自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 120話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 消えたオデット

120話 オデットとバスティアンは、カルスバルへやって来ました。

よりによって、あの部屋でした。

オデットは困った顔で

ホテルの客室を見つめました。

家具や装飾品はもちろん、

窓の向こうに広がるシュルター川や

カルスバルの街並みの風景まで、

全てが2年前と同じでした。

先頭に立って歩いている

バスティアンの後ろ姿もそうでした。

まるで、あの年の秋に

再び戻ったような気分にさせる

光景でした。

 

貴賓を迎えることができた喜びを

伝えるのに余念がなかった支配人は

何か不便な点があるかと

慎重に質問しました。

 

オデットは急いで首を横に振りながら

「いいえ」と答えて微笑みました。

バスティアンは、

スイートルームの応接室の窓際に立って

彼らを見つめていました。

 

オデットは、

再びここを訪れて歓待を受けると

感慨深いものがある。

相変わらず全てが本当に素晴らしいと

巧みに適当な言い訳を並べました。

ようやく安堵した支配人の顔の上に

明るい笑みが浮かびました。

 

繰り返し、感謝の意を表した支配人が

退くと、待機していた従業員たちも

引き返しました。

雰囲気を窺っていた

クラウヴィッツ家の随行者たちも、

そっと彼らの後に付いて

出て行きました。

 

オデットは、突然訪れた静寂の中で、

ゆっくりと息を整えました。

バスティアンは、依然として

その場所に留まっていました。

逆光が作る影のせいで、

表情を読むのが難しかったけれど

その執拗な眼差しだけは

鮮明に感じられました。

 

唇を震わせていたオデットは、

とうとう何も言えないまま

背を向けました。

そして、胸に抱いていた

マルグレーテを下ろして、

帽子とコートを脱いで片づけました。

 

そして、オデットが荷物を解き始めた

まさにその時、バスティアンは、

公爵家の老婦人が、

土曜日の昼食を一緒に取ろうと、

あなたを招待したと告げることで

沈黙を破り、

大股で応接室を横切って来ました。

しわを伸ばしていたドレスを

下ろしたオデットは、

慌てた様子が歴然とした顔で

彼に向き合いました。

 

バスティアンは結局、

ティラの結婚式に出席するという

約束を果たしました。

しかし、それは、

ごく些細な日程に過ぎませんでした。

カルスバルを訪れた主な目的は、

友好関係にある北部の有力実業家たちを

表敬訪問することでした。

結婚式のある金曜日の午後を除けば

3日間休む暇がない日程で、

特に土曜日は、

ヘルハルト公爵が主催する狩猟会に

招待され、

終日、席を外す予定でした。

それを知った瞬間、オデットは、

絶対に、

この機会を逃してはいけないと

決心していました。

 

辛うじて、表情を整えたオデットは、

その日は、狩猟会が開かれる日だと

思っていたけれど、もしかして、

昼食会に変更になったのかと

尋ねました。

 

バスティアンは、

変更になっていない。

ただ、女主人が主催する集まりが

一つ増えただけだと答えました。

 

オデットは、

その日は先約があると訴えました。

しかし、バスティアンは、

まさか、あなたの異母妹を

見送るためではないと信じたいと

言うと、

ジャケットの内ポケットから

取り出した封筒を差し出すことで

命令の代わりをしました。

オデット宛に届いた

ヘルハルト公爵夫人の招待状でした。

 

目の前が真っ暗になる気分でしたが、

オデットは諦めたように

それを受け入れました。

まだ2日間、時間が残っているので、

他の方法を

見つけることができるだろう。

まずは、不必要な疑いを

かけられないことが重要でした。

 

ますます速くなる

心臓の鼓動の音の合間に、

車を待機させたと、

出発時間を知らせる随行人の声が

聞こえて来ました。

 

オデットは、ようやく一息ついて

目を伏せました。

しばらくの間、

静かにオデットを見つめ続けていた

バスティアンは、

これといった言葉を加えることなく

客室を立ち去りました。

椅子の後ろに隠れていた

マルグレーテは、

ドアが閉まる音が響き渡った後、

オデットのそばへ走って来ました。

 

オデットはマルグレーテに

大丈夫だと言うと、

唸り声を上げるマルグレーテを抱いて

窓際に近づきました。

小さな体が与えてくれる温もりが、

胸の奥に溜まっていた冷気を

徐々に消してくれました。

 

