自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 113話 ネタバレ 原作 あらすじ エルナが一番会いたい人

 

113話 エルナは激しく呼び鈴を鳴らしました。

 

夢中で走って来たフィツ夫人が

寝室のドアを開けると、一番最初に

リサの泣き声が聞こえてきました。

まだ片付けていないカーペットと

シーツのあちこちに残った血痕が

痛くなるほど

彼女の目を突き刺しました。

 

理性を失ったリサを

しばらく追い出したフィツ夫人は、

表情を整えながら

ベッドに横になっている

エルナのそばに近づきました。

休むことなく流れた涙が、青白い顔を

びしょびしょに濡らしていました。

 

フィツ夫人と目が合ったエルナは

血が、急に・・・と

言葉を詰まらせながら呟きました。

ひどい痛みのせいで、

エルナは悲鳴を上げました。

 

断続的に襲ってくる痛みのせいで

眠れないこともあったけれど、

それはよくあることで、赤ちゃんが

よく育っている証拠だと思えば、

いくらでも耐えることができました。

ビョルンがそばにいてくれたことで

大きな慰めも得ました。

 

目が覚めた時は、

また一人になっていたけれど

赤ちゃんがいるから大丈夫でした。

 

彼女はビョルンを待ちました。

彼の前で笑うことができるだろうかと

疑問を感じながらも、

助けを求めるようにお腹を撫でながら

あなたのためにも、

美しく笑えるようにと

子供に祈りました。 

赤ちゃんは、そんな母親が

嫌だったのだろうか。

 

いくら唇を強く噛んでも、

押さえることができない悲鳴が

再び流れ出ました。

 

医者はすぐに到着するという

フィツ夫人の声とリサの泣き声が

遠くに聞こえました。

エルナはかろうじて頷くと

すすり泣きました。

震える両足をぴったり付けて

力を入れてみましたが、

どっと流れる血は

思い通りに止まりませんでした。

 

ビョルンが外出したという伝言を

聞いた後、

エルナは遅い朝食をとりました。

ほとんど手もつけなかった食卓が

片付いた頃、

再び、痛みを感じました。

エルナは胸がドキドキしましたが、

とりあえずベッドに横になって

待ってみることにしました。

 

ずっと体の調子がよくなかった

母の中でも、屈することなく

よく耐えてくれた子でした。

幸いにも、

父親に似て丈夫そうなので、

どんなに嬉しくてありがたかったか

しれませんでした。

だから、

今日もよくなると信じていました。

そうならなければ、なりませんでした。

だから、カーテンを開けようとして

立ち上がった瞬間、

足の間から何かが流れる感じが

与えた衝撃は

さらに大きくなりました。

 

何度か瞬きした後、

エルナはそれが血だということを

認知しました。

夢中で鐘を鳴らしたその瞬間から

数えきれないほど

ビョルンを呼ぶことを繰り返しました。

彼がここにいないということを

知っていても、

まるでその名前が

赤ちゃんを守ってくれるような

気がしました、

 

苦痛が深刻になると、

ビョルンを呼ぶ声が

より一層切実になりました。

彼が来てくれて、

両目を見ながら、大丈夫だと、

囁いてくれるだけで、

本当に、すべてが良くなるような

気がしました。

そうでなくても、

ビョルンがそばにいてくれることを

願っていました。

とても怖くて痛い今、

エルナが一番会いたい人でした。

 

冷や汗と涙でぐちゃぐちゃになった

エルナの顔を拭いたフィツ夫人は、

王子の所へ人を送ったので

すぐに帰って来る。

少しだけ我慢すればいいと

震える声で頼みました。

 

体を思い切り丸めたまま、

うんうん苦しんでいる中でも、

エルナはいい子のように頷きました。

枕カバーを握り占めている小さな手は

血で赤く濡れていました。 

エルナは、

ビョルンの名前だけを呼んで

耐えました。

彼女にできる唯一のことでした。

王家の紋章が光る馬車が

繁華街の中心に止まると、

足を止めた通行人たちは

もしかしてと、

好奇心と疑問が入り混じった目で

そちらをチラッと見ました。

集まった人々が

大通りを埋め尽くした頃、

馬車のドアが開きました。

大公を見た群衆の歓声が波及しました。

 

