自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 127話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 最善の結末

127話 探偵のケラーはフェリアへ来ています。

理解できない命令でした。

もう一度、電報を確認したケラーは

首を横に振りながら

ため息をつきました。

その間に、

料理を運んで来たウェイターが

親しげに挨拶をしました。

もう5日も顔を合わせ続けており、

すっかり、顔馴染みになっていました。

 

「おはようございます」

ケラーは適当な挨拶で

調子を合わせました。

フェリア語は苦手でしたが、

今では、簡単な意思疎通くらいは

空気を読んで、

こなせるようになりました。

 

ウェイターが立ち去ると、

ケラーはサンドイッチを

大きな口で頬張り、

むしゃむしゃと食べ始めました。

その瞬間にも、鋭く光る視線は

カフェの向かい側にある建物を

注視していました。

バスティアン・クラウヴィッツの妻が

泊まっているホテルでした。

 

カルスバルへの訪問に同行するよう

指示された時は、

内心、やりすぎだと思いました。

自分のそばにいる妻を、

あえて第三者に監視させるなんて

これは一種の病気ではないかと

疑いたくなるほど、その警戒心の強さは

常軌を逸していました。

 

意外にも、

ベッカー夫妻を尾行する任務が

与えられた時、

幸い、海の英雄が、オセロ症候群に

転落したわけではなかったんだと思い

ケラーは大いに安堵しました。

今になって考えると、むしろ、

その方が良かったと思うけれど。

 

突然、任務が変更されたのは、

ベッカー夫妻が

移民に出発する日の朝でした。

彼は港へ向かう

ティラ・ベッカーを追って

宿を出ようとしたところ、

バスティアンから急報を受けました。

すぐにカルスバルへ戻り、

妻の動向を探るように。

必要とあらば、追跡を行ってでも、

その足取りを

完璧に把握しておけという指示でした。

まるで妻の逃走を

予見していたかのような指示でした。

ところが、

ただ見守るだけだなんて!

理解できない命令を思い起こす

ケラーの眉間に、

深いしわが刻まれました。

 

カール・イリスの仕事を

手伝っていた時代から

バスティアンを知っていたので、

もう20年近い歳月が流れていました。

あまり、親密な間柄ではなく、

たまに会うと、

挨拶を交わしたくらいでした。

 

カール・イリスがこの世を去ってから

疎遠になっていた関係が

再び復活したのは、2年前からでした。

出征を控えたバスティアンが

探偵事務所を訪ねて来ました。

海外服務をしている間、

妻の動向を探って欲しいという、

名誉ある英雄であり、

妻を深く愛する男という評判とは

全く、そぐわない依頼を

するためでした。

 

一体、何を考えているのか?

考えれば考えるほど、

混乱がさらに深まっただけでした。

人を見抜く能力一つで

食い繋いできた人生なのに、

バスティアン・クラウヴィッツの本音は

全く知る術がありませんでした。

むしろ、今すぐ捕まえて来いと

命じてくれれば簡単だったはずなのに。

執拗に追跡して監視しながらも、

ただ静かに見守るだけの

バスティアンの意図が一体何なのか、

ケラーは、

全く見当がつきませんでした。

自ら進んで苦労している

バスティアンの妻も理解できないのは

同じでしたが。

 

コーヒーを

さらに2杯注文して飲むほどの

時間が経っても、

オデットは姿を見せませんでした。

会計を終えたケラーは、

そろそろ潜伏場所を変えるために

席を立ちました。

白い犬を抱いた女がホテルを出たのは

その時でした。

5日ぶりに見る、

バスティアンの妻でした。

 

警戒するように

辺りを見回したオデットは、

足早に繁華街に向かって行きました。

荷物がないのを見ると、

遠方へ旅立とうとしているのでは

なさそうでした。

 

理解できないとしても任務は任務。

コートの襟を立てて、

傷跡のある顔を隠したケラーは、

素早い動作で、

ターゲットを追いかけ始めました。

一体、どうするつもりなのかと

マリア・クロスは

単刀直入に本題を切り出しました。

皇帝があなたに押し付けた

あの厄介者のことだと、

とぼけた笑いで逃げられないよう、

釘を刺すことも忘れませんでした。


ティーカップを置いたバスティアンは

平然とした笑みを浮かべた顔で

マリアに向き合いました。

街中を騒然とさせている

スキャンダルの主人公だとは

思えない様子でした。

 

