自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 93話 ネタバレ 原作 あらすじ バフォードの最高の男と綺麗な酔っ払い

 

93話 バフォードの最高の男を決めるレースがスタートしました。

 

どうしたら良いのか途方に暮れ

羞恥心のせいで気が遠くなった

エルナは、

目を閉じる方法さえ忘れたまま、

とんでもない現実を見守りました。

 

スタートラインが

不利な位置であったにもかかわらず、

一気にその距離を縮めたビョルンは、

ある瞬間から、ライバルたちより

少しずつ、リードし始めました。

思わず悲鳴を止めたエルナは驚き、

目を丸くして、

遠ざかっていくスタートラインと

他の参加者たちを見つめました。

 

この男は本当によく走る。

エルナは、

夫についての新たな事実を

もう一つ知りました。

すると、小さな鐘が鳴るように

胸がドキドキし始めました。

 

猛烈な勢いで追撃して来る

他の若い夫婦を見たエルナは

「ビョルン、早く!」と

慌てて叫びました。

「追いかけて来ている!

もう少し早く!」

こうしたくないのに、

いつの間にかエルナも

真剣になっていました。

こうしても、ああしても

恥をさらすなら、むしろ優勝して

恥をかいた方がいいと思いました。

少なくとも敗北の辛さはないと

思ったからでした。

 

ゴールのラインが近づいて来ると、

ぴったり付いて来た夫婦も

力が抜け始めました。

全力疾走したビョルンは、

2位と大差をつけてゴールしました。

スリル満点の逆転勝ちに興奮した

見物人たちの歓声と拍手が

広場を震撼させました。

 

担がれている屈辱感を

きれいに忘れたエルナも喜び、

歓声を上げました。

ビョルンは、

失笑と混ざり合った荒い息を吐くと

エルナを降ろしました。

彼女は、

「私たちが1位だ、勝った。」と

息を整えている彼のそばを、

浮かれた子犬のように

ぴょんぴょん飛び跳ね、

彼のそばをグルグル回りました。

 

勝って、とても楽しそうだと

ビョルンが指摘すると、

おとなくしていた

あの淑女はどこへ行ってしまったのか

エルナは感激に満ちた目を輝かせ、

「はい、ドナイスタは負ける

ゲームをしませんから。」と

大胆に答えました。

 

ビョルンは愉快に笑うと、

両腕を広げました。

勝利感に酔いしれた淑女は、

気兼ねなく彼の胸に抱かれました。

 

田舎の村の春祭りでも、

ドナイスタは勝利しました。

夫婦で成し遂げた快挙でした。

レースの優勝者に与えられた

栄誉ある賞品を、

注意深く観察したエルナは、

「大きいです」と短い一言で

自分の感想を伝えました。

とても大きいと言う以外、

何と言ったらいいのか、全く判断が

つかなかったからでした。

 

競走馬のように、よく走り、

この村の最高の男になった

ビョルンが勝ち取ったのは、

山のような農作物でした。

カボチャやジャガイモ、

小麦などの野菜や穀物

エルナの背丈より

高く積まれた箱の中いっぱいに

入っていました。

 

自分が勝ち取った賞品を

じっと見つめていたビョルンは

空笑いしました。

とても大きいという事実は

否定できないので、

あのウェイターの言葉は

嘘ではありませんでした。

バフォードの肥沃な大地がもたらした

巨大な祝福が込められた木箱は、

無駄にきれいな花で飾られており、

ビョルンをさらに当惑させました。

 

司会者は、

ぼんやりと木箱を見つめている

優勝者夫婦を、

色とりどりの花で覆われた

壇上に導きました。

広場を埋め尽くした人々の

歓声の中で、祭りの勝者となった

大公夫妻の授賞式が行われました。

ビョルンにはワイン1本が、

エルナには

バフォードの5月を象徴する

スズランで作った花冠と

ネックレスが

副賞として贈られました。

 

今回の祭りの

王子様とお姫様のお出ましだと、

大柄な男の雄叫びが、

のどかな晩春の空高く響き渡りました。

すると、見物人たちは

海が割れるように両側に退き、

彼らが行く道を開いてくれました。

 

どうやら自分は

王子になる運命のようだと、

ワインの瓶を王笏のように持った

農作物の王子がそっと囁きました。

 

何をしても王子様ではないかと

エルナが言うと、

にこやかな笑みを浮かべたビョルンは

丁寧に手を差し伸べて、

「行きましょう、お姫様。」

と言いました。

 

呆れたように

ビョルンを見つめていたエルナが

笑いを爆発させると、彼女の頭の上で

小さな白い花房が揺れました。

エルナは夫のエスコートを受けながら

村の広場を行進しました。

 

茶目っ気たっぷりの歓声と

拍手を送る見物人たちに向かって

手を振るビョルンは、

王室のお出ましの時と同じくらい

巧みで優雅でした。

 

