自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 111話 ネタバレ 原作 あらすじ 童話の結末のように幸せに

 

111話 エルナはたらいとタオルを持って来て、ビョルンの服を脱がし始めました。

とても疲れているのか、

ビョルンは、いつもより

ぐっすり眠っていました。

目が覚めなくて幸いでしたが、

意識のない

大きな男の体を扱うのは

思ったより容易では

ありませんでした。

エルナは、うんうん唸りながら

ようやく、ビョルンの服を

全部脱がせました。

彼を仰向けにして、

頭の下に枕を入れる仕事まで

終えた時は、

エルナの額に汗が出ていました。

 

しばらく息をついたエルナは、

ぬるま湯で濡らしたタオルで

ビョルンの顔を拭きました。

こんなに近くで、この顔を見るのが

本当に久しぶりだと思うと、

思わず手が遅くなりました。

 

彼女は、ビョルンを待っている間

ずっと考えました。

また騙されたとしても、

喜んで騙されるかもしれない。

偽りの謝罪の一言だけで、

この男を許して、理解し、

再び愛してしまうバカ、

それがエルナでした。

しかし、ビョルンにとって、

自分は、このように

つまらない存在に過ぎない。

そう考えたエルナは

しばらく息を止めたまま、

タオルをぎゅっと握りしめました。

 

エルナは、

帰って来たビョルンと対面する瞬間を

数えきれないほど想像してきました。

彼は、どんな表情をしながら、

何を言うだろか。

この孤高の男が、謝罪をする姿は

うまく想像できなかったけれど、

このようなやり方ではないと

信じていました。

 

せめて自分には

言ってくれれば良かったのにと

無意味な仮定が、

再び心を苦しめ始めました。

それでも、

グレディス王女の座を奪った

悪役として扱われるのは

免れることができなかったけれど

今よりは、はるかに容易に

耐えられたはずでした。

しかし、この男は、

自分の妻が経験する恥辱と痛みを

一番近くで見守りながらも、

その秘密を守りました。

もし詩人の遺作が、こんな風に

世の中に現れなかったら、

この男は、一生、自分と子供を

馬鹿にしてばかりいたと思いました。

 

エルナは涙を飲み込みました。

ビョルンの頬に触れるエルナの指先が

細かく震えました。

ひどい裏切り感を覚えながらも

憎めない男の頬の上に、

大粒の涙がこぼれました。

 

ようやく自分が泣いていることに

気づいたエルナは、

驚いて涙の跡を消しました。

小さく寝返りを打ったものの、

幸いビョルンは起きませんでした。

 

安堵のため息をついたエルナは、

目頭や鼻筋が真っ赤になるまで

涙でびしょ濡れの顔を、

パジャマの袖で拭きました。

 

覚悟を決めたように

息を整えたエルナは、

急いでビョルンの体を拭き始めました。

耳が早くて、

寝ていても、すぐに目を覚ます

敏感で、神経を使う男が、

今日は驚くほど深く眠っていました。 

だから、エルナは

泣いてはいけないと自らを慰め、

タオルを絞り直して握りました。

そして、

ひどく疲れているであろう

ビョルンを起こしたくなかったので、

エルナはさらに慎重に動きました。

 

きれいになった体に

きちんと布団を掛ける時まで、

ビョルンは目を覚ましませんでした。

脱がせた服をきちんと畳んで

片付けたエルナは、

たらいとおしぼりを片付け、

大きく開いている

寝室のカーテンも閉めました。

再びビョルンのそばに戻った頃には、

重くなったまぶたが

半分ほど閉じていました。

 

最後にランプを消したエルナは

疲れた顔でベッドの端に座りました。

お腹が少し張るような痛みが

ありましたが、

そんなに長くは続きませんでした。

エルナは、

そっとお腹を撫でました。 

数日前に往診に来た主治医は

赤ちゃんが大きくなる時期なので、

たまにお腹が痛くなると

言っていました。

これから日に日に

お腹が大きくなっていくかと思うと

エルナは、それが少し恐ろしくもあり

期待もしていました。

 

すくすく育って、

父親みたいに大きくなるだろうか。

じっとビョルンを見ていたエルナは

徐々に眉をひそめました。

ビョルンの体格がとても大きいと

実感すると、突然怖くなりました。

 

それは少し困ると思ったエルナは

微かに微笑み、

父親のように大きくなるのは

世の中に出た後まで

延ばした方がいいと、

子供が同意してくれることを願いながら

もう一度お腹を撫でました。

 

