自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン186話 ネタバレ ノベル あらすじ 幻影ではなかった

186話 バスティアンは指揮官として、トロサ諸島に出航しました。

トロサ諸島には、

すでに戦雲が立ち込めていました。

本島にある北海艦隊の官舎には

民間人への退避命令が下されました。

将校の家族は全員、本土行きの輸送船に

乗らなければなりませんでした。

出港時間が近づくと、埠頭は、

今生の別れを惜しむ家族たちの涙で

溢れかえっていました。

 

偵察艦から下船したバスティアンは

その騒ぎの中を通り抜けて

司令部に向かいました。

緊張した顔の将校と水兵たちが

影のように静かに

その後を追いました。

 

軍港の端に近づくと、

ずっと状況を窺っていた少佐が

申し訳ないけれど、しばらく妻と

別れの挨拶をして来ても良いかと

尋ねました。

バスティアンが譲った官舎で暮らしてた

ケイレン少尉でした。

 

バスティアンは首を回して

彼がしきりにチラチラ見ていた所を

確認しました。

涙でびしょ濡れの顔をした

ケイレン夫人が、

怯えている幼い息子を胸に抱いたまま

ただひたすら夫を見つめていました。

バスティアンの視線が、

再び部下たちに向けられました。

皆、顔を赤くして涙を堪えていました。

自信満々に偵察に出かけた時とは

雰囲気が一変していました。

 

もう退いてもいいと、

バスティアンは短い命令を残して

背を向けました。

頭を深く下げて

感謝の意を表した将校たちは、

先を争って、

それぞれの家族に向かって

走って行きました。

 

単身で司令部に向かったバスティアンは

直ちに作戦会議に参加しました。

ドアを開けると、

激しい議論を繰り広げていた

将軍たちの視線が

一斉に彼に集中しました。

 

格式に則った挨拶をしたバスティアンは

静かで迅速な足取りで

会議室を横切りました。

海図が広げられたテーブルを

取り囲んでいた将軍たちは、

一歩ずつ後退して

彼のための席を空けました。

 

バスティアンは、

ロビタ艦隊の駐屯地付近の

海域偵察任務を完了した。

本隊のいる場所は、

この海域辺りだと推定される。

近接偵察は不可能だったが、

おおよその規模を把握できる地点までは

潜入することができたと

海図をなぞりながら報告しました。

バスティアンの指先を追って、

皆の視線が一緒に移動しました。

 

続けてバスティアンは、

情報は事実であることが確認された。

ロビタ海軍の主力部隊が

北海に集結している。

ベルクの領海を取り囲むような形で

陣を張っているところで

封鎖作戦を展開するものと推定されると

落ち着いて前線の状況を報告しました。

 

総司令官のライエン提督は

深いため息をつきながら

額に手を当てました。

相次いで漏れたため息が

会議室の雰囲気を一層重くしました。

 

デメル提督は、目を細めて

バスティアンを見ました。

百戦錬磨のベテランたちでさえ

動揺する状況でも、バスティアンは

完璧な平静さを維持していました。

降り注ぐ将軍たちの質問に

落ち着いて答えていく姿が

冷徹というよりも、

無情に見えるほどでした。

休暇に出かける前に見た

さわやかな青年の顔は

跡形もなく消え去っていました。

それが、単に目前に迫った

戦争のためだけではないという事実が

デメル提督の心を一層重くしました。

 

デメル提督は、

喉元まで上がって来た

ため息を飲み込み

視線を落としました。

バスティアンは海図を指差しながら

敵の位置を説明していました。

結婚指輪が消えた指には

指輪の形の跡だけが

白く残っていました。

 

バスティアンは離婚を決めました。

デメル提督は、

出征前に会った皇帝を通じて

その事実を聞きました。

突然の心境変化の理由は、

皇帝すら知りませんでした。

ただ、

できるだけ迅速かつ隠密な処理を

要請したこと以外は。

 

ロビタの艦隊は、

すでに万全の準備を整えている。

開戦時期が

前倒しになる可能性もあると

予想されるという結論を

淡々と下したバスティアンは

不動の姿勢を取ったまま

命令を待ちました。

前方を見据えるその視線は、

彼が守らなければならない海のように

深くて、ひんやりしていました。

 

悪魔の猟犬が帰って来た。

理由が何であれ、

間違いなく祖国にとっては

有益なことになるはずでした。

レッスンのない休日が訪れると

オデットはさらに忙しくなりました。

夜明け前から始まった家事は

真昼になるまで続きました。

 

