自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 98話 ネタバレ ノベル あらすじ 現実感のない不幸

98話 オデットは皇女と再会しました。

ついに、

皇女とクラウヴィッツ夫人が会った。

口から口へと伝わった噂は、

たちまちパーティー会場全体に

広まって行きました。

一時、1人の男を巡って恋敵だった

いとこ同士の再会は、

今夜、皇宮に集まった客全員が

待ちわびていた見物といっても

過言ではありませんでした。

 

サンドリンは、

一緒にいたグループと共に、

話題の現場へ近づきました。

形式的な挨拶を交わした皇女が

本格的な演技を

披露し始めたところでした。

 

あの時の自分は、

本当に分別がなかったと、

過去を回想するイザベルの顔の上に

ほのかな笑みが浮かびました。

 

随分、大人になった。

結婚と出産を経験した、

これまでの時間が

無駄ではなかったようだと、

羽扇子で口を隠した

エッシャー子爵家の令嬢が

声を低くして囁きました。

 

同意しがたい見解でしたが、

サンドリンは喜んで、

同調の笑みを浮かべました。

独りよがりの愛に目が眩み、

皇室を大騒ぎさせた、

あの時代の世間知らずよりは、

一層良くなったのは

事実だったからでした。

 

幾重にも周囲を取り囲んでいる

群衆を見回したイザベルは、

自分は本当に馬鹿な過ちを犯した。

きちんと謝罪をする機会もなく

去ることになり、

どれほど心を痛めたか分からないと

言うと、やや演劇的な態度で

オデットの手を握りました。

そして、

遅くなったけれど、今からでも是非

自分の本心を伝えたかった。

ごめんなさい、オデット。

過去の自分の過ちを許してくれるかと

懇願しました。

 

オデットは、

そのことは、もうすでに忘れている。

自分は大丈夫なので気にしないでと

すでに決まっている答えを

淡々と口にしました。

 

恥辱にまみれた過去を消し、

一国の皇太子妃としての威信を

確立するというイザベルの目的は

明確でした。

そのためにオデットは動員されたので

ただその役割に忠実であれば

良いだけでした。

 

イザベルは、

オデットが理解してくれたことに

お礼を言い、

これからは良い友達として

付き合っていこうと言って

手を差し出しました。

皆の視線がオデットに集中しました。

妻のそばに近づいて来た

ベロップ皇太子も

オデットを注視していました。

オデットは一層深まった眼差しで

彼ら夫婦を見つめました。

 

渋々結婚した2人は、意外にも

互いを心から愛し合う夫婦に

生まれ変わりました。

その結晶である子供が生まれると、

ベルクとベロップの同盟は

一層、強固になりました。

国同士の結婚と後継者の誕生。

皇帝とバスティアンとの取引成立に

必要な条件が

全て満たされたわけでした。

 

オデットは、

忠実な臣下であり友人として、

新たに与えられた役目を

受け入れるように、頭を下げて、

皇女の手の甲の上にキスをしました。

内心、焦っている様子を

隠せなかったイザベルは、

ようやく明るい笑みを浮かべました。

 

イザベルは、

クラウヴィッツ少佐が帰国したら、

2人をベロップ王室の客として

招待したいのだけれど、

そうしてもいいかと

甘えるように夫を見つめながら

尋ねました。

ベロップの皇太子は、

もちろん、

望むなら、いくらでもそうすると

快く承諾することで

妻への愛情を誇示しました。

 

イザベルは、

ニコライ、愛している。

あなたと結婚したことは、

自分の人生で最高の祝福だと

感激に満ちた告白とキスで、

念入りに準備した演劇の最後を

飾りました。

ただバスティアンから

ベロップの王太子

相手が変わっただけ。

皇女の愛は、あの頃と同じように

熱烈に見えました。

 

役目を終えたオデットは

静かにその場を立ち去りました。

見物人の中に

サンドリンを発見したのは、

シャンデリアの明かりの下から

抜け出したばかりの時でした。

 

嬉しそうに近づいて来た

サンドリンは、

オデットの肩を軽く叩くと、

かなりプライドが

傷つくことだったはずなのに、

よくやり遂げた。

最後までバスティアンのために

最善を尽くしてくれた功績は

忘れないと、オデットを労いました。

そして、オデットの沈黙の前でも

サンドリンは、

恩返しは、お金が一番いいですよね。

あなたに一番必要なものだからと

平気で自分の言うべきことを

言い続けました。

偽の妻の立場を想起させる時に

よく見られる話し方でした。

 

離婚訴訟を成功的に終えたサンドリンは

以前よりも堂々と

バスティアンに対する権利を

行使していました。

この契約の開始時に、

すでに予定されていた結末でした。

今更のようなことでは

ありませんでした。

 

オデットは、

楽しい時間を過ごしてという

礼儀正しい挨拶を最後に

サンドリンから離れました。

後を追って来る人の気配に

気づいたのは、

パーティー会場の端にある

バルコニーに着いてからでした。

 

