自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 161話 外伝 8話 ネタバレ 原作 あらすじ 大丈夫だと言って我慢するよりも

 

161話 外伝8話 エルナとビョルンは2人だけで出かけることになりました。

 

後を付いて来る使用人たちなしに

ビョルンと2人きりで

一緒に歩きました。

 

やってはいけない悪いことを

しているという自責の念から始まった

不安と焦りは、密かに抜け出した

宮殿から遠ざかるにつれ

次第に薄れて行きました。

お祭りムードが盛りだくさんの

市街地に入る頃になると、

期待に胸が高鳴り始めました。

 

すっかり春でした。

オレンジの街路樹のある通り。

熱帯の花が咲き乱れる花壇。

花の蔓が流れる塀まで、

世界中が花に覆われたような風景が

果てしなく広がりました。

春が来れば、ロルカの首都は

花の都になるという

ガイドブックの説明には

一点の偽りもなかったわけでした。

 

国王の即位50周年という慶事が重なった

ロルカの春祭りを見物するために訪れた

外国人旅行客が、

あまりにも多いおかげで、

2人の存在は、

それほど目立ちませんでした。

その事実が、エルナの最後の躊躇いを

消してくれました。

 

エルナは、

ビョルンと手をつないで、

彼と一緒に、カラフルなカーペットや

ランプがたくさん並んだ店を見物し、

おいしい昼食を食べて

ミントの香りがする

とても熱くて甘いお茶を飲み、

丹精込めて育てた植木鉢と

きれいなタイルで飾られた家々が

立ち並ぶ路地を歩きました。

 

時々、その事実が信じられない時には

頭を上げて、 

じっと彼を見つめました。

 

そして、適正ラインを守ろうと

自らを説得しましたが、 

この愛の適正ラインはどこだろうかと

自分に質問したりもしました。

明確に整理した基準と鉄則が

しきりに、ぼんやりするのは、

おそらく、

甘い香りに揺れている異国の春に

酔ったせいのようでした。

 

赤く燃え上がった頬を触る

エルナの頭の上から、

「しばらく休もうか?」と

優しくて涼し気な声がしました。

 

「大丈夫です」と反射的に

出そうになった言葉を飲み込み、

エルナは小さく頷きました。

レチェンの夏より熱い、

ロルカの春の日差しに耐えるのが

だんだん辛くなって来る頃でした。

 

落ち着いて

周囲を見回したビョルンは、

大通りの向こう側にある公園に

エルナを連れて行きました。

多くの旅行者が

オレンジの木陰の下に座り、

話をしていました。

 

ベンチの前で、エルナは

躊躇いながらビョルンを呼びました。

妻の視線が向いている所を

チラッと見たビョルンの目が

細くなりました。

 

彼らと同年代の若い夫婦が

ちょうど噴水台の向こう側のベンチに

到着したところで、

ねじがいくつか緩んでいるに違いない

顔をした夫が、

ベンチの上に自分のハンカチを広げると

妻は澄まして、その場に座りました。

 

過激な態度を見せる

バカ野郎へ捧げる悪口を

失笑に込めて流したビョルンは、

脱いで持っていた

ジャケットのポケットから

ハンカチを取り出しました。

その瞬間、エルナの顔の上に

全世界を手に入れたかのような

とても明るい笑みが浮かびました。

ビョルンは、

少し無防備な気分になって

笑ってしまいました。

 

彼は、この公園の

どんなバカにも負けないくらい

丁寧な仕草でハンカチを広げました。

エルナは、

そっとその場に座りました。

まっすぐに腰を伸ばし、

両手を膝の上に乗せた

生真面目な姿勢を見ると、

再び、気が抜けたような笑みが

こぼれました。

 

ビョルンは、

楽に座るようにと勧めました。

エルナは、

十分、楽だと答えました。

よくもまあ嘘をつく淑女だと

ポカンとしながらビョルンは

見下ろしていましたが、

このくらいで頷きました。

 

窮屈そうな帽子と手袋を

脱がせたい衝動に

駆られたこともありましたが、

裸になった女性のように

振る舞うことは明らかなので、

適当に我慢することにしました。

 

2人はベンチに並んで座り、

噴水を眺めました。

日陰で風に当たっているうちに

赤く燃え上がったエルナの頬と首筋も

間もなく、落ち着いて来ました。

 