それから、エルナは

しばらく躊躇った後、

ビョルンのそばに横になりました。

久しぶりに一緒に眠る夜だと

考えると、

再び目頭が熱くなりました。

 

最初に同じベッドを使うようになった

夜の記憶が思い浮かびました。

何度、断られても、

再びお願いするために、

どれほど大きな勇気を

出さなければならなかったのか。

その切実な願いが叶って、

どれほど嬉しかったのかも、

ビョルンは知らないと思いました。

 

その夜、エルナは

必死に眠気をこらえながら

眠りにつくビョルンの姿を見守り、

翌朝には早起きして、

ビョルンが目を覚ますのを待ちました。

彼がどのように眠りについて

目覚めるのか、

それを知っただけなのに、

初めて本当の夫婦になったようで

胸がいっぱいでした。

しかし、やはり、それも

白昼夢に過ぎなかったのだろうか。

 

あてもなく闇の中を

彷徨っていたエルナの視線が

突然痺れて来た自分の指先で

止まりました。

ページをめくること以外は

一日中何もしなかったのに、

少しも休むことなく、

納品する造花を作った日のように

手の節が痺れて痛みを覚えました。

両手を揉み始めると、

目に溜まっていた涙が

ぽたぽたと流れ落ちました。

 

家族、

一番親しい友達であり恋人。

一生を共にするパートナー。

拠り所。夢と希望。 そして愛。

ビョルンを捕まえるために

並べたその言葉は、

エルナの最も誠実な告白でした。

誰が何と言おうと、

エルナにとって夫は

そのような存在でした。

そんな気持ちで

最善を尽くしていれば、

いつかはビョルンにとって、自分も

その中の一つくらいの意味に

なれるのではないかという

夢を見たりもしました。

 

エルナは、もう一度、泣かないでと

自分に言い聞かせましたが、

涙は思い通りに止まりませんでした。

 

一緒に過ごした楽しい日が

本当に、たくさんあり、

ビョルンはその気になれば

いくらでも優しい夫になれる男で、

そんな夫の妻だった瞬間のエルナは

幸せでした。

しかし、それを愛と呼べるのだろうか。

彼は飼っている犬や猫を

大切にするように、

ただ、見せられたものだけを見て、

言われた通りに従えば

可愛がってくれただけ。

エルナの考えや感情などは

重要ではありませんでした。

誰が造花に、それを望むだろうか。

そんなことは、

厄介で無駄に過ぎませんでした。

 

やっと涙が止まったエルナは、

ぼんやりとした目で

隣に横たわっている男を見つめました。

ビョルンの妻として

生きていかなければならない人生が

ふと、漠然としたものに

感じられました。

どれだけ多くの花を売れば、

王子への借金を完済できるか考えて

ため息をついていた日々と

似たような気分でした。

花ですべて返せなかった

借金の代わりに、

ビョルンの花になりました。

だから彼の望み通りに

生きなければならないし、

価値のあることをしなければならない。

でも、どうしたらいいのか。

 

再び、エルナの瞳が

涙で曇りました。

彼女は、永遠に枯れない自信が

ありませんでした。

 

その涙が静かに流れた瞬間、

ビョルンが目を開けました。

避ける間もなく、

彼と目が合ってしまったエルナは、

思わず息を殺しました。

夢うつつのように朦朧とした目でした。

少し寝返りを打つと、

ビョルンはエルナを胸の奥深くに抱き

足を絡めたまま、

すぐにまた眠りにつきました。

途方に暮れていたエルナは、

目をぎゅっと閉じて数字を数えました。

額をくすぐる息遣いと

体を包んでいる

冷たくて柔らかい体温は

そのままでした。

エルナは安堵のため息をつきながら

緊張をほぐしました。

 

ビョルンの懐は、

以前と変わらず居心地が良かったので、

今は知らないふりをして、

自分を騙すことにしました。

明日が来れば、ビョルンは

すべてを説明してくれるだろうし

自分は花のように

きれいに笑うことができる。

そのようにして時間が経ち、

子供が生まれたら、

童話の結末のように、

本当にすべてが良くなり、

長く幸せに暮らせそうな気がしました。

 

その慰めの中で、エルナも、

すぐに深い眠りに落ちました。

眠る前に何度も彼の名前を囁きました。

言いたかったことが何なのかは

よく覚えていませんでした。

直ちにラルスに宣戦布告をすべきだと、

過激なデモを行うために

集まった群衆たちは、

王太子夫妻の結婚写真と

肖像画が掲載された葉書と新聞など

様々な種類の記念物を一か所に集め

絶えず炎の中に投げ込んでいました。

そのデモを見物しに来た紳士たちで

社交クラブのテラスは混んでいました。

 

