自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 152話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 新しい使命

152話 オデットが退院する日になりました。

退院の準備を終えたオデットは

窓辺に立ち、

病院の裏庭を見下ろしました。

夫婦のように見える若い男女が

緑色のベンチに座って

おしゃべりをしていました。

天が崩れ落ちたかのような

絶望的な春の日に、

オデットが座っていた、

まさに、そのベンチでした。

 

正午を告げる鐘の音が鳴り響くと、

二人は席を立ちました。

夫は、足を負傷した妻を支えながら

病院へ戻りました。

歩調を合わせて並んで歩く姿が

とても仲睦まじくて、

微笑ましい光景でした。

 

彼らが消えた後も、オデットの視線は

長い間、その場に留まっていました。

海軍省から来た伝令に会いに行った

メイド長が戻って来たのは

白く残っている残雪による照り返しで

目が眩み始めた頃でした。

 

オデットのそばに近づいたドーラは

ご主人様は、重要な訓練があるため

来られないそうだ。

奥様を連れて、

まずラッツのタウンハウスへ

行くようにと伝えられたので、

行きましょうと、慎重に告げました。

オデットは理解したと言うように

頷いて背を向けました。

 

バスティアンは、数日前から

再び業務に復帰しました。

夜明け前に出かけ、深夜になって

ようやく戻って来ました。

それでも、

毎晩、病床に付き添ってくれたと

ドーラは言いましたが、

睡眠薬が効いて、死んだように

深い眠りについていたオデットは

彼が訪れる気配を

感じることができませんでした。

もしかすると、それが互いにとって

良いことだったのかもしれないという

考えが、ふと浮かびました。

顔を合わせると

苦痛が増すだけだから。

 

あの男のそばに戻りたいのか。

よく分からない。

あの男から離れたいのか。

それもよく分からない。

もう、どうでもいいような

気もしました。

どちらを選んでも、

結局変わることはないのだから。

 

オデットは、

あらかじめ用意していたコートを

着ました。

まだ完全に回復したわけでは

ありませんでしたが、

日常生活程度なら、

無理なく送ることができました。

十分な睡眠と休息を取った

おかげのようでした。

これ以上、悪くなることのない状況に

至ると、むしろ心が安らぎました。

滑稽なことでした。

 

病室を離れる準備を終えた時、

お願いが一つあると、

オデットが口を開きました。

荷物をまとめていたドーラは、

はっと驚いて振り返りました。

オデットは澄んだ目で

彼女を見つめていました。

 

ドーラは、どうか、

その言葉だけは言わないで欲しいと

切に願っていましたが、

避けたかった瞬間は

ついに訪れてしまいました。

 

オデットは、

口元に微かな笑みを浮かべながら

メグをラッツに連れて来て欲しいと

頼みました。

あの出来事以来、初めて見せた

人間らしい感情でした。

その事実が、ドーラの心を

さらに痛烈に苛みました。

 

すぐに見つかると思われていた

マルグレーテは、すでに10日近く

行方不明の状態でした。

人を動員して、

森や海岸を隅々まで探しましたが、

痕跡すら発見できませんでした。

 

オデットに、

この事実を知られないようにしろと

バスティアンに命令されましたが、

退院後も秘密を守ることは

不可能でした。

 

「本当に申し訳ございません」

抑え込んでいたドーラの声が、

しばらく続いていた静寂を

破りました。

 

オデットは、そっと首を傾けて

どうしたのかと尋ねました。

ドーラは目をギュッと閉じて

頭を下げました。

オデットと向き合って、

この悲劇的な知らせを伝える勇気が

出ませんでした。

 

ドーラは、

マルグレーテを連れてくることは

不可能だ。

あの事件が起きた日に姿を消したまま

まだ戻って来ていない。

しかし、ご主人様が人を動員して

毎日のように近隣を捜索しているし、

高額の謝礼金を掲げた張り紙も

貼っているので、

近いうちに見つかると思うと

説明しました。

子供でも騙せない嘘だと

分かっていましたが、それ以外に

言えることはありませんでした。

 

大きく深呼吸をして目を開けた

ドーラは、慎重に視線を上げて

オデットを見つめました。

泣いたらなだめて、叱ったら、

跪いて謝罪するつもりでした。

哀れな主人のためなら

何でも甘受する

覚悟ができていました。

 

しかしオデットは、

まっすぐな姿勢と静かな眼差しで

ただ、じっと、

ドーラを見つめるだけでした。

密度の高い沈黙が

息の根を止めるかのように

締め付けて来るまで。

 

