2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧
159話 レチェンの使節団はロルカに到着しました。 アーチ型の門扉を通って中庭に入ると 一瞬、意識が朦朧とするほど 甘い香りが漂って来ました。 エルナはしばらく立ち止まり、 朝日の中で輝く、 オレンジの花が咲き乱れる 王宮の庭園を眺めました。 ここは…
858話 ついにタッシールは皇配になりました。 ◇母親たちを呼ぼう◇ ある日、ラティルは食事中に、 タッシールの母親が、 よく旅行に行くと 言っていなかったかと 尋ねました。 イチゴを噛んでいたタッシールは しばらく目を丸くした後、 何か話したいことでも…
158話 満月の夜からエルナとビョルンは・・・ エルナは、明るい光の中で 目を覚ましました。 まだ、夢を見ているような 気がしました。 背中を包み込む温かな体温を 感知したエルナは、 だるそうな笑みを浮かべながら、 目を閉じました。 そろそろ起きなけれ…
857話 ラティルはタッシールにエスコートされて、誕生パーティー会場に入りました。 ◇誕生パーティー◇ 皇帝の誕生日を祝うために 集まった人々は、 煌めく玉珠簾をくぐり抜けて 入ってくる二人を見て 嘆声を上げました。 皇帝の腕を、自然に エスコートして…
157話 外伝4話 ビョルンはエルナがやきもきするのが好きだと言いました。 簡単ではないと、 エルナの棘のある声が ワルツの旋律の中に染み込みました。 そして、イライラするのは、 むしろビョルンの方ではないかと 言い返しました。 彼は、 かなり勘が鋭い…
856話 サーナット卿はレアンが幽閉されている塔へ行ったところ、先客がいました。 相手もやはり吸血鬼。 自分の動きに気づくこともできるので サーナット卿は、 慎重に気配を消しました。 この辺りに、対怪物小部隊が 駐留していたような気がしたので、 サー…
156話 外伝3話 エルナはウィンフィールド氏が主催するパーティーに出席することになりましたが・・・ 鶏冠を立てた雄鶏。優雅なアヤメ。 昼寝から目覚めたばかりの 怠け者の猫。 エルナは、 豪華なパーティー会場の上に バフォードの風景を重ねました。 見知…
855話 プレラが二番目の皇女に手を伸ばした時、ラティルはプレラが、まだ力をコントロールできないことを思い出しました。 ◇刺々しい雰囲気◇ ラティルはプレラに、 赤ちゃんは、 まだ目で見るだけにしておこうと 言って、プレラの手が 赤ちゃんに届く前に、 …
854話 タッシールが皇配になるのを、取り消されるのではないかと、ヘイレンが心配しているところへ、ラティルの秘書がやって来ました。 ◇忙し過ぎるせいで◇ すぐに秘書は、 皇帝の伝言を持って来たと話すと ヘイレンは緊張して 唾を飲み込みました。 このタ…
853話 ラティルは出産を終えましたが・・・ ◇一人目とは違う◇ おかしなことが、 もう一つありました。 30分ほど経つと、先に入った乳母が 部屋の扉を開けて出て来ましたが、 彼女の表情も、 先程、宮医が見せた表情と 似ていました。 もう、皆、入ってもいい…
852話 いよいよ皇配の発表です。 ◇誰もが認める皇配◇ 皇配はタッシールだと ラティルは発表しました。 会議室には、すべての側室たちが 集まっていましたが、 大臣も側室たちも 誰も口を開きませんでした。 沈黙の中、皆がタッシールの方に 視線を向けました…
155話 外伝2話 ビョルンとエルナは歴訪に出発しました。 最新のクルーズ船が出航する日の シュベリン港は、 歴訪に出発する大公夫妻を見物しようと 人々が集まったため いつもより混雑していました。 前の席を占めようとする騒ぎは、 大公家の馬車が姿を現し…
851話 サーナット卿はパズルのピースの代わりに礼服の飾りの宝石を渡し、ラティルに入るかと尋ねました。 ◇こんな気持ちだけれど◇ どれだけ大切に保管しておいたのか、 宝石は、微かな光を受けただけでも 輝いていました。 ラティルは、手の中で 宝石を転が…
154話 シュベリンに戻って来たエルナとビョルンのその後は? 春の日差しが窓を通り抜け、 ベッドに届きました。 ビョルンは、ゆっくりと揺れる カーテンの影を 目を細めて見つめました。 花。レースの模様を認めた ビョルンの口の端が やや傾きました。 名前…
850話 クラインはヒュアツィンテに国政運営を学べと言われました。 ◇皇配より英雄に◇ 本当に自分にそう言ったのかと クラインはあわてて問い返しました。 ヒュアツィンテは 「うん」と答えました、 クラインは、さらに当惑し、 その理由を尋ねました。 ヒュ…
