自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 107話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 計算が合わない計算

107話 ティラは新大陸に行くのを嫌がっていましたが・・・

本当に申し訳ないと、

ニック・ベッカーは、

すでに何度も同じ言葉を

繰り返していました。

握りしめていたティーカップ

下ろしたオデットは、

穏やかな笑みを浮かべながら

首を横に振ると、

大丈夫、 気にしないでと言いました。

 

ニックは、

必ずティラを説得すると言いましたが

オデットは、

ティラは頑固な子なので

そうすればするほど、

かえって反発心が大きくなると

返事をしました。

 

ニック・ベッカーの隣の

空いている席を見つめる

オデットの眼差しからは、

まだ消し切れていない悲しみが

滲み出ていました。

 

結局、オデットの思い通り、

2人は、オデットが決めた日に

ベルクを去ることになりました。

時間があまりにも差し迫っているため

結婚式は

簡素に行うことになりました。

婚姻届を出して

簡単な披露宴を開いた後、

すぐ船に乗り込む予定でした。

 

このようなやり方で

ティラを送り出したくなかったけれど

オデットは、やむを得ない現実を

受け入れました。

自分を結婚式に招待したがらない

ティラの気持ちも理解しました。

深く傷ついただろうし、

何も知らないあの子にとっては、

なかなか受け入れられることでは

なかったはずでした。

 

ティーカップの横に置いておいた

懐中時計を手にしたオデットは、

ティラの好きなようにさせてと

淡々と告げました。

 

ニック・ベッカーは、

ビクッと驚いて姿勢を正しました。

あまりにも慌ただしくて戸惑っていた

最初の出会いの方が

むしろ良かったという気がしました。

公爵の娘で皇帝の姪。

現在は戦争の英雄として名高い

大富豪の妻。

自分が誰を相手にしているのか

改めて気づくと、

一層、緊張感が増しました。

 

ニック・ベッカーは、

「それでも、

こんな風に別れるのは・・・」と

言葉を濁しながら、

乾いた唾を飲み込みました。

 

華やかなドレスを身にまとった

オデットは、

絵の中から出てきたばかりのように

美しく、このような貴婦人が

ティラの姉だという事実を

彼は全く信じられませんでした。

実際、2人の姉妹は、驚くほど

似ているところがありませんでした。

姉を深く愛しながらも、

一方では嫉妬するティラの心情を

理解できるような気もしました。

 

ティラは、

最後まで自分に背を向けるほど

我慢強い子ではないだろうから、

あまり心配しないで。

時がくれば、

先に手を差し伸べてくれると

信じている。

少なくとも、

自分が知っているティラはそうだと

いっそう穏やかになった眼差しで

オデットは言いました。

気まずくなったニックは、

空のティーカップ

いじくり回しました。

 

姉に見捨てられたというのは、

どうもティラの誤解のようでした。

妹のことを話す度に浮かぶ

オデットの優しい眼差しと表情は、

明らかに愛。

決して他の何ものでもない

深い愛情から来るものでした。

そんなティラを冷たく突き放すのは

明らかに理解しがたい行動でしたが、

彼は、あえて複雑に

考えたくはありませんでした。

単に、そうするだけの事情が

あるのだろうと思いました。

それにもかかわらず、

このように大きな助けを

与えてくれているので、

本当にありがたいことでした。

 

「ティラをよろしくお願します」と、

前回と同じ挨拶で別れを告げた

オデットが席を立ちました。

ニックは、

スコートを申し出ましたが、

その必要はないと、

丁重にニック・ベッカーの見送りを

断ったオデットは、

急いでカフェを出ました。

正午を告げる時計台の鐘が

街に鳴り響いていました。

 

もうすぐ、ティーパーティーが始まる

時間でした。

オデットは慌てて

トラムの停留所に向かいました。

街の風景とそぐわない装いに

周りの耳と目が集中しているのが

感じられましたが、

そんなことを気にするだけの

余裕は残っていませんでした。

 

この外出の公式の目的は

ティーパーティーでした。

少し散歩をしたいと言って

近くに車を止めてもらったオデットは

そのまま直にトラムに乗って

下町へやって来ました。

嘘がばれないためには、

時間通りにティーパーティーに

出席しなければなりませんでした。

 

幸い、あまり遅くならないうちに

到着したトラムに乗ったオデットは、

一番後ろの座席の窓側の席に座って

一息つきました。

乗客を全員乗せたトラムは、

澄んだ鐘の音を鳴らしながら

走り始めました。

 

オデットは、ぼんやりとした目で

流れる街の風景を眺めました。

逃げるように寝室を離れた

あの夜の記憶がふと浮かんだのは、

トラムがちょうど

海軍省の見える通りに

入った瞬間でした。

 