いっそのこと、

悪態でもついてくれればと思った頃

オデットは、

アルデンへ行くと言い出しました。

一抹の動揺も感じさせない声は、

今日の空のように澄んでいました。

 

ドーラは、

「でも、ご主人様が・・・」と

反対しましたが、オデットは、

マルグレーテがいる場所に戻る。

バスティアンにも、

そのように伝えるようにと、

妥協の余地などないと言わんばかりに

断固たる命令を下しました。

帽子をかぶり、服装を整える

落ち着いた身振りのどこにも、

子供のように思っていた犬を

失った悲しみを見つけるのは

困難でした。

 

最後に、帽子のベールを下ろした

オデットは、

どうしてよいかわからないドーラを

残して病室を出ました。

落ち着いた足音がコツコツと

廊下に響き渡り始めました。

デメル提督は葉巻を一本吸いながら

執務室の窓の前に近づきました。

プラター川で行われた

戦闘水泳訓練を終えた将校たちが

海軍省へ戻って来るところでした。

バスティアンは隊列の後方で

遅れをとった者たちを率いていました。

 

頭がどうかなってしまったのは確か。

クラウヴィッツ少佐に関する

新たな噂は、

デメル提督の耳にも届いていました。

でたらめな話ではなさそうでした。

あのような普通でない出来事に遭っても

あれほど冷静でいられるのは

普通ではないだろうから。

 

もともと誠実であり、有能なことで

名高かったけれど、

最近はそれが度を越していました。

今日のことだけでもそうでした。

今回の訓練は欠席できるよう

特別に配慮したにもかかわらず

バスティアンは結局やって来て

最高の成績を記録しました。

聞くところによると、

退勤後は夜遅くまで

家業に専念しているそうで、

ここまで来ると狂気に近い執念でした。

 

いずれにせよ、

あれだけの野心家なので、

きっと話はうまく行くはずだ。

 

デメル提督は、

複雑な心情が滲み出た顔で

葉巻の煙を深く吸い込みました。

吸い殻を捨てて振り返ると、

力強いノックの音が聞こえて来ました。

デメル提督は、

爽やかな声で入室を許可すると、

接客用のソファに座り

表情を整えました。

 

すぐに扉が開き、バスティアンが

執務室に入って来ました。

制服をきちんと着た姿で、

激しい訓練の痕跡は、

まだ湿り気が残っている

髪の毛程度でした。

 

自分を呼んでいたそうだと告げる

バスティアンに、デメル提督は

決意を固めた表情で

彼に座るよう促しました。

 

デメル提督を通じて縁談を進めた皇帝は

今回も彼を通じて

悩みを解決しようとしました。

不満がないわけではなかったけれど、

デメル提督は

素直に悪役を引き受けました。

これがバスティアンにとって

最善だったからでした。

 

デメル提督は、

簡潔に言う。もう意地を張るなと

躊躇うことなく

本題を切り出しました。

 

デメル提督は、

自分の見たところ、皇帝は

血縁のオデット嬢よりも、

むしろあなたを、より大切にしている。

だから、状況がさらに悪化する前に

皇命を受け入れるように。

君のための退路を開いてやるための

決定だということは、

よく分かっているはずではないかと

説得しました。

 

しかし、バスティアンは、

申し訳ないけれど、

皇帝が守ろうとしているのは

海軍の戦争の英雄だと考えていると

返事をしました。

 

デメル提督は面食らった顔で、

たとえそうであっても、

結局、同じ意味ではないのかと

言い返しました。

バスティアンは反論しませんでした。

 

デメル提督は、

負けたふりをして、

皇帝が差し出した手を握るように。

もしも、あなたが

自分の息子であったとしても、

同じ助言をしただろう。

オデット嬢が自分の娘だとしても

同様だ。

もちろん、今すぐ

離婚しろというわけではない。

そうすれば、

かえって非難の声が高まるだろう。

自分の考えでは、

トリエ伯爵夫人の意向に従うのが

最善だと思う。

しばらくは療養を口実に別居し、

適当な時期を見て、

静かに片を付けるようにしよう。

非情だと言われても

どうしようもない。

結婚は愛だけでは続かないものだと

話しました。

 

バスティアンを見つめる

デメル提督の顔の上に

微かに哀れみの色が浮かびました。

 

時間が全てを

解決してくれるわけではない。

腐った傷は、

切り取らなければならないと

深いため息とともに伝えた

デメル提督の最後の助言が

日差しの中に流れ込みました。

 

