自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 111話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 逃げる準備

111話 オデットはバスティアンの思い通りにさせないつもりでいます。

オデットは途方に暮れて

テーブルを見下ろしました。

小切手と紙幣、硬貨。

そして自分の分の貴重品まで

持っている全てを集めましたが、

その金額は

みすぼらしいものでした。

この2年間貯めてきた大金を

全てティラに渡したせいでした。

あの子を

守らなければならないという

考えだけに囚われ、

この結婚が終わった後の備えを

怠るという手痛いミスを犯しました。

しかし、今さら、

時間を戻す術はありませんでした。

それなら、今できる最善策を

見つけるしかありませんでした。

 

冷えた茶で唇を潤したオデットは、

もう一度小さな書斎を探索しました。

名前の頭文字が刻まれた万年筆と

銀の指ぬきも箱に加えました。


ティラを送ったら去る。

オデットは再び決意を固めると、

お金と貴重品が入った箱を

片付けました。

それでも、これだけあれば、

国境を越えて、

しばらく隠れて過ごせるくらいには

なるはずでした。

無謀なことだと分かっているけれど

このまま、

手をこまねいているわけには

いきませんでした。

 

あの男はどうしても、自分に

子供を産ませるつもりでした。

毎日のように繰り返される

執拗で粘り強い交わりの意味を、

もうこれ以上

無視することはできませんでした。

 

バスティアンは盲目的で、時と場所

甚だしくは周囲の耳と目さえ

気にしませんでした。

声が枯れるほど、うめき声を上げ、

息を切らして、意識を失い、

再び、あの男の体の下で

揺れながら目覚める日々の

連続でした。

 

オデットは、

このようなことに関して

何も知らなかったけれど、

それでも、

あの行為が異常であることは

十分に認知することができました。

あれは、むしろ、

獣のそれに近いものがありました。

 

オデットは、鍵付きの引き出しの

一番下の段に箱を入れました。

鍵は本棚の中央に入れてある

画集の中に隠しました。

見る者はいないけれど、

それでも、万一に備えて、

できるだけ慎重にするのが

良いだろうから。

 

不安に高鳴る胸を、

ようやく落ち着かせたオデットは、

夕日が差し込む窓辺に

ゆっくりと近づきました。

庭と進入路は

一面バラ色に染まっていました。

 

すぐに、あの道へ逃げ出したい

衝動に駆られましたが、

必死に耐えました。

ティラのことを

よく知っているのを見れば、

これまで尾行されていたのは

明らかでした。

 

軽率に動けば、

計画を台無しにするかもしれない。

今のところ、

この邸宅が一番安全だという

滑稽な結論を下したオデットは

窓を開けました。

庭いっぱいに咲いている

ダルマギクの香りが

風に乗って伝わって来ました。

ジェンダス伯爵に勧められて

植えた花でした。

 

助けが必要なことがあったら

いつでも言ってください。

 

彼が、時々口にした優しい言葉が

儚い希望となって煌めき

消えて行きました。

 

世の中を欺く契約結婚をしたけれど

父親の体を不自由にした妹を

守るために、夫を裏切った。

その罪の代償として

子供を要求する夫から

逃れる手助けをして欲しいと

どうして言えるだろうか。

他の誰の名前を思い浮かべても

結果は同じでした。

 

結局、自分一人。

その残酷な真実が棘となって

刺さった瞬間、ワンワン

犬が吠える声が聞こえて来ました。

暖炉の前で昼寝をしていた

マルグレーテが

いつのまにか足元に近づき、

尻尾を振っていました。

 

オデットは静かに微笑みながら

マルグレーテを抱き締めました。

そしてクッションに押し潰された

毛並みを整え、曲がったリボンの形も

直してやりました。

 

オデットは、

淑女らしい姿を取り戻した

マルグレーテの鼻の頭に

そっとキスをしました。

眠りから覚めたばかりの犬は

限りなく柔らかくて温かでした。

 

オデットは慰めを与えてくれる

小さな体をギュッと抱きしめたまま

日が暮れていく夕方の風景を

見つめました。

インク色のような闇が降りた頃、

進入路の向こうから

車のヘッドライトが輝き始めました。

 

