自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 175話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 水車小屋の中の2人

175話 ピクニックへ行って雨に降られたバスティアンとオデットは水車小屋に避難しました。

バスティアンは、

水車小屋の隅に積まれている

干し草の上に

オデットを下ろしました。

びしょ濡れの毛布を剥がし、

靴を脱がせました。

 

魂が抜けたように

呆然としていたオデットは、

スカートが捲り上げられた後に、

ようやく彼の意図を理解しました。

オデットの脚の間に座った

バスティアンは、躊躇うことなく

ガーターベルトの留め金を外し、

ストッキングを引き下ろしました。

手出しする暇もなく

起こったことでした。

 

オデットは、

自分がやると訴えましたが

バスティアンは、

じっとしていろと言って、

もがくオデットを制止し、

負傷した右足首を慎重に確認しました。

 

足首の周りが腫れていました。

幸いにも、靭帯を傷めた様子は

ありませんでしたが、

この状態で豪雨の中を歩くのは

無理でした。

 

バスティアンは、

ポケットから取り出したハンカチで

オデットの足首を圧迫しながら

縛りました。

むしろ体温を下げるだけの

湿ったストッキングは

完全に脱がせました。

オデットが彼の肩を押し退けたのは

ちょうど左のストッキングの

ガーターを外した時でした。

 

バスティアンは、

しばらく動作を止めて

視線を上げました。

真っ赤になったオデットの顔が

突き刺さるように

目に飛び込んで来ました。

震える唇を、

パクパクさせていたオデットは、

何も言えないまま顔を背けました。

彼の肩から離れた手は、

今やスカートの裾を

固く握り締めていました。

 

ようやくバスティアンは、

無防備に露わになっている細い脚を

認識しました。

その瞬間を境に、突然、感覚が

鋭く研ぎ澄まされました。

むわっと漂って来る甘い体臭が

雨の匂いを消しました。

指先に伝わって来る肌の感触と体温は

まるで一気に体を温める

蒸留酒のようでした。

 

バスティアンは、

ついにオデットを離して

立ち上がりました。

雨と汗で乱れた髪をかき上げる

手の甲には、骨の関節が

白く浮き出ていました。

 

息を整えたバスティアンは

再び体を起こすと、

ここで待っているようにと

告げました。

急いで下ろしたスカートの裾を

整えていたオデットは、

はっと驚いて顔を上げました。

 

バスティアンは、

着替えを持って来ると告げました。

オデットは、

そんな必要はない。

ただ一緒に帰れば・・と

返事をしかけましたが

バスティアンは

あなたは残れと、高圧的な態度で

オデットの言葉を遮りました。

一瞬で彼の眼差しの温度が

変わりました。

 

その鋭さに圧倒されたオデットは

もはや意地を張れませんでした。

雨の中を歩いて来る足音が

聞こえ始めたのは、その時でした。

 

誰かが来ているようだと告げると

慌てたオデットは助けを求めるように

バスティアンを見つめました。

シーッ。

唇の上に手を置いたバスティアンは

息を殺して窓の前に近づきました。

レインコートを着た大柄な農夫が

荷車を引いて来ていました。

おそらく、

この水車小屋の主人のようでした。

 

「どうしましょう、バスティアン」

怯えたオデットが体を起こしました。

足首を怪我したという事実を

思い出したのは、鋭い痛みが

悲鳴となって噴き出した後でした。


よろけたオデットの体が傾きました。

騒ぎを察知したバスティアンは

反射的に駆け寄り、

オデットを抱き止めました。

それと同時に

天井の高さまで積み上げられていた

干し草の山が、

2人の頭上に崩れ落ちました。

 

オデットを、胸の奥深くに引き寄せた

バスティアンは、

麦わらが積み上げられた床に

身を投げ出しました。

幸いにも、

干し草の山の落下からは

免れられましたが、

水車小屋は滅茶苦茶になっていました。

最低限の片づけをする暇もなく、

ドアが開き農夫が入って来ました。

バスティアンは、

オデットを抱き締めたまま体を転がし、

崩れた干し草の山の後ろに

隠れました。

 

「このクソったれのネズミども!