そっと閉じていた目を開けた

オデットは、疲れたため息をついて

振り向きました。

1人の男が、

バルコニーのドアを背にして

立っていました。

まさに、その予想通りの顔。

フランツ・クラウヴィッツでした。

フランツは、

神経質なため息をつきながら

ネクタイの結び目を引っ張りました。

パーティー会場を

チラチラ見る目つきからは、

隠し切れない焦りが

滲み出ていました。

 

フランツは、

あの時のあの提案について

考えてみたかと、

ついに堪えきれなくなった質問を

口にしました。

焦っているように見られたくないと

必死になってみましたが、

これ以上は無理でした。

もうすぐ最初のダンスが

始まるはずでした。

エラ・フォン・クラインの

婚約者の役割をしに行く前に

決着をつけようと思うなら

急がなければなりませんでした。

 

闇の向こうを見つめていた彼女が

ゆっくりと振り向きました。

息が詰まるほど静かな瞳は、

あの日と変わらず

冷淡な光を宿していました。

 

オデットは、

先日の美術展で話していた件について

言っているのであれば、

すでに返事はしているものと

思っていると答えました。

 

ズキズキする額を押さえながら、

フランツは、悲鳴を上げるように

オデットの名を呼びました。

遅くとも今年が終わる前には

バスティアンが戻って来る。

2人のクラウヴィッツの戦いが

再び始まるという意味でした。

その間に挟まれたオデットの運命は

決して平穏ではないはずでした。

 

フランツは、

もう一度真剣に考えてみるようにと

言ったはずだと訴えました。

オデットは、

何度考え直しても

自分の答えは変わらないと

ため息をつくように

低い声で答えました。

 

バスティアンが戻って来る前に

国外へ逃げられるように助ける。

望むなら家族と一緒でも構わない。

自分の女になってくれれば

いくらでもそうしてやると

フランツは言いました。

美術史博物館の特別展示室、

広場を挟んで向かい合っている

自然史博物館が見える窓の前での

出来事でした。

 

フランツは、

勘違いをするな。

バスティアンは、絶対に

あなたを許したわけではない。

ただ、自分の欲が全て満たされるまで

処分を先送りにしただけだと

主張しました。

 

焦って、何度も顔を擦っていた

フランツが、

神経質に眼鏡を外しました。

激情に駆られる時に現れる癖でした。

外出するオデットの後を

追ってきた日にも、

彼はこのような行動を見せました。

無理やり口づけしようとした

先日の美術展でも同じでした。

その芳しくない出来事のせいで

生じた腕の腫れを隠すために、

オデットはしばらく長袖を

着続けなければなりませんでした。

 

オデットは、

それでも、あなたには

関係ないことだと返事をすると

断固として首を横に振りながら、

後ずさりしました。

背中に触れた石造りの手すりの冷たさに

鳥肌が立ったのと同時に、

フランツの

悪ぶった笑い声が聞こえて来ました。

 

彼は、

そんなこと言わないで。

あなたには、

もう自分しかいないと訴えました。

オデットは、

そこを退いて欲しいと頼みました。

しかし、

フランツは再び眼鏡をかけると、

愛している。まだ自分の気持ちが

分からないのかと言って、

オデットの前に立ちはだかりました。

体が覚えている恐怖で

息が詰まりそうになった頃に

バルコニーのドアが

バタンと開きました。

青ざめた顔をした

トリエ伯爵夫人でした。

 

彼女はフランツの方には目もくれず

すぐにオデットに近づくと、

驚かずに聞いてと前置きをしました。

躊躇いながら

顔色を窺っていたフランツは、

その隙を狙って、逃げるように

バルコニーから立ち去りました。

 

遠ざかっていくフランツの後ろ姿を

確認したオデットは、

ようやく一息つきながら

どうぞ話してくださいと返事をして

トリエ伯爵夫人に向き合いました。

 

彼女は、

病院で、急にあなたを探していると

アルデンから連絡があったと

伝えました。

オデットが

「病院なら・・・」と呟くと、

ディセン公爵が、つまり、

あなたの父親が危篤だそうだと、

沈痛なトリエ伯爵夫人の声が

風に乗って伝わって来ました。


オデットは「そうですか」と

まるで他人の不幸に対するように

淡々と返事をしながら

遠い空を眺めました。

濃くなっていく雲が

月を覆っていました。

雨を予感させる天気でした。

ティラは、

病室の前に置かれたベンチの端に

うずくまり、すすり泣いていました。

薄暗い照明灯の光と

風雨に揺れる木の影が、その光景を

より陰鬱に見せていました。

 

乱れた髪を整えたオデットは、

疲れた足取りで

ティラの前に近づきました。

わずかな客さえも立ち去った

病院の廊下に残っているのは、

今や、

ディセン家の姉妹だけでした。

 

「落ち着いて、ティラ」と言う

ひどい疲れが滲み出た声が

深まっていた沈黙を破りました。

ティラは、ようやく顔を上げて

オデットを見つめました。

泣くのを

我慢しようとするかのように

唇を噛みましたが、

それほど大きな効果は

得られませんでした。

 

ティラは、

心の準備をした方がいいと

言われたけれど、

本当に、そんなに状況が悪いのかと

尋ねました。

オデットは、

たぶん、そうすべきだと思うと

淡々と答えて頷きました。

 

