自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 102話 ネタバレ 原作 あらすじ 長くて本当にひどい一日

 

102話 吐き気を催したエルナをビョルンは抱き抱えて走りました。

 

力なく座って

窓の外だけを見つめていたエルナは

川の向こうに大公の橋が

見え始めた頃になって、

「どうしてですか?」と

最初の一言を切り出しました。

 

ドレスは草の汁と土埃に塗れ、

髪は乱れて、

やつれて青白い顔色をしたエルナは

今朝、綺麗に着飾った姿とは

全く違いました。

 

普段なら、腹が立って

どうしていいか

分からずにいたことが、

今は、たまらないほど

つまらなくて虚しいだけでした。

 

エルナは、

一体、なぜパーベルに

あんなことをしたのかと尋ねると

隣に座っているビョルンの方へ

ゆっくりと顔を向けました。

 

目を閉じている彼の顔には、

何の感情も

浮かんでいませんでした。

エルナは、ビョルンを呼びましたが

ため息をついて目を開けた彼は

静かにしろ。一言も言うなと

低い声で命令しました。 

沈んだ灰色の瞳は、

身の毛がよだつほど

冷たい怒りを含んでいました。

 

言葉に詰まったエルナが

唇だけで微笑んでいる間に、

ビョルンは

再び目を閉じてしまいました。

 

賭けで手に入れたトロフィー。

ビョルンの顔の上に浮かんだ

その残忍な言葉が、

再び胸を切り裂き始めました。

 

愛ではないことぐらい、

エルナも知っていました。

しかし、

たとえ、彼のせいで苦境に立たされた

哀れな女に施す同情心だったとしても

少なくとも最小限の真心は存在すると

信じていました。

しかし、ビョルンにとってエルナが

憐憫の対象にもならなかったことに

気づくと、怒りよりも

大きな悲しみが訪れました。

 

エルナは

ビョルンを信じていました。

誰が何と言っても、ビョルンは

この不慣れで恐ろしい世の中で

自分を守ってくれた

唯一の人だったからでした。

 

そんなビョルンに

エルナは恋をしました。

しかし、滑稽にも、

それに気づくずっと前から、

彼を愛し始めていたことを

その気持ちが、

がらりと崩れ落ちた瞬間に

ようやく分かるようになりました。

 

冷たい雨を防いでくれた傘の下で

目が合った夜。

生まれて初めて見た美しい花火が

空を彩った時。

あるいはハーバー家のパーティー

もしかしたら、

美術展の薄暗い展示室で、

いきなり手の甲に口付けをした王子と

目が合ったその瞬間、

ビョルンの口元に浮かんだ笑みを

見つめながら不規則に動く

心臓の音を聞いた時。

 

記憶を遡れば遡るほど、

エルナは、

ますます惨めになっていきました。

面白半分で始めた賭けに

かけられたトロフィー。

それを勝ち取るための計略に

全力を出してしまった自分が、

あまりにもおかしくて惨めで

耐え難く感じました。

エルナにとっては救いだったけれど、

ビョルンにとっては、

ただのいたずらでした。

 

必死で泣くのを我慢していましたが

すでにエルナの目は

溢れ出て来た涙で曇っていました。

むしろ大声でビョルンを

問い詰められたらいいのに、

どうしてもそうすることができず、

悲しみがさらに深まりました。

いくら評判が悪くても、

一時は、王太子だったので

その気になれば、

いくらでも立派な家門の娘と

再婚できる男でした。

 

自分が、彼のトロフィーに

過ぎないということを知ると、

エルナは、この結婚が

どれほど、とんでもないことなのか、

そして、今さら、ビョルンを

恨む立場になれない事実を

より一層、実感しました。

 

彼が守ってくれた

バーデン家の邸宅と家族の暮らし。

彼が代わりに返してくれた

ハルディ家の莫大な借金と

今だに続いているという

父親が犯したことの後始末など、

知らないうちに、貰ったものの重さが

エルナの胸を押さえつけ、

恥知らずにも、

この男を恨むことはできませんでした。

 

ビョルンがこの結婚を選択した理由が

彼のそばに置いて

面倒なことを防ぐトロフィーが

本当に必要だったからなのなら、

エルナはもっと我慢して

耐えなければなりませんでした。

過分な地位を得た代価として

払わなければならない

恥辱や悲しみなどの苦痛を

すべて合わせても、

今まで受けたものを返済するのに

足りませんでした。

 

赤字の塊。

本当にそんな扱いを

受けるかもしれないと思うと、

エルナは怖くなりました。

計算に徹することにかけては

誰よりも冷酷なこの男が、

もはや役に立たない、

赤字の塊だと判断したトロフィーを

我慢するはずがありませんでした。

 

