自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 106話 ネタバレ 原作 あらすじ 外見と内面の比率調整の失敗

 

106話 エルナはウォルター・ハルディと絶縁することを承知しました。

 

バーデン男爵夫人は、

大公邸を訪ねるという手紙を

エルナに送りました。

しかし、彼女は、

まだ王室が騒然としているため、

当分の間、

客をもてなすことは難しそうだと

拒絶の返事を送って来ました。

バーデン男爵夫人に

こんなことを言うなんて、

エルナらしくないと、グレベ夫人は

確信に満ちた顔で断言しました。

 

そして、手紙の最後にエルナは

夫のおかげで

元気にしているので、

バーデン家の皆様も

心を楽にして安らかな日々を

過ごして欲しい。

涼しい風が吹く季節に

正式に招待すると書いて来ましたが

それは、この夏が終わるまでは

彼女に会えないという意味でした。

 

グレベ夫人は、

あちらでエルナが

耐え難いのであれば

ここへ連れてくるのはどうかと

提案しました。

それができるなら、

自分もそうしたいと返事をした

バーデン男爵夫人は、

何度も繰り返し読んだ手紙を置くと

窓越しに、垣根の向こうに広がる

炎天下の野原を見ました。

太陽の光で髪の毛を染めたいと

思った子供が、

あの野原に留まった日も、

今日のように蒸し暑い日でした。

その幼い頃から今日に至るまで、

ウォルター・ハルディのような者の

娘として生まれたという理由だけで

彼の可哀そうな子が、

背負わなければならなかった

悲しみと傷が、

かすかに立ち上る陽炎の中に

浮かび上がりました。

それでも、

あの恐ろしい事件が起きたおかげで

エルナの人生から

彼を切り話すことができたので

その点だけは

感謝すべきだと思いました。

 

ビョルンは、

ウォルター・ハルディは

エルナ・ドナイスタの父親でも、

王室の姻戚でもない。

ウォルター・ハルディは

自らその権利を放棄したので、

二度と彼が

大公妃の父と呼ばれることがあっては

ならないと自ら公表しました。

 

それでも依然として、

資格のない大公妃を

王室から追い出せという

民心が熱かったけれど、

ビョルンは、一貫して、

徹底的に無視していました。

彼の意志が、

それほど確固たるものだったので、

このことでエルナの地位が

危うくなることはないはずでした。

そのことに、男爵夫人は

深く感謝しました。

 

しかし、いくら夫の心強い

保護を受けても、エルナは

どこにいても、

首をきちんと上げることが

できるだろうか。

自分の母を傷つけた父親から受け継いだ

髪の色一つさえ申し訳ないと思ったほど

心が弱い子なので、そんなエルナが

今どんな気持ちで

夫を見つめているのか考えると、

目の前が遠くなりそうでした。

 

じっくり考え込んでいたグレベ夫人は

エルナと王子が

バフォードを訪問した時のことや、

今回のことを見ると、王子は

とてもエルナを大事にしているので

彼女をここへ連れて来たいという旨を

伝えたら、

快く承諾してくれるのではないか。

王子もエルナが気楽に過ごせることを

願っているだろうからと

嬉しそうな顔で提案しました。

確かに、その言葉も一理あると

思ったバーデン男爵夫人は

快く頷きました。

 

ビョルンが噂とは違う男だと信じて

エルナを任せたけれど、

バーデン男爵夫人の胸の片隅には、

とても心配な気持ちが

残っていました。

しかし、春に、ここを訪れた

二人を近くで見守りながら、

バーデン男爵夫人は

最後の心配さえ

手放すことができました。

 

ビョルンは難しい人でした。

今は王冠を手放したとしても、

一国の君主として

生まれ育った王子なので、

彼は、生涯、誰にも

屈したことのない者特有の

優雅な傲慢さと自尊心を

持った男でした。

そのため、バーデン男爵夫人は、

彼と簡単に接することが

できませんでした。

しかし、エルナと一緒にいる

ビョルンは、

普通の新婚生活を送っている

若い夫のように見えました。

その姿が良くて、

じっと2人を見守る時間が

多くなりました。

あんな男が、

エルナのそばにいてくれたら

彼女の残りの人生は

平安で幸せだろうと思いました。

 