村の広場の中央を悠々と通る

農作物の王子を見た中年の奥さんが

あの若者、

なんとなく見覚えがある。

確かにどこかで

見たような気がする。

そういえば、あの双子の王子様に

少し似ていないかと

低い声で囁きましたが

注意深く彼を見ていた一人の男が

また、昼間から酒を飲んでいるのかと

興奮して叫んだので、 

残念ながら、その主張は

すぐに黙殺されてしまいました。

大公夫妻を乗せた馬車は、

日が暮れる頃になって、

ようやくバーデン家に戻って来ました。

 

完成したパッチワークの布団を

片付けていたバーデン男爵夫人は、

窓越しにその光景を見守りました。

最初に馬車から降りたビョルンは

この上なく紳士的な身振りで

エルナをエスコートしました。

二人が楽しい時間を

過ごしたということは、

明るいエルナの顔だけ見ても

分かるような気がしました。

 

バーデン男爵夫人を手伝っていた

グレベ夫人は、

お嬢さんのご機嫌が良さそうで、

本当に良かったと

深い安堵のため息をつきました。

 

頷いたバーデン男爵夫人は、

老眼鏡を外して立ち上がりました。

グレベ夫人が持って来てくれた

ショールをかけて

玄関に向かっている間に、西の空は

さらに濃いバラ色に染まりました。

 

お祭りは楽しかったかと、

バーデン男爵夫人が、笑顔で尋ねると

ビョルンが振り向きました。

おかげさまで良い時間を過ごせたと

礼儀正しく挨拶をした彼の唇にも、

優しい笑みが浮かんでいました。

そう言ってもらえて嬉しいと

返事をしたバーデン男爵夫人は、

エルナにも、祭りはどうだったか

尋ねました。

 

指先を見下ろしていたエルナは

自分も楽しかったと静かに答えました。

今朝のことが

まだ気になっているようで、

ぎこちない表情でした。

 

「よかった」と言って、

バーデン男爵夫人は頷くと

両腕を広げました。

野原を走り回って帰って来た子供を

迎えてくれた、

あの時代の、あの姿のようにでした。

しばらくためらったエルナは、

用心深い足取りで、

祖母のそばに近づくと、

彼女の胸に抱かれました。

硬直した背中を撫でる

バーデン男爵夫人の

しわの寄った手の甲の上に

夕日が沈みました。

 

許してくれてありがとうと

囁くエルナの声からは

微かに水気が滲み出ていました。

薄暗くなる遠い空を見ていた

バーデン男爵夫人は、

赤くなった目を閉じて

遅くなってごめんねと答えました。

 

世の中の人々の憎しみと

嘲弄を受ける未熟な大公妃の消息を

見る度に、バーデン男爵夫人は

この辺鄙な世界に閉じ込めて

育てるだけではいけなかったと

何度も後悔しました。

 

もしかしたら、この子も、

アネットのように

不幸になるのではないかと恐れ、

永遠に、この世界の中だけで

生きていけないということを

知っていながら、

塀を高く、さらに高く

積み上げました。

他の貴族の家の令嬢のように

育ててあげれば良かった。

そうすればエルナが

こんな扱いをされて

傷つくことはなかったはずだと

バーデン男爵夫人は後悔しました。

 

しかし、彼女は、

その深い悔恨の言葉を吐く代わりに、

いつにも増して優しい笑顔を

見せました。

 

バーデン男爵夫人は、

とても、お腹が空いているだろうから

早く入りなさいと言って、

孫娘の手を握りましたが、

振り返ろうとした彼女の視線が

馬車から次々と降ろされる

箱の上で止まりました。

 

「あれは何?」とエルナに尋ねた

バーデン男爵夫人は、

それが農作物だと気づくと、

目を丸くしました。

照れくさそうな顔をしたのも束の間。

エルナは彼女の手を握りしめながら

目を輝かせました。

話したいことが、

とてもたくさんありそうな

愛らしい目つきでした。

二人を乗せた馬は

大きな木の下で止まりました。

ピクニックの準備を終えた使用人たちが

皆、退いたので、

森はがらんとしていました。

エルナはウキウキしながら

周囲を見回している間に、

先にビョルンが、馬から降りました。

鼻先をかすめる風は

花と草の葉の香りを

いっぱい含んでいて、さわやかでした。

 

ビョルンは、

軽々と抱きかかえたエルナを

草むらの上に降ろしました。

日陰の下に広がる

広い毛布の上には

クッションと食べ物が入った籠、

そしてお茶を入れたポットまで

完璧に準備されていました。

 

エルナは淑女の面子を

しばらく忘れたかのように

秘密の森の中の空き地の向こうへ

走って行きました。

野ばらと黒いちごの茂み。

澄んだ水が流れる小川。

懐かしい風景を一つ一つ

確認しながら

ぴょんぴょん動き回る姿は、

まるで罠から解き放たれた

幼い獣のようでした。

 

