自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 110話 ネタバレ 原作 あらすじ 高値で買われた安っぽい花

 

110話 久しぶりにビョルンが帰って来ました。

 

エルナは、

ぼんやりとした目を瞬かせながら

ビョルンを見ました。

その瞳は揺れていました。

ベッドのそばに立ち止まった彼を

注意深く見ていたエルナは

ビョルンが、

とても疲れているように見えるけれど

大丈夫かと尋ねました。

自分を気遣う質問をする

エルナの表情が深刻過ぎて、

ついビョルンは

ニッコリ笑ってしまいました。

予想していたのとは、

全然違う第一声でしたが、

極めてエルナらしいと思いました。

 

ビョルンは、大丈夫だと答えると

ベッドに腰掛け、充血した目で

妻の寝室を見渡しました。

夜風に揺れるカーテンの影を

追っているうちに、

とりわけ暑かったこの夏の記憶が

浮かび上がりました。

 

ハルディ家が犯した事故に

エルナの妊娠。

死んだ詩人の姉がもたらした波紋まで

夢中で処理していたら、

いつの間にか夏の終わりが

近づいていました。

 

特に大変だと思ったことはなく

とにかく解決できることだったので

最善の方法を見つけることだけに

集中しました。

しかし、過度に忙し過ぎたため、

疲労は限界に達し、

神経は鋭く尖っていました。

今にも切れそうな

張り詰めた糸のような状態で、

一つの季節を過ごして来たいう考えが

数日間ほとんど眠れなくて、

ぼんやりとしている頭の中に

ふと浮かび上がりました。

 

疲れを感じたビョルンは

ズキズキする目を

ギュッと押さえていた手を

下ろしながら

少し虚しい気持ちで笑いました。

 

ビョルンは、

再びエルナを見ました。

心配そうに彼を見る目は

澄んでいました。

 

予定より長くなった大臣たちとの会議は

日が暮れた後に終わったので、

レオニードは、

王宮で休むことを提案しましたが、

ビョルンは計画通りに

馬車に乗りました。

自分でも、その愚かな固執の理由が

分からなかったけれど、

眠っている顔でもいいから、

エルナに会いたかったのだと

今になって分かりました。

 

エルナは、

もしかして、また何かあったのかと

尋ねました。

エルナに近づくと、

甘くて柔らかい体の匂いが

濃くなりました。

 

エルナは、

その本のせいで、ビョルンが

とても困ったことになったのかと

尋ねました。

半透明のパジャマの下に見える

体の線は、

ビョルンが覚えている先週の朝とは

少し変わっていました。

 

エルナは、

実は自分もその本を読んだ。

どんなことなのか

大まかに知る必要があると思ったから。

もう少し辛抱強く

待つことができなくて申し訳ない。

けれども、そんな風に

理解しようとしたのではないので

ビョルンから説明して欲しいと

慎重に話しました。

しかし、ビョルンは

「後で」と上の空で答えると

躊躇うことなく

エレナのパジャマのリボンを

緩めました。

エルナがその事実に気づいたのは、

ビョルンの手が、

すでに半分ほど露わになった

自分の胸を掴んだ後でした。

 

エルナは「ビョルン!」と

悲鳴を爆発させましたが、

すぐに彼の唇の間から

消えていきました。

彼はエルナの肩と胸が

露わになるように

パジャマを引きずり下ろしました。

薄い生地が裂ける音と

口を合わせる音が混ざり合いました。

ベッドに横になったエルナの上に、

ビョルンの影が

垂れ下がっていました。

 

ビョルンは、

すでに腰の下まで下がっていた

パジャマを脱がせると、

エルナの体のあちこちに

口を合わせました。

今では、かなり可愛く目立って来た

お腹を撫でたビョルンの手が

足の間に触れると、

エルナは「赤ちゃんが・・」

と激しく抵抗しました。

 

ビョルンは、しばらく止まったまま、

自分の手首をつかんでいる

エルナを見つめました。

しばらくは妻と違うベッドを使えと、

上品だが断固とした口調で

命令した主治医の姿が

その上に浮かび上がりました。

けれども、それも随分前のことでした。

 

