自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 13話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 20、21、22話 真夜中の侵入

 

13話 レイラはマティアスの離れを訪ねました。

 

むやみに怒りを晴らして

去った日とは違い、レイラは

慎ましやかな淑女のような姿で

現れました。

マティアスは、ゆったりと

ソファーにもたれかかり、

レイラを見ました。

 

彼女は、もじもじしながら

突然訪問した無礼を謝ると

彼の視線を避けるように

頭を下げました。

彼女が、そっと目を伏せる姿が

特に印象的なのは、

彼女の長くて真っ直ぐな睫毛が

理由のようでした。

 

それから、唇を何度も

ピクピクさせていた彼女が、

申し訳ないけれど、

一つ聞きたいことがあると

ようやく言葉を続けた時、

よりによって、

電話のベルが鳴りました。

 

ゆっくりと立ち上がった

マティアスは、

驚いて後ずさりする

レイラの横を通って

受話器を取りました。

 

レイラは少し驚いた目で

電話中のマティアスを見ました。

時折見せる短い笑みと

礼儀正しい言葉遣いの中に、

相手を圧倒する力と気品が

感じられました。

このカルスバルのすべての人々が

賛嘆してやまない

完璧なヘルハルト公爵に近い姿でした。

だから、あの男が眼鏡を

持っていったのではないかという

疑いが、一瞬、あまりにも

バカバカしいことに感じられました。

 

無駄なことをしているような

気がする。

やはりカラスだろうか。

 

レイラは、この森に

カラスの巣がいくつあるか

考えながら、

通話中の公爵に向かって

声を出さずに挨拶しました。

 

意外にも、彼は通話口を押さえて

レイラの方を向くと

「待っていろ」と命令しました。

先程の、完璧なヘルハルト公爵とは

全く別人の言葉のように

聞こえました。

 

マティアスは、

何事もなかったかのように

再び電話に集中しました。

 

その姿を見守っていたレイラは

ヘルハルト公爵が、この上なく

社交的な話を交わしている瞬間にも

静かな眼差しをしていることに

気づきました。

 

電話の相手は、

彼の姿を見ることができないのに

ヘルハルト公爵の姿勢は

一様にまっすぐで優雅でした。

 

数分間続いた通話が終わると、

彼はテーブルの前に戻って

何かをメモしました。

レイラは苛立たしげに

後ろで手を組みました。

 

待たせておきながら

自分の存在を忘れたのではないかと

疑わしくなる頃、

ついにマティアスはレイラを見て

言おうとしたことを言ってと

促しました。

 

マティアスの視線が負担になった

レイラは、目を伏せながら、

自分が溺れた日に、船着き場で

自分の眼鏡を見なかったかと

しどろもどろに尋ねました。

 

ゆっくりとソファーから立ち上がった

マティアスは、レイラに近づきながら

見なかったような気もするし

隠したような気もすると答えました。

 

レイラは驚きのあまり、

思わず顔を上げると、

私の眼鏡を、本当に隠したのかと

尋ねました。

公爵は、

どうだと思うかと聞き返しました。

レイラはしかめっ面で、

まさか、そうだとは思わないと

答えました。

マティアスは

その理由を尋ねました。

レイラは、

それは、ひどいことだからと

答えました。

 

数日間、レイラは、カイルと一緒に

カラスの巣を探し回った後、

ようやく勇気を出して

ここを訪れました。

嫌いな人でも、少なくとも公爵は

話が通じる人なので、

聞くことで、すっきりして、

カラスと公爵の

両容疑者のどちらか一方を

排除した方が良いと

考えたからでした。

 

しかし、謎めいた言葉で

さらに混乱を大きくする

ヘルハルト公爵が、

本当に話が通じる相手なのか

今では、

よく分からなくなりました。

 

2人は、しばらく黙ったまま

お互いの目を見つめ合いました。

執事が急な電報と郵便物を持って

戻って来なかったら、

しばらく、その状態が

続いたかもしれませんでした。

 

レイラは少し顔を赤らめたまま

窓際に退きました。

執事と静かに話をしていた

マティアスは、しばらくして

レイラを見ました。

距離がかなり離れていたし、

眼鏡がないので

確信はできませでしたが、

彼の唇が、かすかに

下がっているようでした。

 

