自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 153話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ ネズミの告白

153話 バスティアンはティラから真実を聞き出しました。

ベッドの下に転がっていた

糸巻を拾おうとしたところ、

マルグレーテが好きなおもちゃである

松ぼっくりを見つけました。

 

オデットは慎重な手つきで

松ぼっくりを拾いました。

パタパタと、

軽快な足音が聞こえたのは

その時でした。

マルグレーテの気配でした。

 

幻聴だと分かっていながらも

振り返りました。

オデットは、その音を追って

幽霊のように邸宅を徘徊しました。

そして、

ゼンマイが切れてしまった人形のように

ぼんやりと立ち止まり、

虚ろな目で空中を見つめました。

毎日繰り返されている

オデットの日常でした。

 

背後から「奥様」と呼ぶ

馴染みのある声が、

呆然としていたオデットを

我に返らせました。

振り向くと、

コートを持って立っている

メイド長が見えました。

彼女の後ろに広がる青い空を

見つめて初めて、オデットは

自分が海の前のテラスに

立っていることに気づきました。

次第にぼやけていった幻聴は、

砕ける波の音の中に

消えて行きました。

 

静かに近づいたドーラは

手に持ったコートで

オデットの肩を包み込みました。

これもまた、壊れた日常の一部でした。

 

オデットは微かに微笑みながら

お礼を言いました。

その品位ある振る舞いが

迷子のような眼差しを

さらに際立たせました。

 

ドーラは、

もうすぐクラーモ博士が

到着する時間なので、

中へ入るようにと言いました。

彼女は、

何も知らないふりをすることで

オデットを気遣いました。

 

オデットは、

必死に現実から逃げていました。

そうしなければ、この苦痛に

耐えられないかのように。

それならば、ドーラは、この演劇の

協力者になることにしました。

粉々に砕けるよりは、

こうしてでも耐え抜く方が

マシだろうから。

 

遠い海をぼんやりと見つめていた目を

逸らしたオデットは、

落ち着いた足取りで

テラスを去りました。

ドーラは適当な距離を保ちながら

女主人の後を付いて行きました。

 

食品代金の支払い。

邸宅の大掃除のスケジュール。

今晩の食事のメニュー。

ごく日常的な会話を続けていた

オデットが、

まだ完全に隠し切れていなかった

本心を明かしたのは、

ちょうど3階の廊下に入った時でした。

 

もしかして、

新しい情報提供はありましたか?

 

松ぼっくりを握ったオデットの手に

じわじわと力が込められました。

 

ドーラができる答えは、

「申し訳ございません」という

無力な一言が全てでした。

 

マルグレーテの行方は

依然として不明でした。

情報提供は続いていましたが、

ほとんどは勘違いか

報奨金を狙った嘘でした。

今日は全く別の犬を抱えて来て

マルグレーテを見つけたと主張する

詐欺師まで現れましたが、

オデットが、わざわざ、

その事実を知る必要はなさそうでした。

 

「そうですか」と返事をして

頷いたオデットは特に言葉を添えずに

寝室へ向かいました。

ドーラはその場に立ち止まり、

遠ざかるオデットの後ろ姿を

見つめました。

残された彼女の日常の様子が

鮮明に描かれました。

 

再び部屋に戻り、

執拗にレースを編み、

義務的に夕食を済ませ、

マルグレーテの幻影を追いかけ、

疲れ果て、眠りにつく。

 

ようやく家に戻り、

眠っている妻の姿を見守る

バスティアンのことを考えると、

心配がさらに深まりました。

 

その悲劇の重さに

耐えられなくなったドーラは、

思わず足を止めました。

邸宅をゆっくり巡回した後、

1階に降りると

ちょうど郵便馬車が到着しました。

 

ドーラは直接受け取った郵便物を

抱えて、台所へ向かいました。

この時間はがらんとしていて、

仕事に集中するのに良い場所でした。

 

小麦粉の袋と野菜のかごを片付けた

テーブルに座ったドーラは、

差出人と受取人の名前を

丁寧に確認しながら、

郵便物を分類しました。

 

まず、主人夫妻宛てのものを

整理し、その後、

使用人たちの分を、別にまとめました。

その作業が終わりに近づいた頃

思いがけない手紙に出会いました。

トリエ伯爵家からの手紙が一通あり

驚くべきことに、

受取人はまさに彼女でした。

船が沈没する時、

最初に動くのはネズミ。

隠れていた船底から這い上がり、

必死に生き延びる道を探す。

 

