自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 159話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 最後の夜

159話 バスティアンはケラーへ任務の変更を伝えました。

ご主人様は、

今日も早く帰宅されるそうだ。

格調高い晩餐を準備するよう

指示があったと、

執事に会って来たメイド長が

報告しました。

 

頷いたオデットは、

編み物を片付けて立ち上がりました。

一日中、手放せなかったレースは、

図案とは全く違う形になっていました。

編み目が抜け、

糸が絡まった部分が非常に多く、

もはや、

手の施しようがなさそうに見えました。

 

悩んでいたメイド長は、

体調が良くないと言ったらどうかと

代替案を提示しました。

しかし、オデットは、

落ち着いて首を振りながら、

その必要はないと答えると、

糸を切りました。

失敗作は、未練なく片付けました。

 

邸宅の日常が変わってから、

いつの間にか

一週間が経とうとしていました。

 

バスティアンは普段より早く退勤し

オデットと夕食を共にしていました。

毎日、豪華な晩餐を

用意させていること以外

これといって、変わった様子は

見当たりませんでした。

 

オデットは、

自分は大丈夫だと告げると

淡々と頷きました。

いずれにせよ、

今日が過ぎれば幕を閉じる演劇。

もう一度、舞台に立てない理由は

ありませんでした。

 

奥様の意志に従うと返事をして

去ったメイド長は、

メイドたちの一団と共に

戻って来ました。

晩餐の準備は

手際よく進められました。

 

浴室へ向かったメイドが

入浴の準備をしている間、

別のメイドが

衣装を選ぶのを手伝いました。

厳選された三着のドレスが

広げられたベッドは、

花が満開の野原のように

華やかになりました。

それに合わせた靴や装飾品、

宝石も、次々と、

そのそばに置かれました。

出席者が二人だけの

夕食の準備にしては

すべてが度を越していました。

時間が経つにつれて、

その程度は、

さらに深刻になって行きました。

 

明日の今頃は、

遠い旅路についていることだろう。

最後を実感したオデットの眼差しが

深くなりました。

 

一日に何百回も揺れる心を

落ち着かせながら

ここまで来ました。

今になって引き下がれば、

永遠に、この墓のような平穏の中に

安住することになるはずでした。

 

抜け殻のような人生を

一体、何で満たすべきだろうか?

 

まだ、その答えを見つけるのは

難しかったけれど、

それでも一つだけは確信できました。

オデットは、悲しみと苦しみに

その場所を譲りたくありませんでした。

そうなると、残された選択肢は

ただ一つだけでした。

 

無意味な煩悶を消したオデットは

静かな足取りで

ベッドの前に近づきました。

衣装を準備した

メイドの助言を聞きながら悩んだ末、

青いシルクのドレスと

ダイヤモンドのネックレスを

選びました。

夫との夕食が始まって以来、

初めて見せた能動的な行動でした。

 

女主人の変化にやる気が出た

メイドたちは、

さらに熱心に任務を遂行しました。

お風呂の湯が用意された浴室へ、

再び寝室へ、そして化粧台の前へ。

この手からあの手へと

渡されるのを繰り返しているうちに、

いつの間にか

日が暮れる頃が近づいていました。

 

化粧を終えたメイドが退くと、

すぐに髪の手入れが始まりました。

櫛の歯が、柔らかい髪の間を

サラサラと通る音が

夕日の光の中に染み込みました。

 

惨めに踏みにじられても

虚しい期待と未練を捨てられない

愚かな女。

オデットは、

ますます見知らぬ人になって行く

鏡の中の自分を見つめながら、

今夜、演じることになった役を

振り返りました。

 

愚かな愛のせいで

不幸になった女を演じるのは

簡単なことでした。

過去3年間の自分を、

生き直すだけで良いのだから。

おかげで彼の目を

欺くことができたのかもしれないと

オデットはふと考えました。

 

最近のバスティアンは、

まるで春が訪れる

アルデンの海のようでした。

涼しいけれど穏やかでした。

深く、そして静かでした。

軽々しく近づくことも

退くこともない距離に、

ただ風景のように留まっていました。

 

欺かれていることに気づいたなら

あり得ないことだと

オデットは確信しました。

すでに二度も、

あの男を裏切った代償を払ったので

誰よりもよく知っている事実でした。

 

それでは、突然の心境の変化の理由は

何なのだろうか?