夜が来る。

ふと、その事実を思い出した

オデットの眼差しが深くなりました。

ますます近づいて来た明かりは、

邸宅の中央玄関の前で止まりました。

金色のスポークを持つ

黒い車の運転席から

バスティアンが降りました。

 

普段より早い退勤に驚いた

使用人たちが、

慌てふためいて駆け出し、

主人を出迎えました。

マルグレーテを降ろしたオデットは

細かく震える手で窓を閉めました。

どうやら今日は、

夜がさらに長くなりそうでした。

荒い息とうめきが

ますます速く交錯する中、

「今、使いを通じて、

ミラー氏からの手紙が届いた」と

執事が丁重に報告する声が

流れ込んで来ました。

 

激しく追い詰めていた動きを

一時、止めたバスティアンは、

寝室のドアの方へ顔を向けました。

頃合いを見計らって待たなかったのは

ロビスらしくない選択でした。

それだけ急を要する事案、あるいは

適切な時期が来ないと

判断したようでした。

 

バスティアンは腰を立てて座ったまま

大きく深呼吸をしました。

彼の下で揺れていたオデットは、

力なくベッドの上に崩れ落ちました。

 

バスティアンは「分かった」と

ため息をつくように答えました。

あえて、興奮して濁った声を

隠そうとする努力はしませんでした。

家で過ごす時間のほとんどを

妻と一緒に過ごすことに

費やしているという事実は、

すでに公然の秘密となってから

随分、経ちました。

そのおかげで、

不和説を鎮めることができたので、

その効用価値は十分でした。

何よりオデットが、その噂を

非常に恥ずかしく思っているという点が

特に気に入っていました。

 

視線を斜めに下げて、

オデットを見たバスティアンの目が

細くなりました。

彼女は死んだようにうつ伏せになり

息を切らしていました。

死体のように振る舞うことで

立ち向かう決心をしたようだけれど

残念ながら、それほど成功的な

戦略とはなりませんでした。

 

バスティアンは、

すぐに確認するので、

自分の部屋に置いておくようにと

簡潔な指示を出しながら

オデットの腰に腕を回しました。

 

ベッドの上にうつ伏せになっている

女の上に乗ったバスティアンは、

事務的な行為を続け始めました。

歪んだ唇の間から漏れる息が

次第に荒くなっていく間も、

彼の顔色は寒気を感じるほど

沈んでいました。

自分の下で揺れている青白い背中を

見下ろす目つきもそうでした。

 

軽蔑する女の上で

息を切らしている自分に対する

自嘲が深まるほど

興奮も高まって行きました。

歪んだバスティアンの唇から

新たに抑え込まれていたうめきが

沸き起こったのと同時に、

頑なに耐えていたオデットが

声を張り上げました。

 

欲望と幻滅が入り混じった行為は、

その瞬間を起点に急流に乗りました。

ベッドを映している

ドレッサーの鏡に向き合ったのは、

最低限の理性さえも、

曇り初めて来た頃でした。

 

バスティアンは

熱気で混濁した目を閉じたまま

コントロールできない激情を

飲み込みました。

そして再び目を開けた時、鏡の中に

彼をじっと見つめる青緑色の瞳が

映っていました。

顔を上げたオデットでした。

赤く濡れている目頭とは違って、

鏡に映ったバスティアンを直視する

眼差しは、風のない水面のように

静かでした。

 

オデットの顔をかすめて通り過ぎた

バスティアンの視線は、

闇に沈んだ虚空を通り過ぎ、

再びベッドの上へ向かいました。

振り返ろうとするオデットを

阻止したバスティアンは、

ただ一つの目的だけのための動きを

素早く繰り返しました。

凄まじい快感は、

一見、苦痛にも似ていました。

 

最後の瞬間が来ると、

バスティアンは獣のように

声を上げながら、

オデットを抱きしめました。

身震いする女の体から伝わる絶望感は

今日も彼を惨めにさせつつ、

満足させました。

 

