自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

ミス・ペンドルトンの恋 94話 ネタバレ 原作 あらすじ ひびが入った心の蓋

94話 ローラがダルトン氏の絵の先生の娘だったのは、神様のいたずらなのか、それとも運命なのでしょうか。

翌日、ローラは初めて一人で

ホワイトフィールドホールを

訪れました。

 

ローラはゆっくりと

邸宅の中へ歩いて行きました。

彼女の訪問を待っていた

執事のラムズウィックが

彼女を案内しました。

 

煌びやかなホールと階段を通り過ぎ

彼の執務室の前に到着しました。

ラムズウィックがドアを開けてくれて

ローラは中に入りました。

グレーのスーツに

紺色のタイをきちんと締めた彼が

窓際に立っていました。

 

「ようこそ」

彼は二人の間には不似合いな

ぎこちない声で彼女を迎えました。

ローラは、

軽く膝を曲げて挨拶しました。

 

ダルトン氏は、

ローラが家に帰ってから、

めまいはしなかったかと尋ねました。

ローラは

「いいえ、全く」と答えました。

 

ダルトン氏は、

眠れなかったようだと指摘しました。

ローラは微笑みながら、

眠れなかったと答えました。

彼は理解したというように頷くと

椅子に座るよう勧めました。

 

彼らは執務室の一角に置かれた

水牛の革のソファーに座りました。

すぐに、使用人が紅茶とケーキ、

クッキーを乗せた盆を持って

入って来ました。

それらを並べ終えて使用人が出て行くと

彼は自然にティーポットを持ち上げて

ローラのカップに紅茶を注ぎ、

牛乳と砂糖を二匙入れて

ティースプーンで

かき混ぜてくれました。

 

ローラが、

ゆっくりと紅茶を飲んでいる間、

彼は切ったケーキとクッキーを

ローラの取り皿に置いてあげました。

朝食をまともに食べられなかった

ローラでしたが

それは美味しそうに食べました。

彼女が食べている間、

彼は何も言わずに

彼女を見つめていました。

 

彼女はケーキを一切れ食べ終えると、

ナプキンで口を拭きました。

ダルトン氏に

美味しかったかと聞かれると

ローラは頷きました。

彼の口元に、

微かな笑みが浮かびました。

 

ダルトン氏は、

「美味しそうに食べてくれて

何よりだ、 ペンドルトン嬢」と

言ったところで、

シェルダン嬢と呼ばれたいかと

尋ねました。

ローラは、

ダルトン氏の好きなようにと

答えました。

 

ダルトン氏は、

自分が気楽でいるためには

ペンドルトン嬢が

気楽でなければならないと言いました。

ローラは、

それなら、ペンドルトン嬢の方がいい。

ダルトン氏に、

いつもそう呼ばれていたのでと

答えました。

 

ダルトン氏は了承すると、

ソファーから立ち上がり

机の方へ大股で歩いて行きました。

 

彼の机の上には、

大きな紙の箱がありました。

彼はそれを持って戻り、

テーブルの片隅に置きました。

 

ローラは箱を見ました。

箱にはルイス・シェルダンの名前が

はっきり書かれており、

箱の上には、

小さな紙袋が置かれていました。

 

彼は紙袋を持ち上げて

ローラに差し出すと、

まず、これから確認して欲しいと

告げました。

ローラは紙袋を受け取りました。

ダルトン氏は、

ルイス・シェルダン先生の

全財産だと告げました。

 

ローラはゆっくりと封筒を開けて

その中に入っているものを

取り出してみました。

これといった期待はしませんでした。

生涯、貧しい画家として

生きてきた父親が、大した遺産を

残したはずがないので、

せいぜい、数十ポンドの銀行預金と

手元に持っていた紙幣数枚程度だと

思いました。

 

封筒の中から、

銀行の領収書が出て来ました。

ローラは領収書に書かれた数字を

数えてみました。

 

「2000・・・ポンド・・・?」

ローラはダルトン氏を見ました。

彼はレモンを浮かべた紅茶を

ティースプーンで

かき混ぜていました。

 

ローラは、これが父のお金なのかと

尋ねました。

ダルトン氏は、

そうだ。これからはあなたのお金だと

答えました。

 