また、ひとしきり大騒ぎしたな」

男は荒々しい罵声を上げながら

嘆きました。

 

バスティアンは息を潜めて

彼の気配に神経を尖らせました。

ひとまず、一つの山は越えましたが

安心するには早過ぎました。

もし彼が干し草を片付ければ、

間違いなく

見つかってしまうはずでした。

 

なぜ、こんな天気の日に

あえて問題を起こすのかと

農夫は悪さをしたネズミを呪いながら

荷車に積んで来た麦わらを置きました。

真っ青な顔で震えていたオデットは、

仕事を終えた彼が

タバコを吸い始めてから

ようやく我に返りました。

顔を上げると、バスティアンの顔が

視界いっぱい広がっていました。

 

オデットは、ぼんやりした目を

パチパチさせながら

状況を把握しました。

崩れた干し草の山が作った防壁と

麦わらの上に横たわるバスティアン。

そして、その男の腕に抱かれた

自分の姿まで認識すると、

再び目の前がぼんやりとしました。

バスティアンの心臓の速い鼓動が

密着した体を通して伝わって来ました。

熱くなった体温と、逞しい肉の厚さも。

 

・・・オデット

怯えてブルブル震えるオデットを

しっかりと押さえつけたバスティアンが

低く囁きました。

確保された空間は、

彼が仰向けで寝ている場所が

全てでした。

下手に動けば、

ぎりぎりに積まれている干し草が

崩れてしまうところでした。

 

その意味に気づいたオデットは

すぐに静かになりました。

安堵したバスティアンは、

濁った熱気がこもった

ため息をつきながら目を閉じました。

幸いにも農夫は

まもなく水車小屋を去りました。

滅茶苦茶になった干し草は

そのまま放置して行きました。

 

ドアが閉まり、

空の荷車を引く農夫の足音が

遠ざかって行きました。

慌てて体を起こしたオデットは、

逃げるように

バスティアンから離れました。

かろうじて抑えていた荒い息が

泣き声のように溢れ出ました。

 

しっかりして。

オデットは、

心を落ち着かせる呪文を繰り返し、

藁だらけになった髪と服を

整えました。

干し草の山に敷かれた

片方のストッキングと

靴まで見つけて履くと、

ようやく、まともに息が

できるようになりました。

 

オデットは、

首と背筋をまっすぐに伸ばし、

表情を整えました。

勇気を出して振り返ると、

まだ、その場所に横たわって

目を閉じているバスティアンが

見えました。

 

唇を震わせていたオデットは、

結局、何も言えずに

視線をそらしました。

雨に濡れた体は、

ますます冷たくなって行き、

酔いのように広がった熱気は

なかなか冷めませんでした。

 

早く家に帰らなければならないという

強迫観念に囚われたオデットは、

足を引きずりながら

水車小屋を横切りました。

 

ようやく体を起こして座った

バスティアンの

「動くな」と言う声が聞こえましたが

オデットは振り返りませんでした。

足首の痛みなど、どうでもよく、

このまま豪雨の中を

走り抜けられるような気がしました。

 

後ろから

バスティアンの足音が聞こえ始めると

オデットはさらに焦りを感じました。

もう全て終わったと思いました。

開かないドアの前に立つまでは。

 

まさか。

オデットは現実を否定するかのように

力いっぱいドアを揺さぶりました。

その間に、

徐々に距離を縮めてきたバスティアンは

いつの間にか彼女の背後まで

近づいていました。

 

ドアを押してみた

バスティアンが吐いたため息が

オデットの頭の上に降り注ぎました。

 

「やめろ、オデット。

鍵がかかっている」

豪雨は小康状態になりました。

バスティアンは窓の前に立ち

気象状況を確認しました。

雷鳴は収まり、

風も収まりつつありました。

 

バスティアンは、

雨が止んだら、

主人が戻って来るだろうと、

淡々と結論を述べると、

窓に背を向けました。

滅茶苦茶になった様子を

見て行ったのだから、

手をこまねいてはいないだろうと

思いました。

 

「そのくらいにしておけ」

足を引きずりながら

掃除をしているオデットを見る

バスティアンの眼差しが

より鋭くなりました。

 

閉じ込められたことを知った瞬間から

今まで、オデットは、

休むことなく水車小屋の掃除に

没頭していました。

バスティアンの制止は

徹底的に無視されました。

彼が大きな干し草の山を

全て片付けてしまうと、

オデットは、

床に散らばっている藁を

掃き始めました。


掃除が目的ではないことを

バスティアンは

その瞬間に悟りました。

箒を握らせておくことにしたのは

そのためでした。

それさえ奪ったら、

土の上の埃を払うような

狂った行動をする勢いだったので。

狂いそうな欲望と同じくらい

深まった幻滅が、

思わず失笑となって漏れました。

 