ビョルンは、

もうすぐ来月ではないかと

熱い息を吹きかけて、

眉を顰めました。

エリクソン先生が許可した

あの忌まわしい来月まで、

あと三日しか残っていないので、

これ以上、問題になることはないように

思えました。

しかしエルナは、依然として

安心できない表情でした。

 

ビョルンはエルナを見下ろしました。

妊娠した女性をどう扱うべきか

途方に暮れているのは

彼も同じでした。

元々弱い女の中に子供までいるので、

貪欲に抱きしめてはいけないけれど、

それだけの自制心が

自分の中に残っているのか、

確信が持てませんでした。

 

ビョルンは低いため息をつくと

大丈夫、入れないからと

妻をなだめました。

よほどの病人のようなことを

言っている自分が

おかしかったのですが、

止めたくありませんでした。

 

エルナの手から

力が抜けていくのが感じられると、

ビョルンはエルナの顎をつかみ

急いで唇を重ねました。

逃げようとする舌を巻いて

息を呑み込みました。

 

その間、彼の手は

エルナの体の上を徘徊しました。

怯えた女性を宥めるために

始めたことでしたが、

ある瞬間から、

その感触と温もりが

彼を魅了しました。

 

腫れた唇を放してくれたビョルンは

目を開けろと静かに命令しました。

目をギュッと閉じたまま、

息を切らしていたエルナは、

ようやく彼を見ました。

濡れている青い目が美しく、

たかがその一つに、

下が疼く自分が情けないほど、

欲望は熱烈でした。

 

エルナは、

自分に言いたいことが

あるのではないかと言うと、

彼の頬に手を触れました。

その切実な目が、

何を言っているのか気づくのは

それほど難しいことでは

ありませんでした。

 

ビョルンは「するよ。」と

沈んだ声で返事をすると

ズボンを下ろしました。

エルナの下半身に密着させると、

うめき声が静かに流れました。

また、何かを言おうとする

エルナの唇を飲み込むと、

ビョルンは躊躇なく

腰を動かし始めました。

荒々しく突っ込みたい衝動を

抑えるために、

何度も眉を顰めながら

シーツを握り締めなければ

なりませんでした。

そのことを

説明しなければならないことは

分かっていました。

 

ビョルンは荒い息が漏れる唇を

エルナの顔のあちこちに

むやみに押しつけました。

透明な肌が熱に染まると、

甘い体の匂いが濃くなりました。

頭の中は

お話にならないほど

柔らかい体が与える快楽で

ぼんやりしていました。

 

その説明は、すでにうんざりするほど

繰り返してきたので、

今この瞬間は、

二人だけの世界であることを

願いました。

この女を抱いて、この女に抱かれて

少しでも休みたいと思いました。

 

ビョルンは、

しきりに自分を押し退けようと

努力するエルナと目を合わせたまま

腰を動かしました。

真っ赤な顔で、

うめき声をあげているエルナが

きれいでした。

 

中に入りたい衝動を

かろうじて抑えている間に、

エルナは体を転がして

彼の胸から逃げ出しました。

呆れたように

エルナを見下ろしていたビョルンは、

低く笑うと、エルナの背中を

ギュッと抱きしめました。 

エルナは焦点がぼやけた目で

ランプの光とその下に置かれた本を

見つめました。

 

自分の意思とは関係なく、

じめじめしている太ももの間を

行ったり来たりする

ビョルンの仕草は、

ますます大きく、

荒々しくなって行きました。

首筋と肩に絶え間なく

押し付けられる唇と、

執拗に体を触る手が

熱く感じられました。

 

エルナは、言葉では言い表せないほど

惨めな瞬間にも、

うめき声を上げる唇を痛くなるほど、

強く噛みました。

揺れる意識の中で、

あの本を一枚ずつめくった日々の

記憶が浮かび始めました。

 

