自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 115話 ネタバレ 原作 あらすじ そろそろ元に戻りたい

 

115話 エルナは流産してしまいました。

 

すすり泣きながら

血まみれの寝具を片付ける

メイドたち。

部屋に充満している血と薬品の匂い。

落ち込んだ表情の医師や看護師たち。

 

妻の寝室に入った瞬間、ビョルンは、

もう子供はいないという事実を

受け入れました。

 

無意味な謝罪の言葉を

並べ立てようとする主治医に

目くばせしたビョルンは、

すぐにベッドに近づきました。

意識もなく、

ぐったりしているエルナの顔色は、

死人のように青ざめていました。

 

ビョルンは体を屈めて

エルナの呼吸を確認しました。

弱い息遣いは規則的で

首筋から感じられる脈拍も

安定していました。

 

主治医は、

まずは休息が必要なので

安定剤を処方したと告げた後、

自分が、もう少し・・・と

謝ろうとしましたが、ビョルンは

本論を言うように促し、

沈んだ目で主治医を見つめました。

責める気配はなく、

冷淡に感じられる表情でした。

 

主治医は、

エルナの体が、思ったより、

はるかに弱っていたこと。

もしかしたら、子供の健康に

問題があったかもしれないこと。

出血がひどかったけれど、

非常に悪い状況には

ならなかったこと。

このようなことはよく起こること。

健康が回復すれば、

いくらでも、再び

子供を産むことができると

説明しました。

 

主治医の表情には

心からの慰めが

込められていました。

ビョルンは頷きました。

 

主治医と看護師、メイドたちが

部屋から出て行くと、

ビョルンは、

サイドテーブルに置かれた

ランプを消しました。

寝室は真っ暗になりました。

 

ビョルンは、

ベッドの横に引っぱって来た

椅子に座り、

気絶するように眠っている

エルナを見つめました。

 

別の部屋に移りたい衝動が

沸き起こりましたが、

訳もなくエルナの眠りを覚まして

苦しめたくありませんでした。

 

子供はもういない。

ビョルンは、すでに受け入れた

その事実を頭の中で繰り返すと、

シーツの上に置かれたエルナの手を

包んで握りました。

いつも温かかった女性が

冷たく冷えていました。

その手が、

本来の体温を取り戻すまで、

ビョルンは静かに

ベッドのそばに留まりました。

とめどなく妻を見つめているうちに、

ぼんやりしていた頭の中が

徐々に整理されていきました。

 

子供はもういないけれど、

エルナは無事なので

それでいいという結論に達すると、

長いため息が漏れました。

そこに込められた自分の感情が

何なのかは、深く考えませんでした。

それが何であれ、

すでに無意味であることを

ビョルンはよく知っていました。

 

エルナの息が、

一層穏やかになったことを

確認したビョルンは、

気配を最小限に抑えて

寝室を去りました。

 

続きの応接室に入ると、

途方に暮れて右往左往していた

人々の視線が

一斉に彼に集中しました。

 

残念だったと、

静かに慰める母親に、

ビョルンは、礼儀正しく

目礼で答えました。

皆が自分の一言を

待っているということを

知っているけれど、

何が一番適当な言葉なのか。

ビョルンは、

エルナが無事だという

最も重要な結論の土台の上に、

じっくりと考えを

積み重ねていきました。

 

これは、自分たちだけの

特別な不幸ではなく、

時間が経てば、エルナの健康は回復し

すべてが元の場所に戻る。

そうすれば、いくらでも

また子供を持つことができる。

しかし、子供が、

この結婚の重要な部分なのかも

よく分からない。

今、全てのことが解決した。

もちろん、流産は

悲劇的なものだけれど、

だからといって、

この人生の根幹が

揺らぐわけではない。

耐え忍ぶ時期が過ぎた後、

無事なエルナと一緒に

再び、軽くて煌めく日々を

生きていけばよい。

それが、

突然、訪れた悲劇を相手にする

ビョルンのやり方でした。

 

ビョルンは、血の気のない手で

乱れた髪をかきあげ、

ゆっくりと部屋の中を

見回しているうちに、

テーブルの上に積まれた

華麗な贈り物の山に目を留めました。

 

今では無意味になった物なので、

ビョルンは、

目立たないように片付けてと

落ち着いて命令しました。

また、部屋のあちこちに

エルナが一つずつ集めて来た

赤ちゃんのものが

置かれていましたが、

ビョルンは「全部」と指示すると

エルナの部屋を出ました。

廊下を歩く足音は

いつものように落ち着いていました。

早朝に目を覚ましたエルナは

すぐにベッドから抜け出すと、

ベッドを整え

急いで顔を洗って着替えました。

夏が終わったので

窓の外は、まだ青暗く、

窓から入って来る風は、

寒さを感じるほど、涼しいものでした。

 

手袋をはめて帽子をかぶったエルナは

その風に当たりながら

闇の向こうの川を眺めました。

客用寝室に移って来て、

もう一ヶ月も過ぎたので、

大公妃の部屋から

見ていたのと違う風景にも、

もう慣れました。

 

エルナは、

厚いウールのショールを羽織ると

早めの散歩に出かけました。 

最近のエルナの日課は、

早朝に起きて散歩をし、休憩し、

時間がくれば食事をしました。

妊娠中、

ずっと体調が悪かったのに比べ、

回復が早かったので、まるで体が

子供を拒否していたような気がして

エルナは嫌な気分になりました。

 

彼女は川沿いに立ち、

青く染まった川と

朝焼けを見守りました。

 

もう帰らないといけない。

エルナは、自分を慰めながら

振り返りました。

 

長い眠りから覚めると、

すべてが片付けられていました。

苦痛と涙、数多くの煩いが

赤ちゃんと共に

去っていったおかげなのか、

エルナは思ったより

悲しかったり大変ではなく、

全てを淡々と受け入れられました。

 