そんな安堵感に胸をなでおろした

バーデン男爵夫人は決意を固めた顔で

立ち上がりました。

もう一度、

直感を信じてみることにした

バーデン男爵夫人は、

ビョルン王子なら、

エルナのために、何が最善が

分かっているだろうと思いました。

山のような贈り物と共に

大公邸を訪れたアルセン公爵夫人は、

予告もなくやって来た客とは

思えない態度で、開口一番、

今日は水曜日だったんだと

極めて普通の口調で言いました。

 

それから、彼女は、

少し立ち寄っただけなので、

気にしないでと言うと、

扇子を折りたたんで、

冷たいグラスをつかみました。

白昼、外孫の家を訪れて

ウイスキーソーダを飲む

公爵夫人なんて、

破格的な光景でしたが、

その態度はごく自然で、

蒸し暑さが猛威を振るう

夏の午後に、端正な姿で

熱いお茶を飲んでいるレオニードを、

より際立たせていました。

 

アルセン公爵夫人はレオニードに

なぜここに来ているのか。

あの野暮ったいものは何かと、

不満そうな目で、

エルナのそばに置かれた花束を

指差しました。

エルナの体と同じくらい大きな花束は

色の調和を知らない者が

作ったものであることは明らかでした。

 

レオニードは、

時間に余裕ができたので、

久しぶりに大公妃と挨拶を交わし、

甥を見ることも兼ねて

少し立ち寄ったと答えました。

 

アルセン公爵夫人は

嘘が上手だ。

甥っ子は来年にならないと

見えないのではないかと

尋ねると、レオニードは

心で見ていると、真面目な表情で

かましい返事をしました。

そんな孫をチラッと見た

アルセン公爵夫人は

笑いを爆発させたので、

ぎこちなかった雰囲気が

和らぎました。

気後れしていたエルナの口元にも

うっすらと笑みが浮かんで来ました。

 

アルセン公爵夫人は、

レオニードの心で見た甥は

どうなのか。

心の目がない自分にも、

少し教えて欲しいと頼むと

レオニードは、

いい子だと思うと答えると

ティーカップを置きました。

そして、

母親によく似ているおかげだと

エルナを見つめながら言いました。

片方の唇の端をそっと上げる

その笑顔が、

ビョルンにとても似ていました。

彼が一度も、子供のために

作ったことのない笑顔でした。

エルナは、一層リラックスした顔で

レオニードに向き合い、

その言葉と花のお礼を告げました。

 

それから、ようやくエルナは

そばに置かれた大きな花束に

まともに向き合いました。

本当にきれいだと思いました。

一目見て、とても気を使って

選んだ花だということが

分かりました。

 

その趣向ときたらと、

アルセン公爵夫人は

舌打ちをしましたが。

エルナを見る彼女の目は

一様に温厚でした。

 

最近の天気や読んだ本など

平凡な話題で会話を続けている間、

落ち込んでいたエルナは

徐々に落ち着きを

取り戻していきました。

それが幸いでありながら、

一方では気の毒で、公爵夫人は、

なかなかエルナから

目を離すことができませんでした。

ようやく、エルナが

いつものような笑いを取り戻した頃、

ビョルンの帰宅が告げられ、

彼が姿を現すと、

そわそわしていたエルナは

ティースプーンを

落としてしまいました。

ビョルンが招かれざる客であることを

エルナの目つきと表情、

行動一つ一つが証明していました。

 

生気のない人形のように

なってしまったエルナは

罰を受ける子供のように

ビョルンの顔色を窺っていました。

エルナに厳しい言葉を

吐き出さないために、

ビョルンは薄っぺらな忍耐心を

全て動員しなければなりませんでした。

 

疲れているように見えるエルナを

寝室に戻したアルセン公爵夫人は

彼女を

アルセン家で過ごさせたらどうか。

その方が、エルナとビョルンにとって

良いことのようだと

意外な提案をしました。

しかし、ビョルンは

エルナの居場所はここだと

一抹の悩みもなく答えました。

 

まさか、この家を出ることを

考えていたのかと、

自分がいない間の3人の会話を

推測するビョルンの表情が

苛立たし気になりました。

 

離婚を言い出した日以来、

エルナは目立って落ち込んでいるけれど

それは、ただの夫婦喧嘩に

過ぎませんでした。

しかし、アルセン公爵夫人は

一層、重々しい表情で、

その居場所が

エルナを苦しめていると思わないのかと

尋ねました。

 