ローラは、

あり得ない。 父は貧乏だった。

こんな大金を稼ぐほどの

職業でもなかったと反論しました。

しかし、ダルトン氏は、

先生が初めて

ホワイトフィールドに来た時、

彼は貴族の間で知名度が上がり始めた

肖像画家だった。

また、彼が旅行中に描いた風景画が、

眼識のある画商の目に

留まり始めた時期でもあったと

説明しました。

 

ローラは、

画商たちに会う度に

父の名前を聞いたけれど、

皆、知らなかったと言い返しました。

 

ダルトン氏は、

彼は脚光を浴びる直前に

亡くなってしまったから。

イギリスで活動している画家だけでも

数千人はいるし、

有名になる前に世を去った画家は、

すぐに忘れられてしまう。

しかし、彼がずっと生きていたら、

一、二年以内に、

イギリス人全員が知っている

画家になったと確信している。

彼の絵は、

彼の魂のように美しかったと

話しました。

 

彼の声には確信がありましたが、

強い愛情が入り込むと、

客観的な批評が難しくなるので

ローラは

半分だけ信じることにしました。

 

彼はローラの心を読んだかのように

遺品の箱を開けて、

スケッチブックの一つを

ローラに差し出しました。

彼女は、それを開いてみました。

父親のルイス・シェルダンの

未完成の水彩画が、

幾重に積み重なっていました。

いずれも、

ホワイトフィールドの風景画でした。

 

夕焼けの湖畔。

星が輝く美しい夜の森。

収穫を控えた、うら寂しい麦畑。

 

色味は明るく透明でした。

絵の具ではなく、実際の光と闇を

絵の中に溶け込ませたかのように

生き生きとしていました。

技巧も完璧で個性も独創的でした。

 

絵を見る目があるローラは、

ダルトン氏の確信に

同意することができました。

父は素晴らしい芸術家でした。

若くしてこの世を去らなかったら、

きっとイギリスを代表する

画家になっていたはずでした。

ローラは生まれて初めて、

父親の存在を誇りに思いました。

 

彼女は視線を移して

遺品の箱を見ました。

ほつれたハンカチ。 古びたシャツ。

汚れの染み付いた

パレットと絵の具箱。聖書。

手垢のついた革袋。

思い出の中の父が着て、身に着けて、

手にして、使っていた品々でした。

 

生涯、

一度も裕福になったことのない

無名の画家の所持品らしく

みすぼらしかったけれど、

カビ一つ、埃一粒も

付いていませんでした。

 

ローラは、

まるで昨日まで使っていたようだと

指摘しました。

ダルトン氏は、

父がシェルダン先生の持ち物の管理に

細心の注意を払っていた。

先生が自分を

悲しみから救ってくれたので、

父は、いつも先生に感謝していたと

話しました。

 

ローラは静かに笑うと、

父がダルトン氏にとって

良い先生だったということを

スター夫人から聞いたと話しました。

 

ダルトン氏は、

それ以上だったと答えると

微笑みました。

悲しみが滲み出ている微笑でした。

ダルトン氏は続けて話しました。

 

自分は幼い頃、いつも敏感で、

すぐに落ち込む子だった。

姉が結婚して去ってからは。

さらに憂鬱になり、

寂しさを感じるようになった。

シェルダン先生は、

そんな自分を受け入れる方法を

教えてくれた。

感情は悪いものではない。

寂しい時は、

寂しい気持ちを絵に描くように。

恋しくなったら、

恋しい対象を絵に描くように。

心を外に映し出していくうちに

苦痛は消え、その代わりに

感情が与える豊かさだけが残る。

その豊かさの中では、

悲しみさえ美しいのだと。

 

ローラは、

ダルトン氏がプレゼントしてくれた

ホワイトフィールドの水彩画を

思い浮かべてみました。

あれほどまでに美しい絵は、

父の教えから始まったものでした。

 

ダルトン氏は、

彼が亡くなり、自分は

しばらく失意に陥っていた。

しかし、先生は

悲しみを乗り越える方法を

教えてくれた。

自分は教わった通りにした。

彼のために絵を描きながら

天国にいる彼のために祈ること。

話したいことがあれば

彼に宛てて手紙を書くこと。

涙なしに、

彼を哀悼できるようになった時

自分は、自分が成長したことを

知ったと、声を詰まらせながら

話しました。

彼は、依然として

二十数年前に去った自分の先生を

恋しがっているのでした。

 

