自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 162話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 穏やかな生活

162話 オデットはアルデンを出て行きました。

その家は、村を流れる浅い小川の

左岸に位置していました。

趣のある古びた田園風の

2階建ての石造りの家でした。

 

川に沿って続く道を歩いて来た

オデットは、日傘をたたんで、

その家のポーチの下に入りました。

重い買い物かごは一旦床に置き、

ハンドバッグから取り出した鍵で

玄関のドアを開けました。

ドアが開き、再び閉まる音が止んだ

家の中は、再び静寂に包まれました。

 

オデットはすぐに台所へ行き、

買い物かごを片づけました。

今日の夕食メニューの

シチューに必要な材料は

あらかじめ下ごしらえしておき、

ついでにパン生地まで仕上げました。

 

散歩の途中で市場に立ち寄り、

買い物をして食事の準備をすること。

それは、

オデットが必ず守ろうと努力している

午後の仕事でした。

 

午前中は家事に熱中し、

裏庭の花壇と家庭菜園の

手入れをしました。

休むことなく体を動かしていると、

一日があっという間に過ぎ、

体が疲れている分だけ

深い眠りにつくことができました。

 

石炭を入れたオーブンに

火を点けたオデットは、

熱が上がるのを待つ間に

お湯を沸かしました。

思い切って、よく飲んでいた茶葉を

買って来ましたが、

結局はコーヒーを選びました。

茶の香りと共に訪れる苦しい記憶を

よく知っているからでした。

 

オデットはコーヒーを用意し、

裏庭に置かれた屋外用のテーブルへ

向かいました。

長年放置されていたため

状態は良くありませんでしたが、

レースの布をかけて錆を隠すと、

十分、使えるようになりました。

 

ジェンダス伯爵が、

新しいものを用意してくれると

言いましたが、

オデットは丁重に断りました。

費用を支払うのが

トリエ伯爵夫人であっても同じでした。

すでに大きな恩恵を受けているので

あえて不必要な出費をするのは

どうしても気が咎めました。

 

オデットは、

今朝完成したクッションを置いた

椅子に座り、

春の日差しがいっぱいの裏庭の風景を

眺めました。

台所の窓の前に立っている

リンゴの木には、

瑞々しく膨らんだ蕾が

たくさん付いていました。

野菜や花の苗も、

旺盛な生命力を示しながら

育っていました。

 

冬のアルデンを離れて

春のロスバインに来るまで。

 

オデットは改めて思い返した

時間の流れを振り返りながら、

角砂糖を入れたコーヒーを

かき混ぜました。

 

同行者が誰で、

目的地がどこかを正確に知ったのは、

ドーラと別れた後でした。

 

まずトリエ伯爵夫人と偶然出会って

一緒にお茶を飲むふりをする

演技をした後、馬車に乗って

一緒にアルデン郊外へ向かいました。

ジェンダス伯爵が

そこでオデットを待っていました。

夢にも思わなかったことでしたが、

すでに賽は投げられた後でした。

 

オデットは、与えられた義務を

忠実に果たしました。

助け手と共に旅に出て、

無事に隠れ家に到着しました。

そして冬眠に入った動物のように

深い眠りにつきました。

 

戻れない川を渡って来た。

数日ぶりに長い眠りから目覚めると

ようやく現実感が湧いてきました。

 

その日、オデットは

一日中家を掃除しました。

翌日には村へ出て道を覚え、

生活必需品や食料品も購入しました。

そのような静かな日々が続くうちに、

すっかり春が訪れました。

オデットはその事実に安堵し、

砂糖を溶かしました。

 

夏が来る頃には

離婚が完了するはずなので、

完璧に新しいスタートを切ることが

できるだろう。

 

オデットは、その希望を頼りに

再び砂糖を溶かしました。

失敗に気づいたのは、

ぬるくなったコーヒーを

一口飲んだ後でした。

あまりにもたくさん砂糖を入れたため

コーヒーは甘過ぎました。

 

オデットは、思わず息を殺して

目を見開きました。

ティーカップにぶつかって

砕けた日差しの欠片が

視界をかすめて行きました。

 

「こんにちは、マリーさん」

塀のそばを通りかかった

通行人の挨拶が、

呆然としていたオデットを

我に返らせました。

隣に住む老人でした。

 

療養のためにロスバインを訪れた

ジェンダス伯爵の遠い親戚のマリー。

新たな役柄を思い出したオデットは、

それにふさわしい顔つきで

立ち上がりました。

石垣を挟んで交わした談笑は

予想より長くなりました。

 

豆をまく時期とバター作り、

孫の学校生活。

まとまりのない話が続きましたが

オデットは黙って耳を傾けました。

別れの挨拶をして振り返ると、

いつの間にか日が傾いていました。

 

