自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 129話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 出過ぎた干渉

129話 オデットが逃げたという噂が広まっていますが、バスティアンは・・・

バスティアン・クラウヴィッツ

現れたと、

口から口へと伝えられた知らせは

たちまち、パーティー会場全体に

広がって行きました。

 

バスティアンが、

主催者のデメル提督夫妻と

挨拶を交わして振り返った頃には、

パーティーに招待された客全員の

耳と目が、

バスティアンに集中していました。

マクシミンも、

例外ではありませんでした。

 

適当な言い訳をして

参加しないと思っていたけれど

意外だ。

 

もともと、

厚顔無恥な方ではなかったか。

驚くこともないだろう。

 

いくらなんでも、

妻が逃げたという噂が広まっている中

パーティーに現れるのは、

あまりにも無神経ではないか。

デメル侯爵夫人も、本当に不思議だ。

こんな時期に、なぜ、わざわざ

古物商の孫を呼んだのか、

全く、分からない。

 

社交界のゴシップを楽しんでいた

中年の貴婦人たちのグループは、

今やクラウヴィッツ少佐夫妻の

破局の噂について

騒ぎ立て始めました。

 

マクシミンは物思いに耽った顔で

静かなため息をつきました。

耳障りな話でしたが、

あまりにも声が大きくて

避ける方法がありませんでした。

 

それでも皇帝の姪である妻を

本当に虐待したのだろうか?

あまりにも仲が良いことで

有名な夫婦だったのに。

 

皇室の血筋とは名ばかりで、

浮浪者も同然の

身の上だったではないか。

イザベル皇女の盾として

一時的に利用されて、

使い捨てられた駒に過ぎないのに、

そんな妻を宝物のように慈しむ方が

むしろ、おかしな話だ。

 

あんなに愛していると言いながら

1人で赴任先へ行き、

1度も休暇を取らなかったので

怪しくはあった。

 

自分が聞いたところでは

クラウヴィッツ夫人の過ちなのだとか。

夫がいない間、

他の男と遊んでいたけれど、

子供までできてしまい、

夜逃げをしたそうだ。

 

あらゆる憶測が飛び交う中でも、

バスティアンは平然と

宴会場を闊歩していました。

海軍省の要人や名門貴族、

そして皇室の一員に至るまで、

華やかな人脈を築くのに

熱中する姿のどこにも、

消えた妻を心配する様子は

見受けられませんでした。

 

会話をしていた人々に

了解を求めたマクシミンは、

つい、その場を立ち去りました。

ますます下品になる悪口に

これ以上耐えられませんでした。

自分でも理解しがたい感情でした。

 

「こんにちは、ジェンダス卿」

低く落ち着いた声が聞こえて来たのは

パーティー会場の端に退いたばかりの

マクシミンが、

グラスを手に取った瞬間でした

オデットの夫、

バスティアン・クラウヴィッツでした。

 

マクシミンは、

「お久しぶりです」と

礼儀正しく挨拶しました。

近距離で向かい合うと、

バスティアンの大きな体格が、

より、はっきりと感じられました。

海軍提督が主催したパーティーらしく

逞しい将校が多かったけれど

バスティアン・クラウヴィッツは、

その中でも、

ひときわ目立っていました。

 

もし、このような男が、

本当にオデットを

虐待していたのだとしたら?

 

無意識のうちに、

心に留めていた噂が、ふと浮かぶと

マクシミンの表情が急に曇りました。

しかし、バスティアンは、

少しも意に介さない態度で

上手に会話を主導していきました。

 

近況を尋ねることから始まり、

株式市場の動向や、

スポーツ競技に関する話題に至るまで。

完璧な紳士の話し方を駆使する

バスティアンからは、

生涯、この世界の頂点に

君臨してきたかのような余裕と貫禄が

滲み出ていました。

血筋についての事前情報がなければ、

誰もこの男を平民だとは

思わないはずでした。

 

マクシミンは、

一貫して短い返答をしながら

オデットの夫を注視しました。

多少疲れているようには見えましたが

それ以外、特筆すべき点は

何一つ、見つかりませんでした。

苦境に立たされても、

バスティアン・クラウヴィッツ

依然として自信満々でした。

マクシミンとしては

理解しがたい面でした。

 

舞曲が演奏され始めた頃、

クラウヴィッツ夫人は元気かと

マクシミンは衝動的に質問しました。

 

バスティアンは、ゆっくりと

後ろ手を組んで目を伏せました。

マクシミンの視線からは、

まだ完全に隠し切れていない

疑いと敵意が、

微かに滲み出ていました。

 