バスティアンは静かな眼差しで

チューチュー鳴くネズミを

見下ろしました。

継母の手足の役目を果たして来た

メイドが、彼の足元に跪き、

すすり泣いていました。

 

スーザンから連絡が来たのは、

モリーが殺害されてから

三日目のことでした。

次は自分の番だという

予感がしたようでした。

姪の死を目の当たりにしても

正気を取り戻せずにいるナンシーよりは

まだマシな判断力でした。

 

このショーが

だんだん退屈になり始めた

バスティアンは、首を回して

遠くの海を見つめました。

スーザンが決めた待ち合わせ場所は

アルデン湾の北岸にある

人里離れた浜辺でした。

向かい合って立つ二つの邸宅を

一望できる位置でした。

花が咲く頃には

消えてしまう風景でした。

 

「申し訳ありません、坊ちゃま。

どうかお許しください。」

スーザンは今、

両手を合わせて謝り始めました。

これまでの悪行を告白する代わりに

スーザンが望んだのは

身辺保護と逃亡資金でした。

 

バスティアンは、

スーザンと会うことに応じて

期待を抱かせながらも、

確約しないことで、

この取引の優位に立ちました。

成功した戦略であったことを

証明するかのように、

スーザンは必死でした。

 

自分は今回の事件とは無関係だ。

坊ちゃまのお母様に

危害を加えたことにも加担しなかった。

あれは全てナンシーが

奥様に命令されてやったことだ。

本当だ。 誓うことができると、

スーザンは、

その事実が免罪符になると

信じているかのように

熱心に釈明しました。

肝心のバスティアンにとっては

無意味な話でしたが。

 

ディセン公爵が娘に書いた手紙を

盗み出し、あの事故の真相を突き止め

異母妹を武器にして

オデットを脅迫した。

そして、

オデットはティラを守るために

継母の要求に従った。

それは戦争の英雄

バスティアン・クラウヴィッツの

名誉を守るための選択でもありました。

 

スーザンの告白は、

あの事件の真相を理解する

最後のパズルのピースとなりました。

これが、彼女と会ったことの、

唯一の成果でした。

 

もしも気になる点があるなら

教えて欲しい。

何でも話すと告げると、

膝をついたまま近づいて来た

スーザンは、

バスティアンの足を掴みました。

ぼんやりと

その様子を見下ろしていた

バスティアンは、

手に持った封筒を渡すことで

返事を代わりにしました。

うっかり受け取って

それを開けたスーザンの顔の上に

鮮明な当惑が浮かびました。

 

バスティアンは、

継母へのプレゼントだと

淡々と本論を述べました。

何の感情も込められていない声が

砂浜に吹く風に乗って広がりました。

 

最後の一撃が

失敗に終わったことに気づいた

テオドラ・クラウヴィッツは、

慌てて撤退の準備をしていました。

モリーを殺害して証拠を消し、

その仕事を引き受けたチンピラは

移民船に乗せて送り出しました。

最近は現金化可能な財産を、

急いで処分しているところでしたが

おそらくフランツのための

救命ボートのようでした。

どれも、バスティアンの関心事では

ありませんでした。

 

オデットを害そうとした目的が

何かを悟ると、

その恩に報いる道が見えました。

バスティアンは、

彼女から学んだ方法で

仕返しするつもりでした。

殺人罪を暴いて刑務所に入れたり

すでに廃人となったフランツに

手を出すことは

最初から選択肢にありませんでした。

 

スーザンは、決意を固めた表情で

誰から来たものだと

伝えれば良いかと、

どもりながら尋ねました。

 

バスティアンは、

好きなように伝えろ。

ただ継母が、その贈り物を

きちんと受け取れば結構だ。

自分が与えたものであることを

明かしても構わないと、

気のない返事をして踵を返しました。

 

スーザンは、

どうか、行かないで。

全て話したので、

自分を助けなければならない。

どうか助けてと、

首を振り、砂浜を這いながら

去っていくバスティアンに

しがみつきました。

 

バスティアンは、

スーザンを斜めに見下ろし、

徐々に光が消えかけている

スーザンの目を見つめました。

オデットを

崖っぷちに追い込んだ張本人と、

交渉する気はありませんでした。

それでもスーザンの手を

借りることにしたのは、これが

セオドラ・クラウヴィッツの最期を

最も悲惨にする方法だからでした。

 

