問題な王子様
87話 博覧会で心身ともに傷ついたエルナの元へ、ビョルンがやって来ました。 エルナはぐっすり眠っていました。 ビョルンは、そばに坐って しばらく彼女を見つめても 微動だにしませんでした。 ビョルンは、その事実に むしろ安心しました。 話す言葉を見つ…
86話 エルナはビョルンと一緒に博覧会を見学しています。 冷たい鉄の塊でいっぱいの 空間を抜け出すと、 あらゆる珍しくて美しいもので 満たされた風景が 繰り広げられました。 そこでエルナは 童話の主人公になりました。 遠い東方の砂漠、 名も知らぬ数多…
85話 いよいよ博覧会当日になりました。 国王の行列は、 大勢の群衆の間を通り、 博覧会の展示場へ向かいました。 大通りと広場を埋め尽くした 人々の歓呼の声が 天と地を揺るがすようでした。 エルナはその勢いに圧倒され、 屋根のない馬車の手すりの 向こ…
84話 いよいよ王家の人々がやって来ました。 男性たちが集まっている書斎から 追い出された クリスティアン王子が むっとした顔で戻って来ました。 やはりそうだと思ったかのように 笑った王妃は、 テーブルの一番端の席を 目で差しました。 そこは、できる…
83話 エルナはアルセン公爵家を訪ねています。 シュベリン宮殿で行われる 行事について、騒いでいたエルナが 先日、初めて夫婦喧嘩をしたと 突然、とんでもない話を 切り出しました。 鬱陶しそうな顔で 本を読んでいたアルセン公爵夫人は、 ようやくエルナに…
82話 仲直りしたエルナとビョルンに、平和な日常が戻って来ました。 本格的な春が訪れると、 エルナは毎朝、庭へ散歩に出かけ、 ビョルンが目を覚ます頃には、 すでにベッドを離れている日が ほとんどでした。 それは、ビョルンにとっては あまり喜ばしいこ…
81話 もうすぐ父親になるという、あの日と同じお祝いの言葉をビョルンは聞きましたが・・・ エルナは漠然とした気持ちで 虚空を見つめました。 人の好さそうな笑みを浮かべた 主治医のエリクソン医師は あまり気にしなくていいと 慰めの言葉をかけました。 …
80話 エルナとビョルンは激しい夫婦喧嘩をしましたが・・・ 一番最後に、 休憩室に入ったリサは、 広々としたテーブルを囲んで 座っている使用人たちが、 「私も王子様!」と 次々言うのを聞いて、 情けなくなり、舌打ちしました。 彼らは賭博が好きなのか、…
79話 外出先から戻ったエルナは、ビョルンが待っていると聞かされました。 黙々と食事だけをするエルナを 見守っていたビョルンは、 どうして、こんなに静かなのかと 尋ねました。 目の前に置かれた皿だけに 集中していたエルナは、 少し疲れたからと ぎこち…
78話 エルナはビョルンと一緒に夕食を取ろうと思っていたのに、彼は出かけてしまいました。 眠りから覚めたビョルンは、 ベッドに仰向けになり じっと天井を見つめました。 時計を確認しなくても すでに午後になっている 予感がしました。 今日は、特に予定…
77話 肖像画を描いている途中で、エルナは具合が悪くなってしまいました。 お茶を一口飲んで、 乾いた喉を潤したパーベルは、 今後の作業計画について、 落ち着いて説明しました。 傾聴するビョルンの態度は 非の打ちどころのない品格を 備えていましたが、 …
76話 ビョルンは、なぜ自分が買ってあげたダイヤモンドのネックレスを付けないのかと尋ねました。 エルナは、 自分は、これが好き。 このドレスには、このネックレスが 似合いそうだからだと答えました。 しかし、ビョルンは 「そうかな?」と聞き返すと。 …
75話 エルナの主宰する昼食会の日がやって来ました。 今日、そのネックレスを 付けていたら本当によかったのに。 見たかったのに、 残念だと、 テーブルの端に座った 男爵夫人が言い出した言葉が 会話の流れを変えました。 来月初めに迫った博覧会の話に 熱…
74話 ビョルンは巷の無頼漢のようなことを考えていると言いましたが・・・ 柔らかな唇が離れると、 誰のものなのか分からない 熱くて湿った息が あふれ出ました。 ビョルンは、その瞬間にも 半分、服が開けた状態で 喘いでいる妻を 静かな視線で眺めました。…
73話 ビョルンの指示で、エルナと彼は、噴水が見える庭園の片隅で朝食を取っています。 この大公邸には、 本当にきれいなところが多いと エルナは感嘆しながら あたりを見回しました。 リンゴの花が満開の木の下に 並べられた食卓と、 その上を漂う光と影。 …
72話 ビョルンはエルナの買い物に付き合わず、本を読んでいましたが・・・ 本を読み終えても エルナは帰って来ませんでした。 ビョルンは、 そろそろ退屈になってきたので 席を立ちました。 遠く離れた所で待機していた 侍従たちも 素早く彼の後を追いました…
71話 フェリアで過ごす日々も終わりに近づいて来ました。 最後の訪問国である フェリアでの日程を終え ビョルンに与えられた 王子の責務は終わりました。 残りは半月の休暇と帰国だけでした。 しかし、もう1週間が過ぎたので、 正確には、休暇の残りは あと…
ノベル70話 マンガ58話 エルナは大聖堂のドームに閉じ込められ、ビョルンに助けられましたが・・・ その後、エルナは風邪で寝込み 3日目に、ようやく 起き上がることができました。 さらに一日後、ベッドを離れて 朝食の食卓に座ることも できるようになりま…