自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 89話 ネタバレ 原作 あらすじ ビョルンが義父に忍耐心を発揮する理由

 

89話 ブレンダ・ハルディに掴まっていたエルナは王妃に呼ばれました。

王妃は、ホールが見下ろせる

2階の手すりの中央で

足を止めました。

室内楽団が演奏するワルツの旋律が

春の夜を盛り上げていました。

気持ちよく笑って騒いでいた客たちは、

一人、二人とペアを組んで

ホールの中央に集まり始めました。

 

初めてのパーティー

うまく成功させたと

褒め言葉をかける王妃の声は

穏やかでした。

とても緊張していたエルナは、

ようやく安心した表情になると、

王妃にお礼を言い、

フィツ夫人が手伝ってくれたおかげだと

話しました。

 

しかし、王妃は、

このすべてが

エルナの努力のおかげだと

フィツ夫人は言っていた。

また、母親を説得するために、

毎週アルセン家を訪れた話と、

これが、ビョルンのために準備した

誕生日プレゼントだということも

聞いたと話しました。

 

エルナはきまりが悪そうに

視線を落としました。

自分が、どれだけ大変なことを

やり遂げたのか

見当もつかないといった顔でした。

王妃はエルナに

心からの御礼を伝えました。

 

実は王妃は、エルナに

大きな期待を抱いていませんでした。

二度と結婚しないと思っていた

息子の心を変えた娘なので、

それだけで十分。

ビョルンと、うまく生きてくれれば、

これ以上、

望むことはありませんでした。

そんな子が、このように大きな

プレゼントになってくれるとは

思ってもいませんでした。

 

王妃は、

エルナに大きな借りができたと

言いました。

しかし、エルナは

そんなことはない。

自分は、毎週アルセン家を訪れることが

本当に好きだった。

バフォードにいる母方の祖母に

会っているような気がしたし、

おばあ様も親切にしてくれたと言って

笑いました。

作り上げているようには見えない

態度でした。

 

王妃は、なぜバーデン男爵夫人を

招待しなかったのかと尋ねました。

エルナは、そうしたかったけれど

祖母が遠慮したと答えました。

 

母方の祖母の話が出ると、

エルナは目に見えて

落ち込んでしまいました。

年齢に似合わない大人っぽさで

びっくりすることが多いけれど、

こんな時は、

間違いなく幼い淑女でした。

 

王妃は、ビョルンと一緒に

バーデン家へ行って来たらどうかと

衝動的に提案しました。


大事に育てた孫娘が

恋しくないはずがないのに、

バーデン男爵夫人が

ここを訪れない理由を、王妃は

ぼんやりと理解できそうでした。

男爵夫人は大公妃の評判について、

よく知っているはずなので、

万が一、人々の言いがかりに

なるのではないかと

慎重になっているのだと思いました。

遠い所で、孫娘の幸せだけを祈っている

思慮深い老婦人を思い浮かべると

王妃は、突然心が重くなりました。

 

結婚して半年が過ぎても、

ただの一度も

バーデン家を訪問しなかったなんて

ビョルンの無頓着さと

エルナの忍耐心のうち、

どちらに、より驚くべきか、

王妃は、

簡単に見当がつきませんでした。

 

エルナは、

本当に・・・そうしても良いのかと

信じられない様子で問い返しましたが

そうできればいいけれど、

もうすぐ建国祭も開かれるし、

夏のシーズンも・・・と言いかけると

王妃は、

そんな心配はしないように。

大公夫妻がいなくても、

建国祭と夏の社交シーズンに

支障が生じることはないと言って

いっそう穏やかに微笑みました。

すでに、エルナの気持ちが

バーデン家に向かっているのが

はっきり見えるのに、

顔色を窺う子供が気の毒でした。

 

何とか欠点をつかもうと

血眼になっている

人々の視線に耐えることは

決して容易ではなかったはずでした。

事あるごとにグレディスと比較され、

ビョルンに向けられた非難の矢まで

全て耐えることが、この子に、

どれだけ苦痛を与えているかと

思うと、王妃は、

自然と長いため息が漏れました。

 

王妃は、

ここのことはしばらく忘れて、

おばあ様に会って来るように。

エルナが自分たちにくれた

プレゼントに対する恩返しだから、

気にすることはないと言いました。

 

エルナは王妃に、

心からの御礼を伝えました。

ようやくエルナは

満面の笑みを浮かべましたが、

一点の曇りもない笑いが、

何故か気の毒に思えて、

王妃は長い間、その顔から

目を背けることができませんでした。

 