オデットは、

そのくらいでテーブルを片づけて

台所に戻りました。

飲めなくなったコーヒーを捨てて

踵を返すと、

玄関の呼び鈴の音が響き渡りました。

 

驚いたオデットは

急いで玄関へ向かいました。

胸が不安に高鳴り始めたその瞬間、

「私です、オデット」と

春の夕暮れのような声が

聞こえてきました。

ジェンダス伯爵でした。

 

「私もいます!」

銀の鈴のように澄んだ声が続きました。

今日はアルマも一緒でした。


一息ついたオデットは、

優しい笑みを浮かべた顔で

ドアを開けました。

フランツが無事に移民船に乗ったという

知らせが届きました。

電報を確認したテオドラは、

一段と軽やかになった足取りで

踵を返しました。

 

今頃、船は大洋を航海しているはず。

フランツを、

この地獄の外へ送り出したので、

もう思い残すことは

何一つありませんでした。

 

料理の準備で忙しい台所を見回した

テオドラは、

本格的な晩餐の準備を始めました。

 

まず寝室へ行き、ドレスを選び、

香油を惜しみなく使った湯舟に

浸かりました。

浴槽の外に手を伸ばすと、

シャンパングラスを載せた盆を持った

メイドが近づいて来ました。

開け放たれた浴室のドアの向こうから

蓄音機の音が聞こえて来ました。

彼女が好きなオペラのアリアでした。

 

鉄道王の破産が目前に迫っているという

不吉な噂が流れているにもかかわらず

まだ大多数の使用人が、

その場にいました。

万が一に備えて取っておいた

個人名義の財産と宝石を

全て処分したテオドラが支払っている

給料のおかげでした。

今では、

それさえも不可能になりましたが。

 

テオドラは、

夫がこっそり隠し持っていた財産を

全て回収してフランツに渡しました。

自分の持っていたお金も

最後の一銭までかき集め、

息子の手に渡しました。

ここで享受していた贅沢には

及ばないけれど、

それでも困窮することなく

何とか生活できる程度には

なるはずでした。

 

フランツには、

父が別に用意してくれた財産だと

伝えました。

どうぜジェフ・クラウヴィッツの

裏ポケットから出たお金なので、

全く間違った話では

ありませんでした。

今頃は、あの男の耳にも

その知らせが入っているはずでした。


テオドラは、

満足そうな笑みを浮かべながら、

空のシャンパングラスを

メイドに渡しました。

浴槽に背中を預けて横になると、

待機していた別のメイドが近づいて来て

髪を洗い始めました。

 

テオドラは、この愛の終わりが

華やかな悲劇であることを

願っていました。

そのために残った全てを捧げたので

すぐに望む結末に至るはずでした。

 

入浴を終えたテオドラは

大切にしているイブニングドレスを

身にまとっていました。

今夜のために残しておいた

最後の宝石まで身につけた後、

待ち望んでいた知らせが届きました。

 

慌てて駆けつけたメイドは

「ご主人様がお帰りになりました」と

困った様子で告げました。

虚しい夢が

粉々に砕けたことを知った

ジェフ・クラウヴィッツの怒りは

相当なもののようでした。

 

「どうやら、今日の晩餐は・・・」と

言いかけたメイドの言葉を、

テオドラは、

「食事の準備を始めるように」という

平然とした命令で遮りました。

 

彼は火のように怒るだろうけれど、

結局、自分の機嫌を

取らざるを得ないことを、

よく分かっていました。

まだ残っている財産があると

ほのめかしておいたからでした。

どうにかして自分を懐柔し、

それさえも奪おうと

必死に努力するはずでした。

 

そのことに幻滅を感じながらも

一方では期待もしていました。

自分の利益を守るという目的を持って

近づいて来る

ジェフ・クラウヴィッツは、

この上なく甘い恋人だからでした。

 

途方に暮れているメイドたちを退け、

テオドラは、

窓際に置かれたテーブルに座って

夫を待ちました。

あらかじめ用意しておいた

ウイスキーの瓶が、

夕暮れの光の中で輝きました。

ジェフ・クラウヴィッツが

とても好きなお酒でした。

 

一生ソフィア・イリスの亡霊を

追い続けて生きて来たとしても、

寛大な心で理解してやれたのは

結局、その男を所有しているのは

自分だという確信があったからでした。

テオドラは、

ただそれだけを望んでいました。

何があっても、

その権利だけは守るつもりでした。

 

しばらくすると、

怒りと焦りが混ざった足音が

聞こえ始めました。

 

「テオドラ!」

やがてドアが勢いよく開くと、

切に待ち望んでいた男が

姿を現しました。

テオドラは、

心からの微笑みを浮かべて

立ち上がりました。

 