153話 エルナとビョルンの離婚はなかったことになりました。 満面の笑みを浮かべながら エルナに近づいたリサは、 褒め言葉だらけの記事だと言って 今日のタブロイド紙を差し出しました。 大公妃の名前が載せられた記事を見ても 見ないふりをして、 何とかエ…
849話 ラティルはゲスターに高い山の頂上へ連れて行かれました。 ◇激しい言い争い◇ ゲスターは、 半ば魂が抜けた状態でした。 白魔術師は腹立たしい奴だけれど 彼の主張は正しく、 彼は、黒魔術の扱い方だけは、 はっきり分かっていました。 特に最後に彼が…
152話 無事にエルナは病院へ移されました。 扉を開閉する音が、 静かに響き渡りました。 夜明け前、 暖炉の明かりのおかげで、 それほど暗くない病室の中を ビョルンは 最大限に気配を抑えた足取りで エルナが眠っているベッドのそばに 近づきました。 ぐっ…
848話 ゲスターはタッシールに「お前か?」といきなり尋ねました。 ◇後で話そう◇ 言葉の前後が切り取られた 質問でしたが、 この場の全ての人が、 ゲスターの本音を聞き取れました。 タッシールは、 誤解があるようだと平然と話すと、 ゲスターの肩を抱いて …
847話 ゲスターも無事に仕事を終えて、意気揚々と帰って来ましたが・・・ ◇一番はタッシール◇ ついに馬車がタリウムの中に入ると ゲスターは、 窓枠から手を下ろしました。 興奮と緊張で震える手を 見られたくなかったからでした。 馬車は城門を通り過ぎた後…
846話 タナサンの会議室の中では、一体、何が起こっているのでしょうか? ◇息子への疑念◇ ロルド宰相は歩いていく途中、 チラッと後ろを見ました。 今、微かに 悲鳴が聞こえたようでした。 しかし、扉は閉まっていたし、 外の様子は見えませんでした。 宰相…
845話 一番最初に宮殿に戻って来た側室は誰なのでしょうか? ◇これは、あれ?◇ タッシール? ヘイレンを治療すると言って 消えたタッシールが 使節団の馬車に乗って登場するなんて ラティルは、 予想していなかったことに、 心から驚きました。 どうやって?…
151話 レオニードはビョルンに、大公妃を見つけたと告げました。 眠りから覚めた子供の泣き声が 寂寞とした幕舎の中に 響き渡りました。 火鉢に薪を入れていたエルナは、 驚いて体を起こしました。 包帯が巻かれた腕や腰を襲った 鋭い痛みは、 しばらくして…
844話 グリフィンはゲスターに、ミロの周辺に変な境界ができていて、中が見えないことを伝えました。 ◇完璧な成果◇ 確かに変だ。 ロルド宰相は グリフィンの言葉は聞こえないけれど ゲスターの言葉は聞けるので、 彼は、宰相が 熟睡していることを知っていた…
150話 ビョルンは倒れている最前列の車両の窓ガラスを割って、中へ飛び下りました。 壊れた扉が外れる音が、 地獄のような風景の中に 響き渡りました。 ビョルンは、その扉を乗り越えて、 次の車両に向かいました。 頭上から、割れたガラスの破片が 雪と共に…
843話 ザイシンと百花が、ゲスターのことで言い争っているのを、ラティルは聞いてしまいました。 ◇怒って落ち込むザイシン◇ ラティルは我慢ができなくなって 扉を開けました。 向かい合って立っていた ザイシンと百花は、同時に話を止めて そちらを向きまし…
149話 エルナの乗った列車が脱線してしまいました。 シュベリンから出発した列車は、 脱線事故が起きたカセン駅に 到着しました。 半分、正気を失って駆けつけて来た 事故列車の乗客の家族、 固い表情の救助隊、 貨物車から降ろされた物資が溢れ出て 入り乱…
842話 ラナムンたち一行の前にアペラが現れ、一緒に連れて行ってくれと頼みました。 ◇何度も告白されたから◇ ラナムンは、 アペラに告白されたことを 完全に忘れていました。 彼に告白した人が 1人や2人ではないためでした。 それさえも側室になってから …
148話 エルナは電報で悲報を伝えられましたが・・・ 「来ましたね、ビョルン。 聞いたところによれば 恋愛の行方は、 本当に順調ではないようだ」と、 ビョルンと目が合った アルセン公爵夫人は、 意地悪な笑いとともに 冗談を言いました。 確かに、病んでい…
841話 ラティルは皇配候補たちを、怪物退治に行かせることにしました。 ◇決定◇ ここに集まっている人々のほとんどが ゲスターとラナムンの支持者であり、 残りは中立だろうと ラティルは考えました。 彼女は、誰かが、引き受けるべき国を 変更してほしいと要…