バスティアンは依然として

堅固な沈黙の壁の向こう側に

留まっていました。

会議室には、薄氷を踏むような緊張感が

漂っていました。

あちこち目を動かしながら

互いの様子を窺うだけで、誰一人として

口を開こうとはしませんでした。

それゆえ、

その中で、冷静に書類を確認している

バスティアンは、一層異質な存在として

際立って見えました。

 

結局、トーマス・ミラーが、

もう一度、よく考えてみてはどうかと

皆を代表して口を開きました。

書類をめくっていた手を止めた

バスティアンは、

目を細めて彼を見つめました。

 

バスティアンが決定を覆しました。

父親の全てを奪う計画は、

それを正当な結末として望んでいた

トーマス・ミラーでさえ当惑するほど

残酷で非情なものでした。

もしバスティアンの思惑通りに進めば

ジェフ・クラウヴィッツは

一文無しの極貧状態に

転落するはずでした。

その刃先は、

テオドラ・クラウヴィッツの実家である

オスバルト子爵家にまで

向けられていました。

 

トーマス・ミラーは、

うっかり間違えると・・・と

苦言を呈そうとしましたが、

バスティアンは、

何を心配しているのか

分かっているかのように笑いながら

評判は関係ないと返事をして

首を振りました。

 

血と鉄くずで積み上げた

王座に座る鉄鋼王。

世間が騒ぎ立てる悪名を

知っていましたが、

バスティアンは気にしませんでした。

実際、全く間違った言葉でも

ありませんでした。

 

バスティアンは、

どんな手を使ってでも勝つように。

それで十分だと、

淡々と命令を伝えると、

再び書類の確認に集中しました。

 

母と祖父の目は閉じてやりました。

しかし、まだ、あの日の血の代償が

残っていました。

バスティアンは、

自分に与えられた新しい使命も

忠実に果たすつもりでした。

 

新しい計画の詳細について

議論する会議は

夜遅くまで続きました。

最後の案件が片付きかけた頃、

静かに近づいて来た秘書が、

ティラ・ベッカーから

電話がかかって来たことを

伝えました。

低く囁く名前を聞いた

バスティアンは目を細めました。

 

ベッカー夫妻を見つけ出すことは

それほど難しくありませんでした。

要求事項も、すでに数度に渡り

通知されていました。

しかしティラは、

あれこれ言い訳をして

連絡して来るのを避けたので、

バスティアンはついに、

特別な措置を取りました。

 

すでに全てを知っているので、

早急に返事をしろという伝言を

残したのは、

一種のハッタリでした。

そうでなければ、夫の事業に

問題が生じるかもしれないという

助言は本心でしたが。

こんなに早く返事が来たのを見ると、

姉の人生と引き換えにしたお金で

開いた製材所を

失いたくないようでした。

 

バスティアンは了解を求めてから

その場を去り、執務室へ向かいました。

受話器を握ったバスティアンは、

「こんにちは、ベッカー夫人」と

儀礼的な挨拶で

会話の口火を切りました。

 

ティラは、

どうか許して欲しい。

わざと、そうしたわけではない。

自分は自首をしようとしたけれど

姉がダメだと言い、

姉が全部責任を取るから

秘密を守るようにと言われた。

だからそうした。

どうか信じて欲しいと

恐怖に怯えた声で

ぶつぶつ言っていましたが、

まもなく、

激しい泣き声を上げました。

 

どうやら、

かなり長い通話が続くようでした。

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絶望的な春の日は、

ディセン公爵が

ティラに突き落とされて

体が不自由になると

宣告された日のことでしょうか。

 

もしも、あの事故が起きなければ

オデットはバスティアンと結婚せず

以前のような惨めな生活を送り、

今度こそ、借金のかたに

誰かに売られたかもしれない。

 

ティラが自首するのを

オデットが止めなければ

彼女は、

テオドラに脅迫されることもなく

バスティアンを

裏切ることもなかった。

元々、バスティアンは赴任先へ

オデットを

連れて行くつもりだったので

もしかしたら、今頃、

仲睦まじい夫婦に

なっていたかもしれない。

 

オデットはティラの自首を

止めるべきではなかったけれど、

そもそも、ディセン公爵が

階段から落とされたのは

娘のお金まで

取り上げようとするほど

転落した人生を送っていたせい。

 

テオドラがバスティアンを

痛めつけたのも、

ジェフ・クラウヴィッツからの愛が

バスティアンの母親に

留まったままだから。

ジェフがテオドラの身分欲しさに

彼女と結婚しようとしなければ

クラウヴィッツ家の

不幸も起きなかった。

 

結局、全ての不幸の元凶は、

二人の父親なのでは?という

結論に至りました。

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