家庭菜園と花壇の雑草を抜いた

オデットは、

すぐに洗濯を始めました。

朝から暑さが猛威を振るう日でしたが

意に介しませんでした。

ついでに鍋を全て取り出して

汚れを拭き取り、

オーブンと、かまどまで

きれいに掃除しました。

来週になれば

剥がすことになる床板まで

磨き上げた後、いつの間にか

昼が近づいていました。

 

オデットは汗まみれで

台所へ行きました。

調理台の前に立ち、

バターを塗った乾いたパンを

何切れかかじって飲み込み、

冷たい水を飲みました。

 

食事はそれで終わりでした。

これではいけないということは

分かっているけれど、

料理をしたいという熱意が

湧いて来ませんでした。

おそらく、急に暑くなった

天気のせいだろうと思いました。

 

乱れた髪をまとめ直したオデットは

掃除道具が入ったバケツを持って

2階に上がりました。

毎日のように掃き掃除した家は

すでに十分きれいでしたが、

オデットは黙々と掃除を始めました。

この15日間繰り返して来た

一種の儀式のようなものでした。

 

その鳴き声が聞こえて来たのは、

ちょうど

客室のドアを開けた瞬間でした。

キャンキャン犬が吠えました。

1日に何度も耳にする

ありふれた騒音でしたが、

いつもとは違っていました。

聞き覚えのある、 他の犬とは違う

マルグレーテの鳴き声でした。

 

ぼんやりと空中を見つめていた

オデットは、気を引き締めて

敷居を越えました。

ここへ来てからは、

もう幻聴を聞かなくなったのに、

どうも最近になって

かなり気弱になったようでした。

 

「しっかりして」

オデットは自分自身を厳しく叱ると

ベッドを整えました。

小花柄の布団が思い起こさせる

過去の記憶は深く飲み込みました。

それなのに、なぜか今にも

バスティアンの声が

聞こえて来そうでした。

わずか5日間滞在して去った男なのに、

数倍の時間が経っても

記憶はなかなか薄れませんでした。

 

オデットはそれが嫌で、

さらに猛烈な勢いで掃除をしました。

再び幻聴が聞こえて来たのは

床を拭き始めた頃でした。

消そうと努力すればするほど、

マルグレーテが吠える声は

ますます鮮明になって行きました。

 

大丈夫。

オデットは乱れた息を整えて

ブラシをしっかり握りました。

汗を滴らせながら

さらに力いっぱい必死に

床を擦っていると

呼び鈴が鳴りました。

オデットは、

ぼんやりとした目で

艶のある古い床を見下ろしました。

空耳ではないことを

証明するかのように、

再び呼び鈴が鳴り響きました。

ジェンダス伯爵との約束を思い出した

オデットは、

疲れた体を何とか起こしました。

 

彼は、今日中に

床工事の日程を知らせに来ると

言っていました。

先約があって、夕方頃に

立ち寄るつもりだと言っていたけれど

おそらく、

予定が変更になったようでした。

 

汚れたエプロンを外したオデットは

急いで階下に降りました。

ごく普通の週末のひと時でした。

何気なく玄関のドアを開けるまでは

確かにそうでした。

 

キャンキャンと、また犬が吠えました。

オデットは、

いっそう大きく鮮明になった鳴き声に

導かれて、視線を落とした先で

幻影を見ました。

白い犬が走って来ていました。

階段を上ってポーチを通って

オデットの元へ。

夢中で尻尾を振って、

ピョンピョン跳ねる愛らしい仕草は

間違いなくマルグレーテでした。

 

オデットは呆然とした眼差しで

足元を見下ろしました。

マルグレーテは今、

抱っこしてとせがむように

オデットの足を引っ搔いていました。

 

あまりにも生々しい幻影が

怖くなった瞬間、「奥様!」と

聞き慣れた声が聞こえて来ました。

オデットはゆっくりと頭を上げて

ポーチの下を見ました。

きちんとした身なりの中年女性が

泣きそうな顔で

彼女を見つめていました。

 

「・・・ドーラ?」

到底信じられないけれど、

他の誰でもない名前が

震える唇の間から流れ出ました。

 

「はい、奥様。 ドーラです」

気持ちを落ち着かせたドーラが

頭を下げました。

後ろに立っていた二人の男も

一緒に礼を尽くしました。

彼らに気づいたオデットの目が

丸くなりました。

運転手のハンスと、

しばしば邸宅に出入りした

バスティアンの弁護士でした。

このような幻影は存在し得ないという

確信が生まれて初めて

現実が見えました。

 

