自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 87話 ネタバレ ノベル あらすじ 海軍祭へ出発

87話 海軍祭へ出発する日になりました。

執事が入って来たのは

ほとんど身支度が終わる頃でした。

いつものように、

礼儀正しく黙礼をしたロビスは、

足音を立てずに、

寝室を横切って来ました。

しわだらけの顔に

喜びの笑みを浮かべたままでした。

 

身支度を整えていた侍従たちを

退けたバスティアンは、

ゆっくりと向き直って、

老執事と対面しました。

濃い紺色の制服を飾っている

名誉の記章が、朝日の中で

煌びやかな光を放っていました。

 

本当に嬉しくて誇らしい。

天にいる、祖父も母親も、

そんな気持ちで

見守っているはずだと言うロビスの

赤くなった目元が、

感激の涙で濡れていました。

 

なんだか背筋がゾッとする話だと言って

眉を顰めて笑うバスティアンの顔からは

少年のような茶目っ気が

滲み出ていました。

多少、意地悪な発言にビクッとした

ロビスも、結局、

あっさり笑ってしまいました。

 

いつの間にか14年経ちました。

その長い年月の間、ロビスは、

最も近い場所で

バスティアンを見守って来ました。

一時は仇敵にそっくりな子供を

後継者にしたカール・イリスの決断が

気に入らなかったりもしましたが、

その愚かな偏見は、

ほどなくして姿を消しました。

 

たった12歳なのに、

すでに大人になっていた子供でした。

外見以外は、他のいかなる点も

父親に似ていませんでした。

だからといって、

イリス一族に似ていると見るのも

同様に困難でしたが。

 

バスティアンは本当に完璧でした。

数え切れないほど多くの傷と試練を

克服しただけでなく、

見事なまでに目覚ましい成果まで

成し遂げました。

誰とも同じではない途轍もない人物だと

ロビスは自信を持つことができました。

それが誇らしくもあり、

一方では気の毒でした。

 

バスティアンの人生は、

自らの有効性と価値を証明する過程の

連続でした。

優等生、名誉ある軍人、有能な事業家。

誰よりも煌びやかな修飾語を

持っていたけれど、

それを取り除いた人生は

空っぽで空虚なだけでした。

 

しかし、オデットが

その虚無を満たしたことを、

ロビスは、もう疑いませんでした。

最近のバスティアンは、

ただ、彼と同年代の若い青年のように

見えました。

爽やかで活気に満ちていました。

奇跡のような変化でした。

 

ロビスは、

めでたい日に相応しくない姿を

見せたことを慌てて謝ると

涙を拭いました。

淡々と待ってくれている

バスティアンの顔には、

かつてない余裕と平穏が

宿っていました。

 

ロビスは、

そう長くはかからないうちに、

有能な執事の顔を取り戻しました。

まずは駅へ出発する時間を知らせた上で

準備事項を報告しました。

重要な用件を伝える任務も

忘れませんでした。

 

ロビスは、

ローザンに出発する前に、

少し電話で話したいと

ミラー氏から連絡があった。

折り入って、

話し合うことがあるそうなので、

今、電話をするのが良いと思うと

告げました。

バスティアンは、

「はい、そうしましょう」と

答えました。

 

それから、

ロビスは躊躇っていたものの

「あの、それから、ご主人様」と

ちょうど足を踏み出した

バスティアンに声をかけ、

「もしかして・・・話しましたか?」

と、それとなく尋ねました。

バスティアンの目が細くなりました。

わけが分からないような表情でした。

 

自分をじっと直視する目に

圧倒されたロビスは、

「いえ、少し手違いがあった」と

言って、適当に状況を収拾しました。

幸いなことに、

バスティアンは軽く笑い飛ばした後

寝室を去りました。

ドアが閉まると、侍従たちは一斉に

残念そうな、ため息をつきました。

 

もうすぐ終わりなのだから、

もう一言だけ、

付け加えてみてください。

 

そんな、でたらめな事を言うほど

暇な時ではないだろう。

 

執事さんも、

気になっているではないか。

 

賭けをした君たちほどではない。

 

ロビスの厳しい忠告に

侍従たちの視線が揺れました。

 

ご主人様は、一体いつ頃、奥様に

一緒に行こうと告白するのだろうか。

邸宅の使用人たちは、

その時期を巡って賭けをしていました。

バスティアンが

宝石店に注文しておいた指輪を

受け取りに行ったという噂が

流れた後は、

熱気が、一層、高まりました。

 

