自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 82話 ネタバレ ノベル あらすじ 会社へ行け

82話 オデットはテオドラと会っています。

こんなに商売がうまくいかなくては

先が思いやられる。

おかげさまで、自分たちは

気楽に話をすることができるけれどと

呟くと、テオドラ・クラウヴィッツ

舌打ちしながら、

古びた本棚に差し込まれた楽譜集を

開きました。

たださっとページをめくるだけで、

一度も、そこに

目を留めることはありませんでした。

 

震える両手を重ね合わせたオデットは

もう一度楽譜を見ました。

蓄音機をつけたまま、

陳列台の後ろに座って

居眠りしている主人を除けば、

客は彼らだけでした。

今日の音楽は幻想曲。

陰湿な密会とは似合わない美しい旋律が

がらんとした店のあちこちに

響き渡りました。

 

オデットは、

頼まれていた名簿だと告げると

コートの内ポケットから取り出した

封筒を慎重に差し出しました。

 

眉を顰めたテオドラは、

気楽にそれを受け取ると、

面白い名前がたくさんあるけれど

まさか、これで全部かと尋ねました。

オデットは、

まだこの程度しか確保できていないと

答えました。

 

テオドラは、

グズグズしている暇は

ないのではないかと尋ねました。

オデットは、

バスティアンは、ほとんどの業務を

会社で処理しているので

家の中で得られる情報は・・・

と言い訳をしていると、

それならば会社へ行けと、

顔を顰めたテオドラが、

突然、言葉を遮りました。

そして、

オデットにはがっかりした。

すごい覚悟でもしたかのように

振舞っていたのに、

これは、あまりにも

安逸で怠惰な態度ではないかと

非難しました。

 

オデットは、

自分のしたことが気に入らないのなら

他の人を探してみてと言い返しました。

テオドラは、

自分に大声を出す立場ではないと

思うと非難しました。

オデットは、

それは奥様も同じだと思うと

言い返しました。

首輪に繋がれて

引きずり回される身に転落しても、

オデットは孤高で生意気でした。

 

テオドラは満足そうに頷きながら、

受け取った書類をしまいました。

この程度の度胸があるからこそ、

バスティアン・クラウビッツの後頭部を

叩くことができました。

他に選択肢がなかったため

選んだ相手ではあるけれど、

これなら上出来でした。

 

テオドラは、

それでも一つだけお願いするなら、

パルマー夫人を

内密に調べる時間を惜しんで、

任された仕事を

きちんと解決して欲しいと言いました。

オデットは

相変わらず自分を探って回っていると

非難すると、

それほど驚いた様子もなく

ため息をつきました。

 

父は、建物の管理人の妻が

あの事故の証人になってくれるという

主張を撤回しました。

パルマー夫人が、

あの場にいたのか、いなかったのか、

どちらとも言えないと言いました。

 

目撃していない確率が高かったけれど

むやみに確信し難かったので、

私立探偵を雇って、

パルマー夫人の行跡を調べさせました。

最大限、隠密に

動いていると思いましたが、

テオドラ・クラウヴィッツの手先は

モリーだけではないようでした。

 

テオドラは、

何でも確実にさせておく方がいいと

告げると、

肩をすくめて、振り向きました。

そして、

もう何日も残っていないので

あと少しだけ頑張ってみろと

指示しました。

オデットは、

これが最後だ。

必ず約束を守ってと告げました。

 

テオドラは、

分かっている。どうせ祭りが終われば、

バスティアンは

ベルクを離れるだろうから

当分はスパイをすることも

できないだろうと言うと、

残念そうな顔をしてみせました。

 

離婚する時まで時間を稼げばいい。

オデットは、それを慰めにして

今この瞬間の罪悪感に耐えました。

 

この女を信じるのは愚かでした。

バスティアンが帰国したら、

また脅迫を繰り返し、

不当な要求をしてくるかも

しれませんでした。

しかし、その時は、

もうバスティアンの妻では

ないかもしれないので、

本当に良かったと思いました。

 

この結婚が終わったら、

ティラと一緒に新大陸に発ち、

誰も彼らを見つけられない

とても遠い所に隠れて

暮らすつもりでした。

その頃なら、

スキャンダルが持ち上がったとしても

今のように大きな波紋を呼ぶことは

ないだろう。

バスティアンの基盤は

はるかに堅固になっているだろうし

皇帝との取引も、無事に

成立しているはずだろうから、

シミのように残った前妻の存在を

薄れさせるために

サンドリンとの再婚を急げばいいと

考えました。

 

そうしている時に、テオドラが、

「ラビエルと合弁したという

バスティアンの鉄道会社」と

突然、口にしたので、

オデットは再び緊張しました。

 