「マルグレーテ・・・」

足にすがりついている犬を見る

オデットの目が赤くなりました。

答えるかのように吠えたマルグレーテは

その場をグルグル回りながら

喜びを示しました。

 

ポーチの階段を上って来たドーラは

ご主人様の命を受け、

マルグレーテを返しに来たと、

やや低い声で告げました。

 

「どうして・・メグがどうして・・」と

呟くオデットに、涙を拭ったドーラは

マルグレーテで間違いないので、

どうか抱き締めて欲しいと告げると

マルグレーテを抱き上げて

オデットに渡しました。

 

オデットはよろめきながら近づいて

犬を抱き締めました。

小さな体が限りなく温かで、

決して幻影ではあり得ない感覚でした。

オデットは、

悲鳴のようなうめき声を上げながら

マルグレーテを抱き締めました。

周りの視線などは、どうでもよく

半月間ずっと心を乱していた煩悶も

きれいに忘れ去られました。

奇跡のように戻って来たマルグレーテ。

今、この瞬間は

胸に抱いたその小さな犬一匹が

この世の全てでした。

誰も飲んでいないお茶は

もうすっかり冷めてしまいました。

懐に抱いていたマルグレーテを

下ろしたオデットは、

ぼんやりとした目で

テーブルの横に置かれた籠を

見つめました。

生まれたばかりの3匹の子犬が

一箇所に固まって

もぞもぞ動いていました。

マルグレーテは、すぐにそこへ行き

子供たちに乳を飲ませました。

両目で見ていても

信じられない光景でした。

 

つまり、マルグレーテが産んだ

子供たちということですか?

 

オデットはすでに3度目となる

同じ質問をしました。

ドーラは理解したかのように

笑いながら頷くと、

「はい、奥様」と答えました。

 

ご主人様が休暇に出かけた翌日に

生まれた。

マルグレーテを発見してみると

妊娠していた。

健康が良くない状態だったので

心配したけれど幸いにも安産だったと

再び、落ち着いて説明するドーラの声が

応接室を満たしている

午後の日差しの中に染み込みました。

 

マルグレーテを見つけたのは

バスティアンでした。

白い犬を連れて来た

浮浪者がいたという知らせを聞いた

バスティアンは、

自ら捜索に乗り出しました。

父親が殺められたという知らせを

聞いた日に、

すでに死んでしまった犬を

探しに出かける息子だなんて。

大きな衝撃を受けて、頭が

どうかなってしまったのではないかと

心配させるほどの行動でした。

 

しかし、翌日も、その翌日も

バスティアンは

捜索を止めませんでした。

世間を震撼とさせた

クラウヴィッツ家の悲劇には

微塵の興味も示さず、ひたすら

詐欺を働いた浮浪者の行方を

探すことだけに没頭し、

ついに目標を達成しました。

クラウヴィッツ夫妻の葬儀が行われた

翌日のことでした。

バスティアンは、自ら

下水道にある浮浪者の巣窟に

足を運び、

その浮浪者と犬を探し出しました。

一気にマルグレーテに気づいたと、

そこまで同行した侍従が言いました。

バスティアンが名前を呼ぶと、

ぼろきれのような犬が

夢中で走って来て

彼の胸に抱かれたとのこと。

 

アルデン湾の海水浴場で

道に迷ってうろうろしていた

マルグレーテを、

その近くに住む浮浪者が

連れて行った。

捨て犬だと思って連れ帰ったけれど

遅れて迷い犬の張り紙が

貼られていることに気づいて

訪ねて来たと。

 

最後まで信じられなかった使用人たちは

ノミが沸いている汚い毛を

全て刈り取った後になって、

ようやく、その犬が

マルグレーテだという事実を

認めました。

 

バスティアンはどうしているのかと

オデットは震える声で

慎重に尋ねました。

 

マルグレーテが死んだというのは

バスティアンが仕組んだ嘘で、

執事を除く全員を、

完全に騙していたとのこと。

オデットは、

その理由を聞きませんでした。

聞いた瞬間、全てを理解しました。

なぜ自ら悪役を買って出たのか。

なぜ、そんなことをしてまでも

マルグレーテを探すことを

諦めなかったのか。

なぜ、そのことを何も言わずに

去ったのか。そんな男でした。

だから憎かったし、だから有難かった。

今もオデットの心はそうでした。

 

