自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 137話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 虚しくて悲惨な結末

137話 オデットの監禁状態は続いています。

本当にありがとうと

オデットは戸惑いながらも

ドーラに感謝の言葉を伝えました。

夢中で尻尾を振っていた

マルグレーテは、

今や熱烈な愛情を込めて

オデットの顔を舐めていました。

きっかり一時間だと

硬い口調とは裏腹に、

女主人を見つめるドーラの目からは

微かに憐憫が滲み出ていました。

オデットは、まるで

この世の全てを

手に入れたような顔で、

胸に抱いたマルグレーテを

あやしているところでした。

 

バスティアンは妻の犬を

人質にしました。

オデットから奪ったマルグレーテを

ドーラに任せ、

しばらくは妻へ近づけることを

禁止するという厳命を下しました。

腹立ちまぎれに言った言葉だと

思っていましたが、すでに半月も

膠着状態が続いていました。

マルグレーテは、

まるで母親を失った子供のように

オデットを探し、オデットも

子供を引き離された母親のように

気を揉みました。

 

命じられたので従ってはいたものの、

不本意ながら

悪役を引き受けることになった

ドーラも、

心安らかではありませんでした。

 

メグがそんなに好きなのかと

尋ねると、ドーラは、

結局ため息をつくように

笑ってしまいました。

やっと本物のマルグレーテを

胸に抱いたオデットは、

子供のように微笑んでいました。

主人の命令を破ったという

罪悪感を消すのに十分な贈り物でした。

 

ドーラは、

毎日1時間ずつ、

メグと一緒に過ごす時間を

作るけれど、ご主人様には

秘密を守って欲しいと頼みました。

オデットは、

もちろん、ドーラが困ることは

絶対にないようにすると

固く約束すると、

愛情たっぷりの手で

マルグレーテの毛とリボンを

整えてやりました。

鼻の頭へのキスもまた、

どれほど優しいことか。

ひんやりとした品格を

鎧のようにまとった普段の姿とは

全く違っていました。

 

たかが犬一匹さえ、

こんなに慈しんでいるのに、

一体、どうして夫に対しては

あんなに無情になれるのか。

 

ドーラは、

残念な気持ちが滲むため息を

静かに吐き出しました。

マルグレーテに対するように

夫に接していたら、

世界中の金銀財宝を全て

手に入れることもできただろうに。

この上なく愚かなオデットが

もどかしくも気の毒でした。

 

日当たりの良い庭の風景を眺めていた

ドーラは、

少し散歩に出てみないか。

もちろん自分と一緒に

行かなければならないけれどと、

衝動的な提案をしました。

 

驚いたウサギのように

瞬きをしていたオデットは、

まもなく、

溢れんばかりの歓喜に満ちた

笑みを浮かべました。

ドーラは、

準備をするようにと伝えました。

 

ドーラは結局、

主人の命令に2度背く選択をしました。

一番近くでオデットの世話をしてきた

過去の時間が、

自分を苦しめていたからでした。

バスティアンは下から上へ、

ゆっくりとシャツのボタンを

留めて行きました。

胸と首筋に残った爪痕は

すぐにシャツの下に姿を消しました。

 

続けてネクタイを締めたバスティアンは

床に落ちている残りの服も

順番に身に着けました。

唇と頬に付いている口紅を

ゴシゴシ拭き取ったハンカチは、

暖炉の炎の中に投げ入れました。

最後に乱れた髪を整えると、

彼は初めて

この応接室に足を踏み入れた時と

変わらない姿を取り戻しました。

 

あなたは気が狂っていると非難すると、

死んだように

ソファーに横になっていたサンドリンが

ゆっくりと体を起こしました。

乱れた赤い髪が

燃え上がる炎のような眼差しを

いっそう際立たせていました。

 

サンドリンを一瞥したバスティアンは

何の返事もせずに、

ソファーの下に落ちている

フランツの絵を手に取りました。

細かく破かれた画用紙も、

すぐにハンカチの後を追いました。

サンドリンは、じっとその姿を

見ていただけでした。

 

灰になって消えた紙切れから

視線を外したバスティアンは

サンドリンの方へ顔を向けると、

債務の精算は全て終わったことを

肝に銘じるようにと告げました。

冬の空のように

真っ青な瞳と向き合ったサンドリンは、

ビクッとして、

思わず肩をすくめました。


後ろ手に組んで立ったバスティアンは

サンドリンを斜めに見下ろしながら、

まだ、あなたの手元にある

フランツの絵には関与しない。

再び展示しようと、

新聞社に情報提供しようと

好きなようにしろ。

ただ、これ以上、

あなたに借りのない自分の対応は、

決して

今と同じではないという点だけは

必ず肝に銘じておくように。

もし自分たちが、

再び顔を合わせる日が来るとしたら、

その時は、ラビエル公爵が自分に

慈悲を求めなければ

ならないだろうからと言いました。

 

