2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
52話 リエットは何を企んでいるのでしょうか? しばらくアルビスに 滞在することになった リエット・フォン・リンドマンは 午後遅くに、 山のような荷物を積んだ馬車と一緒に やって来ました。 エリーゼ・フォン・ヘルハルトは 満面の笑みを浮かべた顔で 彼…
55話 パーベルはエルナから手紙を受け取りました。 エルナが送って来た手紙には 王家の紋章が写っていました。 見慣れた筆跡と見慣れない印章を 交互に見ていたパーベルは、 少し虚ろな笑みを浮かべながら 手紙を下ろしました。 エルナ・デナイスタ。 なかな…
54話 ビョルンのレッスンが始まります。 エルナは、お風呂から上がると パジャマを急いで着て 化粧台の前に座りました。 メイドたちは 呼ばないことにしました。 フィツ夫人の教えに反することでしたが ここはシュべリン宮ではないので 大丈夫そうでした。 …
53話 ビョルンは、夕食は一緒に取ると言いましたが・・・ 悩んだ末、エルナは 優しく微笑みながら、 大丈夫。夕食は自分一人で食べると 落ち着いて使用人に伝えました。 ビョルンを起こすことも、 いつまでも、 エルナを待たせることもできず 困っていた使用…
51話 レイラを捕まえたマティアスは、彼女に、どこへ行くのかと尋ねました。 ヘルハルト公爵は狂っている。 レイラは、しばらく忘れていた その明確な事実を思い出しました。 マティアスは、 ハアハア息をするだけの レイラの髪の毛を引っ張り 「答えろ」と…
50話 フィービーがマティアスの手紙を運んで来ました。 ヘルハルト家の親戚たちが集まる 晩餐会の準備のため、 アルビスは騒然としていました。 レイラは、普段と違って、 多くの馬車と自動車が行き交う 進入路の端を 自転車を押しながら歩きました。 ここ数…
49話 マティアスは何を話そうとしているのでしょうか。 その髪型は似合わないと、公爵は とんでもないことを言いました。 レイラは、よく考えた後に その言葉の意味が分かると、 さらに大きな混乱に陥りました。 この男は、 なんて突拍子もないことを言うの…
48話 フィービーがマティアスの元へ来る理由は? 白い鳩が、 バルコニーの手すりに降り立つと 当然のように、 餌箱が置かれている所に近づきました。 窓越しに鳥を発見したマティアスは 「フィービー」と レイラが切羽詰まった様子で 呼んでいた名前を低く呟…
52話 エルナとビョルンは新婚旅行に出発します。 新婚旅行に出かける大公夫妻を 見に来た人々が加わったため、 シュベリン港は、 いつもの倍以上の人々で 埋め尽くされました。 前妻の国へ 二度目の新婚旅行に行くという 恥知らずで厚かましい行為にも 驚き…
51話 エルナはビョルンに教えて欲しいと頼みました。 ビョルンは、思わず 笑い交じりのため息を漏らしました。 まるで預けておいたものを 取りに来たかのように 厚かましく振舞う瞬間にも、 エルナの頬は赤く上気していました。 頬を撫でるビョルンの指先に …
50話 エルナは結婚式の参列者にお礼状を書いています。 エルナは、 インクの染みが滲んだ便箋を片付けると 新しい便箋を広げました。 上段に記された大公家の金色の狼が 日差しの中で華麗に輝きました。 しきりにミスをしてしまうのは、 おそらく、その紋章…
47話 子供たちがボートで出かけたのをレイラが眺めていると・・・ 白い山鳩が 川の向こうから飛んで来ました。 「フィービー?」 レイラは信じられない思いで 呟きました。 鳥がバルコニーの手すりに止まると レイラは、確信に満ちて、 「フィービー!」と呼…
46話 マティアスは、レイラと子供たちをお茶に招待しました。 耳をつんざくほど、 ぺちゃくちゃ喋りながら 笑っていた子供たちも、 離れに入ると、驚くほど おとなしくなり、 好奇心に満ちた目を輝かせながら 周りを見回しました。 レイラは怯えたモニカを宥…
45話 レイラは子供たちと一緒にアルビスに遠足に来ています。 あの人が先生のお父さんですかと 目をパチパチさせていた幼い少年が 緊張した声で呟きました。 嘘だ。先生と全然似ていないと 少年より少し小さい少女は 泣きそうになりました。 ビル・レマーが…
44話 レイラは教師になりました。 「なんてこと!レイラ、また!」と 木の下から聞こえて来た叫び声に、 レイラは、危うく 一口かじっていたリンゴを 落とすところでした。 視線を落とすと、予想通り、 モナ夫人が腕を組み、目を見開いて レイラを見つめてい…
