自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

ミス・ペンドルトンの恋 95話 ネタバレ 原作 あらすじ 守護天使への祈り

95話 ダルトン氏はローラのために泣いてくれました。

その後、ローラは、週に一度

ホワイトフィールドを訪れました。

主に日曜日でした。

 

スター牧師が主管する礼拝に

参加した彼女は、

牧師館やホワイトフィールドホールで

昼食をとり、

ホワイトフィールドの森や野原、

川辺を歩きました。

そんな彼女の手には、

いつも父親のスケッチブックが

握られていました。

 

父が生涯の最後の時を過ごし、

人生で最も多くの絵を残し、

一番愛した場所。

そして、ついに若き肉体が

埋もれてしまった所でした。

 

父親という繋がりができると、

ホワイトフィールドに対する

ローラの観点は

以前と変わりました。

かつては、

好きな友人の私有地であり、

夢幻的な美しさを湛えた

田舎に過ぎなった

ホワイトフィールドが、

今は世の中で最も特別で

意味深い場所のように感じられました。

 

偉大な聖人の足跡をたどる

巡礼者のように、

彼女はホワイトフィールドで

父親の息吹を感じ、

彼の考えや感情を辿ってみました。

 

彼女のそばには、

いつもダルトン氏がいました。

彼女が道に迷うのではないかと

心配していたのでした。

ローラは彼の親切を

素直に受け入れました。

 

彼は静かに彼女の後を歩きました。

影のように、空気のように

彼女のそばにいるようで

いないように。

そして、

彼女が絵の中の風景を捜し出し、

ここで合っているかと尋ねると

答えてやり、彼女が知りたがれば、

絵を描いた当時のことについて

説明してやることもありました。

 

ローラはイアンの言葉を通じて、

自分が見たことのない父親を

目の前に描くことができました。

 

木の切り株、芝生、大きな岩、

太い木の枝の上に座って

何時間も絵を描いていた父。

 

ホワイトフィールドの優しいそよ風が

父の柔らかい金髪を乱し、

シャツの襟元から覗く柔らかい首が

スケッチブックに向かって斜めに傾き

繊細な指をせっせと動かして、

彼が捉えた天国の一片を

紙の上に移す姿。

涙が出るほど美しくて若々しい父。

 

ローラは父親が留まっていた

切り株や岩の上に座って、

父親と同じ視線で、

彼が見た風景を眺めました。 

ローラは、

その度に天国を発見しました。

 

ホワイトフィールドの

静かで平和な自然は、

神が苦心して構想し、

真心を込めて作り上げた

荘厳な芸術作品でした。

彼女は香ばしい風の中で神の息吹を感じ

遠くで鳴く鳥の声から

神の口笛を聞きました。

ローラにとって、

ホワイトフィールドでの時間は

天国での、ひと時のようでした。

 

ローラが天国の中で時間を過ごす間、

イアンも天国を味わっていました。

ローラと二人きりで

ホワイトフィールドを歩くことを

どれほど長い間、願ってきたことか。

本心を悟られることを恐れずに

同行できることを、

どれほど夢見ていたことか。

そのためには、

結婚が必須だと信じてきたのに、

思いがけない贈り物のように

機会が訪れたのでした。

 

彼は自分の願いを叶えてくれた天使に

感謝しました。

もちろん、その天使は自分の師である

ルイス・シェルダンでした。

 

シェルダン先生は、

母親を亡くした幼い弟子に

この上ない愛情を

注いでくれた人でした。

自分が知っている全てのことを教え

心を込めて慰めてくれました。

おそらく、

自分の娘と同じ年頃の少年が

母親なしで育つのを見て

胸を痛めたからでした。


大人になったイアンは、

いつもシェルダン先生を思いながら

あの時に得た愛が、

どれほど大きかったかを

実感していました。

彼がいなかったら、自分は閉鎖的で

憂鬱な人間になっていたはずでした。

 

まさか、その彼の娘が

ペンドルトン嬢だったなんて。

 

彼はローラが自分の腕の中で

気絶したあの瞬間を、決して

忘れることができませんでした。

 

あの日、彼は、

ただローラの顔をもう一度見て、

ホワイトフィールドに招待する口実を

もう一つ作りたいがために

墓地を訪れただけでした。

ところが、それが発端となって

真実を知ることになりました。

 