バスティアンは、

すでに話した通り、オデットは、

ただ、しばらく旅に出ているだけだと

答えました。

 

かましい嘘をつくバスティアンを

じっと見つめていたマリアは、

自分まで騙そうとするなんて、

本当にがっかりだと言うと、

深いため息をつきながら

ズキズキする額を押さえました。

 

クラウヴィッツ少佐の妻が逃げたという

カルスバルから始まった噂は、

3日も経たないうちに、

首都まで飛んで来ました。

口から口へと伝えられ、

誇張と歪曲が加わり、ついには

バスティアンが妻を虐待していたという

悪意に満ちた中傷まで、

出回っている始末でした。

 

事態の推移を

把握していないはずがないのに、

バスティアンが動く気配は

ありませんでした。

傍観者に徹し、ただひたすら、

日常を繰り返すだけでした。

そのおかげで

バスティアンを目の敵のように

思っていた者だけが浮かれていたので

腹が立つほどでした。

 

マリアは、

少なくとも自分には

真実を話して欲しい。

一体どういうことなのか知ってこそ

対策を講じることが

できるのではないかと詰め寄りました。

しかし、バスティアンは、

もう十分説明したと思うと答えました。

 

旅行の計画など全くなかったことを

確認した。

オデットは、ただ、あなたと一緒に

カルスバルを訪れて帰って来る予定で

出発したそうだ。

あなたの家の人の口から出た情報なので

言い逃れをするなと、興奮したマリアは

強硬な態度に出ました。

望む答えを聞くまでは、

絶対に退かない勢いでした。

 

バスティアンは、

静かにため息をつきながら、

濃く淹れたお茶を、

もう一杯注ぎました。

事細かな話まで逐一聞き出した相手は

間違いなく身近な者だろう。

執事、あるいはメイド長。

もしかしたら、

口の軽い料理人かもしれない。

 

叔母のスパイを推測していた

バスティアンの口元に、

ふと、失笑がよぎりました。

口止めをしたところで、

止められることではないことは

最初から分かっていました。

たかが、

この程度の餌に食いつくようでは、

むしろ疑いだけが

大きくなるはずでした。

 

バスティアンは、

あの場の思いつきで決めたことだった。

父親の葬儀に続き、

腹違いの妹の結婚式まで、

立て続けに大変なことをして、

オデットの健康が

かなり損なわれたようだ。

自分が先に休息のための旅行を勧め

妻は、それを受け入れたと話しました。

 

しかし、マリアは、

本当にそうだったら、

あんな風に姿を消すはずがない。

女王のお出かけのように、

にぎやかに旅に出たはずだ。

あなたは、いつもあの子に

度を超すほど気前が良いからと

皮肉を言いました。

 

バスティアンは、

それは、もう2年も前のことだと

反論しました。

マリアは、

目に微かな悲しみを浮かべながら

自分の目には、今でも全く

変わっていないように見えると

言いました。

 

皇帝との取引のための契約結婚

同意したのは、

バスティアンを信じていたからでした。

私情に流されて

事を台無しにするような子では

なかったから。

まさか、これほど、

愚かな愛に目がくらむとは

想像もできませんでした。

 

マリアは、

この機会に決着をつけるように。

皇帝と約束した期間は、

もう、とっくに過ぎている。

それに、

こんな莫大な被害を出している

役立たずを、

いつまでも、その座に据えておく

理由はないはずだと、

煩悶を断ち切って、

冷厳な命令を下しました。

 

結婚商売のためだけでは

ありませんでした。

もはや、政略結婚の助けを借りずとも

ジェフ・クラウヴィッツ

渡り合えるだけの力を

バスティアンは手に入れたからでした。

 

それはバスティアンの功労なので

オデットを許さない理由は

ありませんでした。

幸せな家庭を築いた甥を見ることは

マリアの長年の願いでもあったので

もしオデットの気持ちも

バスティアンと同じだったら、

もっと早く2人の将来を

祝福してあげたはずでした。

 

マリアは、

年が変わる前に離婚するように。

破局の責任はオデットにあるのだから

皇帝でも、口出しはできないだろう。

責任の所在を明確にすれば、

デマも鎮められるだろうと

言いました。

 

しかし、バスティアンは、

自分の判断で処理する。

公務には支障がないようにするので

その点は心配しなくても大丈夫だと

返事をしました。

 