49話 エルナはシーツを抱えて浴室に逃げ出しました。 鬼ごっこでもしているような状況に 戸惑ったフィツ夫人は、 すぐに平静を取り戻しました。 滅茶苦茶になったベッドと 床に転がっているパジャマ。 サイドテーブルに置かれたグラス。 たちまち消えた大公…
48話 ビョルンはエルナに酒を勧めました。 しばらく躊躇っていましたが エルナは、両手で包んだグラスを 唇に運びました。 どうせ避けられないなら、 酒に酔っていた方が良いし、 意識がはっきりしている状態では 到底、そのようなことに耐える 自信がないか…
47話 エルナとビョルンの初めての夜です。 しばらく息を殺していたエルナは 「こんばんは、王子様」と 小さく囁きました。 ひどく警戒する中でも 丁寧に挨拶する姿に ビョルンは笑わされました。 ビョルンはエルナに、 とても疲れているかと尋ねました。 別…
43話 泳いでいたマティアスは木の上にレイラを発見しました。 泳いで戻ったマティアスは 服を着替えて離れを出ました。 夕焼けは、 さらに濃くなっていたけれど レイラは、まだ木の上に座って 泣いていました。 彼の存在に気づかない点も 先程と同じでした。…
42話 カイルはレイラに逃げようと言いました。 カイルのぼんやりとした眼差し。 やつれて青白い顔色、 乱れた髪と身なりを見たレイラの瞳が 揺れ始めました。 レイラはカイルに、 「やめて。自分たちは、もう・・」 と抵抗しましたが、カイルは、 どこか、自…
41話 エトマン夫人の悪事が明るみに出ました。 夕食の席で、老婦人は、 エトマン夫人の話のことを 本当に汚い話だと 冷たく簡潔に評しました。 あれほど名望のある 医者の家門の奥さんが 盗みをそそのかして捕まるなんて とんでもないというと、 眉を顰めま…
40話 モナ夫人はビルに、エトマン夫人のことを話しました。 窓を開けていたので、 固く閉ざされたカイルの部屋まで 騒ぎが聞こえて来ました。 カイルは疲れ果てた体を ゆっくり起こしました。 「おい、エトマン夫人! 今すぐ出てきなさい! 」 大声で叫んで…
46話 エルナはビョルンと手を繋いで礼拝堂に入りました。 王子の二度目の結婚式が 始まりました。 生涯、豪華な世界の中で生きてきた 王族たちの魂もすっかり抜けるほど 光り輝いていた最初の結婚式とは 全く違う雰囲気を醸し出している むしろ、本質に近づ…
45話 いよいよ結婚式は明日です。 祈祷書を閉じたバーデン男爵夫人が ベッドに入ろうとしていたところへ 枕を抱えたエルナがやって来て、 今夜はここで寝ると言いました。 かつてなかった甘える孫娘を じっと見つめていた バーデン男爵夫人は 勝てないふりを…
44話 エルナとの昼食の約束をビョルンは忘れていました。 王子様が到着した。 もうすぐこちらへ来ると 応接室にやって来た侍従が 丁重に告げました。 すっぽかされたと思って 落ち込んでいたエルナは、 一瞬、明るい顔で立ち上がりました。 身なりと姿勢を整…
39話 レイラはカイルに、自分の決意を告げました。 数日前の午後、 レイラに会いに出かけたカイルは、 魂が抜けた人のように 茫然自失して帰って来ました。 口を固く閉ざしたまま、 自分の部屋に閉じこもっている 息子の姿から、エトマン夫人は、 その日の二…
38話 レイラは熱を出してしまいました。 昨夜、執務室で ヘッセンの報告を聞いた瞬間、 そんな目に遭ったのだから、 当分は姿を現さないだろうと 予想していましたが、 今朝、 レイラ・ルウェルリンのいない バラの庭を見下ろしながら、 マティアスは、的中…
37話 レイラはリンダとカフェで会いました。 しばらく立ち止まって レイラを眺めていたエトマン夫人は ゆっくりと近づいて来て 向かい側の席に座りました。 長年、エトマン夫人を見て来たけれど ふと見慣れない感じがしたレイラは 思わず緊張しました。 幸い…
36話 マティアスは真実を突き止めました。 随行員が去った後、 ヘッセンを呼び出したマティアスは ビル・レマーのお金を盗んだ泥棒は どうなったかと 小さな笑いを含んだ声で尋ねました。 ヘッセンは、 警官たちが来たけれど、 適当な証拠も目撃者もなく、捜…
43話 ビョルンはエルナにプロポーズしました。 しばらく、口当たりの良い言葉を 並べ立てていたブレンダ・ハルディは 茶碗から立ち上っていた 白い湯気が消える頃、ようやく お父さんを許して欲しいと 本論を切り出しました。 ぎこちなく上げた口の端は 痙攣…