唯一の望みは、

苦しい記憶が残った部屋から

しばらく離れていることでしたが、

幸いにもビョルンは、

快くその頼みを聞いてくれました。

ぼんやりした気持ちで

お礼を言いながら、

エルナは笑いました。

彼が満足できるほど、

きれいな笑顔だったかどうかは

わかりませんでした。

 

しばらく、その場にじっと立って

邸宅を眺めていたエルナは、

幽霊のような足取りで

そこに戻りました。 

 

エルナと出会った使用人たちは、

以前より、

ずっと親しみやすい態度で

挨拶をして来ました。

長くても1年と

嘲弄され続けてきたことを

思い起こしたエルナは、

使用人たちの賭けについて

思い出しました。

ほとんどの使用人が

1年、持ちこたえられない方に

お金を掛けたと言っていたけれど、

もし、リサも参加していたなら、

彼女が掛け金をもらえるといいのにと

思いました。

 

エルナは、あれこれと

とりとめのない考えをしているうちに

いつの間にか目の前に

寝室の扉がありました。

エルナは諦めるように

扉を開けました。

 

彼女は、しばらく休んでから

食事をして

今日の新聞を読みました。

グレディス王女の名前は、

依然としてレチェンの

厄介な問題でした。

 

最近では、ビョルンの去就問題も

それに加わりました。

今からでも、元の場所に

戻らなければならないという意見と

立派に、その役割を果たしている

今の王太子を、

次期王座に就かせることが

適当だという意見が

拮抗していました。

 

ビョルンの意向はどうなのだろうか。

そういえば、

彼と会話らしい会話をしなくなって

久しいという気がしました。

少なくとも一日に一度は

同じ食卓に座り、

色々な話をしたりするけれど

なぜか記憶に残るものが

ありませんでした。

 

新聞を片付けたエルナは、

溜まっている手紙を

確認し始めました。

あまりにも多くの手紙が

送られてくるので、

返事を書くために、

手首が痛くなるほどでした。

 

露骨にエルナを無視して

排斥した淑女たちも、先を争って

手紙と贈り物を送って来ました。

ほとんどが、

彼女たちを、まんまと騙した

グレディス王女を非難し、

その全てのことに、黙々と耐えた

エルナを称える内容でした。

しかし、エルナは、

どんな返事をすればいいのか、

判断がつきませんでした。

 

まず、エルナは

上品な手紙から読み、

返事を書き始めました。

自分の流産の経験を話して

痛みを共感してくれる手紙は、

形式的であっても

大きな慰めになってくれました。

しかし、その終わりに

いつも書かれている、

次はきっと元気な赤ちゃんが

生まれるという挨拶は、

見知らぬ外国語に

向き合っているような

異質なものに感じられました。

 

この結婚が維持される限り、

自分には、

ビョルン・ドナイスタの子供を産んで

育てる義務があるということを

もちろん、エルナも知っていました。

それは、

盾の役割さえできなくなった

大公妃に残された、

数少ない使い道の一つだからでした。

しかし、エルナの顔は、

この次と考える度に、

青ざめていきました。

 

じっと座っているだけなのに

息が切れて冷や汗が流れました。

そのせいで、ペンから垂れたインクが

半分、書き終えた便箋を汚しました。

一歩遅れて、

それに気づいたエルナが、

急いで吸い取り紙を探していた瞬間、

丁寧なノックの音が聞こえて来ました。

エルナの予想通り、

やって来たのはフィツ夫人で、

彼女は、ビョルンが

昼食を共にしようと言っていると

思いがけない言葉を伝えました。

エルナは思わず息を止めると、

吸い取り紙を落としてしまいました。

ガーデンルームに用意された食卓。

その上を彩る多くの花々と

レースのテーブルクロス。

ソースの香りが強くない白身魚料理。

それら全てを用意させたのは

ビョルンでした。

先に到着した彼は、

満足そうな様子で食卓に座り

エルナを待っていました。

 

ビョルンは、その日の朝、

この膠着状態を終わらせる

決心をしました。

 

夜明けと共に起きて

騒いでいる女性がいないのに、

ビョルンは、

早くから目が覚めました。

一人で横になるベッドは広すぎて、

完璧な静寂は息が詰まりました。

そのことに呆れてイライラし、

そら笑いをした時、もう全てが、

元の位置に戻る時になったと言おうと

ビョルンは決意しました。

 

彼は暖炉のマントルピースの上の

時計を見ました。

到着してから、

わずか5分しか経っていないという

事実に虚しくなった瞬間、

雪が降るような足音が

近づいて来ました。 

彼の妻、エルナでした。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

はてなブログは、

いただいたコメントへ

返信する機能がなく

一人一人に

お礼をお伝えすることができず、

まとめてのお礼となってしまい

大変、申し訳ありません。

 

グレディスの真実が暴かれ、

エルナに対する人々の態度が

180度変わった。

エルナにとって、

喜ばしいことなのに、

ビョルンの盾でなくなり、

子供まで失ったことで、

エルナは、大公妃でいる意味が

分からなくなってきているような

気がします。

 

一方、ビョルンは

エルナのいない生活が

耐えられなくなるくらい

エルナのことを愛しているのに、

イライラや虚しさの気持ちの正体を

理解しようとしないまま、

とりあえず、元の生活に戻れば

自分はいいと思っている、

 

まずは、ビョルンは

グレディスの件について

エルナにきちんと説明し、

彼女のことで、エルナが

苦しめられなくなり良かった。

父親の件も解決したので、

エルナを苦しめるものは何もない。

エルナが盾でなくなっても、

愛しているので

ずっと、そばにいて欲しいと言えば

エルナも安心するのにと思います。

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