御者と侍従は、心配そうな目で

ビョルンをチラッと見ました。

この時期に、こんな風に

国民の前に立つという王子の決定を、

彼らは全く理解できませんでした。

しかも、その目的地がデパートなので

彼らは、王子の頭が、

どうかしてしまったのではないかと

心配するほどでしたが、

ビョルンは極めて平然としていました。

 

そして、彼は先頭に立って

歩き始めましたが、 躊躇する気配は

全く見られませんでした。

侍従は、慌てて王子の後を

追いかけました。

まともな護衛もなしに、

群衆を相手にするなんて

死ぬ思いの彼とは違い、

ビョルンは悠々と歩いて行きました。

 

さらに驚くべきことは、

時々、見物人たちの中に、

無秩序な混乱が起こると、

ビョルンはその場に立ち止まり、

じっくりと周囲を見回しました。

ただそれだけなのに、

人々は、彼の顔色を窺って

すぐに静かになりました。

 

彼らに送る

ビョルンの目の挨拶と笑顔は、

非の打ちどころがなく、

優雅で見事でした。

 

侍従は面食らって

王子の後を追いました。

懸念とは裏腹に、

心配したような統制不能の状況が

起きなかったので、彼らは、

特に苦境に立たされることなく

デパートに入ることができました。

 

しばらく足を止めたビョルンは、

真昼に現れた幽霊でも

見たような表情をしている

店員に向かって、

赤ちゃん用のぬいぐるみは、

どの辺にあるかと

丁寧に尋ねました。

真っ青になった店員は、

首を絞められたような声で、

上の階にあると答えました。

 

ビョルンは頷くと

階段を上って2階に向かいました。

ある瞬間から、店員たちも

王子の後を追い始めたおかげで、

ビョルンは、難なく

おもちゃ売り場を

見つけることができました。

 

狂気の沙汰だと自嘲しながらも、

ビョルンは売り場の中に入りました。

妊娠した妻に、

どんなプレゼントをしたのかという

質問を受けた若い理事は

しばらく何も言わず、

目をパチパチさせてばかりいて、

どんなに難しい指示事項を

聞いた時よりも、

困っている顔をしました。

しかし、すぐに彼は、

花だの、子供のおもちゃだのと

答え始めました。

 

期待以下の食傷的な話に

ビョルンが辛抱強く耳を傾けたのは

もう一度、そのことを思い出しても

嬉しくて感激したような彼の顔が、

まるで、この世の全てを手に入れた

王様のように見えたからでした。

いかつい見た目と違って、

かなり優しい夫であり、

父であるようでした。

 

あまり役に立たなかった会話が

終わるまで、ビョルンは

自分のやり方でやろうと

思っていました。

しかし、最高中の最高を選ぶよう

任せた時に、

困っていたエルナを思い浮かべると、

唇は「デパートへ」という言葉を

口にしていました。

 

ビョルンと目が合った

おもちゃ売り場の店員は

悲鳴を上げました。

唇の端をそっと上げて

微笑んだビョルンは、

おもちゃがいっぱい並んだ

陳列棚の前にゆっくりと近寄りました。

「妊娠したんだって」と

その一言しか言わなかった夜に見た

エルナの顔が、おもちゃの上に

ぼんやりと浮かんできました。

 

あの日、色々な面で

最悪のことが重なった日に

驚くべきニュースまで伝えられると、

ビョルンは頭の中が麻痺したように

ぼーっとして、まともな考えを

続けることができませんでした。

 

そして、子供ができたという話を

聞いた瞬間、ビョルンは、反射的に

ウォルター・ハルディの名前を思い出し

そのごちゃごちゃした名前が

飛び散らかす汚水が、

自分の子供を汚さないことだけを考え、

そうしました。

その過程で発生する雑音は、

エルナに届かないよう、

できるだけ最善を尽くして

消してしまいました。

 

もしかして、

生まれてくる赤ちゃんへのプレゼントを

選ぶのかと、店員が慎重に尋ねると

ビョルンは快く頷きました。

 

ビョルンは、若い理事が、

最初の子供のプレゼントとして

買ったと騒いでいた、

クマのぬいぐるみがいっぱい入った

陳列棚を目で差しながら、

どれがいいと思うかと尋ねました。

 