その間に、

バスティアンを乗せた車が

ホテルの前を去りました。

オデットは窓枠にもたれかかりながら

その光景を見ました。

 

川沿いに続いている道を走っていた車が

街の向こう側へ消えて行った後、

ベッカー夫妻が到着したという

待ちに待った知らせが伝えられました。

ティラは、

姉に申し訳ないと思う分だけ泣き

感謝している分だけ笑いました。

ニック・ベッカーは

静かに席を外してあげることで、

別れを控えた2人の姉妹に

配慮しました。

 

その後も、しばらく泣き、笑い、

再び笑いを繰り返していたティラは

客室が午後の日差しで染まるほどの

時間が経ってから、

ようやく激情を静めました。

 

ティラは、

こんなに素敵な所で、

姉の祝福を受けながら

結婚できるなんて、

まだ、あまり信じられないと言うと

袖口で涙を拭い、感激に満ちた表情で

周囲を見回しました。

カルスバルの最高のホテルに

一泊した後、

結婚式を挙げる予定でした。

バスティアンの配慮がなかったら

想像もできなかったことでした。

 

ティラは、

実は、しばらくの間、

クラウヴィッツ少佐を憎んでいた。

赴任先で別の女性ができて、

姉を顧みなくなったと思っていた。

こんなに姉を愛している人を

疑ったなんて、

本当に馬鹿みたいだよねと言って

晴れやかに笑うティラの顔が

涙で輝きました。

 

ただ、微かな笑みを浮かべたオデットは

テーブルの下に置いてあった箱を持って

ティラの隣の席へ近づきました。

それを受け取ったティラは、

まもなく再び泣き出しました。

手作りのベビー服でした。

産着とベスト、靴下に帽子。

どんな気持ちでこれを準備したのか

一目で分かるプレゼントでした。

 

ティラは、

本当に姉は馬鹿みたいだ。

自分のような者の、何が可愛くて

こんな苦労をするのかと言いました。

オデットは、

そんな言葉は聞きたくないと言って

きっぱり首を横に振ると、

ティラの涙を拭いました。

乱れた髪とブラウスの襟も

きちんと整えてくれました。

 

オデットは、

泣かないように。

もう、あなたは母親なのだから

強くならなければならないと

厳しい口調で叱りました。

しかし、ティラを見つめる

オデットの眼差しは温かでした。

ティラは、

姉をギュッと抱きしめることで

答えを代わりにしました。

 

ティラは

オデットの胸に顔を埋め、

自分にとって姉が母だったことを

オデットに感謝し、自分も姉のように

良い母親になれるように頑張ると

すすり泣きながら囁きました。

 

静かにティラの背中を撫でていた

オデットの瞳から光が消えました。

母親という言葉、

ぽっこりと膨らんだティラのお腹、

心を込めてベビー服を作った時間が

言い表せない悲しみと苦痛を

呼び起こしました。

裏通りの陰気な病院と診察台、

不気味な光を放っていた

手術道具の記憶も

その後に続きました。

 

しばらくして、

ようやくオデットを放したティラは、

もし娘が生まれたら、

姉の名前を付けてあげたい。

何だか娘のような予感がする。

ニックもそう言っている。

姉の考えはどうかと、

興奮した顔で、

ぺちゃくちゃ喋りました。

 

かけるべき言葉が見つからなかった

オデットは、

ただティラの膨らんだお腹を

じっと見つめるだけでした。

 

浮かれたティラは、

一度触ってみないか。

最近は赤ちゃんが動いたりもする。

どれだけ不思議なことか

分からないと言うと、

ギュッと握ったオデットの手を、

自分のお腹の上に引き寄せました。

避ける暇もなく起こったことでした。

 

ティラが「あっ!動いている。

伯母さんに会えて嬉しいようだ」と

キャッキャッと笑うと、

胎動が、さらに鮮明になりました。

 

オデットは無意識に息を殺して

子供の動きに集中しました。

まるで母親のお腹の中で

踊っているようでした。

不思議で愛おしさを感じました。

 