バスティアンは、

上手く使えば、

もう身の危険を感じる必要もないし

逃亡資金を乞う必要もない武器を

手に入れたのだから、

十分な代償を払ったように思うけれどと

言って、顎でスーザンが落とした封筒を

指し示しました。

ぼんやりしていたスーザンの目も

すぐに同じ場所へ向けられました。

苦痛に歪んだ顔の上に

微かな希望の光が浮かぶまで、

それほど

長い時間はかかりませんでした。

生きる道を見つける才能は

ネズミに劣らないようでした。

 

慌てて封筒を手に取るスーザンを見た

バスティアンは、

砂浜を後にしました。

枯草が茂る海辺を通り過ぎて

大通りに差し掛かると、

西の空が赤く染まり始めました。

 

バスティアンは、

タバコを一本吸いながら

車に乗り込みました。

家へと続く道の方へハンドルを切ったのは

衝動的な選択でした。

 

オデットは日常へ。 彼は復讐へ。

彼らは、それぞれの島に隠れ、

現実から逃げていました。

一見、穏やかに見える日々でしたが、

バスティアンは、

いつまでも、このままでは

いられないということを

良く知っていました。

 

眩いばかりの王冠を載せて

黄金の玉座に座らせたかった女は、

棘の冠を被った犠牲者となり

奈落に落ちました。

歪んだ欲望によって宿った子は

永遠の悲しみとなり、

冷たい土の下に埋められました。

さらには、あの小さな犬一匹さえ

守れなかった悲惨な敗北を、

バスティアンは

諦めるように受け入れました。

 

あなたを愛しています。

然るべき時に伝えられなかった

その告白が、

億万の借金となって返ってきました。

彼には、もうその借金を返す手段は

何も残っていませんでした。

 

腐った傷だというデメル提督の言葉は

正しかった。

治すためには、

切り取らなければならない。

もしかすると、それは、

オデットに渡すことのできる

唯一の贈り物かもしれない。

 

しかし、それでもバスティアンは

彼女を手放したくありませんでした。

むしろ一緒に朽ちて行くことを

望みました。

壊れて滅茶苦茶になった姿を見せながら

しがみついてでも

掴んでいたいと思いました。

 

愛でなくても構いませんでした。

もしかすると同情と哀れみなら

手に入れられるかもしれませんでした。

そうであれば、

オデットは留まってくれるだろう。

哀れなものを無視できない

責任感の強い女だから。

 

速度を上げて海岸道路を疾走した車が

邸宅の前に到着したのは、

そんな自分が恐ろしくなった頃でした。

 

運転席から降りると、

青ざめた顔の執事が走って来て

大変なことになったと告げました。

バスティアンは細めた目を伏せて

彼を見下ろしながら

どうしたのかと尋ねました。

 

執事は、

海岸の崖近くの森で、

白い犬と思われる動物の死骸が

発見されたという連絡があり、

奥様が、直接確認すると言って

そこへ向かった。

自分たちで止めようとしたが

無駄だった。

どうやらご主人様が行くべきだと思うと

慌ただしく報告すると、

突然、静寂が訪れました。

 

唾を飲み込んだバスティアンは

ゆっくりと首を回して

庭の向こうの森を見つめました。

あそこで、

オデットが目撃することになる光景が

脳裏をよぎると、

本能的に体が動きました。

発作的にバスティアンは、

赤く染まった夕焼けの森に向かって、

全力で走り出しました。

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バスティアンなら

すぐにお金を取り戻せるけれど

名誉は取り戻せないと思い、

オデットは、

バスティアンを裏切ったけれど

その気持ちの背景には、

皇女としての名誉を取り戻そうと

必死になっていたけれど、

それが叶うことなく、

世を去ってしまった母親のことが

あったのではないかと思いました。

バスティアンは古物商の孫という

不名誉なニックネームを、

海軍の英雄という名誉で

上書きしようと必死になっていた。

それを自分の家族のせいで、

台無しにしたくなかったのは、

彼への愛があったからではないかと

思います。

 

バスティアンは、

スーザンの告白により、

オデットが自分を裏切った理由を

知ることができた。

彼女への愛は、募るばかりなのに

八方塞がりの状態。

バスティアンは、然るべき時に

「愛している」と伝えられなかったと

後悔しているけれど、

それは、自分を裏切ったオデットに

愛を告白したくないというプライドが

そうさせなかっただけで、

いくらでも愛を伝える機会は

あったと思います。

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