独断的な判断を下したバスティアンが

恨めしかったけれど、

それでも最後まで

責任を果たしてくれたことに

感謝しました。

それほどまでの

重荷になってしまったことが

申し訳なかったし、一方で、

お礼を伝える機会さえなくて

心が痛みました。

 

この複雑な気持ちを言い表す方法がなく

途方に暮れた瞬間、

ご主人様は、

海軍省の特別訓練に参加するために

トロサ諸島へ行ったと

意外な返事が聞こえて来ました。

 

オデットは、

「こんなに急に?」と尋ねました。

ドーラは、

休暇から戻ってから、

数日も経たないうちに出発したと

最大限、淡々とした口調で答えました。

 

バスティアンは、

犬を飼い主に返す任務を

ドーラに任せました。

マルグレーテの健康に

異常がないという獣医の確答が

得られた後、適当な時機を見て

ロスバインを訪問するよう

指示しました。

弁護士と一緒に、

この旅をすることになると知ったのは

出発が迫ってからでした。

呆れて、ものも言えませんでした。

 

オデットは物思いに耽った眼差しで

乳を飲んでいる子犬たちを見ました。

母親の役割を終えたマルグレーテが

再び主人の胸に抱かれた時、

老練な弁護士は、

二人の離婚が成立した。

皇帝の特命のおかげで、

速やかに終えることができたと

まず本論から伝えました。

 

甘えるマルグレーテを撫でていた

オデットの手が硬直しました。

弁護士は、慰謝料の支払いについて

説明し始めましたが、

オデットは話に集中するのが

難しかったです。

衝撃で、感覚が麻痺した耳元で

キーンと鳴り響く耳鳴りが

他の全ての音を消しました。

それが目に入ったのは

弁護士の長々とした説明が

終わる頃でした。

 

「このリボンは・・・」

マルグレーテの首に結ばれている

ピンクのリボンを見つめる

オデットの目が細くなりました。

よく見ると、リボンの端に

頭文字が刺繍されていました。

オデット・フォン・ディセン。

自分の手で刺繍した

その名前の文字に気づいた

オデットの目がぼんやりしました。

ポロの試合を見に行った日、

バスティアンが勝手に持って行って

むやみに捨てたリボンでした。

混乱しているオデットを

じっと見つめていたドーラは、

それは、

ご主人様が直接結んでやった。

マルグレーテへの

最後のプレゼントだと言っていたと

落ち着いて説明しました。

 

バスティアンは

リボンを大切に保管していた。

オデットは、

もはや否定できない事実を

受け入れました。

そして、バスティアンが

そのリボンを返してくれた。

最後のプレゼントの意味まで

察した瞬間、鋭いサイレンの音が

鳴り響き始めました。

それとほぼ同時に、

玄関のドアを必死で叩く音が

聞こえて来ました。

 

オデットは慌てて

玄関に駆け寄りました。

ドアを開けると、

顔が真っ青なジェンダス伯爵が

見えました。

 

彼は、

ロビタが宣戦布告した。

少し前にベルクの皇帝も

総動員令を宣布したそうだと

告げました。

オデットは、

それは、どういうことかと

尋ねました。

理解できない話をする

マクシミンの表情は、

普段とは違って冷厳でした。

 

彼は、戦争が勃発したと答えました。

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ロビスがバスティアンに

浮浪者が連れて来た犬のことを

話すかどうか迷っていた時に

メイド長から、クラウヴィッツ夫妻の

衝撃的な事件が伝えられましたが、

結局、ロビスはバスティアンに

犬の話をして、彼はすぐに

その浮浪者を探しに出かけたのですね。

父親の葬儀にも出席しなかった

バスティアンを、叔母のマリアは

咎めたけれど、まさか

マルグレーテを

探すためだったなんて。

意外な展開に驚きました。

そして、

ノミだらけのマルグレーテを抱いて

邸宅まで連れ帰ったことを考えると

バスティアンはマルグレーテのことを

好きだったのだと思います。

 

オデットと過ごしていた間に

マルグレーテが生きていることを

なぜ、教えてあげなかったのか。

バスティアンは、

マルグレーテが死んだと

オデットに伝えていたので、

本当は生きていたことを伝えれば

彼が嘘をついた理由を

オデットが問い詰めるはず。

バスティアンは

マルグレーテを探して

海にまで入ったオデットを案じて

嘘をついたのだと思いますが、

そういった自分の優しさを

バスティアンはオデットに

伝えたくなかったのではないかと

思いました。

さりげなく優しさを示すのが

バスティアンの

オデットへの愛なのだと思います。

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