ローラは彼をギュッと

抱きしめたいと思いました。

彼をなだめながら、

自分の父を忘れないでいてくれて

ありがとうと言いたいと

思いました。

しかし、それは

到底、行動に移すことなどできない

衝動でした。

ローラはダルトン氏を慰める

他の方法を思いつきました。

 

ローラはダルトン氏に、

少し散歩をしないかと提案しました。

二人は外に出ました。

初秋の空気は、

最も深い谷間が抱く寒気と同じくらい

さっぱりとして爽やかな

涼しさがありました。

 

二人は庭を通り、

白い白樺が両脇に並んでいる

静かな土の道を歩きました。

コオロギの鳴き声、

山鳥のさえずりが、

風に葉が揺れる音と混じって

聞こえて来ました。

 

ダルトン氏は、ローラが、

いつか、ホワイトフィールドを

散歩したいと言っていた。

その願いが叶ったと言いました。

 

しばらく、無言で歩いていたローラは

ロンドンでダルトン氏は、

いつもホワイトフィールドを

自慢していた。

ダルトン氏のような人が

自慢するくらいだから、

本当にすごい所だと思っていた。

実際に見てみると、

決して誇張ではなかった。

本当に美しい所だと感嘆しました。

ダルトン氏は、

ローラがそう言ってくれたことに

お礼を言いました。

 

ローラは、

父も自分と同じ気持ちだったようだ。

父の絵は全て、

ホワイトフィールドの風景画だったと

話しました。

ダルトン氏は、

シェルダン先生は

ホワイトフィールドに来てから、

ここだけを描いたと返事をしました。

 

ローラは、

その気持ちが分かる気がする。

自分は絵が下手だけれど、

もし描けるなら、

いつも筆とパレット、

スケッチブックを持って

一日中ホワイトフィールドを

走り回っていただろうと

話しました。

 

ダルトン氏は何も言いませんでした。

ローラはチラッと

彼を横目で見ました。

彼の口元が少し上がっていました。

ローラの胸に

幸せがこみ上げてきました。

 

ローラは、

たまにここへ来て散歩をしてもいいかと

尋ねました。

彼はローラの方へ顔を向けました。

二人の目が合いました。

 

ローラは、

オリビアなしで来ても

歓迎してもらえるかと尋ねました。

ダルトン氏は

「もちろんです」と答えました。

ローラは感謝の意を表すと、

再び前を見ました。

 

ローラは、

昨夜、ずっと父のことを考えていた。

父は自分を捨てたわけではなく

自分を取り戻そうと懸命に努力し

そのために亡くなったのだと。

自分は混乱してしまった。

信じられなかったし、

信じたくもなかった。

今の自分は、

父が自分を捨てたという信念で

作られのだと話しました。

 

それはどういう意味かと

聞かれると思いましたが、

ダルトン氏は何も言いませんでした。

彼の方へ顔を向けると、

ダルトン氏は前を見つめたまま、

彼女の言うことを

静かに聞いていました。

淡々とした態度に勇気づけられました。

ローラは続けて話しました。

 

15歳の誕生日。

寮で誕生パーティーを開いてくれた。

校長先生が、

大きなケーキを注文してくれて、

全ての生徒たちと先生たちが

集まっていた。

自分は、祖母から贈られた

ライラック色のシルクのドレスを着て

パーティーに出席した。

素晴らしいパーティーだった。

ケーキのろうそくを吹き消して、

友達にキスもしてもらい、

尊敬する先生たちと抱擁を交わした。

遅くまでに賑やかに遊んだ。

 

夜遅く、自分の部屋に戻ると、

そのまま布団の中に潜り込んだ。

そして、

一日中我慢していた涙を流した。

 

ケーキも、ドレスも、

周りの人たちの祝福も、自分の心を

満たすことができなかった。

父が自分にハガキ一枚も

送ってくれなかったから。

毎年、誕生日が来る度に

がっかりしたけれど、

特にその年はひどかったようだ。

そのように一晩中泣いて、

泣いて、また泣いた。

これ以上、感情に流されずに

生きていこうと決心したのは

あの日だったように思う。

 

