問題な王子様
123話 ビョルンは噴水台に座って、馬車が迎えに来るのを待っています。 エルナは帰ってくるだろう。 すでに分かっている事実を 思い出しながら、 ビョルンは、 すでに飽きるほど吸った葉巻を もう一本取り出しました。 無節操な喫煙は、 死にかけた老人のよ…
122話 エルナがいなくなってから、ビョルンは不機嫌なままです。 午後遅く、 フィツ夫人の執務室を訪れたリサは いつも浮かない顔をしていたけれど なぜか、今日は 元気いっぱいに見えました。 フィツ夫人はリサに どうしたのかと尋ねました。 彼女は、少し…
121話 ビョルンはエルナの置き手紙を読み始めました。 ビョルンへ こんな風に、 あなたから去ることになり 申し訳ありません。 間違った方法だけれど、 他にどうしようもなかった。 あえて理解してくれとは、 言いません。 ビョルンの許しを請うことが でき…
120話 エルナはパジャマを脱ぎ捨て寝室から出て行きました。 ビョルンを乗せた馬車が 大公の橋を渡ったのは、 真夜中過ぎでした。 エルナは とっくに眠っているだろう。 こうするつもりはなかったけれど 不本意ながら、 しきりにエルナを待たせてしまう 現実…
119話 エルナは自分の寝室に戻りました。 浴槽から立ち上る 甘い香油の匂いが広がり、 メイドたちが誰も口を利かない 静かな浴室に おとなしく座っていたエルナは、 水面を漂う花びらを じっと見下ろしながら、 この時間が終わるのを待ちました。 数日間、眠…
118話 大公妃の部屋を改装した室内装飾家がやって来ました。 王国最高の室内装飾家として 名声を博している ローレンツ·ディクスは、 大公邸の客用応接室に向かいながら 名実共にレチェン最高の有名人である エルナ・ドナイスタに 会えるかと思うと、 隠し切…
117話 エルナとアルセン公爵夫人が食事をしているところへ、ビョルンがやって来ました。 招かれざる客に アルセン公爵夫人は 不満を露にしましたが、 少なくとも同じ食卓に座って 話を交わす程度の 寛容さは与えました。 それは、自分を騙してきた孫を 許し…
116話 エルナはビョルンと昼食をとることになりましたが・・・ 食器に触れる カトラリーの音が止まると、 ガーデンルームは 静寂に包まれました。 手に持ったナプキンを じっと見下ろしていたエルナは、 久しぶりに頭を上げました。 ビョルンは、頬杖をつい…
115話 エルナは流産してしまいました。 すすり泣きながら 血まみれの寝具を片付ける メイドたち。 部屋に充満している血と薬品の匂い。 落ち込んだ表情の医師や看護師たち。 妻の寝室に入った瞬間、ビョルンは、 もう子供はいないという事実を 受け入れまし…
114話 エルナが流産しかけている時、ビョルンはデパートで子供のためのプレゼントを買っていました。 突然デパートに押しかけた ビョルン王子が与えた衝撃から 抜け出した彼らは、 王子は妻を愛していると、 似たような結論を下しました。 今日のビョルン王…
113話 エルナは激しく呼び鈴を鳴らしました。 夢中で走って来たフィツ夫人が 寝室のドアを開けると、一番最初に リサの泣き声が聞こえてきました。 まだ片付けていないカーペットと シーツのあちこちに残った血痕が 痛くなるほど 彼女の目を突き刺しました。…
112話 ビョルンの浮気相手とされたオペラ歌手の告白記事までタブロイド紙に掲載されました。 フィツ夫人が、 ビョルンの寝室に入ると、 バルコニーに設けられた食卓に 座ったばかりのビョルンは 氷の入ったウイスキーソーダの グラスを握ったまま、 彼女を一…
111話 エルナはたらいとタオルを持って来て、ビョルンの服を脱がし始めました。 とても疲れているのか、 ビョルンは、いつもより ぐっすり眠っていました。 目が覚めなくて幸いでしたが、 意識のない 大きな男の体を扱うのは 思ったより容易では ありません…
110話 久しぶりにビョルンが帰って来ました。 エルナは、 ぼんやりとした目を瞬かせながら ビョルンを見ました。 その瞳は揺れていました。 ベッドのそばに立ち止まった彼を 注意深く見ていたエルナは ビョルンが、 とても疲れているように見えるけれど 大丈…
109話 ようやく「愛と深淵の名前」が出版されました。 悲鳴に近い泣き声が 国王の執務室いっぱいに 響き渡りました。 座り込んで泣いている娘を 見ているラルス国王は、 何でもいいから、グレディスを 落ち着かせなければならないと 思いながらも、口から出…