長くても1年。

思い出したくもない嘲けりの言葉が

耳鳴りのように聞こえ始める頃、

馬車は大公の橋に入りました。

ここで、わくわくする気持ちで

ビョルンを待っていた

自分の姿を思い出すと、

エルナは、

これ以上我慢できなくなって

泣き出してしまいました。

 

一番大切にしている花を

彼にあげたこと。

溢れ出る涙の中で

あの日、ビョルンに与えた

約束の証が思い浮びました。

彼が喜んで

プレゼントを受け取ってくれて

どれほど嬉しかったか

わかりませんでした。

それを襟元につけた王子を想像すると

胸の片隅で花が咲いているようでした。

その姿が、この男の目には

どれほどおかしかったのだろうか。

 

こみ上げて来た悲しみを吐き出す

泣き声が、

馬車の車輪の音を消しました。

 

ビョルンは、

エルナに「泣かないで」と

言いました。

そして、

抑えきれない苛立ちに満ちた顔で

妻を見つめ、

頭がいかれた糞野郎は自分なのに、

なぜエルナが泣くのかと尋ねながら

自分が吐き出している言葉が

とても情けなかったので

自然に失笑が漏れました。

 

ビョルンは、エルナに

何の過ちもないことを

知っていました。

つまらないことに気が触れて

すべてを台無しにしたのは、

まさに自分でした。

そして、一番おぞましいのは、

それを知っていながらも、

自分では

どうすることもできないという事実で

あの時も、今も同じでした。

 

怯えたエルナは、

体を小さく丸めて座ったまま、

涙を飲み込みました。

か弱い背中が、

一段と敏感になった

ビョルンの神経を刺激し始めた頃

幸いにも馬車が止まりました。

 

馬車から降りた二人のそばに

近づいて来たフィツ夫人は

主治医がもうすぐ到着すると

急いで告げました。

事前に人を送って伝えたことが

きちんと伝わったようでした。

 

ビョルンが頷くと、

フィツ夫人は彼に、

王に会いに行かれなければならないと

告げました。

今、行かなければならないのかと

不満そうな顔でビョルンが尋ねても、

フィツ夫人は「はい」と答え、

帰り次第、夏の宮殿に

立ち寄るようにという

厳しい命令があったと

断固とした態度で告げました。

最後の狼まで入って来ると、

書斎の空気がさらに重くなりました。

シュベリン警察署長は、

強張った手で握った茶碗を

注意深く唇に運びました。

彼は、まるで猛獣の檻に

投げ込まれた獲物にでも

なったような気分でした。

 

しかし、王太子が、

そのことについてビョルンにも

説明して欲しいと言うと、

彼は絶望的なため息をつきながら

茶碗を下ろしました。

それほど暑くない夕方でしたが、

警察署長の額と手は、冷や汗で

びしょ濡れになっていました。

 

警察署長は、口を開きましたが

すぐに、彼の乾いた唇が

緊張感でぶるぶる震えました。

今回の件の当事者である

大公に向き合うと、

息が詰まるような気がしました。

むしろ。国王と王太子の方が

楽でした。

 

上々の気分を

奈落の底に落とすようなことを

知らせなければならないのに、

彼はすでに、

死神のような顔をしていました。

その上、切れた唇と乱れた身なりから

ひとしきり喧嘩でもして来たことが

明らかでした。

 

じっと彼を見つめていた大公は

「話してください」と

落ち着いて催促しました。

丁寧な態度でしたが、その裏に

疲労と苛立ちが読み取れました。

 

まず、警察署長は最初に謝ると、

それを事前に知っていたら、

何とかして防げたはずだけれど

彼が警察署に来る前に

新聞社に立ち寄ったので、

どうしようもなかった。

それでもできるだけ早く

王と大公に

知らせなければならないと・・・

と話し始めましたが、

ビョルンは眉を顰めて

彼の言葉を遮り、

自分が理解できるように

ゆっくりと本論を話せと

促しました。

ビョルンの、はっきりと

ゆっくり吐き出す言葉が

まるで鋭い刃のようでした。

 

しばらく呆然としていた警察署長は

ギュッと目を閉じた後、

感情を押し殺した声で、

貿易会社を経営する

ハンス・ウェーバーという者が

今日の午後、シュベリン警察署を訪れ

心強い後ろ盾に

なってくれるという嘘で自分を誘い、

賄賂を強要した者を通報したと

説明しました。

 

続けて警察署長は、

ウェーバーが警察署を訪れる前に

すでに新聞社に情報提供をしたので

今日の夕刊の新聞に

その事件がトップ記事として

掲載されてしまった。

自分一人では

収拾がつかなくなっていると

湿った手をズボンで拭きながら

説明しました。

 

ここまでくれば、

大公もぼんやりと

推測したかもしれませんが、

じっと彼を見る大公の目は

警察署長が当惑するほど

静かでした。

 