息を整えたバスティアンは、

熱を帯びていた行為とは違って、

無情な身振りで退きました。

疲れて倒れたオデットは、

ただ、息を切らしていました。

めちゃくちゃになった姿を

何とかしなければならないことは

分かっているけれど、

今は指先一つ、まともに動かす力も

残っていませんでした。

それゆえ、

軽やかにベッドの下に降りる

バスティアンの姿は、

さらにオデットを当惑させました。

 

サイドテーブルに置かれた

水のグラスを空にしたバスティアンは

無駄のない動作で

ガウンを羽織りました。

オデットを

底まで引きずり下ろしながら

追い詰めた狂人の痕跡は、唯一、

微かに乱れている息一つでした。


バスティアンは

オデットを一瞥すらしないまま

自分の部屋へ向かっていきました。

閉まっていないドアの向こうから、

おそらく、

そこで待機していたらしい執事の声が

ぼんやりと聞こえて来ました。

バスティアンも、

いくつかの短い返事をしました。

 

詳しく聞こえなかったけれど

大まかな会話の内容は推測できました。

ミラー家の使いが返事を受け取るために

待機しているようでした。

会社の仕事を

何よりも重視する男なので、

今夜は、このくらいで

終わりそうな気がしました。

 

オデットは、その希望を頼りに

疲れた体を起こしました。

執事が退くと、深い静寂が訪れました。

バスティアンは

仕事に集中している様子でした。

 

オデットは

ようやくバスルームへ行き、

シャワーの下に立ちました。

勢いよく降り注ぐ水の音が

寂寞とした闇の中に響き始めました。

ベッドは空っぽでした。

通路のドアを閉めたバスティアンは

悠々と寝室を横切りました。

オデットの行方については

あえて考える必要は

ありませんでした。

あの女のすることは

どうせ分かり切っているから。

 

水の音が聞こえて来る

浴室の前を通り過ぎたバスティアンは

暖炉の前に置かれた椅子に座って

タバコに火を点けました。

もう片方の手には

トーマス・ミラーが送って来た書類を

持ったままでした。

 

フェリアとベロップを結ぶ鉄道事業権。

二人の王家と姻戚関係にある家門が

随意契約を結ぶ予定でしたが、

途中で問題が生じて

入札にかけられました。

父の会社もまた、垂涎の利権でした。


バスティアンは、この機会に

2年前のミスを

挽回しようとしていたし、

理事会の意向も同様でした。

 

父親は

姻戚のオスバルト子爵家の人脈を

利用しているようだけれど

戦略が功を奏すれば、

鉄道はもちろん鉄鋼業まで

連鎖的に崩すことも可能な

状況でした。

 

バスティアンは、

もう一度検討した企画書を

暖炉の炎の中へ投げ入れました。

いつの間にか

タバコが燃え尽きるほどの時間が

過ぎたにもかかわらず、

浴室のドアは開きませんでした。

 

バスティアンは

新しいタバコをもう一本取り出して

くわえたまま、まだ水の音が絶えない

浴室へ向かいました。

ドアを開けると、

濃い闇が彼を包み込みました。

 

眉を顰めたバスティアンは、

最も近い所にあるスイッチを

上げました。

天井の中央を飾っている

シャンデリアが明かりを灯すと、

浴室はすぐに温かい光に染まりました。

 

水の音が聞こえて来る

ガラスの壁の向こうへ近づいた

バスティアンは、

思わず呆れて笑ってしまいました。

真っ青になったオデットは、

シャワーの下にしゃがんで

震えているところでした。

肌寒い秋の夜に、

氷のように冷たい水を

浴びているのだから、

当然の結果でした。

 

バスティアンが水を止めると、

オデットはようやく顔を上げました。

それぞれ異なる温度を持った視線が

一点でぶつかりました。

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バスティアンは、オデットに対して

ひどいことをしているけれど、

彼女は、

どうして、バスティアンが

そこまでするに至ったのか、

彼がオデットに裏切られたことで

どれだけ傷ついているのか、

知ろうともせず、ただ、彼から

逃げようとしているので、

オデットに同情することができません。

自分を守ることで精いっぱいで、

人の気持ちを思いやる余裕が

ないのかもしれませんが・・・

バスティアンも

人の気持ちを思いやるのが

難しそうに思えます。

この2人が相手の気持ちを

理解しようとしなければ

互いに歩み寄るのは難しそうです。

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