何も知らないまま

グレディス王女の座を奪った

悪役となり、

経験して来た数多くの悲しみと苦痛が

浮び上がり、鋭い破片となって

胸を引き裂くような気がしました。

しかし、そのような瞬間でさえ、

エルナは、

他の男の子供を持つ皇太子妃の

不正を覆い、

王冠を下ろしたその男の気持ちが

どうだったのか。

その代価として、

どれほどすごい国益を得たとしても、

そのことが、ビョルンに与えた傷が

消えたわけではないだろうと

思いました。

 

「それなのに、あなたは」と

思いながら、

棘のように刺さる羞恥心に

身震いしている間に、

体を仰向けにされました。

ビョルンはエルナを

まっすぐ見下ろしながら

手と腰を動かしました。

エルナは途方に暮れて

その視線を受けました。

むしろ泣きたい気分になる頃に、

官能的なうめき声と息遣いが

沸き起こりました。

エルナは反射的にお腹を包み込み、

ぎゅっと目を閉じました。

胸と手の甲に流れる

ぬるい感触から、

濃い情事の匂いが広がりました。

 

ぼんやりとした気分で目を開けると、

鑑賞するように

自分を見下ろしている

ビョルンが見えました。

視線が合うと、

エルナの心をとらえた

あの美しい悪魔の笑みを

浮かべました。

 

荒い息が落ち着くと、

ビョルンはゆっくりと

身なりを整えました。

体を洗うべきだと思いましたが

甘い無力感に捕らわれた体は

意志通りに

動いてくれませんでした。

 

ビョルンは諦めのため息をつくと

じっと虚空だけを凝視している

エルナのそばに横になりました。

首筋に顔を埋めると、

かすかな脈拍が伝わってきました。

数回、低いため息を

繰り返している間に、

ビョルンの意識は

次第に薄れていきました。

深い眠りに落ちる前に、

素直に受け入れた眠気が

この女性のように穏やかだと

思いました。

エルナは細く震える声で

ビョルンの名前を呼びましたが、

返事の代わりに、

ゆっくりとした息づかいが、

聞こえて来ました。

この男は眠ってしまった。

エルナは、

信じたくなかったその事実を

淡々と受け入れながら

立ち上がりました。

肌を伝って流れる情事の残滓が、

自分の境遇を、

改めて思い出させてくれるような

気がしました。

 

いつも、にこにこ笑って、

彼の欲望を解消し、従順で、

ビョルン・ドナイスタの

お楽しみのために

存在すればいい造花。

高値で買い取った安っぽい花一輪。

 

その悲しい思いを消すように、

エルナはベッドの下に

投げ込まれたパジャマを拾って

体を拭きました。

熱くなった目頭を

手のひらでぐっと押さえ、

静かにバスルームに行きました。

エルナはゆっくりと体を洗い、

新しいパジャマを着ました。

乱れた髪も、

ブラッシングをして整えました。

鏡に映った赤い跡には

目を向けないように努めました。

しかしベッドに戻って

向かい合ったビョルンの姿は

そのすべての努力を

一瞬にして無駄にしてしまいました。

 

しばらく、

その場にじっと留まっていたエルナは

静かなため息をつくと、

たらいと清潔なタオルを

持って来ました。

覚悟を決めたように

息を整えたエルナは、慎重に

ビョルンの服を脱がし始めました。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

ビョルンは

本当に疲れて切っていて

エルナの肌の温もりに癒されて

休みたかったのだと思います。

けれども、エルナは、

ビョルンのついた嘘のせいで

ずっと苦しめられてきたので

彼が嘘をついた真意を

聞きたかった。

それなのに、返事を後回しにされ

彼の欲望を解消する

道具となってしまったことが

悲しくて仕方がない。

決してビョルンはエルナのことを

そんな風に考えていないのだけれど

エルナには、そうとしか思えない。

ビョルンが自分の感情に

なかなか気づかず、

ようやく気づいたとしても、

エルナに、その気持ちを

素直に伝えないので

二人の仲は拗れる一方。

エルナの惨めな気持ちを癒せるのは

ビョルンだけなのですから

自分の気持ちに素直になり、

エルナをどれだけ愛しているか

早く伝えて欲しいと思います。

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