2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧
20話 ハーバー家のパーティーでエルナとビョルンは踊っています。 そっとそっと、 水の上を歩くように エルナは動きました。 このワルツを成功させることが 生涯の使命でもあるかのように 集中しているエルナを 見下ろしていたビョルンは、 少し虚しい気持ち…
950話 外伝 59話 皇女ラティルは、邪悪な者が触れると割れる白い石を、アイニから差し出されました。 ◇賭け◇ 声を出せるなら、 受け取ってはダメと、ラティルは 叫んだかもしれませんでした。 しかし、ラティルは偽の未来の中で 皇女ラティルを 動かすことが…
13話 レイラはマティアスの離れを訪ねました。 むやみに怒りを晴らして 去った日とは違い、レイラは 慎ましやかな淑女のような姿で 現れました。 マティアスは、ゆったりと ソファーにもたれかかり、 レイラを見ました。 彼女は、もじもじしながら 突然訪問…
19話 ハーバー家のパーティー当日です。 大公を乗せた馬車が ハーバー家に入ったのは、 すでにパーティーが始まった後でした。 ハーバー侯爵夫人が開く社交の集まりを あまり好ましく思っていない レオニードとルイーゼは不参加を決め、 シュベリン宮殿から…
949話 外伝58話 カルレインとの偽の未来を見ていると信じているラティルは、彼が出て来ないことを不思議に思っています。 ◇皇帝夫妻との食事◇ 皇女ラティルは、 ヒュアツィンテをいじめる考えに ウキウキし、 普段より念入りに着飾って 食堂へ歩いて行きまし…
12話 レイラは眼鏡を置き忘れてしまいました。 マティアスは、 蓄音機から流れるワルツを聞きながら ソファーにもたれかかりました。 華やかで軽快なメロディーに乗り 肘掛けに乗せている指先を ゆっくりと動かしました。 置き時計は5時を指していました。 …
18話 エルナは1年ぶりにパーベルと再会しました。 これまでの近況を ぺちゃくちゃ話しながら 川辺を歩いていたエルナは、 父親は自分を嫁に行かせたいようだと 話題を切り替えました。 それが遅ればせながら 親の務めを果たすことだと 考えているようだけれ…
948話 外伝57話 カルレインとの偽の未来を見ているはずなのに、彼が出て来ないのでラティルは訝しがっています。 ◇運命が変わるポイント◇ ラティルは、翌日も偽の未来を見に 怪物の監獄を訪れました。 彼女は、昨日の続きを 今日も見せて欲しい。 時間は、少…
11話 レイラはマティアスにサンドイッチを食べろと命令されました。 今日はかなり暑い日なのに、 レイラは、 なんとなく背筋がぞっとして 肩をすくめました。 さっさと食べて帰ろうと 決意しましたが 前に置かれた食べ物は 少しも減りませんでした。 昼食を…
17話 ようやくパーベルからの手紙が届きました。 エルナが家の中に 閉じこもり始めてから3日後、 使い走りの少年が持って来た手紙を 受け取ったリサは エルナの部屋へ急ぎましたが 扉を叩いても返事がなかったので、 そっと扉を開けると、 机の前に座ってい…
947話 外伝56話 ラティルと一緒に見た偽の未来をカルレインは気に入らなかったようです。 ◇幸せな今が好き◇ ラティルは、心底、 カルレインが変だと思いました。 彼との未来なのに、 クラインと絡み合うような 雰囲気だったので、 カルレインの立場では 本当…
946話 外伝55話 クラインは、ラティルが暇になったら、怪物に会いに行くと予想していましたが・・・ ◇誕生日のプレゼント◇ まさに、クラインの予想が 的中しました。 年末の祭りの期間が終わるや否や 宮殿は、再び新年祭の準備で 忙しくなりました。 新年祭…
945話 外伝54話 パーティー会場を抜け出して、どこかへ行こうとするクラインをアクシアンは止めました。 ◇クラインの行き先◇ なぜ、行ってはいけないのか。 そこへ行ってはいけないという 規則はないと、 アクシアンを怒ったクラインは 彼を振り切って歩き続…
944話 外伝53話 アトラクシー公爵は、タッシールの仕打ちに腹を立てています。 ◇顔の使い道◇ 怒ったアトラクシー公爵は、 ラナムンの部屋に行って暴れました。 プレラは、 おもちゃを手に持ったまま、 ぼんやりと公爵を見つめました。 プレラは祖父が、 あの…
10話 レイラとカイルがポーチにいると、突然、ヘルハルト公爵がやって来ました。 公爵は挨拶するレイラに向かって 「レマーさんは?」と尋ねました。 レイラは、 唇を何度もこすって拭いた後、 おじさんは市内に行っていると 答え、何か用事があるのかと 尋…