ロビスは、

うろたえて、たじたじとなっている

侍従たちを後にして

主人の寝室を立ち去りました。

依然として、まっすぐな姿勢と

厳しい表情を保っていましたが、

口元には、微かな笑みが

浮かんでいました。

 

ロビスは、

大抵、2日以内。

長くても4日を越えないだろうと

予測しました。

バスティアンが1人で

赴任するという予測をする使用人は

1人もいませんでしたが、

実はロビスの考えも

変わりませんでした。

 

お金を賭けるとしたら1日を選ぶ。

女主人の寝室の前の廊下を

通り過ぎながら、

ロビスはふと考えました。

愛の前では

不器用な少年になってしまう

英雄のための願いでした。

ラッツ駅の貴賓待合室は、

ローザン行きの特急列車を

待っている乗客で賑わっていました。

ほとんどが、

海軍祭を見物するために出かける

貴族と富豪でした。

 

テオドラはフランツに、

誰かが見たら、葬式に行くのかと

思うだろうから、笑いなさいと

声をぐっと低くして叱りました。

その瞬間も、唇は、

柔らかな弧を描いていました。

 

フランツは、

ローザンまで行く必要のないことだと

抗議すると、

ずっと握りしめていたカップを下ろし、

反発心に満ちた目で、

母親を見つめました。

そして、父親の言う通り、

こんな道化のような真似をしないで

あの日、バスティアンを訪ねて

談判すべきだったと主張しました。

 

テオドラは鋭い声で「道化?」と

ゆっくり聞き返しました。

フランツはビクッと驚きながらも、

引き下がりませんでした。

 

彼は、

皆が自分たちをチラチラ見ている。

自分たちが敵同士になったことを

社交界の誰もが知っているのに、

自分たち自ら、

バスティアン・クラウヴィッツ

英雄ごっこに拍手を送るために

乗り出して来たのだから、

それも当然だろうとぼやきました。

フランツの顔は、

羞恥心で真っ赤に染まっていました。

 

救いの光だったダイヤモンド鉱山は

あの汚い奴が仕掛けた罠でした。

その証拠を手に入れた日、母親は

クラウヴィッツ家の海軍祭への出席を

決めました。

それまで、絶対にバスティアンに

このことを、

知られてはいけないという脅しも

付け加えました。

 

すぐにでも

バスティアンの命を奪いに行く

勢いだった父親は

火の如く怒りましたが、

母親は決して意思を曲げませんでした。

自分がこの家門を

危機から救ったのだから、

自分の言うことを聞けと

一貫して要求しました。

 

自尊心が傷つくだけ傷ついた父親が

不参加を告げても、

変わることはありませんでした。

普段、夫の意思を尊重していたのとは

随分違う態度でした。

 

じっとフランツを見つめていた

テオドラは、

良い武器を手に入れたのだから

辛抱強く待つこともできるはずだと

言うと、短く舌打ちをして

眉を顰めました。


オデットは、

確かに使えそうな子でした。

しかし、

バスティアン・クラウヴィッツ

手玉に取れるほどの妖婦かと言えば

どうだろうか。

かと言って、

大層な諜報戦を繰り広げるほどの

才能と経験を備えていると見るのも

困難でした。
 

それでも、オデットが

結局やり遂げたのは、

バスティアンが油断したためだと

見るのが妥当なようでした。

テオドラを最も驚かせたのは、

まさにその事実でした。

 

そのため、とりあえず

手札を隠すことにしました。

もしかしたら、

バスティアンから受けた恥辱の

何倍も返せる

チャンスかもしれませんでした。

 

テオドラは、

その程度の英雄ごっこなんて、

いくらでも楽しませてやればいい。

場を盛り上げる道化の真似を

してやれない理由もない。

結局、自分の息子が

英雄に勝つことになるのだからと

言いました。

 

フランツは、

一体、それはどういう意味かと

尋ねました。

 

テオドラは、

あなたの父親の時代は、もう終わる。

今こそ、あなたが

バスティアンのライバルとして

立ち向かう時が来たと答えました。

 

フランツは、

「でも、自分は・・・」と

反論しようとしましたが、テオドラは

それだけの覚悟もなく、

バスティアンの妻を

欲しがったわけではないと

信じている。

奪いたければ、

強くならなければならない。

どうにもならなければ、獣たちだって

気に入った雌を手に入れるために

命がけで戦うものだと言いました。

 

素早く周囲を見回したフランツは、

彼女のことを、

そんな風に言わないでと、

切迫した様子で訴えました。

一人よがりの切々とした純情が

あまりにも情けなくなくて、

テオドラは

思わず笑いがこぼれました。

 