最初は驚きましたが、彼はすぐに、

なぜ、もっと早く気づかなかったのか

不思議に思いました。

彼の記憶の中のシェルダン先生は、

いつも穏やかで愛に満ちていて

優しくて賢い人でした。

その性格をペンドルトン嬢が

そのまま受け継いだのに。

 

彼はいつもローラとの縁を

運命だと信じていました。

ローラに出会って恋に落ちたのは

神の摂理だと。

彼女は自分と一対になる片方の手袋で

今まで、

どんな女性も目に入らなかった理由は

彼女に会うためだったのだと。

 

ローラの父親について知ると、

彼は密かに抱いていた信仰を

石版に刻まれた啓示のように

盲信するようになりました。

彼女だけが、

自分一人だけの伴侶になる女性だと。

この女性だけが自分の命の主人だと。

 

彼は、女神のように優雅な姿で

切り株に座り、風の音に耳を傾けている

ローラを見つめながら、

天使になったシェルダン先生が

彼の娘を

大切なパートナーにしなさいと言って

自分に導いてくれた。

シェルダン先生への恩を、

自分の娘を幸せにすることで返せと

言っていると、

思うことがありました。

 

彼はすでに極限に達した愛情が

限界値を突破し、

人間が耐えられないほど、

はるか遠い領域まで爆発するのを

感じました。

 

ローラ、ローラ・ペンドルトン。

ローラ・シェルダン。愛おしい。

愛さずにはいられない女性。

運命の糸で結ばれた、

ただ一人の女性。

 

彼女の足元にひれ伏し、

自分の全てを捧げたいと思いました。

永遠に自分の妻になってくれるという

約束を得られれば、魂でも

売ることができそうな気がしました。

 

しかし、彼女は自分を望んでいない。

彼は絶望しました。

自分が彼女を愛しているその半分、

いや四分の一だけでも

自分を愛してくれるなら、

二人は、この上なく幸せな夫婦に

なれるはずなのに。

しかし、彼女は自分を

微塵も愛していないだろう。

 

彼がこのように確信するのは

当然でした。

ローラは彼の前で、感情的な動揺を

見せたことがありませんでした。

たまに自分が意地悪をする時は、

顔を赤らめ、

当惑したりもしましたが、

それ以外は、

いつも穏やかで静かでした。

彼女が自分の前で、一度でも

切望するような眼差しを見せていたら

彼は本心を打ち明けることが

できたはずでした。

しかし、ローラは

何の証拠も見せませんでした。

そのせいで、彼は毎晩眠れず

寝返りを打ちました。

 

彼女は、知的財産が豊富な

独立した女性でした。

それにシェルダン先生の財産まで

相続して、

貧しさを逃れることになりました。

今や彼女は、完璧な自由人でした。

 

そんな彼女に愛情を乞えば、

すぐに去ってしまうだろう。

友人の人生のために。

親と同じ過ちを犯さないために。

そして、愛していない男に

縛られないために。

彼は三番目の理由に

一番心が痛みました。

 

彼は、自分が世間では、

良い夫候補に分類されていることを

知っていました。

両親から受け継いだ土地は

イギリスでも有数の広大さを誇り

彼は譲り受けた財産を

わずか数年で四倍以上に増やし、

不況期のイギリスにおいて

家門を守りました。

 

そして、

深く意識したことはなかったけれど

女性たちの目には、それなりに

見栄えがする方だということも

自覚していました。

ところが、彼女には、

自分が持っている全てのものが

別に意味がないようでした。

 

彼は毎晩、

ローラの姿を繰り返しスケッチし、

苦しみを乗り越えようとしました。

しかし、状況は悪化しました。

悲しみは、十分な哀悼によって

弱まるかもしれないけれど、

愛は相手を繰り返し思い浮かべるほど

燃え上がるものでした。

むしろ目の前にある

はっきりとした像は

情熱を煽るだけでした。

 

彼は熱くなった布団の中で

身を悶えました。

彼女の愛を得るためなら

罪を犯すことさえ厭わない。

神が許さない罪であっても。

 

その罪というのは、当然ながら

嘘をつき続けることでした。

本心を隠して

友人のふりをすることでした。

彼女に、どうしても自分を

愛させることでした。

 

彼女を自分のものにできたなら

その何倍もの幸せで報いる。

だから彼女が、

今よりも軽率になるよう導いて欲しい。

彼女が油断して、愚かになるように。

自分が入り込む隙間ができるように。

今の彼女には、

針一本さえ入る隙もない。

どうか、先生。

 