内心、このような瞬間を期待しながら

伯爵を挑発したという事実を

バスティアンは素直に認めました。

何も知らない顔をした

マクシミン・フォン・ジェンダスが

もたらした満足感と共に訪れた

自覚でした。

 

ジェンダス伯爵は、

オデットの逃走劇とは無関係。

望んでいた答えを得たので、

そろそろ会話を、

終えなければならない時でした。

オペラ劇場の会員証なんて

どうでも良いことでした。

この男の助けがなくても、

いずれ、必ず

手に入れることになるだろうから。

 

バスティアンは、

自分の妻の安否を、

ジェンダス卿に報告する義務は

ないようだと、

礼儀正しいけれど、冷淡な態度で

線を引きました。

ジェンダス伯爵は当惑しながらも

素直に退きませんでした。

 

ジェンダス伯爵は、

オデットは、単に

クラウヴィッツ少佐の妻だけでなく

自分の友達でもあると主張しました。

バスティアンは、

「ああ、友達。そうですか」と

返事をしました。

 

ジェンダス伯爵は、

オデットが妊娠初期である上に

健康も良くないと聞いていると

言いました。

バスティアンは、

「それで?」と尋ねました。

 

ジェンダス伯爵は、

そんな体で、

1人で旅行へ出かけたという友達が

心配になるのは当然のことだと

言っていると、

幼い子供を教えるかのように

優しい口調で、

バスティアンを叱りました。

 

じっと伯爵を見つめていた

バスティアンは、

「当然のこと」と繰り返すと、

とても面白い冗談でも聞いたかのように

笑いました。

そして、軽く眉を顰めながら、

「さあ、どうでしょう。

あなたの子供だとでも言うのですか?」

と冷淡に聞き返しました。

あっという間に笑いが消えた瞳が

冷たく沈みました。

慇懃なまでに礼儀正しかった

これまでの姿とは、

似ても似つかぬ変わりようでした。

 

「クラウヴィッツ少佐!」

顔を赤らめた伯爵が怒鳴りつけました。

バスティアンは、

もちろん冗談だと答えると、

大したことではないかのように

肩をすくめました。

そして、

自分が少し節度をわきまえなかった。

失礼な発言だったらお詫びする。

悪意はなかったので、

どうか寛大な心で理解して欲しいと

言うと、姿勢を正して黙礼しました。

 

その丁重な態度とは対照的な

悠然とした微笑みに、

マクシミンは言葉を失いました。

謝罪を装った叱責も同然でした。

先に一線を越えたのは

あなたではないかと聞き返す、

一種の警告でした。


バスティアンは、

これで失礼する。

楽しい時間を過ごすようにと

格式ばった別れの挨拶を残すと

次の話し相手を探しに

去って行きました。

 

マクシミンは、そのまま踵を返し

パーティー会場の

バルコニーに出ました。

冷たい風に当たると、ようやく

まともに息ができました。

 

無礼極まりなかったけれど、

バスティアン・クラウヴィッツの指摘は

一見妥当でした。

出過ぎた干渉だということを

自分でも、よく分かっていました。

それでも止められなかったという

事実が、

マクシミンを、さらに混乱させました。

 

一体、どうして、こんな愚かなことを

してしまったのか。

 

絡まった糸のように

複雑になった心を推し量ろうと

努めているうちに

冬の夜がさらに深まりました。

 

マクシミンは、

深い後悔が滲む眼差しで、

闇に沈んだ庭を見つめました。

オデットを、

あのように送り出すのでは

なかったという後悔が、

胸を深く突き刺して来ました。

 

説得したからといって、真実を

打ち明けるはずもなかったけれど

窮地に追い込まれたことを知りながら

もう少し積極的に

助けられなかったのは

自分の過ちだという考えを消すのは

困難でした。

 

赤くなった頬が冷め、

バスティアンが与えた侮辱感が

薄れて行くまで、マクシミンは1人で

バルコニーに留まりました。

「このまま続けますか?」

顔色を窺っていたノアが、

声を潜めて囁きました。

 

窓の向こうに広がるラッツの夜の街を

見つめていたサンドリンは、

ようやく首を回して、

食卓に向き合いました。

豪華なセンターピースと

燭台越しに見えるノアの顔には、

悪戯に夢中になっている子供のような

無邪気な笑みが浮かんでいました。

 

ノアは、

展示会のことだ。

聞いたところによれば、

クラウヴィッツ少佐の妻が

消えたそうだ。

そうなると、あの絵を掛ける意味が

ないのではないかと、

残念そうに愚痴をこぼしました。

 

サンドリンは黙ったまま

グラスを傾けました。

虚空に注がれた眼差しは、

底知れぬ深さを湛えていました。

フランツの作業室に忍び込んだ夜と

同じ顔でした。

 