オデットは、

夜を徘徊する幽霊のように、

暗闇に沈んだ邸宅内を

うろうろしました。

目的地は不明でした。

ただ遠くへ、彼らから遠くへ

逃げ出したいだけでした。

裸足で歩いていることに

気づいたのは、

もう両足を動かせないほど

疲れてしまった後でした。

 

あの夜のしびれるほどの冷気は、

今も、現在のことのように

鮮明に残っていました。

それでも、どうしても

背を向けることができなかった

みじめな心と

その心を照らしていた白い月明かりも

やはりそうでした。

 

結局、オデットは

一睡もせずに夜を明かしました。

夜が明ける頃になって戻った寝室は、

夜明けの光に似た

寂寞に包まれていました。

少なくとも、

あまり遅くならないうちに立ち去る

気遣いぐらいは

示してしてくれたようでした。

 

疲れ果てたオデットは、

ベッドの端に倒れるように横になり、

仮眠を取りました。

目が覚めた時は、

朝が明るく輝いていました。

サンドリンは、それから数時間後に

アルデンを去りました。

 

おかげさまで楽しい時間を過ごせたと

意味深に微笑みながら伝えて来た

サンドリンの言葉の意味を

繰り返し考えている間に、

海軍省前の停留所に停車していた

トラムが再び動き始めた。

オデットは低いため息をつきながら

目を閉じました。

5時までに

皇宮へ行く準備をするようにと

簡単な命令を伝えたバスティアンは

特に説明を付け加えることなく、

玄関ホールを横切って行きました。


いつもと違って興奮したロビスは、

主人の後を追いかけながら、

「こんなに急に?

奥様は外出中だけれど、

どうすれがいいか」と尋ねました。

バスティアンは歩くスピードを

少し遅くして、

老執事と歩調を合わせました。

 

バスティアンは、

妻は同行しない。

出発時間に合わせて

車と運転手を待機させれば十分だと

返事をしました、

 

ロビスは、

皇宮に入る時は、馬車を利用するのが

社交界のしきたりでなので、

そうした方がいいのではないかと

勧めました。

 

「さあ、どうでしょう」と

返事をしたバスティアンは

にっこり笑って、

再び歩幅を広げました。

機転の利くロビスは、

このくらいで、退くことで

自分の役目を全うしました。

 

バスティアンは規則正しい足取りで

長い廊下を横切って行きました。

皇帝に会う時間が近づいていましたが

特に感興はありませんでした。

静かに沈んでいる彼の眼差しは、

少しばかり、退屈そうに見えました。

 

「おかえりなさいませ、ご主人様」

聞き慣れた声が、

邸宅を支配している

気だるい午後の静寂を破りました。

バスティアンはチラッと目を上げ

声が聞こえて来た方を見ました。

向こうからメイド長が

近づいて来るところでした。

 

バスティアンは斜めに見下ろした目で

ドーラが抱えている荷物を見ながら

それは何かと尋ねました。

ドーラは、

奥様宛に届いたもので、

やむを得ず葬儀に出席できなかった

知人たちが送って来た

お悔みの手紙と贈り物だと答えました。

 

「ああ、お悔み」と

その、とんでもない単語を繰り返して

笑ったバスティアンは、

山のように積まれた荷物を持っている

メイド長に代わって

オデットの部屋のドアを

開けてやりました。

立ち去ろうとした彼を

引き留めたのは、

あの女の寝室を通り抜けた風が

運んで来た馴染みのある香りでした。

その風が吹いてくるところを

見つめるバスティアンの眉間が

徐々に狭まりました。

踵を返して敷居を越えたのは

多分に衝動的な選択でした。

メイド長が荷物を整理している間、

バスティアンはゆっくりと

妻の寝室を歩き回りました。

オデットの部屋は、

彼の記憶と大きく変わったところは

ありませんでした。

家具や小物の配置はもちろん、

完璧に整理され過ぎているせいで

生活感のない雰囲気まで、

過去のある時点で

時間が止まってしまったような

光景でした。

ベッドの横を通り過ぎたバスティアンは

柳のかごが置かれている

サイドテーブルの前で

立ち止まりました。

作りかけの服一着が

糸巻きの上に置かれていました。

 

彼の手よりも小さく見える

ベストでした。

そこに手を伸ばすと

犬がワンワン吠えました。

椅子の下に隠れて唸っている

マルグレーテの存在に、

バスティアンは、

ようやく気づきました。

 

荷物の整理をしていたドーラは

バスティアンに謝りながら

慌てて駆けつけ、

オデットの犬を抱き上げました。

 