彼は熱気によって朦朧とした精神で

自分の守護天使に祈りました。

平和な日曜日の午後、いつものように

スケッチブックを手にして、

ダルトン氏と一緒に、

ホワイトフィールドの

生い茂った白樺の道を歩いていた

ローラは、

手を握ったり広げたりしながら

どうやら雨が降りそうだと言いました。

 

そばを歩いていたダルトン氏は

立ち止まって空を見上げました。

生い茂った白樺の木の間に見える空は

細い雲一つなく

青く澄み渡っていました。

彼のそばで一緒に空を見上げていた

ローラは恥ずかしくなりました。

 

彼女は、

全然、雨の降るような空では

ありませんねと弁解しました。

ダルトン氏は、

どうして雨が降ると思ったのかと

尋ねました。

 

ローラは、

ぎこちなく右手を揉みながら、

雨が近づくと、

こちらの手がしびれると、

素直に答えました。

彼がこの手について何も知らないと

思っていたからでした。

しかし彼は、

ローラが思っている以上に

彼女のことをよく知っていました。

 

ダルトン氏の頭の中に

一つの記憶がよぎりました。

彼は奥歯を噛み締めました。

ジェラルド・ペンドルトン。

彼の顎の筋肉が

ブルブル震えました。

 

すぐに彼は動揺を消すと、

邸宅の方へ足を向け、

「帰りましょう」と告げました。

しかし、ローラは、

違う。ただ痛いだけのようだと

弁解しました。

 

ダルトン氏は、

体の信号ほど正確なものはないと

主張しました。

しかし、ローラは首を横に振ると

この手は、よく人を惑わせる。

たまに湿布をしなければならないのに

最近、少し疎かにしていたら

手がむずむずする。

出て来てから、

まだ30分も経っていないのに、

このまま帰るのは残念だと言いました。

 

彼は気が進まない顔で

彼女を見ていましたが、

すぐに、そっと微笑みました。

 

ダルトン氏は、

それでは、途中で雨が降ったら、

ペンドルトン嬢が

責任を負うことになるのかと

尋ねました。

ローラは、

責任って、どんなものかと

聞き返しました。

 

ダルトン氏は、

自分を濡らした責任だ。

地面が濡れてぬかるんだら、

邸宅まで、自分を

背負って行かなければならない。

雨に濡れて風邪を引いたら看病し、

雨音で心が落ち着かなくて

自分がぐずりだしたら、

自分のために、子守唄を

歌ってくれなければならないと

答えました。

 

ローラはフフッと笑うと

自分の父がしてくれたことですよねと

尋ねました。

ダルトン氏は、

その通りだと答えました。

ローラは、

目をキョロキョロさせました。

 

彼女は、

自分がしてあげるには、

不可能か不適切なことばかりだけれど

一つだけできることがあると

言いました。

ダルトン氏は、

それは何かと尋ねました。

ローラは、

服が濡れたら自分のドレスを貸すので

それを着て帰るようにと答えました。

二人は声を出して笑いました。

 

彼らは、

ゆっくりと森の中へ入りました。

雪原のように白い木々の間を

歩いて行くと、

すぐに柳の葉とネコジャラシが

膝の高さまで伸びた野原が現れました。

清らかな日差しを受けて

黄金色に染まった草原を

しばらく歩いて行くと、

青空を鏡のように映し出す

大きな湖が現れました。

ローラは美しい風景に感嘆しました。

 

ルノワールだったら、ここを背景に

豊満な女性たちの裸身を

描いただろう。

 

彼女はスケッチブックを広げて

紙をめくってみました。

目の前の風景と

全く同じ絵を見つけました。

彼女は絵を覗き込みました。

 

父は女性の裸身の代わりに、

ここを背景にした少年を描きました。

草むらに膝を立てて座り、

両腕で膝を抱えて、

風が作り出す波紋が

湖にさざ波を立てる様子を

じっと見つめている子供。

まさに8歳のダルトン氏でした。

ローラの唇に笑みがこぼれました。

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なかなか自分の心に気づかず、

ようやく、気づいたと思ったら

間違った方法で

愛する女性を繋ぎ止めようとする

バスティアンを見ているので、

ローラへの愛情を

ストレートに表現するイアンに

スカッとします。

イアンは、

片思いだと思っているけれど

ローラもイアンのことが好き。

それを悟られないよう、

感情を鉄壁の鎧で守っている

ローラは、すごいと思います。

 

ローラが鉄壁の鎧を脱ぐよう、私も

ローラの父親にお願いしたいです。