彼はもう一度謝ると、深く頭を下げ

そのまま、大公の視線を避けたまま

ハンス・ウェーバーが大公妃を訴え

まもなく

その事件の捜査が始まるだろうと

告げました。

狂った奴だ。

レオニードが言えるのは、

今日も、やはりその一言だけでした。

このようなひどいスキャンダルに

巻き込まれた妻を持つ夫に

言うことではありませんでしたが、

その夫がビョルン・ドナイスタなら

話が少し別でした。

 

クスクス笑いながら

廊下を歩いていたビョルンに

「今、笑いが出るの?」と

レオニードは呆れながら

彼の前に立ちはだかり、

彼に向き合いました。

そのことを聞いた瞬間から今まで

ビョルンは一度も真剣な態度を

見せていませんでした。

 

自分の妻が

詐欺の疑いで告訴されたと聞いた

ビョルンは、最初に

「ああ、そうですか。」と

言ったので、警察局長はもちろん、

国王とレオニードまで驚愕しました。

もしかしたら、

きちんと理解していないのではないかと

彼らが真剣に心配し始めた頃、

ビョルンは軽く笑いました。

父の前でさえなかったら、

軽い憎まれ口を一言ぐらい

付け加えたいような、

気の抜けた笑みでした。

 

レオニードは、

どうか真剣になって欲しい。

大公妃が犯した過ちではなくても、

彼女の実家の家門が

関わった事件なので、

決して軽いことではないと

切実に訴えましたが、

ビョルンの表情は変わりませんでした。

 

彼は、しばらく窓の向こうの

薄暗い空を見ていましたが、

また、ひねくれた笑いをしました。

そして、

複雑なことではない。 

捜査をするなら捜査を受け、

罪を犯した者を見つけたら

罰を与えるというものだと

父の前で我慢していた

憎まれ口も叩きました。

 

レオニードは、

ウォルター・ハルディを

本当に刑務所に入れるつもりなのかと

尋ねました。

ビョルンは、

それは、レチェンの有能な

警察と裁判官たちが

勝手にするのではないかと

答えました。

 

それからビョルンは

ゆっくり瞬きをすると、

レオニードに退くようにと告げ、

自分は今日、

ひどく長い一日を過ごしたと言うと

自分の肩をつかんでいる

レオニードの手を

淡々と押し出しました。

そして、

まとわりついて、

殴り合いをするつもりでもなければ、

この辺で退けと言いました。

 

相変わらずビョルンは

締まりのない笑みを浮かべていましたが

レオニードは直感的に、その言葉が

ただの冗談だけではないということが

分かりました。

 

レオニードは悩んだ末、

一歩、後ろに下がりました。

さっと彼を一瞥し、

笑って見せたビョルンは、

のんびりとした散歩でも

楽しむような足取りで

夏の宮殿を出ました。

 

待機していた馬車に乗った彼は、

深いため息をつきながら

目を閉じました。

それから、人間を苦しめて

命を奪う方法を5つほど考えた時、

馬車は大公邸の前に到着しました。

 

迎えに出て来たフィツ夫人を見た

ビョルンは、

深い疲労感が滲んだ声で

エルナのことを聞きました。

大公妃は、

エリクソン先生と一緒に

寝室にいるという

思いがけない知らせに

ビョルンは眉をしかめました。

普通なら、

もう診察が終わっている時間でした。

 

今にも死にそうな

妻の顔色が思い浮かぶと、

ビョルンは、自然に

拳をギュッと握りました。

しかし、ビョルンが

何か言おうとした瞬間、

フィツ夫人は、

「おめでとうございます」

と言って、頭を下げました。

もうすぐ父親になるそうだと

再び言われたお祝いの言葉に

ビョルンは面食らった目で

フィツ夫人を見つめました。

闇でも隠すことのできなかった

感激と喜びが、

老婦人のシワだらけの顔の上で

輝いていました。

長くて本当にひどい一日でした。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

今では、皆様のコメントを読むのも

楽しみの一つとなっています(^^)

 

エルナが告訴されたと聞いても

父親たちの前では

他人事のように振舞うビョルン。

けれども、馬車の中で

人間を苦しめて命を奪う方法を

5つほど考えたということから

彼が、どれだけ

ウォルター・ハルディに

怒りを覚えたかが伺えました。

馬車が大公邸に到着しなければ

もっと、考え付いたのではないかと

思います。

 

ビョルンがパーベルと

喧嘩をしたり、

エルナ自身が告訴されたことで

今まで以上に彼女は

ひどい醜聞の嵐に

巻き込まれそうな予感がしますし

エルナ自身も、

とても心が傷ついている状態で

妊娠が判明。

フィツ夫人は

とても喜んでくれているけれど

苦難続きのエルナに、

この妊娠が耐えられるのかどうか

不安は尽きません。

 

また、妻の妊娠が判明したのに

長くてひどい一日だったと

感想を漏らすビョルンこそ

酷いと思いました。

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