自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 165話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 2つの廃墟

165話 ジェフ・クラウヴィッツの世界はバラが満開の季節に崩れました。

 

噂を聞いた見物人たちが

アルデン湾に押し寄せるという

珍しい光景が広がりましたが、

肝心のバスティアンは

そこを訪れませんでした。

いつも通り海軍省に出勤して業務を行い

決まった時間に退勤の途につきました。

解体工事を最後に、

しばらく実務から退くことにしたため

会社に再び出勤する手間が減りました。

 

混雑したラッツの中心部を離れると、

道路の渋滞が解消されました。

バスティアンは車の速度を上げて

アルデンへ続く道を駆け抜けました。

日が長くなったので、

海が見える道路に入る頃になっても

まだ、太陽は沈みませんでした。

 

海は眩い日差しをいっぱいに浴びて

キラキラと輝き、

顔をかすめる風からは

微かにバラの香りが感じられました。

春と夏の間にある

美しい季節の夕暮れでした。

 

アルデン湾を守る

双子の邸宅が見える地点に入ると、

バスティアンは、

車のスピードを落とし始めました。

予想通り、

父の世界は崩れつつありました。

まだ工事は終わっていませんでしたが

すでに8割ほどは

解体が進んでいる状態でした。

 

轟音と共に、

巨大な砂塵の雲が立ち上り、

再び轟音が続きました。

アルデン湾の海岸線沿いに連なる

車とパラソルを見たバスティアンは

苦笑いを浮かべて、

再びスピードを上げました。

退屈を持て余している連中に、

思いがけず、

大きな楽しみを与えたようでした。

その中の一部の者たちは、

オペラグラスを構えるほどの

熱意さえ見せていました。


そんなに面白いことなのだろうか?

バスティアンは、冷ややかな目で

邸宅の残骸が崩れていく光景を

見ました。

ついに子供の血の代価まで

取り戻しましたが、

特に感動はありませんでした。

オデットが去った日から

続いていた虚無と疲労も、

今は跡形もなく消えました。

 

あなたは何を手に入れたの?

 

クスクス嘲笑うテオドラの声が

耳鳴りのように耳元で響き始めた頃

邸宅へ続く入口が現れました。

 

もしかすると、まだ完全な結末を

見ていないからかもしれないと、

淡々と結論を下したバスティアンは

ハンドルを切りました。

長くなった街路樹の影が彩る道を

通り抜けると、ぽつんと取り残された

復讐の殿堂が現れました。

 

バスティアンは

玄関前に整列している使用人たちを

一瞥した後、車から降りました。

最後の爆音が止んだアルデン湾には、

いつもと変わらぬ平穏が

漂っていました。

オデットは、普段より遠くまで

散歩に出かけました。

収穫を控えた麦畑が広がる

村の入口を通り、野原へ。

そして再び丘へと続く道を歩きました。

葉が茂った木の下に置かれた

ベンチに座ると、

穏やかな田舎の風景が一望できました。

 

オデットは一息ついて、

麦わら帽子を脱ぎました。

乱れた髪を編み直し、

土埃がついたスカートの裾を

整えました。

最後に姿勢を正すと、

夕方の祈りの時間を告げる

礼拝堂の鐘の音が響き始めました。


オデットは鐘の音を聞きながら、

薔薇色と青色が混ざり合う空を

見つめました。

アルデンの夕方も、

このような鐘の音とともに

訪れました。

他のことに熱中していても、

この頃になると、

邸宅の入口が見える窓の前を

うろうろしていました。

時には、ときめき、時には恐れ、

結局は悲しみとなって幕を閉じた

待つ時間でした。

 

鐘の音が止むと

夕焼けが濃くなりました。

オデットは物思いに耽るのをやめて

立ち上がりました。

街灯のない田舎の道は、

日が暮れると、

すぐに暗闇に包まれました。

真っ暗な夜道を彷徨うのを

避けるために、急ぐべき時でした。

 

オデットはサクラソウが茂る丘を下り

小川を渡りました。

かなり長い距離を歩きましたが、

以前のように疲れたり

疲労を感じたりしませんでした。

たとえ速度は遅くても、

体は徐々に回復しているので、

いつかは心も、あるべき場所へ

戻って行くだろうと思いました。

おそらく夏が終わる前には。

 

オデットは、

バラと芍薬が咲く野原を歩きながら

結婚の終わりについて考えました。

バスティアンが考える適切な時期は

おそらく今頃だろうと思いました。

過去をすべて清算し、

新たな出発をするのに良い時期。

皇帝の考えも違わないはず。

それならば、オデットも

次の準備をする時でした。

 

金色の波が立つ麦畑を通り過ぎて

村に入ると、夕闇が訪れ始めました。

オデットは小川に沿って続く道を

歩いて家へ向かいました。

時折、見慣れた顔が挨拶して来ると

しばらく足を止めて

おしゃべりをすることもありました。

 

こんにちは、マリーさん!

明日の約束を忘れていませんよね?

 

小川の向こう側の道を通りかかった

女性が、声を張り上げて尋ねました。

近くに住んでいる

村の学校の先生の妻でした。

彼女の家で、

お茶の時間を一緒に過ごす約束を

思い出したオデットは、

ニッコリ笑って頷き、

クッキーを焼いて持って行くと

答えました。

 

この村の若い女性たちには、

順番を決めて互いの家を訪問し、

お茶の時間を共にする集まりがあり

少し前から、オデットにも

手を差し伸べてくれました。

それぞれが準備してきた料理を

分け合いながら、

おしゃべりをする場でした。

まだ慣れていないので、

黙って話を聞きながら、

帰って来るだけでしたが、

それでもオデットは

その集まりが好きでした。

 

本も全部読み終えたと、

オデットが一言付け加えると、

教師の妻は明るい笑顔を見せました。

 

お茶を飲んだ後に、

有益な活動を1つ、一緒に行うことが

集まりの目的でしたが、その決定権は

お茶会の主催者にありました。

教師の妻は、

読書会を開くと告げました。

選定された本は、前回の集まりで

事前に通知されました。

 

やはりそうだろうと思っていた。

それでは、また明日と告げて

手を大きく振った彼女は、

ぐずる子どもをなだめながら

去っていきました。

 

オデットと同年代の教師の妻は

すでに3人の子どもの母親でした。

年子の2人の兄弟は、

もはや母親の後をついて回る

年齢でもないほどに成長していたため

村を行き来する際は、

主に1歳の末娘を連れていました。

 

遠ざかっていく母娘の姿を

しばらく見つめていたオデットは、

微かに微笑みを浮かべて

再び歩き出しました。

夏が近づいたせいか、

しばらく忘れていた子供のことを

時々、思い出しました。

 

健康に育っていたら、夏と共に、

この世に生まれて来たはずなのに。

儚い仮定をすると、当然の流れのように

バスティアンが思い浮かびました。


もし子供が、

無事にこの世に生まれていたら、

今の自分たちは

どうなっていただろうか。

 

全く無意味な疑問がふと虚しくなり

自嘲している間に、家が近づきました。

窓から漏れている温かい明かりを見ると

ざわついていた心が、

随分、落ち着きました。

 

明かりの消えた家に戻るのが嫌で、

あらかじめ照明をつけて

散歩に出かけていました。

燃料を無駄にする愚かな行為だと

分かっていましたが、

それでも、しばらくは、

この方法を続けるつもりでした。

心の傷も全て癒える日が来る頃には

止めることができるだろう。

つまり、おそらく夏が終わる前には。

オデットはその希望を頼りに

歩みを速めました。

 

マリー・ベラー。

この村の人々は、オデットを

そのような名前で覚えていました。

永遠に、

こんな見え透いた嘘の裏に隠れて

生きることはできないけれど

離婚が完了した後も、しばらくは

ここにいたいと思っていました。

自分の人生の主となる方法を学んで

身につけた後、

次の一歩を踏み出せるように。

 

まずは家に帰って夕食を作ろうと

オデットは気持ちを引き締めました。

その後、明日の読書会のために

もう一度本を確認し、

夏用のブラウスに付ける

レースの襟を編む予定でした。

 

そこまで、考えをまとめたオデットは

早足で家へ向かいました。

小川のほとりの大きな柳の間から

温かくて甘い風が吹いて来ました。

変わりゆく季節は、

今や、夏にさらに近づいていました。

とぼとぼ歩く足音が

暗闇の中に響き渡りました。

廊下の端で、

しばらく止まっていた足音は、

間もなく再び続き始めました。

 

バスティアンは、普段より重い足取りで

階段を降りました。

目を開けていましたが、

焦点は定まっていませんでした。

空っぽの青い瞳は、

まるでガラス玉のようでした。

奇妙なほどに澄み渡り、

凍てつくような冷たさがありました。

 