テオドラは、

ラビエル公爵の娘と

バスティアンの関係が

尋常ではないようだけれど、

どう思うかと尋ねました。

オデットは、

バスティアンは、

そんな不誠実な男ではない。

事業上、協力関係にある全ての家が

そのような関係で

絡み合っているとは言えないと

一抹の躊躇もなく答えて

首を横に振りました。

いたずらに探りを入れる餌に

違いないので、付け入る隙を

与えてはいけませんでした。

 

テオドラは、

男を信じているなんて、

意外と純真なところがあると

馬鹿にしました。

オデットは、

そんな話はしたくないと拒否しました。

 

しかし、テオドラは、

何か悪いことが起こるのではないかと

心配している。

ジェフと自分が、

そうやって出会ったから。

その時、バスティアンの実母も

あなたのように、

夫は絶対にそんな男ではないと

否定した。

でも結果はまあ、見ての通りだと、

面白い思い出話でも語るように

自分の不倫について話しました。

オデットには、

全く理解できない態度でした。

 

オデットは、

それなら、なおさらバスティアンを

信じなければならない。

母親がどんなことを経験したのか

知っている男が

父親と同じ過ちを繰り返すはずは

ないだろうからと主張しました。

 

テオドラは、

人間はそんなに高貴な存在ではない。

しかも、あの子は、

そっくりそのまま父親を引き継いだ

息子なのに、

その血がどこへ行くと言うのかと

反論しました。

 

しかし、オデットは、

そんなことを、こんなに堂々と

話すことに驚いている。

バスティアンに対して、申し訳ないとか

恥ずかしい気持ちはないのかと

尋ねました。

 

テオドラは、「全然」と答えると

すごい冗談でも聞いたように

笑いながら襟元を整えました。

そして、彼女は、

最後に、もう一つアドバイスすると

前置きをした後、

偽善を装わないように。

そうする方がもっと憎たらしいと

告げました。

そして、幻想曲の旋律と共に、

近いうちにまた会いましょうと

優しく囁くと、

オデットのこわばった肩を叩き、

軽やかな足取りで、

オデットの横を通り過ぎました。


出入り口のチャイムの音が

止まった後も、オデットは

しばらくその場に留まりました。

今や蓄音機は、幻想曲の次の楽章を

再生し始めていました。

よりによって花が咲いた春の日の午後

ラインフェルトホテルの

ラウンジに鳴り響いたのと

同じ曲でした。

海軍省の食堂は、昼食に来た軍人で

賑わっていました。

高位将校のために設けられた三階は

普通のレストランに

引けを取りませんでしたが、

その下の二階は一般的な食堂でした。

 

バスティアンは

二階の窓際のテーブルに

席を取りました。

普段は、上司と一緒に食事をするので

ここへ来るのは久しぶりでした。

 

程なくして、

優しくて親しみやすい印象の将校が

もう来ていたんだねと言って

向かい側の席に座りました。

爵位のない中産階級の家門の出身で

特に傑出しているわけでもなく

だからといって

劣っているわけでもない

無難な軍人でした。

バスティアンが将校として

任官したばかりの時も、

大尉だった彼は、依然として

大尉の階級章をつけていました。

 

彼は、

ものすごく忙しい祭りの主役が

自分を訪ねて来るなんて、

どうしたのかと尋ねました。

バスティアンは、

出征する前に一度、

会うべきだと思ったと答えました。

 

彼は、

もう自分はあなたの上司ではないので

気楽に話してくれ。

数日後には、少佐に進級する人が

どうしたのかと、手を振りながらも、

嬉しそうに笑いました。

 

久しぶりに向かい合った

二人の将校の食事は、

形式的な挨拶を交わすことから

始まりました。

近況と海軍省の話題。

適当に礼儀正しく退屈なテーマの

話を続けている間に、

食堂がさらに混雑して来ました。

 

食事が終わる頃、バスティアンは

トロサ諸島の官舎生活はどうだったかと

本論を切り出しました。

 

彼は、 あなたもその官舎で

生活していたのに、

なぜ、それを自分に聞くのかと

困惑した表情で問い返しました。

 

バスティアンは、

一人で過ごすには十分だったけれど

妻はどうなのか見当がつかないと

説明を付け加えると、

彼は、ようやく理解したというように

笑いながら頷きました。

 

彼らはトロサ諸島で

一緒に服務した間柄でした。

バスティアンは単身赴任しましたが、

彼には妻と幼い子供がいました。

 

彼は、

どうしても、

女性が好むような所ではない。

古い官舎に悪天候だし、

あそこで最も栄えている

都市だといっても、

本土の田舎町にも及ばないレベルだと

答えました。

 

バスティアンは、

奥さんは嫌がっていたのかと

尋ねました。

彼は、

必ずしもそうではなかったと答えると

照れ臭そうに笑って

頬をポリポリ掻きました。

 