何も知らない子供に

本当に過酷なくびきを

かけてしまったと、

複雑な思いが胸の片隅を

重く押さえつけましたが、

それでも息子のそばに

この子がいて良かったと思いました。

利己的な母心だけれど、

どうかよく耐えて、今のように夫を

愛して欲しいと思いました。

パーティーの真っ最中のホールへと続く

テラスは、群れをなして座り、

葉巻を吸う紳士たちで

にぎわっていました。

 

ビョルンは、噴水の音が

最も近くに聞こえるテーブルに座り、

夜の庭を眺めました。

 

ペーターは、

ハルディ子爵が熱烈な目で

ビョルンを見ているようだと

ふざけた冗談を並べ立てながら

目で斜め方向のテーブルを

差しました。

王子の義父の役割を果たそうとして

浮かれているウォルター・ハルディが

座っている所でした。

 

ビョルンは、

「知っている」と誠意のない返事をし、

葉巻の煙を吐きました。

 

ウォルター・ハルディは

大公邸に入ったその瞬間から、

どうにかして

ビョルンと目を合わせようと

必死になっていました。

感心すべき努力ではあるけれど、

ビョルンにとっては

どうでもいいことでした。

笑って歓迎の挨拶を交わし、

同じ食卓に座ってあげただけでも、

彼の薄っぺらな忍耐心が

すでに底をついていました。

彼を、この大公邸に入れたのは、

ただエルナのためでした。

 

父とバージンロードを

歩くことさえ耐えられない女性が

自らハルディ家を招待したのは

王室の体面のためだということを

ビョルンはよく知っていました。

だから我慢するのでした。

このパーティーに注ぎ込んだ

妻のその愚かな努力を

尊重してあげるためでした。

 

ビョルンが、

それ以上、関心を示さないと、

皆すぐに気乗りがしなくなったので

競馬大会や建国祭の舞踏会、

最近、人気の高い社交界の淑女たちなど

他の話題で盛り上がり始めました。

その見え透いた退屈な会話にも、

ビョルンは、かなり寛大な気持ちで

耳を傾けました。

 

レナードは、

正直言って、ビョルンが

ここまで、うまくやれるとは

思ってもいなかった。

賭で手に入れた淑女と

結婚したことからし

衝撃的だったけれどと言うと、

チラッとビョルンを見ました。

そして、レナードは、

ビョルンは自分に

感謝しなければならない。

あの賭けの場が開かれたのは

自分のおかげ。

ということは、自分が

この結婚の立役者ではないかと

主張しました。

 

その言葉にビョルンは

「黙れ、レナード」と命じて

くすっと笑うと、

テーブルに座った全員が

一斉に笑い出しました。

レナードもそうでした。

 

レナードは、

大したことは望まないけれど

投資情報だけ

少しだけ流して欲しい。

自分たちが脇役になって

毒キノコ王子を

結婚させてあげたのだから、

その程度の慈悲は施すべきだと

言いました。

続けて、ペーターも、

正直、ビョルンが

上手くやったのではなく、

自分たちが不細工だったから

ビョルンが賭けに勝ったということを

知っているではないかと

付け加えると、他の皆の顔が

一斉にしわくちゃになりました。

 

そして、その後も、

意地悪な戯言が一言ずつ加わるほど、

テーブルの雰囲気は

熱くなって行きました。 

 

「エルナ!」と

大声で名前を呼ぶ

ウォルター・ハルディの声が

響き渡ったのは、ビョルンが

グラスを下ろした瞬間でした。

ビョルンは眉を顰めると

テラスに出てきたエルナが見えました。

ウォルター・ハルディは

いつの間にか娘の目の前まで近づき、

優しい父親のふりを

しているところでした。

ビョルンは躊躇うことなく

席を立ちました。

不安そうに周囲を見回したエルナは、

ビョルンと目が合って

ようやく安心した表情をしました。

 

ビョルンは、

エルナに近づいて名前を呼ぶと、

彼女は急いで彼のそばに来ました。

ビョルンは、そんな妻の手を

力を入れて握りしめました。

その瞬間にも視線は

ウォルター・ハルディに

向かっていました。

ビョルンが来たことで、

ウォルター・ハルディは

卑屈な笑みを浮かべました。

その顔は光を受けて

テカテカしていました。

 

ウォルター・ハルディは

久しぶりに会った娘と

談笑をしていたと言いました。

ビョルンは、

それがたとえ義父であっても、

気に障る奴の首ぐらいは、

思い通りに飛ばせる適度に野蛮な時代に

生きるべきだったと思いました。

ビョルンは、

嘆かわしい笑みを浮かべると

「そうですか。」と返事をしました。

 

よろしければ三人で話をと

ウォルター・ハルディが

ふざけたことを言おうとした瞬間、

エルナは咳込み始めました。

文明のおかげで生かされている

ウォルター・ハルディの指の間で

燃え上がっている葉巻を見る

ビョルンの目が細くなりました。

 