「ビョルンあれは何でしょう?」

エルナの好奇心に満ちた視線が

公園の裏側に立っている

建物に向けられました。

おそらく寺院の鐘楼のようでした。

 

エルナは、

人がたくさんいるところを見ると、

自分たちも

上れるところではないかと

言いました。

ビョルンは「上れる?」と聞き返すと

エルナは、

改めて悩んでいるかのような

熱心な表情をしていました。

善良な顔で質問しているようだけれど

よくよく見ると、これは命令でした。

日に日に狡猾になって行く

この女性の最も恐ろしい点は、

自分では、その事実に

気づいていないことでした。

 

しかし、このような言動が

それほど嫌ではありませんでした。

大丈夫だと言って、

ただ我慢して耐えていた時代より

ずっとマシでした。

 

ビョルンは、

ゆっくりと立ち上がって

エルナの前に立ちました。

純真な妖婦の瞳は、

慎ましやかな期待感で

煌めいていました。

 

ビョルンは、

「さあ、行きましょう」と言って

手を差し出しました。

すでに、エルナの気持ちは、

あの塔の頂上に上がっているのが

明らかなのに、エルナは、

本当に大丈夫なのかと

再び無駄な質問をして来ました。

そして、エルナは、

今まで自分がしたかったことを

してきたから、

もしビョルンのしたいことがあれば

もう、それを一緒にしてもいいと

提案しました。

しかし、ビョルンは

あなたの思い通りにしろと答えると

催促するように指先を動かしました。

そして、

どうせ、自分のやりたいことは

ここではできないからと

かなり心のこもった返事をしましたが

エルナは、

面白い冗談でも聞いたかのように

爽やかに笑いました。

もう一度、ネジが緩んだバカ野郎に

なってやれなくもないほど

美しい笑いでした。

世の中は広く、変態は多い。

ロルカの鐘塔を上りながら、

ビョルンは改めて

その事実を痛感しました。

 

天高く塔を築き、その塔を上る。

信じる神は違っても、

この世の変態たちがすることは

驚くほど似ているという事実に

驚くほどでした。

もちろん、一番の変態は

レチェンのシュベリン大公夫妻のように

神への愛がなくても、

この塔をあえて上る人たちだろうと

思いました。

 

チラッとエルナを見たビョルンは

眉を顰め、

大変なら少し休むようにと勧めました。

しかし、エルナは首を横に振り、

真っ赤な顔で息を吐きながらも、

もうすぐ正時なので、

早く上がって鐘の音を聞くと

意地を張りました。

とんでもない理由でしたが、

エルナの目つきは、

依然として真剣でした。

 

ビョルンは、ため息をつきながら

残りの高さを測りました。

一人なら、すぐに駆け上がることが

できそうだけれど、

エルナの速度に合わせていたら、

正時を過ぎてしまいそうでした。

そうなれば、この頑固な淑女は

屈せず次の鐘を待つだろうけれど、

彼としては、

あまり嬉しくないことでした。

 

少しの間、悩んだ後、

ビョルンは黙って

妻を抱き上げました。

エルナの驚きの叫び声が

鐘塔の狭い通路に響き渡りました。

 

エルナは、

「やめてください。

人に見られたらと・・・」と

と訴えているところで、ビョルンは

「よく聞いて、エルナ」と言って

妻の言葉を遮りました。

そして、ビョルンは、大股で

古い石段を上り始めました。

怖がって抵抗するの止めたエルナは

全身で彼にしがみついて来ました。

悪くない感覚でした。

 

ビョルンは、

この変態のような鐘塔に

1時間も閉じ込められている気は

全くない。

けれども、妃は、

正時を知らせる鐘の音を

聞かなければならない。

だから、これが、自分たちの

最善の方法ではないかと話して

荒い息を長く吐いたビョルンは

突然、視線を下げました。

避ける暇もなく

向き合うようになったその顔を

眺めながら、エルナは、

ロルカの春は、

芳しい強い酒に似ていると

ぼんやり思いました。

目が覚めると、

間違いなく、ひどい後遺症に

見舞われるはずだけれど、

愚かな心は、

しきりに空の杯を満たすことを

繰り返してしまう。

一体、いつになったら

賢くなれるのだろうか。

 

エルナは

自嘲的な疑問を飲み込むと、

しっかりと目を閉じました。

馬鹿なことだとは

分かっているけれど、

他に何ができるか

見当がつきませんでした。

 