彼は、

妻は毎日文句を言っていたけれど

それでも一緒にいられて良かった。

自分のいる場所が宮殿だとか何とか

言っていた。

その上、あそこで末娘ができて

生まれたので、自分たち夫婦にとって

特別な思い出のある場所だ。

それに、何だかんだ言っても

結局、人が住む場所なので

愛する家族と

一緒に暮らすことができれば

そこは、まさに楽園のようだと

目に強い意志を湛えて話しました。

軍人としての人生は

つまらなく終わるだろうけれど、

一人の人間としては

成功した人生でした。

 

バスティアンは軽く微笑むことで

彼に対する敬意を示しました。

 

彼は、バスティアンが一人で

赴任することにしたという噂を

確か、聞いたような気がすると

言いました。

バスティアンは、上層部には

そのように報告していると答えました。

彼は、

急に気が変わったのかと尋ねました。

バスティアンは、

色々なケースを考えているところだと

答えました。

 

彼は頷きながら、

あんなに美しい妻を残して行くのは

容易ではないだろうと言うと、

突然、大きな笑いを噴き出し、

バスティアン・クラウヴィッツ

自分を訪ねて来て、

こんな相談をする日が来るとは

思わなかった。人間味があっていい。

初めて、あなたが人間のように見えると

言いました。

バスティアンを見る彼の目が

一層、親しみやすくなりました。


自分があなたなら、

愛している。

あなたなしでは生きていけない。

一緒に行こうと素直に言うと思う。

夫のこんな告白を断る妻は

いないのではないかと聞きました。

 

バスティアンは、

そういう意味ではなかったと

否定しましたが、

「ああ、そうか。

そういうことにしておく」と

勝手に結論を出した彼は、

話題を変えて、

末娘の話を語り始めました。

おかげで、食事は、

気まずくない雰囲気の中で

終えることができました。

 

彼と別れたバスティアンは、

すぐに本部に戻る代わりに、

水の庭園の方へ足を向けました。

決定を覆そうという気持ちは

ありませんでしたが、

オデットのいない夜と朝を

なかなか想像できませんでした。

たった二つの季節を一緒に過ごした女が

一体何だというのか。

滑稽なことでした。

 

バスティアンはプラター川と

跳ね橋が見えるベンチに座って

タバコを咥えました。

街の向こうから、

濃い雲が押し寄せて来ました。

大雨が降りそうな天気でした。

ラッツ中心部にある

金融街に着いたのは、

雨粒の音が聞こえ始めた頃でした。

傘を持って来なかったことに

気づいたオデットは

静かなため息をつきました。

取り急ぎ、店のひさしの下に

避難しましたが、なかなか雨は

止みそうに見えませんでした。

 

楽譜店を出たオデットは、

そのまま、まっすぐ

待機中の運転手の所へ行きました。

車と共に、先に家へ帰るよう

指示を出すためでした。

心が弱くなるのではないかと

心配になって下した決定でした。

 

今日は帰りが遅くなるだろうと

バスティアンは言いました。

会社に立ち寄って

処理すべきことがあると

言っていました。

だから、今頃、彼は

あの建物の中にいるはずでした。

帰るための足が

なくなってしまったので

バスティアンを訪ねるしか

ありませんでした。

 

しばらく都市を徘徊して、

決意を固めましたが、なかなか

一歩を踏み出せませんでした。

 

どうすればいいのか、

よく分かりませんでした。

運良く、執務室まで入るのに

成功したとしても、

書類を探すまでの道のりは

遠いものでした。

バスティアンがそばにいるはずなのに

どうやって、あの男を

締め出すことができるのか。

 

むしろ、

このまま逃げ出したくなった瞬間、

豪華な黒い自動車一台が

中央銀行の隣の大理石の建物の前に

止まりました。

バスティアンが

所有している会社でした。


傘を広げた運転手が

後部座席のドアを開けると、

中年の紳士が降りて来ました。

一人の赤毛の淑女も、

その後を追いました。

 

その女がサンドリンであることに

気づいたオデットは、

思わず路地裏へ身を隠しました。 

顔が似ている紳士は

おそらく彼女の父親でした。

 

ラビエル公爵父娘が

一体、なぜここに来たのか。

頭を混乱させた疑問は、

まもなく現れた一人の男の姿によって

解消されました。

 

丁重な笑みを浮かべたバスティアンが

建物の階段を下りて来ていました。

まず、ラビエル公爵と

挨拶を交わした彼は、サンドリンにも

礼儀正しい態度を取りました。

三人はまもなく、

一緒に会社のロビーに入りました。

本格的に降り始めた雨の音は、

いつの間にか都市の騒音を圧倒するほど

大きくなっていました。

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バスティアンが赴任先へ

オデットを連れて行こうか

悩んでいる一方で、オデットは

彼を裏切ろうとしている。

それを知った時の

バスティアンが受ける傷の大きさを

考えると心が痛みます。

可愛さ余って

憎さ100倍となるのではないかと

思います。

そうなったとしても、

オデットには同情できないような

気がします。

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