ふと、それが気になりましたが、

オデットは深く考えませんでした。

疑いを持たれていないのであれば、

それで十分でした。

 

それ以上の判断は無意味だという

結論を下したオデットは、

真っ直ぐな目で鏡を見つめました。

ボリュームのあるカールを作って

結い上げた髪を整えたメイドは、

最後に、

宝石がびっしりと埋め込まれた

装飾用の櫛を挿しました。

 

ご主人様が戻って来ると、

後片付けをしていたメイドの一人が

嬉しそうな声で告げました。

支度を終えて立ち上がったオデットは

そのメイドが指差している窓の向こうに

目を向けました。

金色のスポークを持つクリーム色の車が

進入路の左側から

走って来ていました。

 

オデットは再び鏡の前に戻り、

最後の仕上げをしました。

後れ毛を自然に整え、

飾り櫛をわずかに傾けて、宝石が

より美しく輝くようにしました。

 

息を整えたオデットは、

踊るように柔らかな足取りで

迎えに出ました。

最後の夜がやって来ました。

いよいよカーテンコールが

始まろうとしていました。

今日の夕食は、

普段より早い時間に始まりました。

妻の椅子を引いたバスティアンは、

テーブルを回って

向かいの席に座りました。

まだ料理の支度が

全て整っていなかったことを

謝罪した執事は、まず

食前酒と冷たい前菜を出しました。

 

ロビスは、

できるだけ急ぐよう

料理人に伝えておいた。

もうすぐ・・・と弁解すると

バスティアンは、

爽やかに笑いながら首を振って

そんな必要はない。

食事の時間を守らなかった責任は

自分にあるので大丈夫。

ゆっくりやるようにと指示しました。

 

シャンパングラスを持った

バスティアンは

目で時計を指し示しました。

彼が通知した夕食の時間まで

まだ30分残っていました。

デメル提督に同行して

合同参謀本部へ行き、

すぐに退勤したため、

予定より帰宅が早くなりました。

 

その様子を見守っていたオデットも

食事は決まった時間に

準備するようにと一言加えました。

にっこり笑う顔が爽やかでした。

華やかな宝石の輝きが

微かに残っていた病人の顔色を

消してくれたおかげのようでした。

 

ようやく安堵した執事が退くと、

晩餐室は再び静寂に包まれました。

バスティアンは

ゆっくりと食前酒を飲みながら

視線を上げました。

ちょうど窓の外の景色を眺めていた

オデットも顔を向けました。

 

食卓を飾る花と燭台の間で、

二人の目が合いました。

淡々とバスティアンの視線を受ける

オデットの顔の上に、

バラ色の夕焼けのような微笑みが

浮かびました。

 

嘘を演じる時に最も美しく輝く女。

バスティアンは、

その事実がもたらした虚無感と共に

シャンパンを飲み干しました。

 

トリエ伯爵夫人がドーラを懐柔して

企んでいることが何であるかは

明白でした。

オデットもまた、

彼女たちの共犯であることも、

容易に気づきました。

尻尾を掴んだので、

切り落とせば済む話でした。

 

その日、海軍省を出るまで、

バスティアンはそのつもりでした。

秘書が伝えた知らせがなければ、

きっとそうなっていたはずでした。

 

最後の代償を受け取る日が

近づいている。

その日、執務室で確認した報告書が

意味することは明らかでした。

 

テオドラ・クラウヴィッツは

夫が隠した財産を回収するための

計画を立てていました。

一方で、

海外逃亡を準備していましたが、

船のチケットは、

一人のためだけのものでした。

正確にバスティアンが意図した通りに

事が動いているので、近いうちに

定められた終わりを迎えることは

明らかでした。

 

その影響から、あなたを

どのように守るべきだろうか。

書類を閉じながら

バスティアンは自問しました。

そして、

その答えが全てを変えました。

 

完璧な礼装姿のバスティアンを

見つめたオデットは、

いつまで

皇命に従わないつもりなのかと

囁くような声で、

ため息混じりに尋ねました。

 

オデットを一瞥したバスティアンは

沈黙の中で、

黙々と食事を続けていました。

頑なな態度で代わりに伝える

その答えを、

オデットは難なく察知しました。

 

オデットは、

苦労して成し遂げたことなのにと

呟くと、豪華な晩餐室を

ゆっくりと見渡していた目を

英雄の名誉を象徴する

輝かしい勲章に向けました。

 

深淵から抜け出して一息つくと、

ようやく現実が見えてきました。

お互いのせいで何を失ったのか。

また何を失っていくのか、全てを。

それでも幸い、

まだ遅くはありませんでした。

 