むしろ狂ってしまいたくなった頃

この子を、

シャルロッテと呼んでもいいかと

ティラが無邪気な質問をしました。

しかし、ちょうどその時、

訪れた客のノックの音が、

オデットを苦境から救ってくれました。

ティラに会いに来た女学校の

同窓生たちでした。

 

一緒にいようと言う

ティラの誘いを断ったオデットは

逃げるように

ベッカー夫妻の客室を去りました。

廊下を通って階段へ。

そして、再びロビーへ。

 

ただ、ひたすら

前へ進み続けているうちに、

いつの間にか、

ホテルの建物の外にいました。

冷たい風の中に立つと、

ようやく、まともに息ができました。

 

遠くの空を

ぼんやりと眺めていたオデットは、

再び前へ進み、川沿いの道を

あてどもなく歩き始めました。

途方に暮れていたメイドは、

申し訳ない、本当に申し訳ないと

繰り返しながら、

頭を下げて謝罪しました。

 

モリーとか言ったっけ。

オデットが、メイド長の代わりに

指名して連れて来た、

今回の旅行の随行役でした。

 

様子を窺っていた侍従も、

自分が一度見て来ると、

口を挟みました。

しかし、バスティアンは、

そのままにしておくようにと

大したことではないように

返事をしながらコートを脱ぎました。

ビクッとしたハンスは

素早く近づいて、服を受け取りました。

 

暖炉の前に座って唸っている犬を

一瞥したバスティアンは、

すぐに戻って来るはずだと、

確信に満ちた口調で断言しました。

 

オデットが消えたとのこと。

異母妹が泊まった客室を訪ね、

しばらく談笑したのを最後に、

このホテルのどこにも、

あの女を見た人がいませんでした。


バスティアンは、

その知らせを聞くとすぐに

ティラの行方を確認しました。

とんでもないことに、

ベッカー夫妻はホテルのレストランで

素敵な夕食を取っているところでした。

オデットが姿を消したという知らせは

全く知らない様子でした。

 

頭を悩ませていたハンスは、

それでは奥様が戻って来るまで

夕食の時間を遅らせておくと

適切な代替案を示しました。

バスティアンは、

顎の先を少し動かして見せることで

承諾の意を伝えました。

 

そのくらいで

使用人たちを退けたバスティアンは

窓際に置かれた椅子に座って

タバコをくわえました。

その時、オデットの犬が、

そっと近づいて来て、

再び自分の存在感を示しました。

 

マルグレーテは、

椅子からそれほど遠くない所で

唸っていました。

彼と目が合うと威嚇するように

歯をむき出しにしましたが、

尻尾は両足の間に丸めたままでした。

大人になっても小さな犬でした。

一握りにもならなかった最初の頃とは

比べものにならないけれど、

依然として、

何の役にも立たないように

見えるという点では

あまり差がありませんでした。

 

火の点いていないタバコをくわえた

バスティアンは、

少し疲れのこもった目を伏せて、

その呆れた犬を見守りました。

あちこちに

目をキョロキョロさせながら

吠えまくっていたマルグレーテは、

とうとう自然に疲れて

静かになりました。

 

いつの間にか

バスティアンの足元まで

近づいて来た犬は、靴の先に、

そっとお尻をくっつけて座りました。

首に巻いたレースの襟とリボンが

その名前と同じくらい大げさでした。

 

呆れて空笑いすると、

マルグレーテが、

再び歯をむき出しにしました。

威嚇するように唸りながらも

動くことなく、その場を守りました。

 

本心が分からない犬を

置き去りにしたバスティアンは

窓の向こうの風景に目を向けました。

夜が訪れる空をゆっくり横切る光が

目に入って来ました。

あの女が夢を見るように

恍惚と眺めていた乗り物でした。

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オデットは、子供をどうしたのかなと

そればかり気になっていました。

 

オデットが戻って来ると

バスティアンが確信しているのは

彼女が愛するマルグレーテを

置いていくはずがないと

信じているからだと思います。

 

マルグレーテは、

今では、バスティアンのことが

好きになっていると思います。

でも、今まで、

彼に吠えまくっていたのが

恥ずかしくて、そう簡単に

態度を変えられないのかも

しれません。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

どんなに表現を変えても、

ホテルから遠ざかる車の画像を

AIが作成してくれなくて凹みました。

どう見ても、車は

ホテルに近づいているように見えますが

これで妥協しました。

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