クスクス笑ったビョルンは

階段を上り始めました。

荒い息に、少しずつ熱気が

加わり始めた頃、

鐘塔の出口から流れてきた光が

彼の頭の上に届きました。

ビョルンは、

一気に残りの階段を上がって

鐘塔の外に出ました。

 

爽やかな風の中で

目を開けたエルナは、

喜びの嘆声を上げながら

微笑みました。

 

狂った奴。

ビョルンは、甘い無力感が混じった

失笑を漏らしながら、

胸に抱いていたエルナを下ろしました。

急いで身なりを整えたエルナは、

早足で展望台に向かいました。

浮かれた妻の後ろ姿を眺めながら

ビョルンは、

ゆっくりと息を整えました。

 

展望台をぐるぐる回りながら

都市の風景を鑑賞していたエルナは

「ビョルン! ここです!早く!」と

切羽詰まったように

手を振りました。

ビョルンはタイの結び目を緩めて

妻のそばに近づきました。

 

エルナが指差した

鐘塔の下に視線を下ろすと、

寺院の中庭に並んでいる

オレンジの木が見えました。

白い花で覆われたオレンジの木を

しばらく見下ろしていたエルナは、

まるで雪が降ったようだと

小声で囁きました。

溶けていく雪だるまを

一緒に見守った冬を

思い出させる声でした。

 

ビョルンは何も言わずに

遠くへ目を向けました。

オレンジ色の瓦の白い家々。

その向こうの宮殿。

そして雲一つない空など、

平穏で美しい風景を

ゆっくり見回していたビョルンの視線は

展望台の手すりをギュッと握っている

エルナの手の上で止まりました。

彼は半透明のレースの手袋に包まれた

その小さな手を包み込みました。

 

ほどなくして、

エルナが彼に向き合った瞬間、

正時を知らせる鐘が鳴り始めました。

鐘の音を聞きながら、

二人はじっと見つめ合いました。

あなたを理解すると言う代わりに、

ビョルンは握った手に

そっと力を入れました。

 

躊躇することなく、

全力を尽くして愛した女性に

深い傷を負わせてしまった。

それでも手放すことができず、

奇跡のように取り戻した。

だから、再び愛の前に立った

エルナの心に残っている躊躇と恐怖は

全て、自分が

背負うべきものであることを

ビョルンは、よく知っていました。

もちろん、時には、

どうしようもなく焦る瞬間が

訪れることもあるだろうけれど。

 

深く静かな眼差しで

ビョルンを見つめていたエルナは、

キスしてもいいと、突然、

とんでもない話をして来ました。

「許可します」と

気前よく付け加えた言葉には、

微かな笑いが滲み出ていました。

妻をじっと見つめていたビョルンは、

思わず訳もなく、笑ってしまいました。

 

ビョルンは、

この鐘塔も愛をかなえてくれるのかと

尋ねると、エルナは、

それはよくわからないと答えました。

しかし「そうだといいですね」と

恥ずかしそうに囁く甘い声が

ビョルンに耳元に届いた瞬間、

やはり、この鹿は猛獣だったと

彼は確信しました。

 

ビョルンは、喜んで

その命令に屈するように

エルナの顔を包み込み、

ゆっくりと唇を下げました。

額と鼻筋を優しくかすめて来た唇が

震える唇に触れると、

エルナは低くため息をついて

目を閉じました。

優しく柔らかいキスが続く間に、

再び鐘の音が鳴り響きました。 

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いつも、たくさんの

温かいコメントを

ありがとうございます。

 

随行者が1人もいない、

2人だけのデート。

(この言葉を聞くと、

ベイシティローラーズを思い出す

私は年寄り)

バフォードでも

奇跡のような時間を過ごしたけれど

誰かしら、そばにいたので、

本当に2人だけで外を出歩くのは

今回が初めてだと思います。

自分のやりたいことは、

ここではできないと

とんでもないことを言いながらも

エルナが望むことを

すべてやってあげるビョルン。

エルナのことが可愛くて

仕方がないのでしょうけれど、

エルナを深く傷つけたことへの

懺悔の気持ちもあるのでしょう。

ロルカの鐘塔に上ったことで

フェリアの大聖堂で

エルナに悲しい思いをさせたことは

挽回できたと思います。

そして、エルナも、

ビョルンに我儘を言っても

大丈夫だと思えるようになって

良かったです。

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