彼は、ウォルター・ハルディが

足をよく動かす以外、

本当に役に立たない義父だと

思いましたが、欲に目が眩んで

詐欺に遭った人間らしくないほど

美しい娘を作る才能があるという点は

見逃せないと思いました。

 

ビョルンは、

見ての通り、妻の体調が良くないので

残念だけれど、話は

次回に持ち越さなければならないと

告げました。

そして、ビョルンは、

情けない詐欺に遭い、

その解決策として

娘を売り払うことにし、

そうしてエルナを

自分の懐に抱かせた張本人が、

まさに、この男ではないか。

すると、この結婚の立役者の座は、

レナードでなく、

ウォルター・ハルディに譲るのが

正しいのかもしれないと思いました。

 

深い森の中で暮らしていた子鹿を

狩場に追い込んだ立派な狩人。

そのような功臣のために、

少しでも忍耐心を

発揮できない理由はありませんでした。

 

ビョルンは、

ぼんやりした表情をしている

ウォルター・ハルディを残したまま、

テラスを去りました。

エルナは、

庭に続く最後の階段を下りて、

ようやく咳込むのを止めました。

目頭と鼻筋が真っ赤なのに、

何がそんなにいいのか

よく笑っていました。

 

エルナは周りを見回すと、

ビョルンと一緒に

おばあ様に会って来てもいいと

王妃に言われたことを、

慎重に話し始めました。

彼を見る瞳は、闇も隠せないくらい

期待感に満ちていました。

 

エルナは、

そうしてもいいかと尋ねました。

ビョルンは、

そうしたいのかと、

エルナの答えを承知の上で聞きました。

ビョルンは、

美しく輝き、ひたすら自分を見つめる

エルナの目が気に入りました。

エルナは、ビョルンさえ良ければと

答えて、もう一歩、彼に近づくと、

甘い体の香りが濃くなりました。

 

習慣的に

ネクタイの結び目を緩めようとした

ビョルンは、

虚脱感の混じった笑みを浮かべました。

指先に触れたネクタイが

まるで自分を

あざ笑っているようでした。

 

長い沈黙を

ビョルンの拒否だと受け取ったのか、

エルナは、一層、切実な目で

時間はあまり取らないようにすると

訴えました。

 

自分のせいで泣いたり笑ったりする

自分のエルナ。

自分がその女性を見守る瞬間の

取るに足らない支配感を

楽しんでいるという事実を

ビョルンは素直に認めました。

王冠には

何の未練も残っていないのに、

たかがこの女一人を手に入れて

満足しているなんて、

おかしいと思いました。

それでも気分が

それほど悪くはないという事実に

ビエルンの笑みは一層濃くなりました。

 

咲き乱れた花の香りが漂う風の中で、

ビョルンは、

春の夜のように微笑んで頷きました。

すると、エルナも笑いました。

その瞳の中に

ビョルンの小さくて美しい王国の

王冠が輝きました。

 

ビョルンは、

ネクタイを撫でていた手を伸ばし、

エルナの頬を包み込みました。

そして、ゆっくり、

一抹の迷いもなくキスをしました。

額と鼻筋を辿った唇が

やがてエルナの唇に触れると、

彼女は小さくため息をつきながら

身をすくめました。

しかし、エルナが拒否できないことを

ビョルンは知っているので、

結局全てのことは

思い通りに行われました。

彼はその世界の王で、

それが良いと思いました。

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ビョルンを思う親心のために

エルナを犠牲にしていることを

申し訳ないと思う王妃の気持ちが

ひしひしと伝わって来ました。

その王妃の愛情深さは

母親から受け継いだものであり、

エルナを理解している王妃の

母親だからこそ、

アルセン公爵夫人の頑なな心も

エルナによって解かされたのだと

思います。

 

愛情深いアルセン公爵夫人と

王妃の血を受け継いだビョルンも

おそらく、愛情深くて

グレディスの裏切りさえなければ

彼女と穏やかな夫婦生活を

送っていたと思います。

もしかしたら、

グレディスの妊娠が発覚する前までは

彼女に

愛情を抱いていたかもしれません。

けれども、それが裏切られ、

ビョルンは愛に対して

不信感を抱くようになったのかも。

けれども、ビョルンを純粋に慕う

エルナの気持ちに、

彼の愛への不信感も

少しずつ、解消されていくように

思います。

ウォルター・ハルディのおかげで

エルナと結婚できたとまで

思うようになった

ビョルンの心境の変化は驚きです。

 

明日も更新しますので、

よろしくお願いいたします。

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