フランツの絵を、

展示会に飾ったらどうか。

立派な作品が、

日の目を見ることができないのは

とても残念なことではないかと

サンドリンは言いました。

 

友達のために、サプライズプレゼントを

用意してみるように。

成功すれば、ラビエル家の正式な後援を

受けられるようにするという

約束も付け加えてくれました。

中途半端な成金とは比べ物にならない

頼もしい後ろ盾でした。

 

当然断るべき狂気の沙汰でしたが、

ノアはどうしようもなく

巻き込まれてしまいました。

 

どうせ、フランツが、

この、おままごとを

長く続けられないことは

明らかでした。

家の反対も頑強なのに、

結婚して妻の実家の干渉まで加われば

あの気弱な坊ちゃんには、

耐え切れないだろうから。

 

はたして、そんな日が来ても、

フランツが、最後まで、

あなたたちへの責任を

果たしてくれるだろうか?

 

サンドリンが投げかけた

刃のような質問に対する答えを

見つけた瞬間、ノアは、

惨めに捨てられるより、

先に背を向けると決心しました。

 

サンドリンが

心変わりするのではないかと

焦ったノアは、

次の展示会を狙ってみるのはどうかと

慎重に代替案を提示しました。

しかし、サンドリンは、

いいえ、その必要はないと、

断固とした拒絶の意思を示して

空のグラスを下ろしました。

 

もし、オデットが

自ら消えてくれたのが正しければ、

この辺で止める気もありました。

このまま離婚することになれば、

バスティアンの妻の座は

自然に自分のものになるので、

バスティアンにまで

被害が及ぶような無理な策に

固執する必要はありませんでした。

 

だから、サンドリンは

祈るような気持ちで、

1日、また1日と

バスティアンが決断を下すのを

待ちました。

ただ時間の問題であるだけで、

離婚は確定したものだと

サンドリンは信じていました。

 

オデットの妊娠の有無は

考慮の対象になりませんでした。

あの女を切り捨てなければ

バスティアンが損をすることになるのが

明らかな状況だったから。

だから今の最善策は、

オデットを犠牲にして

離婚を敢行することでした。

誰よりも損得勘定に長けた

バスティアンが、

その事実を知らないはずが

ありませんでした。


戦略的に対応すれば、

形勢を覆す余地も十分にありました。

そのため、1ヶ月近い時間が流れても

手を拱いているバスティアンが与えた

衝撃と裏切り感は、

さらに大きくなりました。

 

サンドリンは、

歪んだ笑みを浮かべながら

キセルをくわえました。

 

命を懸けて

戦場を駆け回りながら得た名声が

崩れつつあるにもかかわらず、

バスティアンは

オデットを離しませんでした。

今はまだ、

適切な時機を待っているんだという

自己正当化が、もはや

難しい状況になっていました。

 

胸が真っ黒に焼けるようでしたが

サンドリンは、どうしても彼に

その理由を

問い詰められませんでした。

答えを聞くのが怖かったし、

その時こそ、何もかも

取り返しのつかないことに

なってしまうので、

それなら、いっそのこと、

この悲惨な苦痛に耐えた方が

マシでした。

 

ノアは、

それでは、なかったことになるのかと

しょんぼりとした様子で

尋ねました。

サンドリンは、

ゆっくりと首を横に振りながら、

深く吸い込んだ煙を吐き出しました。

 

この機会に、

あの女と到底一緒にいられない

確かな理由を作ってあげるのも

悪くないはず。

いずれにせよ、バスティアンの政敵に

致命傷を与えることでもある。

もちろん、バスティアン自身も

避けられない被害を

被ることになるだろうけれど

少なくとも偽の妻を抱き締めて

ぬかるみを転がっている今よりは

マシなはず。

 

サンドリンは「続けて」と

素っ気なく答えると、

灰を落としました。

 

まだ

バスティアン・クラウヴィッツ

愛しているからだろうか?

 

何度も自問してみましたが、

サンドリンは、

ついに答えを見つけることが

できませんでした。

ただ、一つ確かなのは、

このような結末を受け入れることは

できないということでした。

止められない理由は、

その1つで十分でした。

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バスティアンは、

オデットの逃亡をジェンダス伯爵が

手伝ったのではないかと

ずっと気にしていたのですね。

一方のマクシミンは、

オデットのことを友達だと言いながらも

彼の言動から、彼女に対して

友達以上の感情を

抱いているようですし、

バスティアンも、

それに気づいていると思います。

オデットとは自分の妻だと

それとなくマクシミンに警告している

バスティアンが、怖かったです。

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