父の健康状態は、春を境にして

急激に悪化し始めました。

数年間病床に臥せっていたことで

生じた合併症のせいでした。

何より患者本人が、

生きる意欲を捨ててしまったことが

大きな問題のようだと

主治医は言いました。

オデットの見解も同様でした。

 

幸いにも、父親は、

先ほど、意識を取り戻した。

これが最後かもしれないので、

早く病室に入ってみてと、

オデットはティラを促しました。

彼女は、

父親は自分に会いたがらないだろう。

今まで、ずっとそうだったからと

死人のような顔色で首を振りました。

 

オデットは、

一体、いつまで、

こんな卑怯な真似をするつもりなのかと

ティラを叱責しました。

そして、「お姉様、私は・・・」と

呟くティラに、

静かなため息をついたオデットは、

せめて父親の臨終は見届けろと

一層厳しくなった態度で

ティラを叱りました。

 

ティラはこの夏、

無事に学校を卒業しました。

首都に戻って来ると思っていた

彼女は、意外にも

カルスバルに定住する意向を

明らかにしました。

しばらくは、

下宿を借りて生活しながら、

仕事を探すつもりだと言いました。

 

望んでいたこととは、

随分、違う結果でしたが、

オデットは臆することなく

現実を受け入れました。

一人前の大人になった子でした。

今や、自分で決定して

責任を持って生きていく方法を

学ばなければならない時が

来たわけでした。

これ以上、

ティラの保護者であり続けるのが

難しい日が来るかもしれないという

事実を勘案すれば、

なおさら、そうでした。

 

オデットは、

父親を無視して、

あなたの心が楽になるなら、

そうしてもいい。

しかし、今のように

罪悪感に苦しみながら生きていくなら

手遅れになる前に

きちんと贖罪をするように。

これは父親ではなく、

あなたのためだと言い聞かせました。

 

しかし、ティラは、

自分も、それは分かっているし、

そうしたいけれど、 今は、

とてもそうすることができないと

返事をすると、熱い涙を流しながら

後ずさりしました。

ブルブル震える両手で

お腹を包んだままでした。

 

オデットは、

その理由を尋ねました。

じっとティラを見つめる

オデットの目は、

穏やかでありながらも厳粛でした。

妥協の余地がないことを

直感したティラは、

諦めたように頭を下げると、

衝撃を受ければ、

危なくなることもある・・・と

答えました。

 

オデットはティラに、

もう一度、自分が理解できるように

きちんと説明しろと促しました。

 

ティラは、

廊下の床の上に長く伸びた

自分の影を見下ろしながら

唇を嚙み締めました。そして、

つまり、自分は、

何が言いたいかというと・・と

口ごもった後、

「ごめんなさい。実は私に

赤ちゃんができました!」と

雨音を圧倒するほどの

悲鳴のような声で告白しました。

それとほぼ同時に

鋭い鐘の音が響き始めました。

父の病室から聞こえて来る

緊急の呼び出しでした。

 

途方に暮れていたティラは、

崩れるようにベンチに座り込んで

嗚咽し始めました。

オデットは、

深く静かになった瞳の中に

その姿を収めました。

死にかけている父親と

結婚もせずに

子供を授かったという妹。

最悪に最悪を重ねた不幸は

現実感がありませんでした。

むしろ悪夢を見ていると信じた方が

妥当かもしれませんでした。

 

「クラウヴィッツ夫人!」

呼び出しを聞いて駆け付けた

看護師の叫びが、

沈みかけていた意識を

呼び覚ましました。

 

オデットは力を入れて

閉じていた目を開け、

回避できない現実に向き合いました。

ちょうど鳴り始めた雷が

うめき声が混じったため息を

隠してくれました。

 

オデットは、

トリエ伯爵夫人の家へ行ってと

冷淡な命令を最後に

振り向きました。

さらに激しくなったティラの泣き声が

聞こえて来ましたが、

これ以上、時間を遅らせることは

できませんでした。

 

オデットはティラを振り返ることなく

病室に向かって走り去りました。

まずは父のことから

考えるべき時でした。

それが正解でした。

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オデットとバスティアンの離婚を

見越して、

オデットに意地悪な労いをする

サンドリン。

 

婚約者がいるくせに、

オデットを愛人にしようとして

迫るフランツ。

オデットにケガまでさせるほど

強く腕を握るなんて。

オデットを大事にしようという気持ちが

欠けているのに、

愛していると言う資格なんてないと

思います。

 

そして、今は幸せいっぱいだから、

自分の面目を取り戻すためだけに

オデットに謝るイザベル。

 

そして、自立もできていないくせに

やることだけはやって妊娠し、

死にかけている父親のことを

思いやることもなく、

自分の体のことだけを心配して

父親に謝りさえしないティラ。

 

自分勝手な人たちに囲まれた

オデットが、今の境遇に

耐えることしかできないのが

可哀想だと思いました。

 

ところで、もう一度、

ディセン公爵の反撃が見られるかと

思いましたが、

意外にも、ここで退場しそうです。

オデットに見捨てられたのが、

よほど堪えたのではないかと

思いました。

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