その様子を見たペーターは、

お姫様が火刑に処せられていると言って

目を丸くしました。

そして、いくら腹を立てていても

罪のない王子は

抜いてあげたらどうか。

ビョルンが熱そうだと、

グレディスとともに燃えている

王太子時代のビョルンを眺めながら、

ペーターは舌打ちしました。

 

しかし、レナードは、

どうせビョルンは再婚したし、

汚く終わった前妻との

結婚肖像画が残っていたところで

どうするのか。

むしろ一緒に燃えて

消えてしまう方が楽だと、

冷笑的に反論しました。

互いに見つめ合っていた人々は、

沈黙することで

その意見に同意しました。

 

最近、レチェンの他の場所と同様に

社交クラブの最大の話題は

ビョルンとグレディスでした。

ビョルンと親しい間柄であるほど、

この事件で受けた衝撃は

大きいものでした。

 

炎に油を注いだ男が、

ラルスの魔女を燃やせと

大声を張り上げると、

皆が一丸となって、

その言葉を叫び始めました。

悲運の王太子妃は、

わずか一週間の間に

火刑台に立たされた

魔女になっていました。

 

ビョルンが再婚して1年近く経つのに、

今まで、

ビョルンとグレディス姫の記念物を

保管していた人たちが

あんなに多いということは、

皆、グレディス姫を

こよなく愛していたようだと

ペーターは皮肉を言いました。

 

ある者は、

皆、2番目の妻と離婚して

グレディス王女と再婚することだけを

願っていた。

自分の母もそうだったと言いました。

 

別の者は、

自分の妹は衝撃を受けて

何日も寝込んでいたと話しました。

それを聞いたレナードは、

川辺に行かないように

監視しなければならないと

冗談を言うと、

皆、複雑な笑いをこぼしました。

グレディス王女に

熱心に追従していたある少女が、

川に飛び込んだことで、数日間、

都市全体を騒がせたからでした。

幸い、川が浅かったので

すぐに救助されて

命に別状はありませんでした。

 

ビョルンは大丈夫だろうかと

ペーターが心配すると、

他の人々の顔色が暗くなりました。

しかし、しばらくすると、

そんな秘密を隠しながら

生活してきた酷い奴の心配は

余計な事だから、

その間に、大公妃のことでも

心配しようという結論に至りました。

 

それでも、子鹿は知っていたよねと

誰かが尋ねると、

当然だ。

大公妃にまで隠したら

人間ではないというレナードの見解は

何の反論もなく受け入れられました。

すべてのことを知っていながら、

夫のために悪役を自任するなんて

涙ぐましい愛だと、

改めて大公妃に感嘆している間に、

一体、どこに掛けておいたのか、

 元王太子夫妻の

等身大の結婚記念の肖像画を持った

デモ隊が登場しました。

グレディス王女に対する

レチェンの愛は、狂気に近かったことが

見て取れました。

 

その肖像画も、

やはり炎の中に投げ込まれ途端、

新たな知らせを入手した伯爵の息子が

急いで走って来ました。

彼が置いた、

今日のタブロイド紙の第1面には、

ビョルンの浮気相手として知られていた

オペラ歌手の心境の告白が

掲載されていました。

「あの日の真実、今なら言える」

と刺激的な見出しを見た人たちが

集まって来て、テーブルは

すぐにめちゃくちゃになりました。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

確かにビョルンは

エルナの考えや感情に

無頓着だけれど、

それは、彼がそうすることに

慣れていないだけで、

ビョルンは、

エルナのことを愛しているから

彼女を守るために、

必死に頑張って来ました。

そして、彼女のそばにいることで

彼は安らぎを得られるのだと思います。

けれども、ビョルンが

それを口にしないせいで、

エルナは、どんどん自分を追い込み、

彼にとって

自分が不必要な存在になることを

恐れているように感じられました。

せめて、エルナが

彼の本当の気持ちを

分かってあげられればいいのですが

グレディスの件で

ずっと辛い思いをして来たエルナは

自分のことで精いっぱいで、

人の気持ちまでは

考えられなかったかもしれません。

 

愛すれば愛するほど、

裏切られた時の怒りは

大きくなる。

レチェンの人々の気持ちは

そんな感じなのだと思います。

 

明日も、更新します。

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