テオドラは、

それが世の中の道理というもの。

だから、この機会に、あなたが

バスティアンより強いということを

オデットの前で証明してみせるのも

悪くないと、最も効果的な餌で

息子を懐柔しました。

 

揺れるフランツの眼差しを見ると、

安堵感が混じった悲しみが

訪れました。

こんな姿を見ると、フランツは

間違いなくジェフの息子でした。

そしてテオドラは、

彼らの世俗的で愚かな面さえ

愛していました。

 

テーブルの向こうに目をやった

テオドラは、

あそこにエラが来ると、

素早く囁きました。

クライン伯爵家の母娘が

貴賓待合室に入ろうとしていました。

その光景を見たフランツの顔色が

目に見えて暗くなりました。

 

テオドラは、

エラに優しくするように。

自分が父親の愛人を我慢している理由も

そこにあると言いました。

しかし、フランツは

「お母さん!どうか・・・」と

訴えました。

 

テオドラは、

なぜ?まさか異母兄の妻だった女を

妻にするつもりなのかと

辛辣に嘲笑することで

息子の虚しい熱望を断ち切りました。

 

まずエラを満足させるように。

そうすれば、あの女を奪うための

剣の柄を握らせてやる。

分かったかと念を押しました。

テオドラの灰色の目が

冷たく光りました。

 

フランツは、

ただ、呆然とした表情を

浮かべていただけでしたが、

彼女は、すでに

息子の答えを知っていました。

 

テオドラは、

どうか、バスティアンが、

妻を愛しているようにと願いました。

そうすれば、フランツの勝利が

一層、輝かしいものとなるからでした。

バスティアン・クラウヴィッツ

現れたという知らせを聞いた

見物人たちが集まったラッツ中央駅は

足の踏み場もなく混雑していました。

 

バスティアンとオデットは、

秩序維持のために派遣された

警官たちの助けを借りて

プラットホームに入りました。

彼らを見た群衆の歓声が、

行き交う列車の騒音を圧倒しました。

 

苦労して道を開けた警官たちが

ローザン行きの列車が

停車している方向へ

彼らを案内しました。

 

バスティアンは

オデットを隠すように抱いて、

人混みの中を通り抜けました。

まるで凱旋行進をしているかのような

光景でした。

連日、

トロサ海戦の英雄を宣伝し続けた効果が

かなり大きく現れたようでした。

 

海軍省の見栄えの良い広告塔。

バスティアンは、

自分に与えられた役割が何なのか

正確に知っていました。

 

トロサ海戦の勝利は

もちろん大きな戦功でしたが、

これほど大げさに掲げるべき業績では

ありませんでした。

ただ、海軍省は、

帝国艦隊の名声を高めてくれる

英雄が必要で、バスティアンは

その目的に最も適した条件を

備えていました。

そこに娘のスキャンダルを

覆い隠そうとする皇帝の意図が加わり

事態がさらに大きくなりました。

 

特等車の前に着いたバスティアンは

まずオデットを乗せてから

振り返りました。

帽子を脱いで頭を下げると、

見物人たちの歓声が

さらに高まりました。

 

広告塔の役割を無事に終えた

バスティアンは、

すぐに汽車に乗りました。

最後の客の乗車が伝えられると、

出発を知らせる汽笛の音が

長く鳴り響きました。

 

土曜日午前11時45分。

見送りの人混みのせいで、10分遅れて

ローザン行きの特急列車が

首都の中央駅を出発しました。

線路沿いに散って行く蒸気の

向こうの空は、

高く聳え立つ英雄の名前のように

輝いていました。

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海軍祭に出発する直前にかかってきた

ミラーからの電話は、

オデットの裏切りと関係が

あるのでしょうか。

まもなく、バスティアンが

オデットの裏切りを知ることに

なると思いますが、

それを知った時、バスティアンが

どれだけ傷つくかと思うと、

心が痛みます。

 

ジェフは、爵位欲しさに

テオドラと結婚し、

バスティアンの母親を捨てましたが、

彼女を愛する気持ちまでは捨てられず

彼女に似た愛人を作り続けている。

ジェフからの愛という点で

テオドラは

バスティアンの母親に勝てないし

彼がジェフに似ていることも

腹立たしい。

だから、テオドラは

バスティアンが

破滅することだけを願い

フランツだけは、

バスティアンに勝たせたいと

思っている。

そのために、彼女は

フランツの前から障害を取り除き、

彼が道を誤らないよう、

彼の、ありとあらゆる行動を

管理してきたように思います。

その結果、フランツは

自分で考えて行動する力を

身につけることができず、

母親の操り人形となってしまった。

そんなフランツが

到底、バスティアンに勝てるとは

思えません。

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