943話 外伝52話 タッシールはアトラクシー公爵を呼び出しました ◇皇配からの使い◇ 年末の祭りの時に贈る 孫たちへのプレゼントを チェックしていた アトラクシー公爵は 皇配に呼ばれたと聞くと、 プレゼントをチェックするのを止めて 後ろを振り返りました。…
9話 窓から庭園を見ていたブラント伯爵夫人はレイラを見つけました。 庭師を手伝っている 眼鏡をかけた女性を見た ブラント伯爵夫人は、 まさか、あの女は 庭師が育てていた孤児かと尋ねると クロディーヌは 「はい、レイラ、あの子です」と 大したことなさ…
942話 外伝51話 はたして、タッシールのアトラクシー公爵への反撃方法は? ◇宛名のない招待状◇ 確かに、皇配がいると楽だ。 ラティルは、 年末の祭りに関する書類を 検討しているうちに、 突然、微笑みました。 以前であれば、 大きな祭りや行事が開かれると…
16話 ビョルンは噴水台に座っているうちに意識がなくなりました。 悪夢に悩まされたエルナは、 普段よりはるかに早い時間に 目が覚めました。 目覚めた瞬間に、 夢は薄れてしまったけれど とても大きな獣に 追いかけられた記憶だけは 鮮明に残っていました。…
941話 外伝50話 果たしてアトラクシー公爵の狙いは? ◇少しでも寵愛がなくなれば 気づいたようだねと言うと アトラクシー公爵は 満足そうに笑いました。 ロルド宰相は呆れながら アトラクシー公爵が 少し頭を使ったねと呟くと 首を横に振りました。 アトラク…
15話 パーベルはエルナのいる展示室に入りました。 美しい作品に 囲まれているにもかかわらず 展示室の真ん中に ぽつんと立っている女性の視線は 重ねた自分の両手の指先に 向かっていました。 絵を鑑賞するふりをしながら、 その女性をチラチラ見る 貴族た…
940話 外伝49話 アトラクシー公爵はメロシー領主に、一緒に皇配を押さえないかと提案しました。 ◇息子と孫娘のために◇ 伯爵夫人はメロシー領主に近づき、 彼の肩に手を置くと、 何か悩みでもあるのかと尋ねました。 彼は、あると率直に認めると ため息をつき…
939話 外伝48話 ラティルは予言に流されないようにしようと決意しました。 ◇消えた赤ちゃん◇ しばらくすると、 東大陸から脱出した予言者に関する話が あちこちに広まりました。 ラティルの言ったように、 彼はここでも、 早くに名声を得ていました。 しかし…
938話 外伝47話 予言者が心の中で、2人は寿命が短くてと言うのを聞きました。 ◇死んでいるはずなのに◇ そのまま行ってしまうには、 鳥肌が立つ単語が 聞こえて来ました。 寿命? ラティルは立ち止まって 振り向きました。 預言者は焦った顔で ラティルとカル…
937話 外伝46話 黒死神団が保護してタリウムの首都へ連れて来た東大陸の予言者とは? ◇予言者◇ その予言者の予言のために 色々なトラブルが起きたけれど、 その中の一つが、 強大国の太子が死んだことだそうだと 部隊長は説明しました。 その言葉にラティル…
8話 レイラはクロディーヌにお茶に誘われました。 ドアマンの、 とても当惑している表情に、 レイラは「理解する」と言うように 頷きました。 この都市の最高のホテルに、 古い自転車を押して来た客は、 今まで、 いなかったはずだからでした。 先に入ったヘ…
936話 外伝45話 メラディムはタッシールの子供を血人魚の子供と双子のように育てたいと提案しましたが・・・ ◇動揺するタッシール◇ タッシールは、口元に 曖昧な笑みを浮かべた後、 「しまった」と思いました。 ザイシンとの共同育児が嫌で 抵抗していたのに…
7話 川で泳いでいるマティアスと木の上で本を読んでいるレイラが出くわしてしまいました。 レイラは、最初、 幻を見たと思いました。 目が悪いため、 森の道に落ちている木の実を リスと見間違えたり、 水に浮かぶ木の枝を人だと思って 驚いたことがあるから…
935話 外伝44話 子供が生まれたことを知らせに行った乳母は、驚いた悲鳴を上げました。 ◇ついに目覚めた◇ ラティルは心臓がドキドキしました。 数ヶ月間、のんびりと平穏な日々を 過ごしていたため、 様々なことへの警戒心が 少し薄れていた状態でした。 結…
14話 ビョルンはエルナにハンカチを差し出しました。 そのハンカチの片隅に刺繍された 自分の名前の頭文字を確認した エルナの顔が真っ赤になり 火照りました。 しばらくしてエルナはお礼を言うと 震える手を差し出し ハンカチを受け取りました。 こんなもの…