レイラは、

あらん限りの勇気を振り絞って

「私・・」と口を開きましたが

マティアスは扉に向かって

顎の先を動かすことで

レイラの言葉を遮りました。

ここに、もう

レイラの場所がないことを知らせる

簡潔で冷たい仕草でした。

いきなり鳥だなんて。

何て突拍子もない趣味なのかと

リエットは呆れたように

鳥かごを見ました。

美しい金色の鳥かごの中に、

美しい金色の鳥が座っていました。

 

自分で育てて撃ちでもするのかと

リエットが冗談を言うと

マスタースイートの応接室に

集まっている人々が

一斉に笑い出しました。

マティアスは口をつぐみ

返事をしませんでした。

 

夏を一緒に過ごす親戚たちが

皆集まったことを記念する

晩餐会が終わった後、

マティアスの空間である

マスタースイートの応接室に

同年代同士で移って来ました。

ここを選んだのは、

クロディーヌが甘えるように

頼んだからでした。

なかなか、自分の空間に

入るのを許さないマティアスが

快く承諾したのを見ると、

婚約者には、

かなり寛大なようでした。

 

親戚の間では、

マティアスとクロディーヌの婚約は

すでに確定したも同然でした。

ブラント伯爵夫人が

幼い一人娘を連れて

毎年アルビスを訪れた理由も、

そんなブラント伯爵夫人を

目に見えて歓待した

ヘルハルト公爵家の意中も

明らかでした。

当たり前のことが

現実になっただけなので、

彼らの誰も、

この婚約に驚きませんでした。

もしマティアスが、

別の公爵夫人を選んでいたら

衝撃的だったはずでした。

 

扉を開けておいた鳥かごから

飛んできた鳥が

マティアスの肩に座ると、リエットは

どうやら、この鳥は

ヘルハルト公爵がどんな人なのか

分からないようだ。

鳥狩りの名手を愛する鳥だなんて、

愚かと言うべきか、

かわいそうだと言うべきかと言って

愉快に笑い出しました。

 

マティアスが手を差し出すと、

鳥は彼の指の上に座りました。

リエットはクロディーヌに

どう思うかと尋ねました。

 

クロディーヌは少し考えた後、

マティアスの指の上で

さえずる鳥をチラッと見て、

愚かで可哀想な鳥だと

言ってあげたらどうかと答えると

もう一度笑いが溢れ出ました。

 

鳥を見るマティアスの顔を

凝視していたクロディーヌは、

鳥の名前を尋ね、

まだ名前がなければ、

自分が付けてあげようかと

提案しました。

しかし、マティアスは

そこまでしてもらうほどの

価値はないと返事をすると

彼女を見て微笑みました。

先程と変わらない顔のようでしたが

微妙に感じが違いました。

 

鳥はただの鳥だという彼の言葉は、

手の上で歌う鳥を見ていた

優しい眼差しとは裏腹に無情でした。

 

短く舌打ちをしたリエットは

やはり、愚かで可哀想な鳥だ。

名前1つ与えるのも許さない

ハンターを愛するなんてと、

気の毒だというように鳥を見ました。

 

シャンパンを飲みながら

笑って騒いでいた一団は、

深夜になり、

ようやくマスタースイートを

離れました。

マティアスは1人で

夜の散歩に出かけました。

罠を仕掛けたので、

確かめる番でした。

 

馬鹿ではないから気づいただろうし

気づいた以上は

諦められないだろうだから

罠に引っかかるだろう。

 

マティアスは、

すでに分かっている答えを

じっくり噛み締めながら

バラの庭を歩きました。 

そして、離れの応接室に入った

マティアスは、

コンソールの引き出しを開けました。

月明かりが反射して

眼鏡が輝きました。

 

マティアスは、

だるくなった体を

ソファーに横たえました。

何を得るための餌だろうか。

きらめく眼鏡を見て、

マティアスは考えました。

 

なかなか答えを出すのが

難しかったけれど、

捕まえれば分かるはずなので

焦りました。

眼鏡を投げては受け止めて

握るのを繰り返している間に

夜がますます深まりました。

狂気の沙汰だ。

公爵の離れに忍び込むなんて

決して、正気でできることではないと

レイラは、

はっきりと認識していました。

 

部屋の中をウロウロしていたレイラは

ベッドの上に身を投げ、

布団に身を包み、

目をギュッと閉じましたが

眠れませんでした。

 