歪んだ顔を荒々しく撫で下ろした

バスティアンは、

オデットのそばに近づいて、

箒を奪いました。

これ以上、軽蔑されたくなくて

我慢してきましたが、

もう限界でした。

 

バスティアンは、

こんなことをして、

何が変わると思っているのかと

尋ねました。

オデットは、

箒を返して欲しいと言いました。

 

バスティアンは、

ここに閉じ込められているのを

見られれば、どうせ先ほどのことも

全て知られることになる。

一体、この狂った行為に

何の意味があるのかと非難すると

オデットは、

だから、あなたに

二度と会いたくなかったと答え、

赤くなった目でバスティアンを

睨みつけました。

 

厳しい言葉を言いたくなくて、

必死に我慢して来ました。

どうせ数日後には

永遠の別れを迎える男。

最後は良い思い出として

残したかったから。

だからこそ、

ついに心の聖域に踏み込んだ

バスティアンが、

一層、恨めしく思えました。

 

実はこの男に非がないことを

オデットはよく知っていました。

これは自分自身に対する

怒りと失望なので、

このようにバスティアンを責めるのは

不当であるということも。

 

突然現れたバスティアンを

結局無視できませんでした。

とんでもない提案を受け入れ、

全く理解できないことを

していました。

自分で選んだのだから

責任も自分のものだと分かっていても

感情をコントロールするのが

困難でした。

 

やっとここまで来たのに。

もう大丈夫になったのに、

なぜ、勝手に自分の人生を、

もう一度

台無しにしようとするのかと

オデットは涙声で叫びました。

 

村外れにある水車小屋に

こっそり隠れていた従兄妹同士。

どんな噂が立つかは

火を見るより明らかでした。

むしろ雨宿りをしていたと

最初から堂々と言っていれば

良かったのに。

あのように隠れていたせいで

閉じ込められてしまったので

言い訳の余地すらありませんでした。

そんな中でも、獣のような欲望に

翻弄されていた自分を、オデットは

到底許すことができませんでした。

 

静かにオデットを見下ろしていた

バスティアンは、

従兄とデキている女だという噂が

立つのを防げばよいのかと

辛辣な嘲笑を含んだ質問を

投げかけました。

 

今さら一体どうやってと、

オデットは必死に涙を堪えながら、

再び叫びました。

箒を置いたバスティアンは

何も言わずに背を向けて、

鍵のかかったドアに

向かって行きました。

 

オデットは

ドンドンと重々しい轟音が

響き渡り始めてから、

彼が考えた方法に気づきました。

バスティアンが

ドアを蹴っていました。

何度も力いっぱい蹴る度に、

水車小屋全体が揺れました。

木がポキポキと折れる音が

聞こえたのは、このままだと

建物が崩れ落ちるかもしれないという

不安が芽生え始めた時でした。

 

体当たりをして再び一撃を加えると

真っ二つに割れた閂が

落ちる音と共にドアが開きました。

バスティアンは、まず外に出て

周囲を見回しました。

まだ雨が降っている田舎道は

がらんとしていました。 

 

石像のように

ぼんやりと立っているオデットを

かすめて通り過ぎたバスティアンは

侵入者を特定できる手がかりが

残らないように後始末をしました。

壊した閂の代金は

ドアの隙間に挟んでおきました。

 

こんなことができるのに、

なぜ今まで黙っていたのかと言う

オデットの震える声が

風雨に乗って流れて来ました。

 

バスティアンは、

そうですね。

自分自身をあまりにも

過小評価していたようだと

答えると、最後にバスケットを持って

オデットの前に近づきました。

まだ3日間残っていました。

その時間を諦めるよりは、

むしろ軽蔑される方がマシでした。

 

嫌でも我慢するように。

もうあまり時間が

残っていないのだからと

冷淡な命令を下すと

バスティアンは、

これまでの行動とは全く異なり、

丁重で優雅な身振りで

エスコートを求めました。

「行きましょう、従妹殿」

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バスティアンの行動は、

戦場にいる時の行動と同じで、

一緒に戦っていた仲間が

ケガをすれば、オデットにしたように

ケガの状態を見て手当てをするし

誰かと一緒にいた時に

敵が近づいてくれば、

オデットにしたように、

その人と密着しながら物陰に隠れて

息を潜めていたことも

あったのではないかと思います。

オデットがバスティアンを

意識してしまったから、

彼もオデットを

意識してしまったのです。

それなのに、

悪者扱いされて八つ当たりをされた

バスティアンが可哀想でした。

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