サンドリンは、

今、自分を脅迫しているのかと

尋ねました。

赤い口紅が醜く滲んでいる

サンドリンの唇が歪みました。

バスティアンは、

軽く首を横に振りながら

手袋をはめました。

 

バスティアンは、

これまでの縁を考えて

助言したのだけれど、

令嬢がそう受け取ったのなら、

あえて訂正はしないと答えました。

 

ソファーから立ち上がった

サンドリンが、

応接室を横切って来ました。

全身がブルブル震えているのに、

顔には溢れんばかりの笑みを

浮かべていました。

 

サンドリンは、

自分が退いてあげるからといって

あなたの思い通りになると思うのか。

あなたが、

こんな狂ったことをしながら

守ろうとしている女は、

あなたを嫌悪している。

自分がこんな狂ったことをしてでも

手に入れたいと思っていたあなたが

自分を軽蔑しているようにと告げると

恐怖と歓喜が共存する目で

バスティアンを睨みつけました。

 

サンドリンは、

自分にしたことを、

そのまま返されている姿が実に滑稽だ。

こうなると知っていたら、

オデットに寛大になれば良かった。

この恥辱を、

代わりに返してくれる恩人を

知らなかったと言いました。

 

落ち着いてサンドリンを

見つめ続けていたバスティアンは

手袋のボタンを留めることで

返事を代わりにしました。

サンドリンは血が滲むくらい

力いっぱい唇を噛むことで

泣くのを我慢しました。

 

サンドリンは、

どうしてオデットが

あなたから逃げようとしているのか

やっと、分かったような気がする。

立派な外見の下に潜む怪物を

見抜いたのだろうと

憎しみに満ちた悪口を吐きました。

しかし、バスティアンは

動揺しませんでした。

人間らしい感情を欠いた顔が、

まるで冷たい石像のようでした。

 

気味が悪くて鳥肌が立ち

耐え難くなったサンドリンは、

震える足をかろうじて支えて、

後ずさりしました。

今まで、

この怪物に縋りついてきた自分が

ふと、情けなくて滑稽になりました。

男色家に続いて狂人を

夫に迎えようとしたなんて。

その場を代わりに占めてくれた

オデットに、

心からの感謝と憐憫さえ感じました。

 

ラビエル公爵とは

別途話し合いの場を設け、

契約を解消することにする。

それでは、さようならラビエル嬢

と告げると、

バスティアンは姿勢を正して、

軽く頷きました。

その優雅な身振りのどこにも、先ほど

ソファーの上で繰り広げられた

乱闘の痕跡は見当たりませんでした。

 

どうか、再び会うことになるような

不祥事が起こらないことを

切に願っていると、バスティアンが

最後の警告をして背を向けると、

サンドリンは崩れるように

床に座り込みました。

震え始めた唇の間から、

かろうじて抑えてきた嗚咽が

溢れ出しました。

 

耐え難いほど悔しくて屈辱的でしたが

その一方では、

バスティアンも近いうちに

このような苦痛を

味わうことになると思うと

嬉しくなりました。

もしかしたら、すでに、

そうなっているかもしれませんでした。

 

今日のことをよく覚えておくように。

あなたの愛も、結局こんな終わりを

迎えることになるのだからと、

悪意をむき出しにした

サンドリンの叫び声が、

午後遅くの金色の日差しの中に

響き渡りました。

 

しばらく立ち止まったバスティアンは

振り返ることなく去って行きました。

規則正しい靴の音が遠ざかると、

サンドリンの泣き声は

さらに激しくなりました。

あれほど切実だった愛が

幕を閉じました。

三流オペラにも劣る、

虚しくて悲惨な結末でした。

フランツは、

眩しい午後の日差しの中で

目を覚ましました。

一晩中、お酒を飲み、

滅茶苦茶に酔って眠りにつきました。

彼の記憶は、

酔いに耐えられなくなって、

倒れた瞬間で止まっていました。

それでも、

ベッドに仰向けで寝ている姿で

目覚めたのを見ると、

母親が訪ねて来たようでした。


フランツは、

ズキズキした頭を抱えながら

立ち上がりました。

投げ散らかされた調度品や酒瓶で

散らかっていた部屋が

きれいに片づけられていました。

 

万人に後ろ指を差される境遇に

転落しても、

依然として献身的な母親の愛が

フランツを震撼させました。

むしろ、父の容赦ない殴打や

罵声に耐える方が、まだマシでした。

彼を狂わせる地獄は母親、

正確には、自分を

バスティアン・クラウヴィッツより

優れた息子にすることへの

母親の病的な執着でした。

 

フランツは、

ふらふらとした足取りで

バスルームへ向かいました。

洗面台の前に立って顔を上げると

クスッと笑いがこぼれました。

母が真心を込めて治療しても、

裂けて痣だらけの傷は

少しも良くなりませんでした。

むしろ最初より

もっと醜くなっていました。

 