バスティアンは、

「連れて行って」と事務的に命令すると

目標物を手に取りました。

かごの片隅には、同じ糸で編んだ靴下も

一足置いてありました。

会わない間に、

人形遊びに凝り始めたのでなければ、

残る用途は一つだけのはずでした。

 

犬を抱いたメイド長が去ると、

再び平穏が訪れました。

赤ちゃんの服を下ろした

バスティアンの唇の上に

歪んだ笑みが浮かびました。

 

2人の女の策略に翻弄された

あの夜の記憶が、

ふと脳裏をかすめました。

あんなことをしておきながら、

悠々自適に

こんなものを作っていたであろう

オデットの姿を思い浮かべて、

バスティアンは失笑しました。

 

自分は一体、あなたの何なのか。

すべてを台無しにした

その情けない疑問に対する答えを

改めて確認するようになった

気分でした。

 

何でもない。

すでに知っていた真実に

改めて気分が悪くなるのは、

それを証明する過去の歳月が

加わったせいのようでした。

 

バスティアンは

窓の前に置かれた長椅子に座り、

オデットの部屋を見つめました。

その気になれば、今夜にでもすぐ

あの女を追い出すことができました。

皇帝に離婚の通告を終えた後は、

いくらでも

冷酷になって構わないのだから。

バスティアンはそれを望んでいました。

そうだと思いました。

 

バスティアンは、

火を点けていないタバコを

くわえたまま、空中を凝視しました。

いつでも去る準備をして

生きてきた女を見送ることが、

果たして断罪なのだろうか?

 

鳥かごから放たれた鳥のように

羽ばたいて飛んでいく

オデットを考えるほど、

疑いが深まりました。

それは、全く

計算が合わない計算でした。

不貞を働いた身持ちの悪い女。

会社の機密を盗み出したスパイ。

父の体を不自由にした罪人。

どんな条件を加えてみても、

結果は変わりませんでした。

 

簡単に結論を出せない間にも、

時間は、この結婚の終わりへと

流れていました。

 

犬を連れ出したメイド長が

再び現れたのは、真昼の光が

次第に傾き始めた頃でした。

メイド長は、

ご主人様に電話がかかって来た。

ケラーと伝えれば分かると

言っていたと伝えました。

 

予期せぬ名前を聞いた

バスティアンの目が細くなりました。

ケラー。彼がラッツを離れている間、

オデットの動向を探っていた

探偵でした。

 

顎の先で肯いたバスティアンは、

そのくらいで立ち上がりました。

ぞんざいに、しわくちゃにした

タバコを捨てて振り向くと、

ぽんと、何かが落ちる音が

聞こえて来ました。

後ろのテーブルの上に置かれていた

花束でした。

 

手袋についた

タバコの灰を払い落とした

バスティアンは、腰を屈めて

それを拾いました。

見事なピンク色のバラを編んで作った

花束の中には、

見覚えのある紋章が印された手紙が

差し込まれていました。

飛翔する鷹。ジェンダスでした。

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オデットは、

何か欲しいものがあっても

おそらく、ほとんど

手に入れることができなかったため

欲しいと言う感情を押し殺して、

生きて来たように思います。

それでも、観覧車には乗れると思って

期待していたけれど、

運悪く、乗ることができず

オデットは、

やはり欲しいものは手に入らないと

再確認したように思います。

 

すでにオデットはバスティアンを

愛するようになったけれど

彼は契約上の夫で、サンドリンのもので

自分のものにはならない。

だから、彼を欲しがってはダメと

自分の気持ちを、ずっと

抑え込んでいたのではないかと

思いました。

あのドアの向こうのことは

どうでもいい。

自分に必要なのは休息だと

思ったものの、オデットは、

バスティアンがサンドリンと

一緒に過ごしているかと思うと

いたたまれなくて、邸宅の中を

うろうろしていたのではないかと

思いました。

 

バスティアンはサンドリンに

1時間の猶予を与えたので、

彼女は、

オデットが寝ていることを期待し

ギリギリまで粘ってから

夫婦の寝室を通って

オデットの部屋に戻ったのかな?

と思いました。

もし、オデットが起きていたら、

どんな言い訳をしようか

考えていたけれど、

彼女がいなかった。

サンドリンは、

バスティアンと自分が

一緒に夜を過ごすのを

オデットが嫌がっていると思い

意地悪から、

意味深発言をしたのではないかと

思いました。

 

バスティアンの論理では、

自分を裏切った女は

切り捨てるべきだと思っている。

でも、バスティアン自身は

意識していないけれど

心の奥底では

オデットと離婚をしたくないと

思っている。

だから、離婚をしなくてもいい理由を

必死で考えているように思いました。

ジェンダス家の紋章は

離婚をしないという決定打に

なったように思います。

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