ジェフ・クラウヴィッツは、今もなお

非常に魅力的で素敵な男でした。

そして、その事実にテオドラは

非常に満足しました。

この愛は、命が終わっても

消えない炎になるという確信が

持てました。

これならば、

損をした商売をしたことには

なりませんでした。

 

永遠に自分のものとなる男に向かって

テオドラは落ち着いて

一歩を踏み出しました。

執事室のドアが勢いよく開くと

怒った顔の侍従が姿を現して

机の前に近づき、

遠慮なく声を荒げるという

無礼な態度を見せながら

どうか、あの忌々しい張り紙を

撤去して欲しいと訴えました。

 

検討していた帳簿を閉じたロビスは

眉を顰めて、

暴言を吐いた侍従を見つめながら

どうしたのかと尋ねました。

 

侍従は、

朝早くから、また詐欺師が現れた。

今度は浮浪者までが

無駄な小細工を弄した。

一体いつまで、こんな有様を見て

過ごさなければならないのかと

怒りを抑え切れずに

不満を漏らしました。

 

ロビスは、

張り紙って、マルグレーテのことかと

尋ねると

じっくり考え込んでいた

彼の眼差しが鋭くなりました。

侍従は、地面が崩れそうなほど

ため息をつきながら頷くと、

雑巾のような犬を一匹抱えて来て、

マルグレーテだと言い張るので

どれほど呆れたことか。

あの世を彷徨う

浮浪者か何かではないかと思ったと

答えました。

 

ロビスは、

その人は今どこにいるのかと

尋ねました。

侍従は、

二度とそんな真似ができないように

徹底的に殴ったら逃げ出したので、

これ以上、

知る必要はなさそうだと答えると

大したことではないというように

肩をすくめました。

ちょうど運動に出ていた

バスティアンが戻って来るという

知らせが伝わり、

会話はそこで中断されました。

 

ロビスは、氷水とタオルを持って

ロビーに出ました。

庭の向こうに見える

海岸の遊歩道から

バスティアンが走って来ていました。

 

周囲の懸念とは異なり、

バスティアンは大胆に

現実を受け入れました。

妻を探す努力は一切せず、

ただ黙々と

自分の人生を送っていました。

あまりに平穏過ぎて、

かえって危うく感じられましたが

ロビスは知らないふりをして

目を瞑っていました。

こうしてでも乗り越えられることを

ただ願うばかりでした。

だから、

わざわざ不必要な波風を立てる必要は

ないのではないかと考えました。

 

ロビスが悩んでいる間に

バスティアンが到着しました。

ロビスは、

いつもと変わらない表情で主人を迎え

前週より記録が良くなったと

告げました。

にっこり笑って息を整えた

バスティアンは、

彼が差し出したグラスの水を

一気に飲み干しました。


バスティアンは、

1時間後に出発するので、

お茶を用意するようにと

簡潔な指示を出し、先頭に立って

ホールを横切って行きました。

ロビスは深くため息をつきながら

主人の後を追いました。

 

ロビスは、

休日は少し休んだらどうか。

このまま無理を続けると・・・と

思い切って話しかけたのと同時に

「ご主人様!ご主人様!」と

鋭い悲鳴が響き渡りました。

配達されたばかりの新聞を握った

メイド長が

転がるように走って来ました。

 

バスティアンは眉を顰めて、

メイド長の方を向きながら、

どうしたのかと尋ねました。

顔面蒼白になっているメイド長は、

手に持った新聞を差し出すことで

代わりに答えました。

バスティアンは冷静沈着な動作で

それを受け取りました。

 

息子の手によって没落した鉄道王

妻に命を奪われるという

悲劇的な最期を迎えた。

 

今日の新聞の一面には

待ち望んでいたスクープが

掲載されていました。

バスティアンは感情のない眼差しで

ゆっくりと記事を読み始めました。

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バスティアンがテオドラに

ジェフの隠し金について教えたのは

それを知れば、確実にテオドラは

それを回収すると分かっていたから。

そして、フランツだけを

新大陸に送り出したことで、

テオドラがジェフに手をかけることも

予測していたのですね。

愛されていなくても

妻の座だけは固守することに

こだわったテオドラは

ジェフが愛人と逃げることを

絶対に許さないことも

見抜いていたのでしょう。

 

いつまでもジェフの心を捉えて

離さない憎いソフィアの息子とはいえ

バスティアンを虐待して追い出さず、

彼が優秀なことを素直に認めていれば

テオドラは

このような悲劇を迎えずに

済んだのではないかと思います。

もっとも、

ジェフの妻の座を奪うために

ソフィアに手をかけたこと自体

間違っていましたが・・・

 

バスティアンが来るのではないかと

オデットは

ビクビクしているようですが

彼女が出て行くことを見逃してくれた

バスティアンのおかげで

穏やかな生活を送れて

何よりです。

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