マリアは、怒りで真っ赤になった顔で

何ということだ。

まさか自分が復讐に目がくらんで、

あなたを責め立てているとでも

思っているのかと抗議しました。

バスティアンは、

静かな笑みを浮かべながら

首を横に振りました。

 

彼は、

とんでもない。

自分を心配してくれる気持ちは

十分に理解している。

ただ、私的な問題まで

気にする必要はないと

話しているだけだと、

礼儀正しい態度で線を引きました。

非の打ち所もないほど丁重でしたが、

マリアを見つめる目つきは、

氷のように、

冷たく研ぎ澄まされていました。

 

こういう時は、

紛れもなく父親そっくりだ。

結局、クラウヴィッツの血が

半分、流れているという事実を

実感したマリアの唇から、

新たに諦めのため息が、

長々と漏れました。

 

欲望はクラウヴィッツにとって

信仰も同然でした。

古物商の娘が与える財産に目がくらみ

それを手に入れると、

貴族の娘がもたらす栄誉に狂い、

今日の悲劇を自ら招いた

ジェフ・クラウヴィッツ

そうだったように。

 

ただ、程度の差があるだけで

その欲望の狂信者のような気質が

自分にも内在していることを

マリアはよく知っていました。

バスティアンも同じだということも。

 

幸いなことに、

クラウヴィッツの欲望は、

一瞬の炎に過ぎませんでした。

猛烈に燃え上がるけれど、

それほど長くは続きませんでした。

ただ一つだけを渇望するには、

あまりにも貪欲な気性がもたらした

祝福でした。

 

しかし、この子は、

イリスでもありました。

マリアは物思いに耽った眼差しで

バスティアンを見つめました。

 

イリスはクラウヴィッツとは

正反対の存在でした。

たった一つの目的のために、

一生を捧げる求道者のように

その生涯を生き抜いて来ました。

その盲目的な執念は、

貧民街出身の古物商を大富豪へと

押し上げた原動力でしたが

同時に愚かな愛に目がくらんだ

大富豪の娘を死へ追いやった

毒でもありました。

 

狂信者と求道者。

はたして、水と油のような2つの気質が

1人の人間の中に

共存できるのだろうか?

 

ふと、目の前が遠くなるような

気がした瞬間、バスティアンが

席から立ち上がりました。

 

バスティアンは、

オデットはすぐに戻って来る。

その時にまた訪ねて来ると、

いっそう穏やかになった顔で

別れを告げました。

午後の日差しを受けて

青い目に宿った光は、

クラウヴィッツの欲望のようでもあり

イリスの執念のようでもありました。

 

去って行くバスティアンの後ろ姿を

見守っていたマリアは、

衝動的に彼の名前を呼びました。

足を止めたバスティアンは、

ゆっくり振り返って

彼女を見つめました。


マリアは、

バスティアンには、

まだ、母方の祖父に

返さなければならない借金が

残っているということを、

忘れてはならないと、

冷静に忠告することで、再び

バスティアンの気を引き締めました。

 

一生涯、責任と使命の重さに

押し潰されて生きて来た子供に、

もう一つの足枷をはめることになると

分かっていましたが、

気にしませんでした。

少なくとも、

彼の母の運命を辿るよりは

マシだろうから。

 

大したことではないというように

ニヤッと笑ったバスティアンは、

軍人らしい節度ある足取りで

応接室を後にしました。

 

マリアは、

どうかオデットが

永遠に戻って来ないようにと

切に祈り続けました。

それが2人にとって

最善の結末であるはずでした。

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やはり、顔に傷のある男性が

ケラーだったのですね。

126話でバスティアンは、

オデットが、正気の沙汰とは思えぬ

暴挙に出るほど愚かだと

思っていなかったと

ありますが、それでもオデットが

何かやらかすのではないかという

不安があって、ケラーに

後を付けさせていたのでしょう。

 

自分を裏切ったオデットのことを

憎んで恨んでいるなら

叔母の勧めに従って、

彼女と離婚をすればいいのだけれど

バスティアン自身が認めているように

オデットへの愛だけは

母親同様、諦め切れないので

執拗にならざるを得ないのでしょう。

オデットは不安を感じながらも

逃亡に成功したと

思っているのでしょうけれど、

バスティアンの手のひらの上で

踊らされているだけに思えます。

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