一体なぜ、そんなことをしたのか

理解できないけれど、

公爵が眼鏡を隠したことを、

レイラは、ようやく今

確信することができました。

 

レイラは眼鏡を探さなければと

決意すると、立ち上がりました。

まさか眼鏡を、邸宅まで

持って行かなかっただろうから、

きっと離れのどこかに

あるはずでした。

 

あそこは人里離れているし

今は真夜中近くの深夜。

だから、さっさと行って

何の痕跡も残さず戻ってくれば

大丈夫だと思いました。

月がとても明るいので、

闇もあまり怖くない夜でした。

 

レイラは「大丈夫」と

自分を説得するように

呟きながら扉を開けました。

 

レイラは、扉の横にかけておいた

レースのショールを手にして

急いで小屋を出ました。

帰りたくなる度に、

眼鏡を買うために採った

数多くの実と

腕が抜けそうになるほど

ジャムをかき混ぜた時間のことを

考えました。

遠くに煌めく川が見え始めると、

自分の眼鏡なのだからと

独り言で不安感を抑えました。 

 

離れとつながっている

船着き場を歩きながら、

ふと、レイラは

考えれば考えるほど、

公爵は変な人だと思いました。

 

まさかカラスのように

キラキラした物が好きなのか。

苛立ちが混じった疑問を

繰り返しているうちに、

離れの前に到着しました。

 

ようやくパジャマ姿で

夜道を歩いて来たという事実に

気づきましたが、

どうせ誰も見ていない真夜中でした。

 

深く息を吸ったレイラは、

最後の躊躇まで消し去り、

大きく足を踏み出しました。

今回もレイラの行動は

予想を外れませんでした。

入りやすいように

扉を開けておいたにもかかわらず

しばらく外を

ウロウロしていたレイラは、

結局、廊下の窓を開けました。

予想から外れることはないけれど

いつも少しの破格的要素を添える

女の子でした。

 

レイラは窓から入って来ました。

マティアスはソファーに横になり

その気配に耳を傾けました。

廊下の床が軽く鳴る音の後に、

レイラの安堵のため息が続きました。

マティアスは

しきりにニヤニヤしながら

天井を見ていた視線を

落としました。

 

間もなくレイラは

応接室に入って来ました。

彼女は凍りついた姿勢で

周囲を見回しながら

慎重に歩き始めました。

最初は、窓際から

探し始めるようでした。

すでに闇に慣れている

マティアスの目は、

一気にレイラの姿を捉えました。

 

次にレイラは

キャビネットの前に移動しました。

体が透けて見えるほど

薄い生地の白いワンピースは、

おそらくパジャマのようでした。

 

何を得るための餌だろうか。

マティアスは手にしている眼鏡を

優しく撫でました。

その冷たくて滑らかな感触により

彼の意識が明瞭になりました。

 

その間、レイラは

彼が横になっているソファーの

向い側に置かれている

コンソールの前まで移動しました。

月明かりが照らしている

レイラの後ろ姿に

マティアスは再び視線を移しました。

 

もう幼い女の子ではない

あの女、レイラ。

 

この情けない罠をしかけて

待っていた理由を、マティアスは

素直に受け入れました。

 

これを探しているのかと

マティアスは、眼鏡を

ゆっくり振りながら尋ねました。

コンソールの引き出しに

手をかけていたレイラは、

気絶しそうなくらい驚いて

振り向きました。

 

ブルブル震える手で口を塞ぎ、

よろめきながら後ずさりしました。 

マティアスは

ゆっくりと立ち上がり、

ソファーに寄りかかって座りました。

明るい月明かりの中で

2人の目が合いました。

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レイラさん、いくら何でも

それはやってはいけないでしょう。

下手をすると、

ビルおじさんはクビになり

レイラと2人で

路頭に迷う可能性もあるのに。

一度やると決めたら、

何が何でも、やり遂げるのは

素晴らしいことだけれど、

人の道に反することをしては

いけないと思います。

もっとも、その無鉄砲で

破天荒なところをマティアスは

気に入ってしまったのでしょうけれど。

自分の気持ちに気づいた

マティアスの今後の行動が

気になります。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

明日も、

更新したいと思っていますが

できなかったら申し訳ありません。

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