。

オデットは、すぐに

優雅な笑顔を取り戻しました。

 

再び黒い布の中に入ったカメラマンは

二人に向かって、

前を見てと叫びました。

本分を思い出したバスティアンは、

オデットに向けられていた視線を

正面に向けました。

カメラマンが手で合図を送ると、

バルコニーの端に立っていた助手が

素早く近づいて来て、

制服の身だしなみを整えました。

肩章と飾り紐の形を整えた彼が去ると

すべての準備が終わりました。

バスティアンは、まっすぐな目つきで

カメラを直視しました。

 

この結婚を記念する写真や肖像画

一切残さない予定でした。

どうせ二年限りの契約の残滓を

あえて残す必要はないと

判断したからでした。

 

しかし、もしも。

完璧だった計画の亀裂は、

その仮定から始まりました。

 

皇帝との取引のための手段以上に

役に立たない女だと思ったので、

そのような決定を下しました。

しかし、もしオデットが、

その後も大きな利益を

与えることができる妻なら、

話は別でした。

 

父を倒す件は、

予想よりもはるかに速く、

順調に進んでいました。

このまま行けば、

ラビエルとの縁組なしに

目的を達成することも

不可能ではなさそうでした。

 

すでに協力中の鉄道会社が

引っ掛かるけれど、

今回受注した事業が

成功裡に終えられれば、

正当な代価を払って

半分の運営権を獲得することが

できるはずでした。

 

ラビエル公爵は、

損得勘定に長けた者なので、

娘を差し出さずとも、

莫大な利益を得られる取引を

拒むはずがありませんでした。

そうなれば、

この結婚を続けるのも

悪くないと思いました。

 

そのような結論に達すると、

皇帝が望む写真を残せない理由が

なくなりました。

 

これで、本当に最後です。

もう少し優しく、大尉の肩に

手を一度乗せてくれませんか?

 

カメラマンの叫び声が

静寂の中に響き渡りました。

 

オデットは、重ねていた両手を

バスティアンの肩に乗せることで

最後の命令に従いました。

満足のいく結果だったのか、

カメラマンは

力強く数字を数え始めました。

 

与えられた任務を完遂し、

複雑な利害関係を整理した後、

自分の人生を、原点から

再び始められる日が来たら、

この女を本当の妻にして

家庭を築いても良いのではないか。

 

肩から伝わる温もりの中で

バスティアンは、

一層明確になった自分の欲望に

向き合いました。

やがて、その仮定が

確信になった瞬間、

一瞬、目を眩ませた白い光が

炸裂しました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

ヘルハルト家を訪れた時のように

金銭的な利益ではない利益を

オデットが

与えることができることを知り、

そして、何よりもバスティアンは

オデットに魅かれているから

彼女を手放したくないと思うように

なったのだと思います。

けれども、テオドラが・・・

このまま、そう簡単には

うまくは行きませんよという

フラグが立っているのが辛いです。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain