自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 170話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 幸せに暮らしてみたい

170話 オデットはバスティアンに夕飯をご馳走することになりました。

食卓は裏庭に用意されました。

木陰に置かれたテーブルに

新しいレースのテーブルクロスを

掛けたオデットは、

ナプキンとカトラリーを

整然と配置しました。

食卓の中央には、

花壇から摘んで来た花が

置かれていました。

 

バスティアンは、

台所のテーブルの上に残っていた

水差しとグラスを持って

裏庭に出ました。

慌てたオデットが

目で彼を制止しましたが

バスティアンは気にせず

自分の仕事を終えました。

 

料理が完成するには、

まだ時間がかかると

オデットは言いましたが、

バスティアンは、

分かっている。ここで待つと

平然と答えながら、

食卓の前に座りました。

台所の窓が一望できる位置でした。

 

気が進まない様子が明らかでしたが

オデットは、

それ以上、反論することなく

背を向けました。

勢いが弱まった夕日の光が

世界を温かい色合いで染める

時間でした。

 

バスティアンは、その光に似た目で

オデットを見つめました。

糊の利いた真っ白なエプロンを着た

オデットは、畑で収穫した野菜を

一つ一つ丁寧に

下ごしらえしていきました。

合間を縫ってオーブンを覗き、

鍋をかき混ぜることも

忘れませんでした。

 

少しも休まず、せっせと動いているのに

落ち着きがなさそうに見えないのは

踊るように滑らかに繋がる

動きのせいだと思いました。

 

時折、目が合う瞬間がありました。

その度にオデットは行動を一時止め

息を整えました。

時間が一瞬止まったかのような様子が

まるで絵のようでした。


妻が映る窓から、バスティアンは

一瞬も目を離せませんでした。

頭上に垂れ下がっている

木の影に似た悲しみについては

深く考えませんでした。

オデットは美しく、今は

それだけで十分な瞬間だったから。

夏の夕暮れが訪れ始めた頃に

夕食が始まりました。

 

バスティアンは、

やや驚いた表情で食卓を見ました。

リンゴを添えた鶏のローストと

家庭菜園で収穫した野菜で作った

シチュー。

籠に入ったパンは、焼きたてのように

白い湯気が立ち上っていました。

急いで準備したとは思えないほどの

ご馳走でした。

 

「どうぞお召し上がりください」

と告げると、

エプロンを脱いだオデットが

向かいの席に座りました。

彼女の分の料理は

焼いた野菜が少しだけでした。

 

バスティアンは、

眉間のしわを深くしながら、

自分がいると居心地が悪いのかと

尋ねました。

オデットは、

小さく首を振りながら水を注ぐと、

ティーパーティーを楽しんだので

お腹が空いていないと、

巧みに目をそらしながら

嘘をつきました。

まったく間違ってはいませんでした。

ただ、それ以上の大きな理由を

隠していただけでした。

 

涼しい風が、

葉の茂った木を揺らしながら

通り過ぎました。

顔に迫る執拗な視線を感じましたが

オデットは

それを表に出しませんでした。

意図的にゆっくり水を飲んでいる間に

バスティアンが食事を始めました。


2人の夕食は静寂の中で続きました。

オデットは細かく刻んだ野菜を

無理やり飲み込みながら、

バスティアンの皿を覗き込みました。

気持ちよく食べてくれる姿を見て、

ようやく安心しました。

もともと食にうるさくない人だと

分かっていましたが、

それでも少なからず気になりました。

心がこれほどまでに

居心地の悪さを感じた

最大の理由でした。

 

恐怖に近い衝撃が収まると、

客観的な現実が見えました。

バスティアンは、

過去に2度の裏切りを経験した時とは

違っていました。

再び閉じ込めて、

束縛しようとするようには

見えませんでした。

断罪しようとする気持ちも

なさそうでした。

 

でも、なぜ?

オデットは、

夕食の準備をしている間

ずっと悩んでいました。

全く心の内が読めない男が与えた

混乱のせいだと思っていましたが

実はすでに察していました。

礼儀正しい客のように訪れた

バスティアンの目的が何であるか、

そして、

現実を直視しようと努力している

自分の本心もまた。

 

皿をきれいに空にしたバスティアンは

料理の腕が、こんなに良いとは

思っていなかったと言うことで

静寂を破りました。

オデットは、

長い間、家族の食事を担って来たから。

口に合って良かったと返事をすると

仕方なく食べていた料理から手を離し

自然に立ち上がって

食卓を片付けました。

空の皿は洗い桶に浸し、

あらかじめ用意しておいた

デザートを出しました。

よく焼けたプラムパイは

完璧な黄金色を帯びていました。

今朝の惨めな失敗を

忘れさせてくれる成果でした。

 

オデットは、

大きく切ったプラムパイを

バスティアンの前に置きました。

自分の分として、

小さな切れ端を取りました。


2杯目のコーヒーを注ぐ

オデットを見守っていた

バスティアンは、

コーヒーよりもお茶を

好んでいたのではなかったかと

落ち着いた口調で尋ねました。

 

オデットは「はい」と答えましたが

最近はコーヒーを飲んでいると

告げました。

バスティアンは、

その理由を尋ねました。

オデットは、

お茶を飲むと辛い記憶が蘇るから。

あなたもそう。

だからあなたから離れたと、

淡々とした声で、

偽ることなく本心を伝えました。

 

卑怯に逃げるだけでは、

まともな結末を迎えることはできない。

目の前にいる男が証明してくれた

真実を受け入れると

絡まった糸のような頭の中が

整理されました。


バスティアンは、

目の前に置かれたコーヒーを

じっと見つめていましたが

「すまない、オデット」と

ゆっくり口を開きました。

 

ぼんやりとしたオデットの目が

バスティアンを捉えました。

しばらくすると、

バスティアンの視線も

オデットに向けられました。

 

自分が間違っていたことは

分かっている。

自分があなたを壊し、

自分が子供を死なせてしまい・・・

と自分を責めるバスティアンに、

オデットは微かな微笑みを浮かべて

首を振りながら、

「いいえ、自分を責めないで」と

言いました。

赤くなった目元とは対照的に、

バスティアンを見つめる眼差しは

これまでになく澄み渡り

静かでした。

 

オデットは、

全て分かっている。

自分を見るあなたの眼差しだけで

すでに分かっていた。

だから、謝罪を望んでいたなら

自分は逃げなかった。

けれども、それは、自分にとって

それほど重要な問題ではなかったと

話すと、一口飲んだコーヒーを

ゆっくりと置きました。

 

オデットは、

あなたの謝罪はすでに受け入れた。

それでも耐えられなかった。

心からの謝罪さえも

自分にとっては苦痛だった。

今もそう。

だから、どうかやめて欲しい。

これ以上、

自分を傷つけないで欲しいと

懇願しました。

 

新鮮な夕方の空気の中に染み渡る

オデットの声は、

バスティアンを魅了した

あの歌のように美しいものでした。

 

バスティアンは道に迷ったかのように

途方に暮れた顔で

オデットを見つめました。

謝罪と許しという

最後の灯台の光さえ消えた広大な海に

置き去りにされたような気分でした。

 

それならば、今からでも

両耳を塞ぐべきだろうか。

澄んだ闇が降りる空を見つめていた

バスティアンの口元に

虚しい笑みが浮かびました。

 

バスティアンは、

魅惑の歌を聞きながらも

無事に魔女の海を越えた英雄の物語を

知っていました。

マストに体を縛り、

耳を塞いだのだとか。

そして、狙った者が

無事にその海を脱出すれば、

魔女は代わりに

死を迎えることになる。

それが定められた運命だから。

しかし、バスティアンは、

そのような結末を

望んでいませんでした。

 

バスティアンは、

それなら、自分はあなたのために

何を、どうすれば良いのか

教えて欲しいと訴えました。

 

バスティアンは、喜んで、

その美しい歌に

耳を傾けることにしました。

座礁しても構わない。

航路さえ与えられれば

目的地に到達できる自信がありました。

船が難破したら、

その残骸に乗ってでも。

それさえも消えてしまったら、

裸のままででも。

どんな手を使ってでも、必ず。

 

澄んだ目で、

彼を見つめていたオデットは、

ただ、このように・・・ 少しの間

立ち寄ってから帰るように。

そして、もう来ないでと

小さく囁きました。

そして、

自分はあなたを憎んでいない。

実は会いたかったのかもしれない。

そうではないと思っていたけれど

実際に再会してみると嬉しいようだ。

痩せた姿が心配で、

夕食の用意をしたくなるほど。

そんな気持ちが

自分をとても苦しめる。

冬の海に入ったあの日に

戻ったような気がすると言いました。

 

夕日の微妙な色合いに染まっていく

オデットの顔を、バスティアンは

ただ見つめていました。

湿った青緑色の瞳には、

あの日と同じ絶望と苦痛が

濃く滲み出ていました。

 

オデットは、

自分は幸せに暮らしてみたい。

そのため、最善を尽くして

努力している。

しかし、再び傷つくなら

もう耐えられないと思うと告げると

深呼吸をしながら

背筋を伸ばしました。

そして、

自分はそんな風に生きたくない。

あなたも、

そのように生きて欲しくない。

皇命と世間の目。利害と得失。

それら全てと無関係な

自分の心はこうだ。

だから、あなたも、

罪悪感と哀れみ、責任感。

そんな陰りのある心とは

無関係なあなたの真心は何なのかと

もう一度よく考えてみて欲しいと

頼みました。

 

どうしても食べられそうにない

パイ皿を片付けたオデットは、

木の枝にかかっている明かりを

灯しました。

その温かい光が

夕暮れの闇に沈みかけていた裏庭を

照らしました。

 

2人は、再び訪れた沈黙の中で

見つめ合いました。

明かりに染まった顔には、

嵐が過ぎ去った海のような穏やかさが

宿っていました。

 

田舎の夜道は暗いので、

ホテルまで戻るには

急いだほうが良いと思うと、

今回はオデットが

最初に口を開きました。

いつの間にか、

夕焼けの残影さえ消えた空いっぱいに

星が輝き始めていました。

 

幸いにもバスティアンは

素直に頷いてくれました。

それゆえ、その後の行動は

さらに大きな混乱をもたらしました。

 

フォークを握ったバスティアンが

パイを食べ始めました。

オデットは呆然とした表情で

その様子を見守っていました。

食欲が残っているはずがないのに

バスティアンは黙々と

皿を空にしていきました。

冷めたコーヒーも残さず飲みました。

そして、食卓から立ち上がった

バスティアンは、

「ごちそうさまでした、

マリー・ベラー嬢。 明日は

シャンパンを1本持ってきましょう」

と驚くべき挨拶をしました。

 

「バスティアン・・・」と

呟くオデットに、彼は

まだ、分からないではないか。

明日はお茶を飲めるかもしれないと

告げました。

 

壁のように感じる男を

ぼんやりと見つめていた

オデットの唇の間から

長いため息が漏れました。

しかし、これ以上、厳しい言葉を

付け加えることはできませんでした。

低く抑えられた声と

静かな眼差しの意味を

よく理解しているからでした。

 

あえて推し量ろうとしなくても、

オデットは、この男を傷つけたことを

感じ取ることができました。

そして、その分だけ

自分自身も傷ついたということを。

これまで、ずっとそうだったように。

 

ジャケットを着たバスティアンが

裏庭を離れました。

オデットは適度な距離を保ちながら、

招かれざる客の後を追いました。

 

「また、明日会いましょう。従妹殿」

バスティアンは丁重な挨拶を残して

去って行きました。

オデットは、

その男の後ろ姿が消えた後も、

長い間ポーチに立っていました。

ロビーに入るバスティアンの前に

立ちはだかったホテルの主人が、

もしかして、何か怪しいことに

関わっているのかと、

呆れた質問をしました。

バスティアンは、

主人を斜めに見下ろしながら、

どういう意味かと尋ねました。

 

唾を飲み込んだ彼は、

首筋を掻きながら、

先ほど、見知らぬ男たちが来て、

何とか少佐という人物を探していた。

そんな人は知らないけれど、

将校が1人宿泊しているのは

確かだと伝えると、

分かったと言いながら、

これを渡して欲しいと言われたと

愚痴をこぼし、

ズボンのポケットから取り出した

メモを差し出しました。

意味のないアルファベットと

数字の組み合わせのように

見えましたが、

バスティアンは、すぐにそれが

海軍の暗号であることに気づきました。

 

バスティアンはお礼を言うと、

そのままホテルを出発しました。

約束の場所である

村の裏手の山の麓に行くと、

暗闇の中に黒い車が見えました。

向かい合ってタバコを吸っていた

2人の若い男は、

バスティアンを見つけるや否や

姿勢を正して、敬礼をしました。

私服でしたが、

兵士であることが一目でわかる

身振りでした。

バスティアンは、その中の1人に

見覚えがありました。

作戦司令部でしばしば顔を合わせた

大尉でした。

 

所属と階級を報告した彼らは、

クラウヴィッツ少佐に届いた

海軍省からの急報だ。

必ず直接渡すようにとの

厳命があったと、

すぐに本論を述べました。

 

バスティアンは、

大尉から渡された封筒を

じっと見つめました。

軍事機密。

暗闇の中でも鮮明な存在感を示す

警告文が視界をかすめました。

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オデットは今、24歳でしょうか。

その若さで、

ありとあらゆる過酷な経験をして来た

彼女は、今、疲れ切っていて、

ようやく訪れた今の平穏な暮らしを

壊したくない。

幸せに暮らしてみたいという気持ちは

バスティアンへの愛よりも

強いのだと思います。

しかも、バスティアンのせいで

オデットは苦しんだわけなので

彼と一緒にいたら、

また同じ目に遭うかもしれないと

恐れるのも理解できます。

でも、バスティアンは、

オデットもそれに気づいたように、

変わりました。

オデットの心の傷が癒され、

バスティアンと一緒にいても大丈夫。

彼こそが自分を幸せにしてくれると

気づく日が、少しでも早く訪れることを

願っています。

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