ビョルンは

クッションの山に仰向けになり、

そんな妻をじっと見つめました。

のんびり流れる雲と、風に揺れる木。

草や、群生している春の花で

いっぱいの風景は、

エルナの説明のように美しかったです。

喜んでその事実を認めた瞬間にも、

ビョルンの目は

妻にだけ向けられていました。

か細い背中で揺れる三つ編みの髪。

白いリボンをまとった麦わら帽子。

花柄が刺繍されたモスリンのドレス。

その一つ一つを

じっくり見ていくにつれ、

視線が次第に深まりました。 

 

小川のそばの

スズランの群生地の中を

歩き回っていたエルナは、

花を数本折って帰って来ました。

優しい笑顔で妻を迎えたビョルンは

籠からワインを取り出しました。

 

じっとその姿を

見守っていたエルナは、

自分も飲むと言って

ワイングラスをもう一つ取り出し、

彼のそばに座りました。

 

淑女が昼間から

お酒を飲もうとしていると

ビョルンがからかうと、エルナは、

今日は特別な日だからと

返事をしました。

 

恥ずかしそうに笑うエルナの頬が

桃色に染まりました。

ビョルンは、思う存分

その顔を鑑賞した後、

ようやく、再びワインのボトルを

手にしました。

ワインで満たされた2つのグラスが

そっと触れる音が

きれいに響き渡りました。

 

エルナは、

優しかった母。

とても温かくて慈愛に満ちた祖父母。

彼らと共に過ごした

田舎の屋敷での美しい日々をについて

話しながら、グラスを空にしました。

一点の曇りも感じさせない話は、

まるで一編の童話のようでした。

 

しばらく、

ぼんやりと彼を見ていたエルナが、

いきなり水の入っているグラスに

挿しておいたスズランを指差し、

自分はこの花が好きだと

言いました。

 

ビョルンは、

知っていると答えると、

再び空になったエルナのグラスに

ワインを注ぎました。

 

その時、ビョルンは、

せいぜい酒を1杯くらいしか飲まない

この女性が、すでに、

3杯目のワインを飲んでいることに

気づきました。

 

エルナは、

子供の頃からスズランが

好きだったと言うと、

瞬きするスピードが

著しく遅くなりました。

 

そして、エルナは、

でも、もう好きになっては

いけないそうだ。

花はただの花なのに。

あの温室にだけ

咲いているわけではないのに。

ここにも、

こんなにたくさんあるのに。

本当に悪い人。変だと

べらべらと喋りました。

酔っているのは確かでした。

 

ビョルンは

エルナのグラスを満たさずに

酒瓶を噛みました。

ぼんやりと彼を見ていたエルナが

不愉快そうに眉をひそめました。

ここで、もう少し酔えば、

高飛車になりそうな気配が

プンプンしていました。

 

しばらく悩みましたが、

結局、ビョルンは

妻のグラスを満たしてあげました。

その姿を、じっと見守っていた

エルナの顔に、

この上なく幸せな笑みが

浮かびました。

エルナはビョルンにお礼を言いました。


まじめな酒飲みの道を歩いていながら

無駄に礼儀正しい。

そのギャップが可愛くて、

ビョルンも笑ってしまいました。

 

このように、

良い天気と美しい風景の中でなら、

きれいな酔っぱらい一人くらい、

許してあげられないことも

なさそうでした。

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一国の王子が、

「最高のバフォードの男」の

称号を得るために、

たかが田舎の祭りの余興のレースに

真剣に参加するという、

誰も想像できないことをやるのが

ビョルンなのだと思います

けれども、お酒を飲んで

ポーカーをしているより

太陽の下で、必死に走る

ビョルンの方が、

はるかに素敵だと思いました。

おそらく、ビョルンは

自分が勝利することだけを考えて、

そんなことまで意識していなかったと

思いますが、

ビョルンと結婚して以来、

敗北の辛さばかり

味わっていたエルナが、

このレースを通して

ドナイスタとして勝利する喜びを

味わわせてあげられたと思います。

 

優勝した時の

エルナのはしゃぎようを見た

ビョルンは、エルナのことが

もっと好きになったような気がします。

 

エルナの不幸は

自分のせいではないかと

自責するおばあ様の気持ちが

切ないです。

でも、おばあ様のおかげで

エルナは純朴で優しい女性に育ち、

それがビョルンの目に

留まったのではないかと思います。

 

マンガでは、そのシーンは

出て来ませんでしたが、

グレディスがエルナを

温室へ連れて行った時に、

スズランを好きになってはいけないと

言ったのでしょうか?

時間がある時に、

原作で、温室のシーンを

読んでみようと思います。

 

たくさんのコメントを

本当にありがとうございます。

明日も更新しますので

よろしくお願いいたします。

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