108話 エルナの体は、少しずつ落ち着いて来ました。 エルナは、 帽子を造花でごちゃごちゃ飾るのは 滑稽だと思い、 すべての造花を取り除きましたが、 造花が一つも残らないと、 それはそれで見苦しいので 最後に取り除いた造花を 帽子に戻しました。 ずっと…
107話 アルセン公爵夫人の次は・・・ 最近のビョルンは、 一種の挨拶のように 「エルナは?」と 使用人たちに質問するせいで 大公邸のすべての使用人は 大公妃の動線を把握しようと 努めました。 まともに答えられなくても、 問責を受けるわけではありません…
106話 エルナはウォルター・ハルディと絶縁することを承知しました。 バーデン男爵夫人は、 大公邸を訪ねるという手紙を エルナに送りました。 しかし、彼女は、 まだ王室が騒然としているため、 当分の間、 客をもてなすことは難しそうだと 拒絶の返事を送…
105話 エルナは、ビョルンが自分と結婚した理由と、自分が賭けの対象であったことを知っていると、淡々と打ち明けました。 ビョルンは何の返事もすることなく エルナを見つめてばかりいました。 エルナは、 冷たくなった両手を合わせて 揺れる心を落ち着かせ…
104話 ついにウォルター・ハルディは捕まりました。 ウォルター・ハルディは、 まさかビョルン皇子が 妻の父親を警務所に送るなんて、 思ってもいませんでした。 不本意ながら このような騒ぎを起こしたのは 残念でしたが、 そもそもビョルン皇子が 金づるを…
103話 エルナが妊娠していることが分かりましたが・・・ これは、離婚されたって、 何も言えないことではないのか。 自分は恥ずかしくて 顔を上げて歩くことができないと 用事を済ませて戻って来た若いメイドは 泣きべそをかきながら、 使用人の休憩室に駆け…
102話 吐き気を催したエルナをビョルンは抱き抱えて走りました。 力なく座って 窓の外だけを見つめていたエルナは 川の向こうに大公の橋が 見え始めた頃になって、 「どうしてですか?」と 最初の一言を切り出しました。 ドレスは草の汁と土埃に塗れ、 髪は…
101話 エルナは、自分が賭けの対象になった話を聞いてしまいました。 エルナが消えました。 ぐっすり眠っていた女性が 消えた所には、 きちんとたたんだ毛布と 飴の入った紙袋だけが ぽつんと残っていました。 ビョルンは、その場に座って エルナを待ちまし…
100話 エルナとビョルンはハイネ公爵家の別荘に来ています。 ハイネ公爵家の子供たちと 遊んであげていたエルナが おもちゃを持ったまま うとうとしているのを見た ゴシップ好きな人々は、 劇場で恥をかいてから、 いくらか時間が経ったとはいえ、 あれだけ…
99話 ベッドから抜け出したエルナは、応接室にいるようですが・・・ ビョルンは静かに扉を開けると、 彼の贈り物で満たされた エルナの世界が現れました。 博覧会で買い集めた物を 無造作に並べただけなので かなり見苦しく、フィツ夫人は、 直ちにインテリ…
98話 ウォルター・ハルディへのビョルンの対処法は? レチェンの王子妃の父親であり 王子の義父でもある ウォルター・ハルディは 義理の息子である ビョルン・ドナイスタの 所有する銀行で、 丁寧だけれど断固とした態度で 融資を断られると、 信じられない…
97話 エルナとビョルンはシュベリンに戻って来ました。 うとうとしていたエルナは、 ノックの音に驚いて目を覚まし、 その拍子に落とした筆が 机の下に転がり落ちました。 よりによって 赤い染料が付いていたので、 エルナは慌てて返事をしながら、 布の切れ…
96話 エルナからプレゼントを貰ったので、ビョルンは、今度は仲良くなる番だと思いました。 エルナは再び気分が悪くなり 目をギュッと閉じました。 数字を10まで数えると、 ようやく胃が落ち着きました。 普段なら、 とっくに散歩に出かけている 時間だけれ…
95話 服を全て脱いだエルナは首にリボンだけを結んでビョルンの前に座りました。 ビョルンは、 急いで妻を横にしました。 空を見回していたエルナの瞳は、 再びビョルンの顔の上で止まりました。 深夜、ベッドの上でも恥ずかしくて 縮こまっている女性が、 …
94話 ビョルンと一緒にピクニックへ来ているエルナは、ワインを飲んで酔っ払ってしまいました。 酔ったエルナは、普段より たくさん笑っていました、 のろのろと続くおしゃべりや 少し、ぼんやりした瞳と共に、 それは、 そんなに悪くない酒癖でした。 エル…