191話 ナビエが足を凍らせた使用人の目的は何なのでしょうか・・・
◇前王の側室と裁判◇
しばらくの間
ナビエは、護衛なしに
1人で散歩することは
できなくなりました。
そんな中、ナビエは
招待状を送った貴婦人に
全員会うことになりました。
その中には先王の側室も
含まれていましたが
彼女はクリスタとは
違うタイプの女性で
自分だけ呼ばれないと思った。
東大帝国のことがあるので
自分は嫌われても当然だと
あけすけに物を言い
豪快に笑う女性で
ナビエも貴婦人たちも
戸惑いましたが
ナビエの不安はなくなりました。
その日の夕方
ナビエは、ハインリに
お茶会の話をしましたが
昨日はナビエをからかっていた
ハインリの表情が
暗くなっていました。
ナビエはその理由を
ハインリに尋ねると
東大帝国でラスタの裁判が
開かれるので
被害者のナビエに証人として
裁判に出席して欲しいと
要請が来たと
ハインリは答えました。
◇私は何もしていない◇
廊下でラスタを
見張っていた騎士は
彼女からソビエシュに
会いたいと頼まれたので
皇帝の所へ行き
その旨を伝えると
ソビエシュはラスタを
呼びました。
ラスタは騎士の後について
東宮へ向かいました。
途中、ひそひそと
彼女の悪口を言う声が
聞こえてきましたが
ラスタは気にしないふりをしました。
ラスタを迎えたソビエシュは
氷のような冷たい視線を
ラスタに向けました。
ラスタは
自分をどうするつもりか
ソビエシュに尋ねると
彼は、ラスタの犯した罪により
変わると答えました。
ラスタは、自分は
何もしていないと
ソビエシュに言いました。
彼は、言い逃れをするには
明らかになっている罪だけでも
多すぎると言いました。
ラスタは、誤解があれば
すべて説明すると
言いましたが
ソビエシュは、娘のことも
エルギ公爵の持ってきた
借用書と港を渡すという書類も
誤解があるのかと
ラスタを問いただしました。
そして、ナビエとソビエシュが
離婚したのは不妊が原因だと
話したのも
誤解なのかと言いました。
ラスタは、
そんなことはしていないと
訴えましたが、
ソビエシュは、西大帝国が
公式に抗議してきたことを
ラスタに伝えました。
ラスタは涙を流しながら
哀れな様子と哀れな声で
皇帝はラスタのことを
可哀そうだと言った、
ラスタを守ってくれると言った、
ラスタがやってもいないことで
いじめるのかと非難しました。
ソビエシュは呆れて
彼が話した
ラスタのやったことの中で
彼女がやっていないことがあるのか
と尋ねると
ラスタは、もちろんだと
答えました。
ソビエシュは、本気で呆れて
ラスタが何を考えているか
分からないと言いました。
ラスタは、
ナビエ皇后が不妊症のせいで
離婚したという噂が流れていると
話しただけ。
皇帝も
ナビエ皇后が不妊症かもしれないと
言ったと主張しました。
ソビエシュは、
その噂が本当だとしても
一国の皇后が
そのことを他国の貴族に
手紙で伝えたこと自体が
問題であることを
ラスタが知らないなんて
理解できませんでした。
ナビエの時に
きちんと話をしなかったことを
後悔していたソビエシュは
今回は、しっかりと
話そうと思い
ラスタを呼びましたが
そんな自分を愚かだと思いました。
ソビエシュは
ラスタに出ていくように命じると
彼女は哀れで可哀そうな姿で
涙声で彼に助けて欲しいと
懇願しました。
そして、
ラスタに大きな罰を
受けさせないで欲しい
ラスタは本当に
大きな罪を犯していない
ラスタは
間違ったことをしていないと
訴えました。
その態度に腹を立てたソビエシュは
ラスタを睨みながら
冷たく、出ていくように命じました。
ラスタが部屋の外へ出て行きかけた時に
ソビエシュは、必要であれば
ロテシュ子爵と
イスクア子爵夫妻の裁判を
参観しても良いとラスタに伝えると
彼女は、参加すると答えました。
ソビエシュは、ラスタと仲の悪い
ピルヌ伯爵を付き添わせると
言いました。
◇裁判◇
ラスタは、
自分が誰だかわからないように
地味なドレスを着て
マントを被って
ピヌル伯爵と一緒に
裁判所へ行きました。
最高裁判事の前に立った
ロテシュ子爵は、判事から
息子アレンの妻である
ラスタ・イスクアは
皇帝陛下の側室になってから
息子アレンとの子供をもうけ
その子を皇女にするために
皇帝陛下と国民と国を騙した。
この秘密を利用して
利益を得ようとして
ラスタ皇后を脅して
金品を受けとった。
と言われて、それを認めました。
観客はロテシュ子爵を
罵り始めました。
ラスタはロテシュ子爵の
証言を聞いて
自分の耳を疑いました。
そして、ロテシュ子爵は
自分の血筋を皇族にするために
息子と嫁と共に
計画したと証言しました。
ロテシュ子爵は
アレンとラスタが恋仲になった時に
ありとあらゆる手を使って
反対したのに
今は、ラスタをアレンの嫁として
認めていました。
次にアレンが
兵士に連れられてくると
抗議の声はさらに大きくなり
観客は卵や果物を
投げ始めました。
ロテシュ子爵は
誰かに罪をなすりつけると
ラスタは想像していましたが
彼は、アレンとラスタの
手を取り
共に死のうとしていました。
ラスタは、恐怖で
足が震えました。
窮地に追い込まれていることを
素直に認めろということなのか。
ラスタは裁判を参観するように言った
ソビエシュを恨みました。
ラスタの
「自分は可哀そう」攻撃は
すでにソビエシュに
通じなくなっているのに
必死で彼にすがるラスタは
哀れだなと思いました。
ラスタは終始
自分は何もやっていないと
主張していますが
詐欺師の親からは
道徳的なことを
教わる機会がなかったでしょうし
子供の時から
奴隷として生きてきて
領主や他の誰かに
虐げられた時に
それが罪とされなかったのであれば
善悪の判断が区別できないまま
大人になってしまったのかなと
思いました。
そして、物事を
自分の都合の良いように解釈するのは
本能的に
自分を守るためなのだと思いました。
だからと言って、
罪を犯していいということでは
ありませんが。