話を終えたローラは、なぜ自分が、

このような湿っぽい過去の話を

告白するのか不思議に思いました。

彼の心に負担をかけることを

知りながら、なぜなのか。

 

ローラは、

彼に誤解されるのではないかと

怖かったようでした。

彼のように愛情深い人に

父親の死を知って

涙を一滴も流さなかった自分が

どのように見えるだろうか。

きっと冷血漢に見えるだろう。

だから、自分は

言い訳したかったのでした。

自分がこれほど落ち着いているのは

父親を愛していないからではなく

簡単に涙を流せなくなったのには

理由があるのだと。

 

彼はおそらく慰めの言葉を探すのに

悩んでいるだろう。

彼の負担を

減らしてあげなければならない。

そう思ったローラは、

にっこり笑いながら

もう、大丈夫だという気持ちで、

彼の方を向きました。 

 

ところが、

彼の方を向いたローラの顔から

笑みが消えました。

ダルトン氏の顔は涙でいっぱいでした。

彼女は立ち止まって、彼の腕をつかみ

彼を呼びました。

 

彼は慌てて反対側に顔を向けました。

彼の広くて硬い肩が

細かく震えていました。

彼女が見間違えたのでは

ありませんでした。

 

ローラは凍りつきました。

何をどうすればいいのか

分かりませんでした。

彼女はダルトン氏のような成人男性が

泣く姿を初めて見たので。

 

彼はジャケットの内ポケットから

格子模様の

きれいな灰色のハンカチを取り出し

素早く顔を拭きました。

ローラは、

彼の腕をギュッとつかみました。

そして、

もう大丈夫。 すべて過去のことだし

自分は今幸せだと言いました。

しかし、彼女の言葉は逆効果でした。

彼はハンカチに顔を埋めて

泣き出しました。

 

ローラは彼のすすり泣きを聞きながら

彼は、自分の過去を、

自分が経験した不幸を

悲しんでいることに

気づきました。

ほんの少しの人だけが知っていて、

その中で、数える人だけが

気の毒に思ってくれたあの時代を

彼は泣きながら

痛んでくれているのでした。

 

その瞬間、彼女の心に

ピキッという音が響き渡りました。

彼女の心を覆う蓋に

ひびが入る音でした。

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ローラがアビゲイル夫人に

預けられたのは7歳。

放浪の画家だった父親は

今のままでは、きちんとローラに

教育を受けさせることができないし、

彼女が落ち着いて暮らせる場所が

必要だと思って、ローラを

祖母の元へ

連れて行ったのかもしれないと

思いました。

まさかローラが

伯父に虐待されるなんて

想像もしていなかったと思います。

ローラは、迎えに来るという

父親の言葉を信じて、

虐待に耐えながら、ひたすら父親を

待っていたのではないかと思います。

しかし、いつまで待っても

父親から一通の手紙も来なかった。

せめて誕生日くらいは、

来るだろうと思っていたけれど、

その期待は裏切られた。

そうするうちに、自分は父親に

捨てられたのかもしれないと

思うようになった。

その気持ちは、

誕生日が来る度に強くなり、

ついに15歳の誕生日に

完全に父親のことを諦めた。

今まで生きて来た年月の半分以上

父親から捨てられたと信じて来たし

ローラの周りの人たちも、

彼女が父親に捨てられたと

思っていたので、それを覆すのは、

かなりの困難さを伴っていたと

思います。

けれども、

ローラの父親の真の姿を知っていて、

決して泣きそうもないダルトン氏が

同情ではなく、

ローラのことを心から悲しんで

泣いてくれたことは、

ローラの心の蓋にひびを入れるくらいの

破壊力があったのですね。

やはりローラの父親が

ローラとダルトン氏と

引き合わせたのだと思います。

 

ダルトン氏は、

ローラの父親の教え通り、

自分の感情を絵で表現していたので

愛するローラの絵を

たくさん描くことができたけれど

何の関心もないドーラの絵は

描きたくなかったというわけですね。