玄関ホールに辿り着いたバスティアンは

巧みにドアを開けて

邸宅の外へ出ました。

夜を照らす月が、

地面を踏む素足を静かに照らしました。

 

バスティアンは夜が更けるまで

森の中を彷徨いました。

プラチナブロンドの髪は風で乱れ、

靴を履いていない足のあちこちに

擦り傷ができました。

 

人の気配に驚いた野良猫が

逃げる気配にも、バスティアンは

何の動揺も見せませんでした。

泥水が溜まった水たまりに

足を踏み入れて、

パジャマが汚れても同じでした。

夢の中を歩いていた、

その奇妙な散歩は、庭にたどり着いて

ようやく終わりました。

 

ぼんやりと立ち止まったまま

空中を見つめていた

バスティアンの瞳に、

焦点が戻り始めました。

パジャマを通り過ぎて、

汚れた素足へ。そして夜の庭へ。

ゆっくりと動いていた

バスティアンの視線は、

天井があるはずの場所に浮かぶ

白い月の上で止まりました。

 

少し休むつもりで、

横になったソファーで、

つい、眠り込んでしまいました。

まさか、このような不祥事が

起こるとは思わなかったので、

手首を縛りませんでした。

その事実を思い出すと、

この病気を初めて認識した

幼い日の夜のように

心が寂しくなりました。

 

自分は壊れてしまった。

未だに、あの時代に留まっている

自分自身を認識すると同時に、

庭を揺らす風が吹いて来ました。

 

バスティアンは、

夜の空気に乗って漂う

新鮮で甘い香りに誘われて

首を回しました。

どこを見ても花。

四方が花で揺れる波のようでした。

 

ようやく、

庭の真ん中に立っている事実に

バスティアンは、ふと気づきました。

色とりどりの花を

調和よく配置した花壇が

彼を囲んでいました。

この庭園の造園工事に、オデットが

特に力を入れているという知らせを

伝えるロビスの手紙を読んだ記憶が

蘇りました。

トロサ諸島で迎えた2度目の夏の

ある日でした。

 

次の春には、奥様と一緒に

美しい庭園を見ることができる。

その言葉を

嘲笑うことができた時代には、

時間の力を信じていました。

愚かな傲慢でした。

 

冬が過ぎ、春が来て、

そして夏の入り口に立っても、

オデットの記憶は薄れませんでした。

永遠の現在に留まり、

バスティアンの人生を支配しました。

何度か季節を重ねても

変わらないはずでした。

 

この世には、

時間にも勝てない心がある。

バスティアンは今、それを

理解したような気がしました。

自分が見ることのできない

次の春の庭のために注いだ

オデットの努力が

何を意味していたのかも。

 

愚かなあなたが残していった贈り物は

これほどまでに美しく、

自分の胸を引き裂く。

 

バスティアンは赤くなった目をそらし

海の向こうの闇に向き合いました。

父の世界は、今や

粉々に砕けた廃墟となっていました。

そして、

この瞬間のための全ての努力は、

彼の世界もまた崩壊させました。

 

ところで、バスティアン、

あなたは何を手に入れたの?

 

再び訪れたテオドラの幻聴が

バスティアンを笑わせました。

廃墟の上で、廃墟を見る。

完全な終わりに至って向き合ったのは

再び互いを映し合うことになった

2つの廃墟でした。

そしてバスティアンは、

望まぬ富と栄華の中で

1人取り残されていました。

まるで継母が残した呪いが

実現したかのように。

 

それならば、残されたのは、

毎朝、目を覚ます度に

敗北を悟る人生だというのか。

 

柔らかな月明かりが流れる庭園を

見つめるバスティアンの眼差しが

深まりました。

 

いや。

答えを見つけるまでに、

それほど長い時間は

かかりませんでした。

傷ついた時代から、それ以上、

成長できなかった子供は、

父親の世界と共に崩れ落ちました。


バスティアンは、

廃墟に別れを告げるように

背を向けました。

そして淡々と妻の庭を横切って

歩き始めました。

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オデットが出て行ったのは

冬の終わりだったので、

3か月ほど経ったのでしょうか。

バスティアンは、

よく耐えていたと思います。

でも、ようやくバスティアンは

オデットに会いに行く気力が

湧いて来たようですね。

バスティアンを苦しめるために

テオドラが遺した呪いの言葉が

逆に彼を奮い立たせ、

子供の頃に傷ついたまま

成長できなかったバスティアンを

大人にさせてくれた。

それをテオドラが知ったら、

歯ぎしりするでしょうね。

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