社交界から排斥されても

バスティアンの地位は

依然として堅固でした。

皇帝に寵愛される戦争の英雄であり

日増しに富と権力を増している

資本家でした。

この結婚をうまく片付ければ、

失った名誉と評判も

回復できるはずでした。

 

だから、もしかしたら、

良い別れができるかもしれないと

慎重な期待を抱いて待っている間に

夕方の澄んだ闇が訪れました。

 

バスティアンは

料理がすべて準備されるだけの

時間が経ってから、ようやく

再びオデットと向き合いました。

 

静かにオデットを見つめていた

バスティアンは、

まずアルデンを離れてみたらどうかと

思いがけない質問を投げかけました。

 

オデットはかろうじて

戸惑いを隠しながら

何かあったのかと尋ねました。

バスティアンは

落ち着いて首を振りながら

「いいえ」と答えて

カトラリーを置きました。

 

躊躇の入り混じった眼差し。

あまりに滑らか過ぎて、

かえってぎこちない微笑み。

ひび割れた仮面の隙間から見える

本心の欠片まで。

 

オデットは

全世界を一瞬で欺いた

名演技を見せた女優とは思えないほど

ぎこちなくて不器用でした。

この欺瞞劇が始まった間

ずっとそうであった彼女のおかげで

バスティアンは、

はるかに優れた俳優へと

生まれ変わらなければ

なりませんでした。

自分を騙そうと努力する女性を騙し

そして、

自分自身さえも騙せるように。

 

バスティアンは、

どうやら、ここは、

あなたの心を苦しめる場所だろうから

ローザンであれ、

他の別荘がある場所であれ、

どうしても耐えられないなら、

先に行くように。

残った仕事を片づけたら、

自分もすぐに後を追うと話しました。


空のグラスを満たす音が

落ち着いた低音の声と調和しました。

オデットを守るためなら

何でもすることができました。

その決意は、

これまでになく固かったけれど、

バスティアンは、

結局、何も守れなかったという

惨めな敗北が教えてくれた限界も

よく理解していました。

 

もし再びその過ちを犯せば、永遠に

この女を失うかもしれない。

それに気づいた瞬間、

バスティアンは、

探偵に指示する任務を変更しました。

調査終了。

ケラーが引き留めたにもかかわらず

バスティアンは

決断を覆しませんでした。

 

どうしても、

自分から手放せませんでした。

全てを知りながら、

送り出す自信もありませんでした。

それならば、バスティアンは

むしろ目を閉じようとしました。

再び出発点に立てる日が来るまで。

欺かれる形で

オデットを守れるように。

 

しかし、それでも愚かな心は

依然として次善の策を考えました。

このまま、あなたを連れて

遠くへ逃げ出せたらいいのに。

自分はあなたの夫であり、

あなたは自分の妻であるだけで十分な

二人だけの世界へ。

そのような場所で

そのような日々を過ごせば、

いつかは謝罪と許しと愛を

口にできるかもしれない。

あなたの心も自分と同じであれば。

 

そのあさましくも惨めな期待が

滑稽に思えた瞬間、オデットは

「はい、そうします」と答えて

頷きました。

ろうそくの灯りに染まった瞳が

澄んで輝き、

唇は柔らかな弧を描きました。

 

ようやく本来の実力を取り戻した

オデットを、じっと見つめていた

バスティアンの唇の上に、

自嘲的な笑みが浮かびました。

 

このように愛らしく

振る舞う様子を見ると、

どうにかして自分を、奈落に

突き落とすつもりのようでした。

 

しかし、もしかすると

明日は何かが変わるかもしれない。

まだ全て捨てきれていない未練が

理性を曇らせました。

恍惚とした失望に満ちた

バスティアンの視線は、

偽りのような微笑みと

真実のような眼差しが共存する

美しい顔の上に

長く留まっていました。

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前話でオデットは

トリエ伯爵夫人との約束の日を

1週間後に控えていて、

それと同じ頃、バスティアンが

ケラーからの報告を聞いたとしたら

バスティアンは、

いつオデットが出て行ってもいいように

最後の晩餐がオデットにとって

良い思い出となるように、

早く帰宅して、豪華な食事を

用意したのではないかと思いました。

そして、最後の夜。

いつもと違うオデットを見て

バスティアンは

「明日だ」と思ったかもしれません。

そして、先に行くようにと言ったのは

オデットが少しでも気楽な気持ちで

出て行けるようにと

願ったからではないかと思いました。

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