ざっと顔を洗ったフランツは、

再び部屋に戻り、

新しいウイスキーを開けました。

ふとオデットを思い浮かべたのは

酒瓶が底をついた頃でした。

振り返ると、海の向こうに立っている

バスティアンの邸宅が見え、

当然のように、可哀想なオデットを

思い出しました。

 

フランツは取り憑かれたように

バルコニーに出ました。

穏やかな冬の海の揺れる水面が

うっとりするほど美しかったです。

まるで、

オデットの瞳のようだと思うと、

抑えきれない怒りと悲しみが

込み上げて来ました。

 

せめて、

キャンバスの中のオデットだけでも

手に入れたい。

そんな気持ちになる度に

描いてきた絵でした。

盗まれた油絵は、フランツが

特に大事にしていた作品でした。

時には、その絵が、

実在するオデットより、

さらにオデットらしく

感じられたりもしました。

心を尽くして愛した

自分だけのオデットが

無残に踏みにじられました。

 

侮辱されたあの絵が燃やされた瞬間

フランツの心の一部も

一緒に消え去りました。

その後の出来事は、

まるで他人の不幸のように

遠く感じられました。

 

エラ・フォン・クラインとの

婚約破棄は、

むしろ気が楽になりました。

バスティアンの計略に引っかかり

大金を失ったことを知った時は、

しばらく、

笑いが止まりませんでした。

おかげで、こんな目に遭ったけれど

後悔はありませんでした。

 

家門の後継者としての人生は、

今や死刑宣告を受けたも同然でした。

父を狂わせたその事実が

フランツにとっては

救いとなりました。

一生自分を束縛してきた

鳥かごのドアが

開いたような気がしました。

むしろ、もっと深い底まで

墜ちてしまいたいと思いました。

母の虚しい希望と未練が届かない

底知れぬ無間地獄の果てまで、

自分の破滅のパートナーとなった

オデットと共に。

 

オデット。私のオデット。

 

習慣のように、

その名前を繰り返していた

フランツの瞳に、

パッと生気が漂い始めました。

 

バスティアンの子供を身ごもったまま

連れ戻されたとのこと。

自分より、はるかに恐ろしい日々を

送っているはずのオデットのことを

考えると、

奇妙な高揚感が湧きました。

もしかすると今は、

もう気づいているのかもしれない。

彼女には、

自分しかいないのだということを。

 

もう自分を拒まないオデットを描く

フランツの顔が上気しました。

宝石のように美しい瞳に込められた

愛と情熱を加えると、

失われた絵の中のオデットが

蘇りました。

 

フランツは酒瓶を投げ捨てると

慌てて部屋に戻りました。

まず、お金を手にし、

高価な装飾品も手当たり次第に

集めました。

母に対する負い目は

捨てることにしました。

バスティアン・クラウヴィッツに

生まれなかったのは

自分の罪ではないのだから。

 

フランツが部屋を出たのは

定刻を知らせる掛け時計の音が

聞こえてくる頃でした。

邸宅の廊下は

しんと静まり返っていました。

 

家の中をひっくり返して出て行った

父親は、首都にある愛人の家に

引きこもっており、その衝撃で

母親が寝込んでいたおかげでした。

本当に、この上なく

高潔で品位あふれる家族でした。

 

フランツは父親の書斎に立ち寄り、

車の鍵を手に入れました。

金になりそうな調度品と

少しの現金も見つけました。

 

壁に掛けられているライフルが

目に入ったのは、

ちょうどカバンを閉めて

立ち上がった瞬間でした。

バスティアンの妨害が

あるかもしれないと判断した

フランツは、その銃も手にしました。

 

裏口から邸宅を出たフランツは、

まっすぐガレージへ

駆けつけました。

そして、しばらくして、

黒い車一台が、

二つの領地をつなぐ森へ向かって

疾走し始めました。

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サンドリンは

フランツの絵と引き換えに、

バスティアンと

ロマンティックな時間を

過ごすことになったと

思っていたのですが、

サンドリンが

ここまで怒っているということは

そうではなかったという

ことなのでしょうか?

あれだけ、

バスティアンと結婚することに

執念を燃やしていた

サンドリンが、

結婚しなくて良かったと

思うくらいのことが

あったのでしょうね。

何年も結婚を匂わされた挙句

ここまで非情に

切り捨てられたサンドリンが

可哀想に思いました。

 

バスティアンの厳命を破ることは

ドーラにとって、

相当な勇気が必要だったと思います。

それにもかかわらず、

マルグレーテをオデットのもとへ

連れて来て、散歩に出ることを

提案したのは、

バスティアンの仕打ちが

行き過ぎだという考えも

あったのかもしれません。

主人の言うことに逆らってまで

ドーラはオデットに思いやりを

示したのに、

フランツが、それを

ぶち壊しそうな予感がします。

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