ビエルンは冷たい目で

祖母に向き合うと、

エルナにとって何が最善なのか

自分が一番よく知っていると

答えました。

 

アルセン公爵夫人は

そうなのかと聞き返すと、

ビョルンは、

すべての問題を解決し、

エルナはシュベリン宮殿の塀の中

保護されている。

大公妃の席は完璧だし、

これからもそうだと思うと答えると

アルセン公爵夫人は力強い声で

「ビョルン・ドナイスタ」と呼び

けだるい応接室の空気を

揺さぶりました。

 

彼女は、

この世で一番可哀想で

情けないことを見るように

ビョルンを凝視しながら

彼が自分の妻を

まるで膝の上のシャーロットのように

思っていると言って舌打ちしました。

 

シャーロットと聞いて、ビョルンは

訳が分からないかのように

眉をひそめ、

こっそりレオニードを見ました。

その姿からアルセン公爵夫人は、

この無情な王子が、

10年間、見てきた猫の名前一つを

覚えていないという事実に

気づきました。

 

見るに見かねたレオニードが

祖母の飼っているあの白い猫だと

そっと教えましたが、

ビョルンは「あっ」と

返事をするだけで、それ以上、

何の感情もない表情でした。

 

呆れて、ため息をついた彼女は

急いで扇子を広げました。

双子のうち、

よりシャーロットを可愛がったのは

ビョルンで、

遠くからチラッと見る程度の

レオニードと違いビョルンは、

いつも猫を膝の上に乗せて

撫でていました。

そのせいか、シャーロットは

ビョルンにとてもよく従い、

双子を正確に区別していた猫は

ビョルンの足元だけを

グルグル回っていました。

その度に、ビョルンは

恋人に対するように、甘い目で見て

微笑みながら、猫を懐に抱き、

優しく撫でていました。

それなのに、

名前一つ覚えられないほど

無頓着でした。

 

ビョルンが訪れた日は窓枠に上がって

長い間外を眺めていた

シャーロットの姿が、

エルナが座っていた椅子の上に

浮び上がりました。

 

夫の話をしている彼女の顔は

とてもキラキラしていて綺麗で、

恋に落ちた花嫁のおかげで、

アルセン公爵夫人の胸が

くすぐったくなるほどでした。

そのため、

今日ここで見たエルナの姿が

さらに大きな驚きを

アルセン公爵夫人に与えました。

 

自分の世界の全てのように

ビョルンを見つめていたエルナが、

夫の視線を避けるのに汲々としていて、

澄んだ瞳も虚ろで、

以前のように輝いていませんでした。

もしもシャーロットが人間で、

自分は名前も覚えてもらえない

猫一匹に過ぎないという

事実を知っていたら、

そんな目つきをしたのだろうかと

考えました。

 

アルセン公爵夫人は

深くため息をつくと

頭を上げました。

和らいだ日差しを浴びている

ビョルンの美しく端正な顔を

じっと見ていた公爵夫人は、

再びビョルンの目を見つめました。

 

彼女は彼に、

息をする瞬間毎に、

先祖の顔に感謝しながら

生きていくようにと助言しました。

 

創造主が、

外見と内面の美しさの比率調整に

失敗したことが明らかに見える

このバカに、

彼女がしてあげられる役に立つ助言は

それが全てでした。

一方、そのおかげで、

生まれる子供の美貌は

しっかり確保されたと思いました。

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ビョルンが来た途端、

笑顔が消えて、

彼の顔色を窺うようになった

エルナを見ているくせに、

彼女が落ち込んでいるのは

単なる夫婦喧嘩だと思うビョルンが

あまりにも浅はかで、

情けなくなってきました。

せっかくの公爵夫人の申し出を

断るのも、

自分がエルナと離れたくないだけで

彼女のことは

全然考えていないことにも

腹が立ってきます。

ビョルンがシャーロットを

可愛がっていたふりをしたのは

自分のイメージ管理のため?

さすがにエルナとシャーロットは

同等ではないでしょうけれど、

公爵夫人が、

シャーロットのことを

思い出すくらいなので、

ビョルンのエルナに対する態度と

シャーロットに対する態度が

全く違うというわけでは

なさそうです。

毎日つらい思いをしているエルナが

一時でも、

公爵夫人とレオニードのおかげで

笑顔を取り戻せたのが幸いです。

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