192話 罵声が飛び、卵や果物が投げられたりと、法廷は大混乱となっています
◇イスクア子爵夫妻の裏切り
アレンの次は
イスクア子爵夫妻が
連れてこられました。
彼らは、エベリーのことで
裁かれるし
有罪になるとしても
大きな罪に問われないと
聞いている。
そして、
自分を大事にしていてくれている。
そう考えて、
ラスタは安心していました。
しかし判事の前に立った
イスクア子爵夫妻は
以前の証言を変えて
バレリーを殺すように
命じたことを
認めました。
そして、それについて
ラスタが関与していると
証言しました。
ラスタは彼らの話を
聞き間違えたかと思いました。
なぜ、彼らはあんなことを
言いだしたのか
理解できませんでした。
判事は、急に証言を変えた
イスクア子爵夫妻を不審に思い
その理由を尋ねました。
彼らは、
実の娘でもない皇后のために
あらゆる侮辱を甘受してきたが
皇后は傍観しているだけなので
耐えられなくなったと言いました。
判事は、
ラスタが皇后になる前から
彼らは親子だと
主張していたのではないかと
尋ねました。
イスクア子爵夫妻は
本当の娘を探すために
お金が欲しかった。
ラスタは貴族の親を欲しがっていたと
証言しました。
そして、ラスタの親が
誰なのかは知らない。
貴族ではないこと以外は
知らないと言いました。
判事は、
イスクア子爵夫妻とラスタが
手を組んで
ソビエシュを騙したのか、
それとも、彼は黙認していたのか
尋ねました。
イスクア子爵夫妻は
皇帝は知らない。
ラスタは、
自分を皇后にしてくれたら
実の娘を探し出し
あらゆる富と栄華を
享受させてくれると約束した。
自分たち3人で皇帝を騙したと
証言しました。
ラスタは
彼女が貴族でないことを
ソビエシュは知っていたと
叫びたくなりました。
けれども、
イスクア子爵夫妻の証言に
反論して
自分が来ていることがばれたら
何が起こるかわかりませんでした。
判事は、しばらく沈黙した後
他の官吏たちと共に
会議室へ行きました。
いつのまにか被告人席に
ロテシュ子爵とアレン
イスクア子爵夫妻が
来ていました。
ラスタは、
イスクア子爵夫妻が
ロテシュ子爵を睨みつけるのを見て
彼が、エベリーのことを
イスクア子爵夫妻に話したことに
気づきました。
判事が会議室から戻ってくると
ロテシュ子爵とアレン
イスクア子爵夫妻に
死刑の判決を言い渡しました。
◇裁判へ行くべきか◇
東大帝国はナビエに
手形についての証言を
要請していました。
彼女は、証言するかどうか
すぐに答えることは
できませんでした。
ナビエは、翌日も
そのことばかり考えていました。
ジュベール伯爵夫人は
ラスタがナビエのことを
姉と呼んだこと。
特別パーティーに出席したくて
前日までもめたこと。
コシャールがラスタを押したと
嘘をついたこと。
ラスタが妊娠した時に
ナビエが贈ったプレゼントを
彼女が妊娠した時に
返したことなど、
すべて証言すべきだと
言いました。
ローラも
ナビエがプレゼントを
贈ったと嘘をついたこと、
ハインリの文通相手だと
嘘をついたこと、
ナビエがソビエシュと
踊っている時に
わざと泣いて邪魔したこと、
ナビエを不妊だと
手紙を送ってきたこともと
付け足しました。
ナビエがプレゼントを贈ったと嘘をついたのはソビエシュでしたが・・・
東大帝国でのことを
知らないローズとマスタスは
ため息を繰り返し
ナビエのことを気の毒に
思いました。
ジュベール伯爵夫人と
ローラが話したことは
今思い出しても
腹が立つけれども
法廷で証言することではないと
ナビエは思いました。
すると、いつもは
侍女たちとの話に割り込まない
ランドレ子爵が
彼も、裁判で証言をするように
要請されていると
告げました。
彼は、
自分が作成した
報告書について証言をし
ニアンの濡れ衣を晴らし
ラスタが没落するのを
自分の目で見守ると言いました。
そして、
皇后が裁判へ行くなら
護衛をする、
皇后も裁判を見れば
すっきりすると言いました。
ナビエは、
自分を追い出したラスタが
どうなるのか見たいのと
弱くなった彼女を
見たくない気持ちが
半々でした。
どんなに憎い人でも
可愛そうな姿を見れば
心が揺れると思いました。
けれども、ナビエは
裁判へ行くことに決めました。
そして、ハインリに
証言はしないで
参観だけすると告げました。
ハインリはナビエと一緒に行くと
言いました。
ナビエ様だけでなく
ジュベール伯爵夫人とローラの
ラスタへの恨みも
半端ではないという感じです。
それだけ、2人は
ナビエ様のことが
好きなのでしょうね。
けれども、個人的な恨みを
法廷で話すべきでないと
言えるナビエ様は
さすがだと思います。