彼の息子は、

かなり大きくなってからも、

そのぬいぐるみを、

自分の体の一部のように思って

抱いていたそうで、

息子が、ぬいぐるみ好きなのが

心配だったと冗談を言った瞬間も、

彼は嬉しそうに笑っていました。

ネジが一つ緩んだような姿でしたが

それが、あまり悪くは

見えませんでした。

 

感激した顔をしている店員は

これが一番人気があると言って

男の子用と女の子用の

クマのぬいぐるみを選んできました。

このような物を

全く知らないビョルンも、

男女の区別はつきました。

 

男の子だと思うか、

それとも女の子?と

店員が質問すると、

王子を追いかけてきた見物人たちが

動揺し始めました。

男の子、女の子と、

それぞれの願望を叫ぶ声が

飛び交いました。

そして、誰かが双子と叫ぶと

ビョルンはニッコリ笑いました。

あの小さな女の中で

子供が二人も育つのは、

どうもできそうにありませんでした。

 

ビョルンは、

どちらでも構わないと思うけれど

エルナはどうだろうかと考えながら

店員から、ぬいぐるみを受け取り、

慎重に調べました。

 

子供は誰に似ているのだろうか。

もうすぐ父親になると

お祝いの言葉を伝えられたことの意味が

何なのか、今になって

ようやく実感できました。

どうやら、今日の夕食での会話が

とても長くなりそうな予感がしました。

結局、ビョルンは、

両方のぬいぐるみを買いました。

まさかこの程度でも、

行き過ぎたプレゼントだと思って

怖がることはないだろうと思いました。

主治医と他の医師や看護師たちは

王妃に頭を下げ、

沈痛な声で謝罪しました。

イライラしながら

応接間をうろうろしていた王妃は、

静かなため息をつきながら

目を閉じました。

 

エルナが出血をしているという

知らせを聞いて駆けつけた時、

状況は、すでに手の施しようもなく

悪くなっていました。

大公妃の体が

あまりにも弱っている上、

出血がひどいと医師は言いました。

 

その答えが分かっていながらも、

王妃は、

最善を尽くしてみても難しいかと

愚かな質問をしました。

主治医の顔色が、

より暗くなりました。

 

王妃はフィツ夫人を見つめながら

ビョルンは、

まだ帰ってこないのかと尋ねました。

フィツ夫人は、

銀行に人を行かせたけれど、

すでに出た後だったと答えました。

王妃は、

よりによってこんな時にと嘆くと

フィツ夫人は、

王子が行きそうな所を

全て探しているので、

すぐに戻ってくると思うと答えると

自分が罪人になった気分で

頭を下げました。

 

彼女は、外出するビョルンを

止められなかったことを

痛切に後悔しました。

彼がここにいたからといって

状況は変わらなかっただろうけれど

少なくとも切迫した様子で

夫だけを呼んでいる大公妃には

大きな慰めになったはずでした。

 

主治医は、

もう決定を下さなければならない。

このままでは、

無意味な苦痛が長引くだけだと

王妃に告げました。

彼が何を求めているのか

理解した王妃の顔色が

さらに暗くなりました。

半開きの寝室のドアの向こうからは、

依然として夫を呼ぶ

エルナの泣き声が漏れて来ました。

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ようやくビョルンが

父親になる自覚が芽生え、

生まれてくる子供のために

プレゼントを買いに行ったその日に、

エルナが流産するなんて

作者様は、どれだけエルナを

苦しめるのでしょうか。

ずっとビョルンを呼び続けている

エルナが可哀そうで

たまりませんでした。

 

自分が困っている時に

いつも助けてくれたビョルンが

一番、そばにいて欲しい時に

いなかったことに、エルナは、

ひどく失望するような気がします。

 

銀行から、

すぐに帰って来なかったのが

子供のための、

ぬいぐるみを買っていただなんて

流産したばかりのエルナに

ビョルンは言えないでしょうし、

彼はポーカーをしに行ったと

エルナが誤解でもしたら、

彼女の気持ちがビョルンから、

ますます離れてしまいそうな

気がします。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

このお話の原文は、

一つ一つのシーンが

まるで絵画を見ているように

とても繊細で丁寧で美しく

描写されています。

作者様の素晴らしい表現力に

感謝です。

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